急性期後の療養生活を支える、きめ細やかな医療とケアを提供する仕事|社会医療法人 慶明会 おび中央病院
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年間を通して温暖な気候に恵まれ、雄大な日南海岸の景観を誇る宮崎県日南市。この自然豊かな地で、地域医療の要として長年にわたり医療サービスを提供し続けているのが、おび中央病院です。72床を有する医療療養型病院として、急性期治療後も継続的な医療が必要な患者さまに寄り添い、きめ細やかなケアを提供しています。
近年、同院では職場環境の充実にも力を入れています。育児や介護との両立支援として短時間正規雇用制度を新たに導入するなど、制度としての働き方改革に積極的に取り組む一方、サーフィン部やマラソン部といった部活動や、職員同士の感謝を伝え合う「ごきげんカード」など、職場の活性化に向けた独自の取り組みにも積極的です。
そんなおび中央病院の看護部長である池永さんは、20年以上の看護経験を活かしながらも現場目線での病院運営に尽力されています。世代を超えたアットホームな雰囲気がある同院で働く魅力を、豊富なエピソードとともに語ってくれました。
目次
2.「母と娘のような関係」で育む、アットホームな職場づくり
3.部活動にごきげんカード ー 職員同士の絆を深める取り組みが充実
4.仕事と生活の両立を支援する、充実した制度と柔軟な働き方
1.患者さま一人ひとりの意思を尊重し、「第二の我が家」として寄り添う医療を提供
ー医療療養型病院として、どのような患者さまの対応をされているのでしょうか。
当院は、急性期病院での治療を終えられた後も継続的に医療が必要な患者さまに対して、お一人おひとりに最適なケアを提供しています。療養型という特性上、一般の急性期病院とは異なり、10年近く入院されている患者さまも少なくありません。
それだけに私たちは、ここが患者さまにとって「お家」のような存在になれるよう、細やかな配慮を心がけています。高度な医療処置は比較的少ない分、日常生活の質を高め、落ち着いて過ごしていただける環境づくりに力を入れています。
―長期療養の患者さまとの関わり方について、特に心がけていることはありますか?
長期療養の患者さまとの関わりで最も大切にしているのは、「人としての尊厳を守ること」です。当院には寝たきりで意識のない患者さまもいらっしゃいますが、言葉で意思を伝えられないだけで、私たちの声かけや関わりは必ず感じ取っていらっしゃると考えています。
そのため、日々のケアでは患者さまの小さな反応を見逃さないよう特に気を配っています。例えば、体位交換や清潔ケアの際には、微かな表情の変化や手足の動きにも注意を払います。時にはそんな小さな動きの一つひとつに、患者さまの意思が込められていることがあるのです。
また、ご家族との関係づくりも重要な要素です。面会時には患者さまの普段の様子を詳しくお伝えするだけでなく、ご家族の不安や心配事にもしっかりと耳を傾けるようにしています。中には「自宅で最期を看取りたい」というご希望をお持ちのご家族もいらっしゃいますが、そういった場合には職種を超えた連携を取りながら、その実現に向けて丁寧にサポートしています。
2.「母と娘のような関係」で育む、アットホームな職場づくり
―職場の雰囲気や人間関係について教えていただけますか?
職員の年代的には20代〜50代まで幅広いですが、比較的経験豊富なベテランの職員が多く、穏やかで落ち着いた雰囲気です。
そんな中で私がいつも心温まるのは、40代、50代のベテラン職員たちの若手への接し方です。休憩時間になると、「今日、なんだか疲れてない?」「何か困ってることはない?」と気にかけていたり、体調が優れない時には「早く帰って休んだ方がいいわよ」と声をかけていたり、まるで実の娘のように温かく見守ってくれています。もちろん仕事の指導は厳しい時もありますが、一人ひとりの性格をよく理解して、その子に合った声かけや教え方を工夫してくれているのです。そんな先輩方のおかげで、若い職員も安心して成長できる職場になっていると感じています。
―看護部長として、現場との関わり方で心がけていることはありますか?
私は昨年6月に看護部長に就任したばかりなのですが、特に大切にしているのは現場との距離感ですね。管理職だからといって現場から離れるのではなく、むしろ積極的に足を運んで、おむつ交換や夜勤にも入るようにしています。職員と同じ目線に立って、どんな課題があるのか、どう解決できるのか、一緒に考えていきたいですね。
特に夜勤は人手が必要な時間帯なので、職員が休暇を取りやすいよう、私自身が代わりに入ることもあります。実際に現場で一緒に働いてみると、書類だけでは分からない課題や、職員の小さな悩みが見えてくるんですよ。そういった気づきを、より良い職場づくりに活かしていければと考えています。
3.部活動にごきげんカード ー 職員同士の絆を深める取り組みが充実
―職場の交流を深めるための取り組みについて教えていただけますか?
当院で特に力を入れているのが部活動です。マラソン部、サーフィン部、園芸部、フットサル部とあるのですが、これらは単なる趣味の集まりではありません。部署を超えたコミュニケーションの場として、とても大切な役割を果たしています。
先日は嬉しい出来事がありました。マラソン部とサーフィン部のメンバーが協力して、日南市主催のマラソン大会に参加したのです。県外からも多くのランナーが参加する大きな大会でしたが、職員たちは一丸となって頑張ってくれました。私も応援に駆けつけましたが、部活動を通じて職員同士の絆が深まっているのを実感しました。
―職員のモチベーション向上のための制度なども整備されているそうですね。
はい。当院では職員のやる気を引き出すために、いくつかユニークな制度を設けています。中でも好評なのが、CS賞という報奨制度です。患者さまへのサービス向上に貢献した職員やグループを毎月選出し、表彰状と金一封を贈呈しています。
選考は非常に丁寧なプロセスで行われます。まず委員会で候補者を選び、その後、経営会議での承認を経て最終決定です。個人の取り組みはもちろんのこと、感染対策委員会のような組織的な活動も表彰の対象としています。職員たちがチームとして成し遂げた成果も、しっかりと評価したいという思いがあるからです。
さらには、年度末には特別な表彰も実施しており、1年間の受賞者の中から特に優れた取り組みをされた方をグランプリとして選出、より大きな報奨金を贈呈しています。このような制度を通じて、職員一人ひとりの頑張りを組織全体で認め、しっかりと評価しています。
また、当法人独自の取り組みのひとつに、「ごきげんカード」というものがあります。これは職員同士で感謝や賞賛を伝え合うもので、「困っているときに助けてくれた」「患者さまに対して特に丁寧な対応をしていた」「いつも笑顔で職場を明るくしてくれている」といった内容をカードに書いて掲示板に貼り出します。年間で何百枚ものメッセージが集まる、心温まる取り組みです。
このカードは単なる褒め合いの場ではなく、お互いの良い部分に気づき、認め合う貴重な機会となっています。自分では気づかなかった長所を他者から指摘されることで、仕事に対する自信とモチベーションにつながっているようです。
4.仕事と生活の両立を支援する、充実した制度と柔軟な働き方
―働き方の面での特徴について教えていただけますか?
当院では「働きやすさ」を重視し、職員が長く活躍できる環境づくりに力を入れています。これは具体的な数字にも表れています。例えば残業時間は月平均30分程度と、ほとんど残業のない状態を維持しています。これは私たち管理職だけでなく、一人ひとりの職員が率先して業務効率化を進めてきた成果だと考えています。
また、働きやすい職場だと感じるもう一つの理由が有給休暇取得率の高さです。当法人の有給取得率は90%を誇り、皆で支え合いながら休暇を取得できる環境が整っています。
「子どもの運動会で休暇を取りたい」「ご両親の通院に付き添いたい」といった個人的な事情があってもお休みが取りやすいですから、安心してくださいね。
―新しい働き方の制度も導入されたとお聞きしました。
今年から始まった「短時間正規雇用制度」は、育児や介護など様々な事情で8時間勤務が難しい方でも、30時間以上働ける方は正規職員として迎え入れる制度です。経験や意欲のある方に、ぜひ長く活躍していただきたいという思いから始めました。
実際に、ご両親の介護のために短時間勤務を選択している職員も在籍しています。また日々の勤務においても、「2時間遅れての出勤」「1時間早めの退勤」など、できる限り柔軟に対応しています。
職員一人ひとりの生活環境は実に様々です。その中で、皆さんが安心して長く働き続けられる環境を作っていくことが、私たち病院の使命だと考えています。
―研修制度について教えてください。
私たちは「学び続ける」ということを大切な理念の一つとしています。新人の方には必ず専属の指導担当者をつけ、一人ひとりの成長ペースに合わせた段階的な研修計画を用意しています。
また、キャリアアップを目指す職員のためには、管理者研修や特定行為研修といった専門的な外部研修への参加も、病院が費用を負担しています。職員から「新しい技術を学びたい」という意欲的な声が上がった時は、積極的なサポート体制が確立されています。
看護の世界は日々進化していますから、これからも職員一人ひとりの成長をしっかりとバックアップしてあげたいですね。
―最後に、これから一緒に働く仲間に向けてメッセージをお願いします。
看護師としての知識や技術、経験も大切ですが、私たちが最も重視しているのは、その人の前向きな姿勢と向上心です。「患者さまにこんなケアを提供したい」「新しいことに挑戦してみたい」など、そんな夢や意欲を持った方と一緒に働けたらと思っています。
「経験が少ないから…」と躊躇される方もいらっしゃるかもしれません。でも、そんな心配は無用です。先ほどお話ししたように、一人ひとりの特性に合わせた丁寧な指導体制を整えていますし、50代のベテラン看護師たちが、まるで家族のように新人を育ててくれる、そんな温かな職場です。
当院の特徴である療養型病院ならではの良さは、じっくりと患者さまと向き合えるということです。もちろん、時には人手が足りず、理想とするケアができないもどかしさを感じることもあります。でも、だからこそ今、一人でも多くの仲間の力を必要としています。患者さまお一人おひとりの尊厳を大切にした看護を、共に実現していきたいと考えています。
医療療養型病院は、患者さまにとって「生活の場」でもあります。だからこそ、日常のちょっとした関わりの中で、患者さまの小さな変化に気づき、それを適切なケアにつなげていく。私は、ここで働くことで、改めて看護の本質に立ち返ることができると実感しています。
ぜひ一度、当院に見学にいらしてください。アットホームな雰囲気の中で、世代を超えて学び合い、共に成長できる―そんな職場の魅力を、直接感じていただければ嬉しいです。職員一同、新しい仲間との出会いを心待ちにしています。