国境を越えた温かい心と献身で、介護の現場を支えています!|社会福祉法人 湖星会 特別養護老人ホーム ラスール金沢文庫
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「ラスール金沢文庫」は、神奈川県横浜市内の金沢文庫駅近くに建つ、国内屈指の大型特別養護老人ホームです。6階建てのモダンな建物に220室の居室を有する同施設では、地域に根ざした介護サービスを提供するとともに、ダイバーシティを積極的に推進。異なる文化や背景をもつスタッフが力を合わせて、交流と信頼を深めながら、利用者に寄り添ったケアを提供しています。
今回のインタビューでは、ミャンマー出身の技能実習生トゥラーさんを中心に、ご担当の黒木さんからの補足も交えながら、施設での働き方や日本での暮らし、将来の夢についてお話を伺いました。
目次
1.来日前に日本語と介護スキルをマスターし、現場の即戦力に
来日前の経歴から教えてもらえますか?
トゥラーさん:
ミャンマー出身のトゥラーと申します。大学時代に日本語を勉強していて、もっと話せるようになりたいと思い、技能実習生として3年ほど前に来日しました。仕事は介護職です。
困っている人がいたら、助けてあげたくなる性格のため、介護の仕事を選びました。
日本のイメージは?
トゥラーさん:
日本人は優しいですね。それとミャンマーと比べて規則が厳しい。たとえば、ゴミ出しのルール。燃えるゴミと燃えないゴミと仕分けしなくちゃいけないでしょう?道もキレイです。
私は以前から几帳面な性格で、規律正しく、整った環境で生活したいと思っていたんですね。そんなとき、先に来日していた友だちから日本の話を聞いて、私も日本で働きたいなと思いはじめました。
「ラスール金沢文庫」で働くようになった経緯は?
トゥラーさん:
日本で働くことを目標にしてからは、まず仲介業者に登録し、来日前に介護について一から学びました。「ラスール金沢文庫」を選んだのは、写真を見て勘で決めました。建物が大きくてキレイで立派だったので(笑)。
実際にここへ来てみると、想像以上で、景色もすばらしいです。
ここへ初めてきたときの印象はどうでしたか?
トゥラーさん:
おじいちゃんとおばあちゃんが、部屋の中にたくさんいたのでびっくりしました。
ミャンマーでは、家族が高齢者のお世話をするのが一般的です。それまであんなにたくさんのお年寄りを一度に見たことがなかったので、すごく驚きました。ですが、国は変わっても高齢者が困っていることは、どこも同じ。若いときに比べて体が自由に動かせなかったり、忘れっぽくなったり。なので、すぐに慣れました。
毎日のお仕事の内容を教えてください。
トゥラーさん:
仕事は介護福祉士の補助的な仕事をしています。食事介助、お風呂介助、着替え介助、排泄介助。あとお部屋の掃除とか、いろいろなことをしています。おじいちゃん、おばあちゃんとお話をするのも仕事です。そのときはとても楽しいですね。日本語を褒めてくれる方もいますし、話すことで、日本語がどんどん上達しているように思います。
一番楽しい業務は何ですか?
トゥラーさん:
お風呂介助です。お年寄りもお風呂に入るのが大好きです。頭から足の指先まで、きれいさっぱり洗ってあげられるので、私も気分が良くなります。
お風呂には介助用のリフトもあるので、みなさんが思っているような力仕事ではありませんし、要領を覚えれば、楽しくお世話ができます。
仕事をしていて困ったことはありますか?
トゥラーさん:
ミャンマーの人は、日本人と比べて平均的に少し体が小さいんですね。最初は背の高いおじいちゃんや、体の大きなおばあちゃんを抱き上げたり、車椅子に乗せたりするのに苦労しました。でも、今はコツもつかみましたし、介護器具を使うのにも慣れました。それに仲間が手伝ってくれるので心強いです!
2.休日は東京でのショッピングや旅行を楽しんでいます
普段の生活サイクルは、どのような感じですか?
トゥラーさん:
早番、遅番、夜勤がありますが、早番の場合は朝7時から16時までが仕事です。朝5時半に起きて、シャワーを浴びたり、お弁当の準備をしたり。7時から16時までは仕事。そのあと買いものをして帰宅するのが、いつものパターンです。
基本的に食事は自炊していて、ときにはミャンマーの同僚と一緒にごはんを食べることもあります。来日当初は同じ部屋で共同生活をしていましたが、今は同じアパートにそれぞれ部屋を借りて住んでいます。
ミャンマーの方以外にも、友人はできましたか?
トゥラーさん:
はい。同じ職場のインドネシア人、フィリピン人、もちろん日本人の人たちとも楽しくお付き合いをしています。みんな仲が良くて、お休みの日は遊びに行ったり、食事に行ったりしています。インターナショナルな友だちの輪が出来ていて、充実しています。
黒木さん:
海外からのスタッフを受け入れることで、ご利用者様も、異文化交流ができますし、私たち日本人スタッフも、視野が広がりました。トゥラーさんたちが日本のことを勉強してくれているように、私たちも外国の文化や風習を学んで、コミュニケーションに生かすよう心がけています。
休日は、何をして過ごしていますか?
トゥラーさん:
友だちと一緒によく東京まで遊びに行きます。料理はほとんどミャンマー料理をつくりますが、近所では調味料が手に入らないので、東京まで調味料の買いだしに出かけています。来日当初は、電車の切符販売機の使い方が分からず、苦労しました。電車以外も日本には機械化されたものが多く、近くに係りの人がいないので、なかなか尋ねられなくて困っていました。
あと近場だと、時々公園で友人を集めてバーベキューをすることもあります。旅行も大好きで、最近は上高地や館山に行きました。海と山の景色がとてもきれいですよね。
あと家では、音楽を聴いたりドラマを見たり。日本のコンテンツだと日本語の勉強にもなります。
3.特定技能を取得して、将来は介護福祉士、ケアマネに!
今後の目標を教えてもらえますか?
トゥラーさん:
今年3年目を迎えたので技能実習生の期間がもうすぐ終了します。でも、もっと長く働きたいので、今、特定技能を取得できるよう勉強中です。特定技能を取るには、技能試験のほか、日本語能力試験があるのですが、とくに日本語を強化している段階です。
黒木さん:トゥラーさんは、現在、日本語能力試験の5段階のうちのN3レベルなんですが、12月にN2レベルを受験する予定なんですよね。
トゥラーさん:
はい。インターネットを使って勉強しています。日本語は漢字があるので難しいですよね。名前が漢字で書いてあるので、覚えるのが難しいです。でも、そこを一生懸命マスターして、試験も合格して、いろいろな方ともっとコミュニケーションを取りたいですね。
黒木さん:
トゥラーさんはじめ、当施設で働いてくださっている外国人スタッフの方は、こちらが感心するほど日本語をしっかり勉強してくださっていて、これまでコミュニケーションで困ったことはありませんし、利用者様からのクレームも一度もありません。そのうえで、さらに向上心をもって頑張ってもらっていて感謝しています。
施設側としては、技能実習生の期間が終わって、そこで日本でのキャリアを終わらせてしまうのでは、とてももったいないと思っています。できれば多くの方が、さらにステップアップして、特定技能を取得して活躍していただけたらうれしいですね。
特定技能が取得できたら、何がしたいですか?
トゥラーさん:
特定技能がとれたら、ぜひ介護福祉士の試験に挑戦したいと思っています。その試験に合格したら、さらに勉強して将来的にはケアマネージャーにもなりたいです。
黒木さん:
じつは、技能実習生には制約があって、日本では原則的に資格が取得できない仕組みになっています。しかし、トゥラーさんのように、長く日本で働きたい方、資格を持ってスキルアップしたい方は多くいらっしゃいます。当館に限らず、多くの施設で、そういった人材を求めているのではないでしょうか。
これから介護スタッフを志す人に向けてアドバイスをいただけますか?
トゥラーさん:
海外から技能実習生として日本に来ようと思っている方には、まず日本語の勉強を頑張ってほしいですね。最初はうまく話せなくて困ることもありますが、少しずつできるようになると、仕事もどんどん楽しくなります。
介護職の場合は、専門用語もあって難しいとは思いますが、ナースからのお薬の指示を守ったり、お年寄りの体調の変化を聞き取って、それをドクターに伝えたり。あらゆる場面で日本語の能力がとても重要になってきます。
また、介護の仕事は一人でできるものではありません。ドクターやナース、ケアマネージャー、栄養士、リハビリのスタッフなど、たくさんの専門職の方々と一緒にチームで行う仕事です。協調性をもって、仕事に取り組んでほしいですね。
日本人スタッフとして、海外からの技能実習生についてどう思いますか?
黒木さん:
介護業界において、日本人スタッフだけでは圧倒的に人手が足りません。今後ますます人材確保が困難になるでしょう。そんななか、海外からの技能実習生や特定技能者は、非常に大きな戦力となっていますし、今後も施設運営に欠かせない貴重な存在です。
現在、当館では約100名の介護スタッフが勤務していて、そのうち約20名が技能実習生や特定技能の取得者です。みなさん慣れない日本で、日本語の勉強や日本の文化に馴染む努力を続けながら、毎日一生懸命働いてくださっています。本当に感謝しています。
私たち日本人スタッフも、彼らを受け入れるにあたり、文化の違いを理解しながら、仕事や生活面で困りごとはないか、つねに気を配るよう心がけています。今後も必要に応じ改善しながら、スタッフ一同、力を合わせて介護に取り組んでいきたいと考えています。
ご興味のある方は、ラスール金沢文庫への入職をご検討ください。日本人も海外の方も、一緒に働き、支え合いながら成長できるすばらしい職場だと自負しています。