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【施設・診療科別】看護師の仕事内容とは?1日の流れ、大変さとやりがい

  • 更新日
投稿者:小口 紗穂

自分とは異なる職場で働く看護師がどのような仕事をしているか、興味はありませんか?

看護師の仕事内容は、勤務先の医療分野や雇用形態、施設の種類によっても若干異なります。職場選びの際には、勤務先で行う業務の特徴を理解しておきましょう。

今回は看護師の仕事内容を、施設ごと、医療分野ごと、雇用形態ごとにテーマを分けて紹介します!

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看護師の具体的な仕事内容と役割(全体像)

看護師は主に医師のサポートと患者さんの看護を求められます。入院患者を受け入れている施設や滞在型の介護施設では、入所している方との円滑なコミュニケーションも重要な仕事内容の1つです。看護師が行う主な業務は以下の通りです。

  • 注射・採血
  • 手術補助
  • カルテ記載
  • カンファレンス
  • 食事・排泄・入浴の介助
  • 体位変換
  • 夜勤巡回
  • 患者さんの移送

それぞれ詳しく見ていきましょう。

診察補助に関わる業務内容

血圧・体温・脈拍などの測定

患者さんの状態に応じて1日3回程度測定します。特に術後や急性期の患者さんは、状態が変化しやすいので、こまめな測定が必要です。測定値に異常がないか、患者さんの既往歴や服薬状況なども考えてアセスメントしましょう。

点滴

誤投与を防ぐために、処方通りの点滴か、患者さんに間違いがないかなど、投与前のチェックは必須です。また、薬剤の混注は病棟の看護師も行います。点滴投与中も、滴下速度、ルート管理、点滴刺入部など、しっかりと観察していく必要があります。

注射・採血

病院によっては、医師や臨床検査技師が行う場合もあります。採血データは患者さんの治療方針を決めるの非常に重要です。痛みを伴う行為なので、血管の選択をしっかりと行い、スムーズに処置が終わるよう配慮が必要です。

手術補助

手術室の看護師の役割は、「器械出し」と「外回り」の2つです。器械出しは、手術がスムーズに進むよう、術式や状況から次に必要な器械を予め予想することが求められます。外回りは、術中の患者の観察や記録、物品の補充の他、患者さんへの術前訪問や病棟・ICUの看護師への申し送りも行います。

カルテ記載

バイタルサインや観察項目以外にも、行ったケアや処置の内容も記録していきます。最近は電子カルテを導入している病院が多く、看護計画の立案や評価もすべてパソコン上で行うことができます。様々な職種のスタッフも記録を見るので、内容は分かりやすく簡潔に記載する必要があります。

カンファレンス

患者さんの状態を共有し、必要なケアについて話し合います。看護師以外にも、医師やリハビリ、ソーシャルワーカー、管理栄養士なども参加する場合があります。カンファレンスで話し合われた内容は、病棟で共有し、どの看護師も理解・実践していくことが重要です。

入院患者・利用者様のお世話

食事・排泄・入浴の介助

食事・排泄・入浴などの身体介助は、病院によっては専門の介護職員を雇ったり看護助手が実施したりする場合もあります。しかし、これらの仕事を看護師が任されることも少なくありません。食事介助時の誤嚥や、入浴時のバイタルの変化などは、患者さんの命に直結するため特に注意しましょう。

体位変換

自力での体動が困難な患者さんは、褥瘡の発生を防ぐために2~3時間ごとの体位変換を行い、楽な姿勢になるようポジショニングをします。身体の大きい患者さん、ルート類の挿入が多い患者さんは、介助者の負担が大きいので、無理をせず複数人で体位変換を行いましょう。

夜勤巡回

基本的に寝ている患者さんが多いですが、夜間にせん妄や問題行動を起こす患者さんもいます。スタッフの数が日勤と比べて少ないので、こまめな病室のラウンドが必要です。患者さんの所在や状態を観察し、何か異常があればすぐに報告しましょう。

患者さんの移送

基本的に看護助手が単独で行う場合が多いです。しかし、酸素投与中やルート類の挿入が多い患者さんは移送によるリスクがあるため、看護師が付き添う場合もあります。

正看護師と准看護師の役割・業務上の違い

正看護師と准看護師は、実際に行う業務内容はほとんど同じです。しかし、キャリアや法律上の権限に以下の3つの大きな違いがあります。

  • 資格の種類: 正看護師は国が認める国家資格ですが、准看護師は都道府県知事発行の免許です。
  • 業務の制限: 准看護師は法律上、必ず「医師や正看護師の指示を受けて」業務を行う義務があります。自分の判断だけで医療行為を行うことができません。
  • 昇進・キャリアパス: ほとんどの職場で、看護主任や看護師長といった管理職への昇進は、正看護師資格が前提となります。将来的なキャリアアップの道筋が異なる点が大きな違いです。

【働くイメージ】看護師の1日のスケジュール例

看護師の仕事内容は、勤務先の事業所の形態や診療科などによって異なってきます。ここでは、具体的なイメージを持っていただけるよう、病棟看護師を例にとり、日勤・夜勤の1日のスケジュール例を見てみましょう。

病棟勤務・日勤のスケジュール

08:00 出勤
08:30 夜勤看護師との引き継ぎ
09:00 点滴・検査の準備
10:00 巡回(ラウンド)・バイタルチェック・点滴交換・入浴介助・排泄介助
11:30 休憩
12:00 配膳・食事介助
12:30 与薬・口腔ケア
13:00 手術・検査の送り出し
14:00 バイタルチェック・記録の作成・入院患者対応
16:00 点滴の準備・交換
17:00 夜勤看護師との引き継ぎ
17:30 退勤

病棟勤務・夜勤のスケジュール

16:30 出勤
17:00 日勤看護師との引き継ぎ
17:30 巡回(ラウンド)・カルテ整理・点滴交換
18:00 配膳・食事介助
18:30 与薬・口腔ケア
19:00 検温・血圧測定・おむつ交換・体位交換
20:00 休憩
21:00 消灯・巡回(ラウンド)・おむつ交換・体位変換・資料整理
02:00 仮眠
04:00 巡回(ラウンド)・おむつ交換・体位変換・資料整理
06:00 起床・検温・点滴交換
07:00 配膳・食事介助
07:30 与薬・口腔ケア
08:30 日勤看護師との引き継ぎ
09:30 退勤

看護師の仕事の「大変さ・辛いこと」と「やりがい」

看護師の仕事は肉体的・精神的な負担が大きい仕事です。しかし、それを上回る大きな「やりがい」があるからこそ、多くの看護師が活躍し続けています。大変な部分と魅力、それぞれ見ていきましょう。

看護師が「大変・辛い」と感じる3つの主な要因

  • 肉体的な負担の大きさ(夜勤・不規則な勤務): 夜勤や残業による睡眠不足、重労働(体位変換、移送など)による腰痛などの肉体的な負担は、離職理由の上位です。
  • 精神的なプレッシャーとストレス: 患者さんの命を預かる仕事であり、医療行為に対する緊張感、医療訴訟のリスク、患者さんやそのご家族からの厳しい要望への対応など、精神的な負荷が非常に大きいです。
  • 人間関係の複雑さ(職場内のコミュニケーション): チーム医療であるため、医師や他職種との連携が不可欠ですが、特に病棟内での先輩看護師や同僚との人間関係に悩むケースが多く見られます。

大変さを超える看護師の「やりがい」

大変な側面がある一方で、看護師の仕事には他の職種では得られない大きなやりがいがあります。患者さんの病状が回復に向かう過程を間近でサポートできること、患者さんやご家族から直接感謝の言葉をもらえること、そしてチーム医療の一員として人の命と健康を支えるという社会貢献度の高さは、この仕事の最大の魅力です。

看護師の年収・給与事情

仕事内容を把握した上で、気になるのは給与ではないでしょうか。看護師の平均年収は、働く施設や地域、経験年数よって大きく異なります。ここでは、簡潔に平均額を紹介します。

看護師の平均年収は約520万円

厚生労働省のデータに基づくと、看護師全体の平均年収は約520万円で、他の医療職と比較して高い水準にあります。しかし、夜勤の有無や、病院かクリニックかといった施設形態によって、年収は大きく変動します。特に夜勤手当やボーナスは年収に大きく影響する要素です。

平均月収

平均ボーナス

平均年収

36万3,500円

83万5,000円

519万7,000円

仕事の大変さに見合った年収なのか?

看護師以外の職業の人からは「看護師の給料は高すぎる」という声がある一方で、現役で働く看護師の多くは「大変さに見合っていない」と考えている傾向にあります。

月給の内訳で夜勤手当の比重が大きいこと、また患者さんの命を預かるというプレッシャーのもと働くという点で、決して高すぎるということはないでしょう。

働く場所でどう違う?施設・医療分野ごとの特徴

看護師の仕事内容は働く施設の種類によっても変わります。また、病院やクリニックといった医療機関だけに留まらず、介護施設や保育園など、看護師は様々な施設で必要とされている職業です。ここでは、それぞれの職場で求められる具体的な役割や特徴を解説します。

施設ごとの仕事内容の概要

ここでは施設の種類ごとに、仕事内容の特徴を詳しく見ていきましょう。

分野 施設 仕事内容の特徴
医療 病院 入院患者の日常生活の補助が多い。ナースコール対応が必要。24時間体制のため夜勤が多い。
地域包括ケア病棟 患者の退院支援・調整を実施。医療ソーシャルワーカーと連携する。
クリニック 薬品・備品の発注を任されることが多い。心電図測定やレントゲン撮影などの医療機器操作を行う場合もある。
検診センター 検診器具の準備・片付けを担当。検診結果のフォローアップを任されることもある。
救命救急センター 重症外傷・急性疾患の患者の処置や蘇生を実施。迅速な対応が求められ、夜勤も多い。
治験施設支援機関 被験者への説明やケア、治験資料作成、データチェックなどデスクワークも多い。
介護 特別養護老人ホーム 介護職員と連携し、服薬管理、健診手配、日常生活の介助を行う。
介護老人保健施設 日常生活の補助業務が中心。機能訓練などリハビリ支援を行うこともある。
有料老人ホーム 入居者の健康管理、定期診断手配、服薬管理などを担当。ケアスタッフと連携。
訪問介護ステーション 利用者の健康状態チェックと主治医への報告が主業務。訪問先での療養環境整備も行う。
社会福祉 障害者支援施設 通院付き添い、急変対応、服薬管理、日常生活の介助など幅広く担当。
特別支援学校 児童・生徒の健康観察に加え医療的ケアも実施。緊急時には障害特性に応じた対応が必要。
保育園 園内の衛生管理、保健指導、保護者向けのお知らせ作成、園児・職員の健診補助を行う。
幼稚園
その他 動物病院 獣医師のサポート業務。人手が少ない病院が多く、診察・治療・手術補助以外の業務を幅広く担当。
美容クリニック 診察補助、施術準備、機器操作(美顔器・脱毛器等)、整形手術補助を行う。小規模施設では受付業務を兼任する場合も。

介護・福祉施設や保育園、相談室など看護師の職場はさまざまあり仕事内容も異なります。子供が生まれて勤務時間の制約がある、残業が発生しそうな職場は嫌だといった希望を叶えられる職場もあります。病院での働き方が難しいと考えている方は、他施設での働き方から新しい一歩を進んでみるのはいかがでしょうか。

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専門分野(診療科)ごとの仕事内容の特徴

診療科によっても仕事内容は変わります。

医療分野 仕事内容の特徴
精神科 入院患者の服薬管理、生活用品の購入、所持金管理。患者の話を傾聴することも重要。閉鎖/開放病棟や方針によって仕事内容が大きく異なる。
産婦人科 妊婦健診・産後1ヶ月健診の介助、妊娠中および産後の精神的ケア、助産師との連携。生活指導やアドバイスも行う。
消化器外科 診察・診療補助。飲食制限の指導、経管栄養や薬剤投与を含むチューブ管理を担当。内科より医師補助の割合が高い。
泌尿器科 問診、バイタル測定などの健康管理。高齢患者が多いため、視聴覚障害者への配慮が求められる。
小児科 医療器具・服薬管理、感染症対策、予防接種の実施。患者や保護者とのコミュニケーションが非常に重要。
皮膚科 アレルギー検査、手術時の医師補助、投薬や採血を担当。患者層が幅広く、臨機応変な対応が求められる。
眼科 視力・眼底検査の準備や介助、器具洗浄や管理、服薬管理などを担当。
循環器内科 薬物療法やカテーテル治療の介助、心電図・心エコー検査準備。医療機器が多いため幅広い機器知識が必要。
脳神経外科 入院患者の生活介助、CT等の検査補助。高齢患者や機能障害を持つ患者が多いため、丁寧で積極的なコミュニケーションが求められる。
耳鼻咽喉科 聴力検査の実施・補助、手術サポート、薬品や診療器具の発注管理、入院患者の介助など。
整形外科 ADL向上支援、リハビリ補助、痛みによる生活支障を抱える患者へのメンタルケア。X線写真やMRI画像に関する知識も必要。
形成外科 手術準備や補助、患者への説明対応。勤務先によっては医療レーザーなど最新機器の知識も求められる。

看護師の転職で人気の診療科

特に転職先として人気が高い、小児科、内科、整形外科の仕事内容と魅力をご紹介します。

小児科

子どもが病気やケガから回復して元気になっていく姿を見ることに、仕事のやりがいを感じる看護師が多いようです。相手が子どもゆえに接し方やご家族への対応など大変なこともありますが、子ども好きの看護師はもちろん、自身の子育ての経験を活かしたいという理由もあるようです。

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内科では、急性期から終末期まで様々な患者さんとじっくりと向き合うことができます。患者さんの症状に合わせて処置を行っていくので、基本的な知識や看護技術など幅広い経験を積むことができるという点で人気があるようです。

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常勤以外も選択肢に:雇用形態ごとの働き方

最後に、雇用形態別に看護師の仕事内容を見ていきましょう。看護師の仕事内容は、勤務先でのシフト状況や役職によっても変わります。ここでは正社員、非常勤、派遣社員の3つの雇用形態ごとで行う仕事内容の特徴について解説します。

常勤、非常勤、派遣の比較

             

雇用形態

仕事内容の特徴

常勤(正社員)

常勤看護師は勤務時間が長時間に及ぶことが多いため、非常勤や派遣に比べると責任を伴う仕事が多い。一方で役職や給与のステップアップなどに伴い、業務の幅は広がりやすい。

バイト・パート(非常勤)

常勤看護師の補佐としての業務が多い。血圧測定や採血、検診の案内や書類整理など。職場や常勤看護師の指示により仕事内容が異なるのも特徴の1つ。  

派遣

委員会やカンファレンス、勉強会などへの参加義務がない場合が多い。勤務時間は残業がないように配慮されるので、点滴や食事補助など、短時間で終わる仕事を任されやすい。

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タスク・シフト/シェアの現在と看護師の未来

日本看護協会によると、”タスク・シフト/シェアとは、これまである職種が担っていた業務を、他の職種にシフト(移管)することや、シェア(共同化)することで、これまでの「チーム医療」の発展”とあります。

平たく言うと医師の業務の一部を看護師が行なったり、看護師の業務の一部を薬剤師やリハビリ職などが行うことです。役割分担を見直すことで、各職種が効率良く働けるようになります。

医師から看護師へのタスク・シフト/シェアを実施することで、看護師は裁量を活用してさらなる専門性を発揮することができるようになります。具体的にどのような内容があるか見ていきましょう。

医師から看護師へのタスク・シフト/シェアの具体的な内容

日本看護協会「2023年病院看護実態調査」によると、医師から看護師へのタスク・シフト/シェアを実施して看護師が行うようになった業務は以下の通りです。(複数回答)

               
件数 割合
特定行為(38 行為 21 区分のすべてまたはその一部)の実施 828 36.6%
事前に取り決めたプロトコールに基づく薬剤の投与、採血・検査の実施 844 37.3%
事前に取り決めたプロトコールに基づく救急外来での採血・検査の実施 391 17.3%
血管造影・画像下治療(IVR)の介助 328 14.5%
注射、採血、静脈路の確保等 1,718 76.0%
カテーテルの留置、抜去等の各種処置行為 727 32.2%
診察前の情報収集 1,345 59.5%

出典:日本看護協会「 2023年病院看護実態調査」

【まとめ】理想の働き方を見つけるためのアクション

ここまで、「仕事内容」「大変さ/やりがい」「年収」「働き方」という多様な視点から看護師の仕事をご紹介しました。一口に看護師と言っても、働く施設、専門とする分野、雇用形態によって、その役割や日々の業務は大きく異なります。

仕事内容と向き合い、次のステップに進むために

現職の仕事内容に不満や疑問を感じている方、これから看護師を目指す方は、この情報をもとに「自分が本当に求める仕事内容や環境」を明確にすることが、転職成功への第一歩です。

診療科にこだわっていない場合、どんな職場が自分に向いているか判断が難しいですよね。性格や求める働き方に合う職場を解説していますので、お悩みの方は是非参考にしてみてください!

カルテのイメージ図

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セカンドラボ株式会社

URL:https://www.2ndlabo.co.jp

東京大学を卒業後、大学病院の病棟看護師として勤務。アレルギー・リウマチ内科、腎臓内分泌内科、心療内科等幅広い領域を担う病棟で従事。
2023年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療介護向け求人メディア「コメディカルドットコム」の営業・採用課題のサポートを行う。また、看護師の経験を生かし、看護師に関連するコンテンツ作成にも従事。

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