電子カルテについていけない!看護師が電子カルテを使用する際のポイントを解説!
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「電子カルテを使っている病院に転職したけどついていけない。」
「どうしたら電子カルテを上手く使えるようになるんだろう?」
このような悩みや疑問を抱えている看護師さんもいるのではないでしょうか。
たしかに、単純な紙カルテと違いパソコンスキルを必要とする電子カルテは、パソコンに慣れていない方は使いづらいと感じることもあるでしょう。
しかし、電子カルテは使いこなすことが出来れば看護業務を効率化するのに非常に強力なツールになります。
この記事では、電子カルテについていけないと感じる原因や電子カルテを上手く使うためのポイントを紹介していきます。
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目次
1.看護師が使用する電子カルテとは
ひとことで言えば、電子カルテシステムは日々の業務を効率化するための強力なツールです。具体的には、過去のレントゲン画像や医療文書、診療記録や看護記録を簡単に確認できるようになるので、日々の患者さんの情報収集や申し送りを簡単に行えるようになります。
また、看護師が立案した看護計画や看護上の問題点、患者さんが転倒転落リスク・不穏行動を起こすリスクなども電子カルテ上で評価することが可能です。さらに、電子カルテは看護師以外の職業の人も利用します。多職種連携が重要になる医療業界において、多職種との連携が電子カルテ上で簡易的に行えるようになるのは、業務の効率化に貢献しているといえるのではないでしょうか。
このように、電子カルテの導入には業務効率化や情報共有の側面から多大なメリットがあるといえます。しかし、電子カルテ導入の初期段階では、新しいシステムについていけなくなり仕事にストレスを感じてる看護師もいるのも事実です。また、電子カルテを上手に扱えないことで、ベテラン看護師の離職につながってしまう可能性があることも否定できません。
スカウトサービス登録はこちら2.看護師が電子カルテについていけない理由
電子カルテは業務効率化の観点から多大なメリットがある反面、紙カルテから電子カルテへ移行する初期段階では、デジタル化に「ついていけない」と感じることもあるかもしれません。ここでは、電子カルテをうまく扱えない、ついていけないと感じる要因をいくつか紹介します。
紙カルテに慣れているため
電子カルテが普及するより前から看護師として働いていた方は、紙カルテに慣れているため戸惑うかもしれません。デジタル化によりタイピングが必須になったり、医療文書をカルテから印刷する方法を覚える必要があったりと、新たなスキルが必要になります。
また、新人看護師は学生時代に電子カルテの使い方を学習することや、デジタル端末に慣れている世代といえるため、電子カルテを上手に使える傾向にあります。新人を指導する立場にあるベテランの看護師であればあるほど、人に使い方を聞きづらいといったケースもあるかもしれません。
教育体制が整っていないため
現在は電子カルテが普及しており、多くの病院やクリニックで導入されています。導入初期段階では、全員が電子カルテ初心者であったため教育体制が整備されている場所も多かったでしょう。しかし、電子カルテが導入されてからしばらく経った現在では「電子カルテを扱えるのが当たり前」になっている施設も多く、教育体制を整える必要がなくなっていることもあります。
そのため、しばらく現場を離れていた看護師が復職する場合や、電子カルテが導入されていない施設から転職してきた場合などに「電子カルテの基本的な扱いを教えてもらえる機会がない」といった状況になる可能性があります。
機能に制限がかかっているため
電子カルテには、機能に制限がある無料版と機能の制限が比較的少ない、もしくは制限がない有料版があります。無料版を使用している病院やクリニックでは、入力画面のカスタマイズができないなどの機能制限がかけられていることがあるため、有料版に比べると日々の業務で用いるのは不便な傾向があります。
特に、制限が全くない紙カルテに慣れている看護師は、機能制限があることで電子カルテが使いづらいと感じることもあるでしょう。
スカウトサービス登録はこちら3.看護師が電子カルテを使用するメリット
患者情報を探しやすい
紙カルテは古い情報から新しい情報までを一冊のファイルにまとめているため、どこに何の情報が保存してあるか分かりづらく、情報を得るまでに時間がかかるケースが多いです。
一方、電子カルテは看護記録・医師記録・リハビリ記録のようにタブで管理されていたり、検索機能が備わっていたりするので、欲しい情報を簡単に探すことができます。看護計画の立案や退院サマリを作成するためには、現在だけでなく過去の情報も必要です。素早く情報が得られることで正確かつ効率的に業務をこなすことが可能になります。
伝達ミス・記載ミスを減らせる
紙カルテは職員が手書きで文字を記入するので、読み間違いや漢字の書き間違いといったヒューマンエラーが頻繁に起こっていました。また、忙しい業務の中で急いで文字を書くことが多く、汚く読みづらい文字になってしまうこともしばしばあります。
一方、電子カルテはフォントが固定されており予測変換機能も使えるため、誰が書いても書き間違いが少なく読みやすい文字になります。また、文字を太くしたり、文字サイズの調整をしたり、申し送りタブを使ったりもできるので重要事項の伝達がしやすく、ヒューマンエラーが起こりにくいといえます。
他スタッフと同時に患者情報を見れる
紙カルテは通常、一冊のファイルで管理されているので、同時に他の場所で患者情報を見ることはできません。
例えば、緊急入院が必要になった場合には担当医師・外来看護師・病棟看護師など多くのスタッフが患者情報を必要としますが、紙カルテは一冊しかないので担当者が集まって情報収集をするか、コピーを取って担当部署に持って行くなどの手間がかかるため効率が悪いです。
一方で電子カルテは、部署ごとに設置されているパソコンから同時に患者情報を収集することが可能で、他部署のスタッフと同じページを見ながら申し送りをするといったこともできるので、業務効率が良いです。
看護計画や医療事務業務について学べる
電子カルテを使うことで、他職業のスタッフの記述を目にする機会が増えます。特に病棟勤務であれば、病棟事務の仕事を目にする機会も増えるので医療事務の業務について学ぶことができるでしょう。
看護計画についても、自分の頭の中だけで完結せずカルテ上に思考の過程が残るので、特に新人の内はベテランスタッフの計画から学べることは多いでしょう。
カルテの保管スペースを減らせる
カルテは種類ごとに保存しなければならない期間が決められています。しかし、保存期間が過ぎたら廃棄しているというわけではなく、慢性疾患をかかえる患者さんなどのカルテは保存期間を過ぎても保存しているといったケースも多いです。定期通院をしている患者さんのカルテはかなり厚くなっていることもあり、保存に場所を取ります。
電子化カルテを導入していれば、診療記録や看護記録は電子カルテ上に保存しておくことができるので保管スペースの節約になります。ただし、紙ベースの紹介状や同意書などは原本を保存しておく必要があるので、保管のためのスペースを完全になくすことはできません。
他の医療機関や行政等と情報共有しやすい
電子カルテの記録はサーバー上に保存されているので、サーバーにアクセスできる環境があれば院外でも患者情報を閲覧することも可能になります。そのため、他の医療機関や行政等と患者情報が共有しやすくなります。
さらに、今後「電子カルテ情報共有サービス」の導入が進むことで全国の医療機関で情報閲覧ができるようになり、より効率的に医療機関・行政との情報共有ができるようになることが期待されています。
スカウトサービス登録はこちら4.看護師が電子カルテを使用するデメリット
習得に時間がかかることもある
新人や若い看護師は学生時代からパソコンでレポート作成をしていることも多く、タイピングやデジタル端末に慣れている人も多いので簡単に使いこなしてしまうことが多いでしょう。
しかし、何年も紙カルテを使用してきたベテラン看護師の中には、そもそもパソコン自体を触ったことがないという人もいます。そのような場合、電子カルテの操作方法以前にパソコンの操作をいちから勉強する必要があるので、習得に長い時間がかかることがあります。
導入費用、運用コストがかかる
電子カルテを導入するためには、ある程度の初期費用が必要になります。最も初期費用のやすいクラウド型で数十万〜100万円、院内にサーバーを設置するオンプレス型は250〜400万円程度、レセコン一体型であれば450万円程度が相場となっています。また、毎月2〜4万円程度の保守費用がかかるので導入して終わりではないことに注意が必要です。
停電やパソコンの故障時に見れない
電子カルテの弱点は、電子機器を用いたシステムであることです。災害時の停電や、パソコンが故障したときに患者情報が全く分からなくなってしまいます。また、データが消失する可能性もあります。停電時でもパソコンやタブレットの電源さえ入れば、オフラインでも基本的な患者情報を収集することはできるようになっていますが、記録はできません。また、カルテ上での申し送りもできなくなってしまいます。
スカウトサービス登録はこちら5.電子カルテでの看護記録の書き方
電子カルテでも基本的な看護記録の書き方は紙カルテと変わりません。単純に媒体が異なるだけと考えてもらって大丈夫です。ここでは、電子カルテでの基本的な看護記録の書き方について紹介していきます。
正確に患者情報を入力する
看護記録は、患者さんの情報を正確に記載することが重要です。患者さんの生年月日や血液型、基礎疾患などの治療に関わることは正確に記載する必要があります。また、緊急用の連絡先などもしっかりと確認しておくことが重要です。日々の記録においても患者さんと話した内容・観察した内容・実施した処置内容・時間・場所などの客観的な事実は看護師の主観を抜きにして記載しましょう。
SOAPノートの形式で入力する
看護記録を記載する形式はいくつかありますが、緊急時や経時的な記録が必要な場合を除き、SOAP形式で記載するのが一般的ですSOAP記録は、情報が入り交じることがなく誰が読んでもわかりやすいといった特徴があります。
S:Subject(主観的情報)
「S」は主観的情報です。患者さんが訴える情報のことで「喉が痛い」「咳が出る」「熱っぽい」などの主訴のことです。患者さんが言っていないことを、勝手に補足して記載しないようにしましょう。意思疎通が難しく「S」の主観的情報を引き出すことができない患者さんの場合は、家族や親族から情報を得ることも重要になります。
O:Object(客観的情報)
「O」は客観的情報です。診察から得られた身体所見や、各検査の結果などから得られた客観的な情報のことです。検査内容や診察した内容によって記載することは変わりますが、この後の評価につなげるために情報は網羅的に記載する必要があります。また、評価的な内容はここには書いてはいけません。
A:Assessment(評価)
「A」は「S/O」の情報を分析して導き出す評価のことです。患者さんの状態から考えられる病気や、必要なケアを洗い出します。また、行ったケアにどのような効果があったかを考察するのも良いでしょう。「A」を記載する際には、評価に至った根拠や経緯も記載しておくと振り返った際に分かりやすくなるのでオススメです。
P:Plan(計画)
「P」では「A」で評価された状態に対して必要なケアの計画を立てます。具体的には「A」で経過観察で良いか、介入が必要なのかを評価したあとに、「P」で具体的な介入策を立案していくイメージです。
誰が見ても分かりやすい表現で入力する
看護記録には、医療者にしか分からない専門的な用語や表現が用いられている場面が散見されます。正しい日本語を用いることはもちろんのこと、日本語以外の表現や略語は基本的には使わないようにしましょう。記録を書くときの意識として「医療の専門家ではない人が読んでも分かる」といった状態を目指すと良いでしょう。
倫理的な配慮を怠らない
看護記録には、患者さんの人権や人格を否定する文章を書いてはいけません。特別な理由がある場合を除き、人種・性別・国籍・宗教・経済状況・社会的身分・政治的身分などに関する記載は避けた方が良いでしょう。また、他のスタッフを見下すような表現や、医師を絶対とするような文章を書くことも倫理的配慮に欠けるので避けましょう。
スカウトサービス登録はこちら6.電子カルテ使用時の注意点
プライバシー・セキュリティー管理を徹底する
電子カルテには、病院に関わった全ての患者さんの全てのデータが集約されているといっても過言ではありません。不必要なコピーや印刷、院外への持ち出し、不特定多数の人が立ち入る場所へ資料を置いておくことは、個人情報を漏洩させてしまう危険性があるので絶対にやめましょう。
個人情報を院外に漏洩させた場合、患者さんから損害賠償請求を受けたり、病院からの懲戒処分を受けたりする可能性があります。
正確な内容を入力する
患者さんが話した主観的情報(S)や、看護師自身が観察したこと・行ったケアなどの客観的事実(O)は正確に記載しましょう。看護師の解釈や考察で事実と異なる内容を電子カルテ上に記録することは、情報の正確性や信頼性が損なわれる原因になります。
時間を意識して入力する
電子カルテに看護記録を書くときは、できるだけ時間を正確に記録すること・経過に沿って記録することが大切です。可能であれば処置や介助をしたあと、すぐにスタッフステーションに戻って記録をするのがベストです。
しかし、実際はすぐに記録ができないことが多いでしょう。その場合は時間や行った処置の内容のメモを残しておき、手があいたときに時間を明記して記録をすれば良いです。なお、電子カルテの機能で過去の日時を指定して記録ができる場合は、日時指定をして記録をすると良いでしょう。
訂正・削除は慎重に行う
二重線を引いたり印鑑を押したりといった手間が必要だった紙カルテに比べて、電子カルテ上の記録はワンクリックで簡単に訂正・削除できるようになりました。気軽に訂正・削除ができるようになりましたが、カルテ記録は「訂正・削除・追記をしてはいけない」といった原則があることを忘れないようにしましょう。
なお、紙カルテは消しゴムや修正液を用いて簡単に改ざんすることが可能といった問題がありましたが、電子カルテは訂正・削除をした記録がサーバー上に残るので不正を防ぐことができるようになっています。
スカウトサービス登録はこちら7.看護師が電子カルテに早く慣れる方法
タイピングを練習する
電子カルテで記録をするためにはタイピングが必須になります。手元を見ながら人差し指1本で打つのと、手元を見ずに全ての指で打つのでは、後者の方が圧倒的に記録の効率が良いです。
キーボードを見ないで打てるようになりましょうとは言いませんが、ある程度練習しておくと記録業務にかかる時間が削減できるので、ある程度は練習しておくと良いでしょう。
マニュアルを置いておく
電子カルテの操作マニュアルが整備されていると、マニュアル通りの手順を踏むだけで操作できるので電子カルテに慣れていなくても記録ができるようになります。しばらくマニュアル通りに使っていれば電子カルテの操作も自然に覚えることができるでしょう。
ただし、メーカーの説明書は看護師が記録するうえで必要のない機能についても詳しく書かれているので、かえって分かりづらいこともあります。マニュアルを整備する際は、実際に使うことを想定して看護師自身が作成すると良いでしょう。
テンプレート登録や定型文を利用する
電子カルテにはテンプレートや定型文が用意されていることが多いです。標準的に用意されている定型文のほかに、SOAP記録や転倒転落の評価などの頻繁に使う項目のテンプレートを個別に用意しておくと、毎回入力する手間がなくなりスムーズに記録ができるようになります。
研修や説明会を実施する
電子カルテを操作した経験のない看護師や、電子カルテを使いこなせていない看護師に向けて開催される研修や説明会に参加するのも有効です。カルテ操作の院内研修が実施されていない場合は、メーカーに依頼することで操作方法の説明会を院内で開催してくれることもあります。
電子カルテの操作に慣れるスピードはスタッフ個人の適応力に左右される部分ではありますが、電子カルテを操作できることは仕事に必須のスキルです。スタッフ個人に任せるのではなく、病院やクリニック側が計画して研修を実施するのが望ましいでしょう。
定期的に運用の見直しを行う
電子カルテは業務を効率的にすすめる事ができるように多くの機能が備わっています。定期的に運用状況をチェックして、有効的に使われていない機能を洗い出すことによって、改善するべきポイントが明らかになります。これまで使えていなかった機能が有効活用できるようになれば、より効率的に業務を勧めることができるようになるでしょう。
スカウトサービス登録はこちら8.看護師が電子カルテを使用する際のよくある質問
質問1:電子カルテの操作方法はいつ習う?
A:就職後の院内研修で習うことが多いです。
就職先の病院やクリニックによって導入している電子カルテシステムは異なるので、通常は就職してから研修期間中に操作方法を習うことが多いです。
質問2:電子カルテの操作はパソコンのみ?
A:タブレットやスマートフォンからの入力ができる場合もあります。
電子カルテはパソコンから入力することが多いですが、タブレットやスマートフォンからの入力に対応しているシステムもあります。パソコンは持ち運ぶのが大変ですが、タブレットやスマートフォンは気軽に持ち運ぶことができるので、場所を選ばずに記録できるといったメリットがあります。
質問3:電子カルテ導入の手順を知りたい
A:電子カルテ導入の手順は下記のとおりです。
- 導入する電子カルテシステムの候補をピックアップする。
- システムに必要な要件を確認し、システム設定やインフラ整理を行う。
- スタッフへの研修を開催し、電子カルテの操作方法を習得させる。
- 試験運用を行う。
- 本格的に運用を開始する。
質問4:看護師が電子カルテを入力しても違法にならない?
A:基本的には違法にはなりませんが、注意が必要な行為もあります。
看護記録は公的な記録として取り扱われるので、虚偽の情報を記載したり他人がログインしているカルテで記録したりすると、違法になる可能性があるので注意が必要です。ただし、特定の研修を受けた看護師は医師記録の代行入力が可能になります。
スカウトサービス登録はこちら9.まとめ
電子カルテを使いこなせない原因として、紙カルテに慣れていることや教育体制が整っていないことが考えられます。一朝一夕で上達することは難しいですが、研修への参加やテンプレートの活用、マニュアルの整備をすることで徐々に電子カルテを使いこなすことができるようになっていくでしょう。
電子カルテが広く普及している現在、電子カルテを全く使えないことは看護師として働くうえで死活問題になる可能性もあります。電子カルテを「使いこなせない」と悩んでいる方は、まずはこの記事で上げたポイントを参考に取り組んでみてください!
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