看護師国家試験ガイド|概要、合格率、過去問対策から第114回国試の日程まで
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「どうやったら看護師さんになれるんだろう?」
「国家試験の合格率が高いから、看護師には簡単になれるの?」
「国家試験の勉強法を知りたい!」
このような悩みや疑問を抱えている人もいるのではないでしょうか?
看護師になるには看護大学や専門学校などの教育機関に3年以上通ったうえで、看護師国家試験に合格する必要があります。試験の合格率は高いですが、試験を受けるまでのハードルが高く、看護師になるのは簡単ではありません。
この記事では、看護師を目指す方に向けて試験の概要、合格率、過去問対策を分かりやすく解説します。
また、不合格になった場合の対処法も解説しています。
初めて国家試験を受験する方をはじめ、国家試験に再挑戦する方やこれから看護学生を目指す方まで、多くの人の参考になれば幸いです。
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目次
1.第114回看護師国家試験の日程
願書受付期間:2024年11月8日(金)から11月29日(金)まで
試験日:2025年2月16日(日)
合格発表日:2025年3月25日(火)
※14時から厚生労働省のホームページで速報が公開されます。
会場:12月の上旬に厚生労働省のホームページで発表
受験票:1月中旬に郵送(願書受付が完了している場合)
また、合格発表は各地方の厚生局でも掲示されるほか、郵送による通知も行われます。
スカウトサービス登録はこちら2.看護師国家試験の概要と受験資格
看護師国家試験は国家資格である看護師資格を取得するための試験で、通常は年に1回、2月の中旬に実施されます。
試験は2部制で、午前の部が9時50分〜12時30分、午後の部が14時20分〜17時です。
会場には時計が設置されていないので腕時計やナースウォッチを持参しましょう。なお、スマホや電卓機能付きの時計は使用できません。
看護師国家試験は、看護師に求められる知識が最低限度備わっているかを評価するためのものです。合格することで看護師資格を取得でき、看護師として働くことができるようになります。
日本国内で看護師として働くためには、この看護師国家試験に合格して看護師資格を得ていることが必須条件です。合格率は毎年90%前後と高いので「落とすための試験」ではないと分かりますが、毎年落ちる人もいるので油断はできません。
看護師国家試験の受験資格
4年制の看護大学を卒業した者。または卒業見込みであることも受験資格として認められます。
看護大学では、看護の専門知識に加えて医療福祉の分野についても学習します。また、看護研究やリーダーシップ研修を受けることもできるので、看護師としてのキャリアアップ(看護管理職や看護教員、大学院への進学など)を考えている人に向いているといえます。
大学を選択するデメリットは、他の教育課程と比べて看護の現場に出るのが1年遅れてしまうことがあげられます。
3年制の看護短大を卒業した者。または卒業見込みであることも受験資格として認められます。
看護短期大学では、3年間で実務的な看護技術や看護の知識を学ぶことができるので、大学より早く現場に出ることが可能です。また、卒業時には準学士を取得するので看護大学への編入や大学院への編入など、将来的にキャリアアップしたい人にも向いているでしょう。
短期大学を選択するデメリットとして、一般教養と看護に関する学習を短期間で修めなければならないことや、看護の現場がより専門的な知識を求めるように変化してきていることがあげられます。このような背景から、より長く学習できる大学を選ぶ人が増えているという現状があります。
3年制の看護専門学校を卒業した者。または卒業見込みであることも受験資格として認められます。
看護専門学校では、より実践的な看護技術や知識を獲得することに重点がおかれているので一般教養科目はほとんど学習しません。カリキュラムは臨床実習の割合が多く、いろいろな診療科で実習することになるので早く現場に出て即戦力として働きたいという方に向いています。
なお、病院付属の専門学校の場合、その病院に就職することが推奨されるケースもあり、現場での看護業務に早く慣れることができるといったメリットもあります。
専門学校で学ぶデメリットとして、専門看護師になるには大学院への進学が必須条件なので、改めて「大卒」の資格を取得するために大学に進学しなければならない点に注意が必要です。
5年一貫の看護師養成校を卒業した者。または卒業見込みであることも受験資格として認められます。
中学校を卒業後の5年間で看護師を目指す教育制度で、高校3年間+専門科2年間の合計5年間学習する形式が取られています。最も長く看護について学ぶことができる点と、最も早く現場に出ることができる点がメリットです。すぐに看護師として働きたいといった希望や事情がある人に向いています。
5年一貫の看護師養成校を選択するデメリットとして、「高卒」の扱いになるので給与面やキャリアアップの面で、他の教育課程を卒業した人より不利になる可能性があります。また、看護師以外の職業に転職する際に不利になってしまうというデメリットもあります。
外国で看護教育を受けた人や、外国で看護師資格を取得した人が日本の看護師を目指すための制度です。認定を受けるためには、日本の医療制度や看護実践に関する追加の教育や試験を受ける必要があります。
外国で看護師の受験資格や資格を取得した人が日本で看護師として活躍したい場合や、国際的に活躍したいと考えている看護師が日本で働きたい場合に、この制度を利用するとよいでしょう。
3.看護師国家試験の合格率と難易度
2024年の第113回看護師国家試験の合格率は87.8%でした。
また、新卒の受験者の合格率が93.2%なのに対し、既卒の受験者の合格率は30.4%と大きく差が開く結果になりました。
第113回の試験は直近5年で最も合格率が低く、特に必修問題が難しいと感じる受験者が多かったようです。
スカウトサービス登録はこちら必修問題の平均点は42.7点、一般・状況設定問題の平均点は公開されていません。
ボーダーラインは必修問題が40点以上/49点満点(81.6%以上、。一般・状況設定問題は158点以上/250点満点(63.2%以上)に設定されていました。
看護師国家試験の難易度は高い?低い?
看護師国家試験の合格率は90%前後と他の医療職と比較しても高いです。(薬剤師70%前後、臨床検査技師は70〜80%、放射線技師は74~87%前後)
過去10年間の看護師国家試験(受験者数・合格者数・合格率)の推移このことから「看護師資格は簡単に取得できる」と思われがちですが、試験の合格率だけで資格の取得難易度を評価することはできません。試験の合格率以外の要素も考慮する必要があります。
結論からいいますが、資格取得に至るまでの期間や学習量、臨床実習などの負担を考慮すると他の医療系資格と比べて簡単に取得できるとはいえないです。
看護師の国家試験の合格率が高い背景には、厳しい受験要件をクリアしていること、試験に対応できるだけの幅広い知識を習得していること、教育機関のサポートが充実していることなどがあげられます。
また、落とすための試験でないこと、問題がプール制であり対策しやすいこともあげられます。
看護師国家試験は受験資格を得るために最低でも3年以上の教育を受ける必要があります。学習する内容も基礎医学から各領域ごとの疾患や看護、臨床実習での実践的な看護学習など、学習量が多く範囲も広いのが特徴です。看護師国家試験は、この受験要件が他の医療系資格と比較して厳しい傾向にあります。
看護国家試験は基礎医学はもちろん、小児・成人・老年期看護といった広範囲の問題が出題されます。また、消化器・循環器・呼吸器・脳神経・精神など各領域に関する疾患や看護などの専門的で深い理解が必要な問題も出題されます。また、倫理的判断や状況判断が必要になる問題もあるので、暗記だけでは対応できず思考力も必要になります。
看護師国家試験の合格率が高い背景として、国家試験対策に力を入れている教育機関が多いことがあげられます。国家試験の1年以上前から試験対策を開始することも珍しくなく、試験直前には特別講義や模擬試験が独自に用意されることもあります。
また、国家試験を受ける学生は学内の技術試験や筆記試験、病院実習などの厳しいカリキュラムをこなしてきており、一定のレベルが保たれていることも合格率が高い理由のひとつです。
看護師国家試験は、看護師として働くための最低限の知識を有することを確認する試験であり、落とす試験でないことや、難易度を安定させるためにプール制を採用していることも合格率に影響しています。
暗記だけで解ける問題は基本的にはありませんが、過去問を何周も解くことで出題傾向を知ることができるので、看護師国家試験は医療系資格の試験の中では比較的対策しやすいといえるでしょう。
スカウトサービス登録はこちら4.看護師国家試験の勉強法
看護師国家試験に合格するためには効率的に学習することが重要です。
試験を受ける学年の春〜夏頃には解剖生理と必修問題対策を始めましょう。
夏休み以降は一般・状況設定問題を含めた過去10年分くらいの国家試験を、何周も解いて知識を深めていきます。この時期には「各選択肢がなぜ正解なのか、またはなぜ不正解なのか」まで勉強していきましょう。
冬休み以降もとにかく繰り返し過去問を解いては復習をして、正答率を上げていきましょう。
模擬試験を利用して、試験の雰囲気や自分の実力と苦手範囲を確認しておくのも良いでしょう。
看護師国家試験の勉強法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
看護師国家試験対策!合格を目指す人の効率のいい勉強法を徹底解説
看護師は国家資格であり、看護師になるためにはあらかじめ受験資格を満たす所定の教育過程を修了し、厚生労働省による看護師国家試験に合格する必要があります。
詳細を見る試験直前の勉強方法や過ごし方のコツ
試験直前は新しいことを詰め込もうとせず、軽めの復習や重要なポイントの再確認にとどめ、体調管理やメンタルを安定させることが重要です。食事は消化に良いものを選択肢、質の良い睡眠を取ることで試験中の集中力を高められるようにしましょう。
また、試験当日は普段通り朝食を摂り、持ち物や会場へのルートを再確認して安心感を持って試験に挑めるようにしましょう。
試験直前の勉強方法や過ごし方のコツについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
看護師国家試験受験生必見!直前の勉強方法や過ごし方を紹介
看護師国家試験が近づいていて、これからどのような勉強をすれば良いのかで迷っていませんか?
詳細を見る5.看護師国家試験の過去問対策
看護師国家試験の過去問題集といえばQB(クエスチョン・バンク)でしょう。QBは看護師国家試験の過去問対策に非常に効果的で、QB必修(基本問題集)と合わせて使うと出題頻度の高い問題を重点的に学習することができます。
1周目は、自分の苦手分野を把握することからはじめましょう。
最初は必修問題から取り組み、徐々に一般・状況設定問題に学習範囲を広げていきます。
このとき、間違えた問題については問題集に付箋でメモを残すかノートにまとめておき、正答率が低い分野や苦手な分野を把握していきます。復習する際や2周目に参照できるような形で残しておくと良いです。
2周目は、正答率が低い分野や苦手な分野を克服していきます。
1周目と同じように必修問題から取り組み、一般・状況設定問題に学習範囲を広げていきます。このとき、問題ごとの解説をしっかりと熟読し、正答はなぜ正答なのか、誤答はなぜ誤答なのかを理解していきましょう。
2周目の到達目標として「何も見ずに他人に口頭で説明できる」レベルになることを目指すとよいでしょう。
なお、1周目、2周目ともに正答できた問題は3周目では取り組まなくても構いません。
3周目は、学習してきた知識の定着度を確認していきます。
試験形式で問題を解き進める必要はありません。問題文を読み、各選択肢の正誤を判断し、その根拠を書いてみましょう。QBの解説と自分の書いた根拠を照らし合わせて、知識の定着度を確認すると良いです。
3周目以降は、模試形式で一定数の問題を一気に解いて本番に近い感覚で練習をしましょう。3周目で飛ばした問題も含めた全ての問題を解いてください。
また、時間を決めて解答をする練習も忘れずに行い、国家試験当日のタイムマネジメント能力も鍛えていきましょう。
なお、間違えた問題を復習する際は3周目と同じ形式で解き直すと、より知識が定着していくのでオススメです。
さらに上手なQBの使い方として、アプリ版を利用することがあげられます。
QBはサイズが大きいので、通勤時間や休憩中にサッと取り出して勉強するのには向いていません。しかし、アプリ版であれば手軽に勉強ができるため、スキマ時間を有効活用できます。
なお、QBを購入する以外の方法でも過去問対策ができるのでいくつか紹介します。
QB以外の過去問対策方法
・厚生労働省のサイトを活用する
厚生労働省は、看護師国家試験の過去問と正答を公開しています。過去問を無料で入手できるので、学生にとってはありがたいのではないでしょうか。厚生労働省の公式サイトで入手できるので信頼性も非常に高いといえます。
また、過去問が試験年度ごとに整理されており、出題傾向も把握できるようになっているので便利です。
ただし、問題の解説はされていないので、解説が知りたい場合は他のサイトを利用するか、参考書などを利用して自分で調べる必要があります。
厚生労働省の公式サイトはこちら:第112回看護師国家試験の問題および正答について|厚生労働省
・看護roo![カンゴルー]のサイトを活用する
看護roo![カンゴルー]は約4,800問の看護師国家試験の過去問を掲載しており、各問題の正答に加えて簡単な解説まで掲載されています。
看護師国家試験は同じ問題が少し形を変えて繰り返し出題されるプール制なので、出題傾向を把握することも重要な試験対策になります。4,800問を繰り返し解くこと・解説を熟読することで看護の知識を深めるとともに、出題傾向を把握することもできるでしょう。
看護roo![カンゴルー]の公式サイトはこちら:看護師国家試験 過去問題集|看護roo![カンゴルー]
・東京アカデミーのサイトを活用する
東京アカデミーは看護師国家試験の対策に力を入れており、直近の試験(第108回〜113回)の問題と正答をまとめて掲載しています。厚生労働省のサイトと同様に解説はされていないので、解説が知りたい場合は他のサイトを利用するか、参考書などを利用して自分で調べる必要があります。
東京アカデミーは講義や模擬試験にも力を入れており、最新の出題傾向に合わせた学習ができるといった特徴があります。
東京アカデミーの公式サイトはこちら:看護師国家試験 過去問と解答
・動画サイトを活用する
YouTubeやTikTokは看護師国家試験の勉強に役立つ動画がたくさんアップされています。
YouTubeには、過去問の出題傾向や問題の時間配分などを解説する試験に特化した動画や、各領域に詳しい看護師や予備校講師が過去問を解説する動画などがあります。
また、試験当日の失敗談など、参考書からは得られない情報も数多くアップされているので、参考にしておくと良いでしょう。
Tiktokには、YouTubeの動画の要点を切り抜いた動画や、試験対策や疾患についてのポイントを紹介した動画があります。15秒から1分前後の短い動画が多いので、簡単に何周も見ることができ、効率的な学習が可能です。
YouTubeと同様に参考書からは得られない情報もたくさんあります。
また、TikTokにはSNSらしい側面もあるので、同じ看護学生や先輩看護師と情報交換が出来るといったメリットもあります。
看護師国家試験の対策アプリは通学時間などのスキマ時間を有効活用できるツールです。基本的に無料で利用できることや、重い参考書を持ち歩かなくて済むといったことがメリットです。
多くのアプリは進捗管理や弱点を分析する機能がついており、効率的に学習計画を立てることができるので、場合によっては参考書を利用するより費用対効果が高くなることもあります。
実際にアプリでの学習だけで国家試験に合格した人もおり、スキマ時間を活用することが試験に合格するために重要であるということが分かります。
スカウトサービス登録はこちら6.もしも看護師国家試験に落ちてしまったら
もしも看護師国家試験に不合格となってしまった場合は、内定先に早めに連絡することが大切です。
しかし、試験後の自己採点で合格点に満たなかったからといって、合格発表前に連絡するのは辞めておきましょう。自己採点でダメでも不適切な問題の影響で合格になる可能性があります。
なお、実際に第113回試験では6問が採点除外となっています。
不合格が確定したら速やかに内定先に連絡をして、誠実に状況を伝えましょう。
不合格の場合、内定先で准看護師や看護補助者として働きながら次回の看護師国家試験を再受験するか、内定取り消しとなることが多いです。
働きながら再受験するか、国試浪人としてアルバイトをしながら再受験を目指すか、自分の希望を決めておきましょう。
なお、既卒者の再受験は合格率が非常に低い傾向にあります。家族や内定先の病院から金銭的なサポートが受けられる場合は、学習のモチベーション維持のため予備校に通うことも検討するとよいでしょう。
看護師国家試験に再挑戦する方へ
看護国家試験に不合格になる理由として「勉強時間が足りていなかった」「必修問題の対策が不十分だった」「丸暗記で状況設定問題に対応できなかった」「当日の体調不良やメンタル不調」などがあげられます。
国家試験に合格するためには、自分がなぜ不合格になったのかをよく分析して対策する必要があります。
働きながら勉強する人は、学生と比べて勉強時間の確保が難しく、効率的な学習が必要不可欠になります。
例年の合格率のデータから、看護師国家試験に再受験で合格するのは難しい傾向にあることが分かります。既卒者の合格率は新卒者の1/3程度だということを忘れないようにして、勉強に励みましょう。
看護師国家試験に再挑戦する方は、是非こちらの記事も参考にしてください!
【看護師国家試験不合格から見えたもの】失敗から学ぶ成功へのコツ
看護師国家試験の合格率は約90%です。この合格率は100人中90人は合格するということですが、一方で10人は不合格になることを示しています。
詳細を見る7.まとめ
看護師国家試験は高い合格率を誇りますが、看護師になるのは決して簡単ではありません。高い合格率の背景には膨大な学習量や臨床実習での負担があります。
勉強しなくても合格できると考えているのであれば、認識を改めてしっかり勉強をしたほうが良いです。国家試験は年に1回しかないので、甘い考えで合格を逃したら再挑戦は来年になってしまいます。
看護師国家試験に合格するためには、効率的に学習することが重要です。膨大な試験範囲をカバーするためには計画的に勉強を進めていく必要があります。
この記事で紹介したQBなどの問題集やアプリ・WEBサイトを活用して、時期ごとに最適な学習をすることで効率的な試験対策ができます。
万が一、国家試験に不合格になった場合は速やかな対応が求められますが、再挑戦への準備も大切になります。この記事を参考に試験対策をしっかりと行い、合格を目指しましょう!
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