看護師に必要なコミュニケーションスキルとは?患者さん対応・看護師同士で大切なこと
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日々のコミュニケーションで悩まれる方はたくさんいます。
特に看護師は患者さんとも、同僚とも細やかなコミュニケーションが欠かせないため、人間関係のストレスで悩む方も少なくありません。
具体的には
・先輩社員に無視された
・キツイ言い方をしてくる人と勤務が被るだけで胃がいたい
・挨拶してもそっけない態度を取られる
など。
「看護師にとって最初の壁はコミュニケーションだ」という声もあるほど、医療現場でのコミュニケーションは難しいと言われています。
でも、だからこそコミュニケーションのコツさえつかめれば、仕事も円滑に進められ、自分も働きやすくなるはずです。この記事では、看護師にとって必要なコミュニケーションスキルについてご紹介します。
患者さんに対してだけでなく、看護師同士や他の職種の人たちとのコミュニケーションのポイントについてもお話しします。
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目次
1.看護師にコミュニケーションスキルが必要な理由
看護師にとってコミュニケーションスキルが必要な一番の理由は、「患者さんと信頼関係を築き、患者さんにとって適切なケアを行うため」です。患者さんの重要な問題を見過ごさないためにも、患者さんの身体や容態の変化には日々気をつける必要があります。
しかし、患者さんとの信頼関係が築けていないと、患者さんも自分の症状の変化や心情を正直に伝えづらくなってしまいます。患者さんと日々コミュニケーションをとることで、患者さんも心を開いて看護師さんに自分が抱えている悩みや不安、症状を伝えることができます。
また看護師同士のコミュニケーションも大切です。患者さんの状況についてスタッフ間で都度共有することによって、他の看護師が自分では気づけなかった変化に気づけたり、自分が不在時の様子を気にしたりすることができます。そのため、患者さんの変化に気づくためにも、看護師同士でも適切なコミュニケーションを取っていくようにしましょう。
スカウトサービス登録はこちら2.看護師のコミュニケーションで大切なこと
看護師のコミュニケーションで大切なことについて、どのようなことがあるのでしょうか。普段意識するだけでコミュニケーションの質がグッと変わるポイントについて具体的に解説していきます。
傾聴
傾聴とは、相手の話に注意深く耳を傾けることです。特に看護学においての傾聴とは、ただ相手の話に耳を傾けるだけではありません。相手が姿勢や表情、態度を通して伝えようとしていることを理解することも重要だとされています。
相手の話をしっかり聞くことで相手のことが理解できるようになります。また、相手にとっても「自分を受け入れ、認めてくれた」という安心感につながり、より自分のことを話せるようになります。
相手の話を否定するのではなく、「そうですよね」と受容することで、患者さんの心理的安全性が高まります。傾聴は相手を理解することや、相手との信頼関係を築くうえで非常に重要です。
相手、状況に合わせた言葉遣い
常に幅広い年代の患者さんと接する看護職では、相手や状況に合わせた言葉遣いも大切です。患者さんと信頼関係を築くまでは、基本は丁寧な言葉遣いで話しかけるようにしましょう。また耳が遠い患者さんには大きな声ではっきりと話すこと。ただし、声の大きさに注意するばかりに怒鳴っているように聞こえないようにすることも意識しましょう。
相手の立場になって考える
患者さんの立場になって考えることも、看護の現場でのコミュニケーションでは欠かせません。患者さんは多くの悩みを抱えています。治療のことや、回復に向かっているのか、治療中の仕事のことなど。また、入院生活が長くなると人とコミュニケーションを取る機会も減ってしまいます。そんなときに接点の多い看護師とのコミュニケーションは患者さんにとっても心の拠り所となります。患者さんの不安や孤独な気持ちに寄り添えるよう、常に相手の立場になって考えることを意識するようにしましょう。
感情をコントロールする
医療現場は緊迫した状況も多く、またミスが命につながることもあるため、常に緊張状態が続き精神的につらくなる人も多くいます。人員不足による過重労働も問題視されています。
ただ、現場も緊迫した状態だとコミュニケーションも取りづらくなってしまいます。緊張状態が続く現場では、心無い言葉を言われてしまうこともありますが、そのような場合でも怒りをぶつけず冷静に対応する必要があります。まずは深呼吸をする。そして相手に嫌な態度を取られて傷ついた自分に寄り添ってあげる。自分に寄り添うことで、だんだん自分の感情を客観視できるようになり、相手の態度についても冷静に考察できるようになります。
スカウトサービス登録はこちら3.コミュニケーションスキルをアップさせる方法
コミュニケーションスキルは、生まれ持った性格やセンス、才能のように思われがちですがトレーニングで伸ばすことができます。人見知りの方や人と話すことが苦手な人でも、ポイントを掴めば周りの人と信頼関係が築けるコミュニケーションが取れるようになります。具体的にコミュニケーションスキルを伸ばす方法を見ていきましょう。
非言語的コミュニケーションを取り入れる
非言語的コミュニケーションとは、会話や手紙など言葉以外でのコミュニケーションのことをいいます。具体的には表情や身振り手振り、声のトーン、服装などがあります。普段話すときの表情を意識して、明るく笑顔で接するようにしましょう。患者さんのなかには闘病生活に疲れて、気持ちが落ち込みやすくなっている人もいます。そんな状況でも、笑顔で挨拶をしてもらえたら少し気分が良くなるはずです。
患者さんと接する中で言葉遣いも大事ですが、それ以上に身だしなみや姿勢も大切です。「メラビアンの法則」によれば、相手に影響を与えるのは言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%の割合だと言われています。どんなに言葉遣いが丁寧でも、横柄な態度や清潔感のない身だしなみだと相手の信頼を失うことにもつながります。
また、患者さんの中には、言葉が発せない方や、耳が聞こえない方もいらっしゃいます。そんなときでも言葉以外で相手に気持ちや意思を伝えられるよう、非言語コミュニケーションは医療の現場では特に重要です。
代表的なコミュニケーション技法
相手に話すことを促したり、相手と信頼関係を築いたりするために、コミュニケーションにも様々な技法があります。
患者さんに適切なケアを行うためには、常に患者さんに状況や症状の変化を話してもらえる関係が理想です。コミュニケーションにも信頼関係を築きやすくなる技法があります。
実際のビジネスやカウンセリングの場面でも使用されている、どの相手とも使える代表的なコミュニケーションの技法についてご紹介します。
バックトラッキングとは、相手の話した内容やキーワードをそのまま繰り返して相手に伝えることです。例えば、相手が「今日お母さんから電話があって」と言ったときに、「ああ、今日お母さんから電話があったの」と返すことです。
相手の言ったことを繰り返し伝えることで、話し手は「理解されている」「ちゃんと自分の話を聞いてもらえている」と安心感を持てます。また自分の言ったことを相手に繰り返されることで、自分の発言を再認識できます。
特に「つらいんだよ」「嬉しかったんだよ」など感情を表す言葉に効果的です。相手に対して「つらいんですね」「嬉しかったんですね」とバックトラッキングすることで、相手が自分の感情を再認識できるようになります。
聞く側も、相手の話を繰り返したり要約して伝えることで、相手の言っていることが整理でき話の内容に対する理解度も深まります。
ペーシングとは話す速度や声の大きさ、うなずきのタイミングなど言葉以外で相手との信頼関係を構築する技法のことです。相手がゆっくり話すのであれば、こちらもゆっくり話します。医療の現場でも「ペーシング」というペースメーカーで心拍を補うことを意味する用語がありますが、コミュニケーションの「ペーシング」は意味が異なります。
話し方や話す速度を相手に合わせることで、相手に安心感や親近感を与えることができます。これは「人は自分と共通点がある人に親近感を抱く」という心理学の類似性の法則が影響しています。話す速度やうなずきのタイミングが一致することによって、話し手は「この人は自分とどこか似ている」と感じるようになります。
相手と話すときは、ぜひ相手の話す速度や声のトーンにも意識を向けるようにしましょう。
キャリブレーションとは相手の心理状態を、相手の表情や動き、声のトーンなど言葉以外から認識することです。相手の話すスピードが速かったり、声がいつもより高かったり、うわずったりしている場合は相手が興奮していることや緊張していることを表しています。
逆に声のトーンが沈んでいたり、普段より声が小さかったりする場合は落ち込んでいる可能性があります。普段から観察することで、ちょっとした変化から相手の心情を認識できるようになります。
スカウトサービス登録はこちら4.今日から使える具体的なコミュニケーション術
次に、実践的なコミュニケーションのコツを患者さんに対して、看護師同士、他職種の方に対しての3つに分けて紹介します。
患者さんとのコミュニケーション
マスクをつけていても、常に笑顔で接することを忘れないようにしましょう。マスクをつけることで表情が乏しくなるため、人によっては威圧的に感じたり、怒っているように感じたりするかもしれません。
特に口元が見えないため、目元の表情を意識しましょう。看護師さんが笑顔だとわかることで、患者さんの不安感もやわらぎます。
会話をするときは、患者さんの目をみて話すようにしましょう。目線を合わせることで、患者さんも「自分の話をちゃんと聞いてくれている」と分かり信頼感が生まれます。何か作業をしながらだったり、話している間も目線があちこちに飛んでいたら、「この人は自分の話を聞いてくれないな」と思われてしまいます。
相手への印象で大事なのは視覚情報ですが、その中でもアイコンタクトが特に大事だと言われています。
相手の話を最後まで聞くことは信頼関係を築く上で非常に大切です。相手の話が長かったり、自分と意見が違ったりしても、相手の話をさえぎらないようにしましょう。
話している途中でさえぎられてしまうと、「自分の話を聞いてもらえていない」「否定された」という気持ちになってしまいます。まずは最後まで話を聞き、共感や理解を示して一度患者さんの意見を受け止めることが大切です。
自分の意見を言うときも、相手の意見を尊重していることを示しながら伝えましょう。
頑張っているときに「頑張りましょう」と言われると、どんな気持ちになりますか?「自分なりに頑張っているのに・・・」と落ち込む人や、「努力が足りないから、もっと頑張らなきゃ!」と自分にプレッシャーをかけてしまう人もいるでしょう。
何不自由なく闘病生活を送っている患者さんはいないはずです。食事制限や外出制限のなか頑張っている患者さんにぜひ労いの言葉をかけてあげてくださいね。
看護師同士のコミュニケーション
挨拶しても返事がないと傷つきますよね。もちろん、全員が挨拶を無視するわけではないのですが、その時の気分によって挨拶を返さない人もいます。そんなときでも自分から積極的に挨拶しましょう。
返事がなかった場合は「自分が悪いことをした」ではなく、「相手の機嫌が悪いのだ」と思うようにしましょう。「コミュニケーションは苦手だけれども、根気強く挨拶をすることで、だんだんコミュニケーションが取れるようになった」という先輩看護師もいます。挨拶の効果は絶大ですね。
看護の職場ではチームワークが大切です。入院中の患者さんは24時間の看護が必要であり、1人の看護師だけでは継続して看護ができないからです。情報を共有し、患者さんに適切なケアをするためにも、日頃から一緒に働くメンバー全員と話し関係性を構築するようにしましょう。
職場では悪口を聞かされることもあるでしょう。ここで否定をすれば相手の気を悪くしてしまうし、だからといって肯定すると今度は自分の悪い噂が広まってしまう可能性もあります。悪口に対して否定も肯定もせず、聞き流すようにしましょう。
働く中で不満が蓄積するのは当然のことです。ただ、職場での愚痴を誰彼かまわず話してしまうと、自分が話したことを別の誰かに告げ口されてしまうことも考えられます。愚痴は信頼している人や職場以外の人に話すようにしましょう。
医師や他職種とのコミュニケーション
忙しい医療現場では、連絡事項を明確かつ簡潔に伝える必要があります。また漏れなく伝達することも大切です。
結論から伝えると相手の注意を引きやすくなります。また、聞く側も言いたいことを瞬時に理解しやすくなります。
医療現場には助産師や、リハビリを支援する理学療法士、言語聴覚士など多義にわたる職種の人たちがいます。どの職種の人でも、しっかりと名前を覚えましょう。「ネームコーリング効果」という心理効果があり、名前を呼ばれることで相手に対する好感が上がると言われています。普段から意識して名前を呼ぶことで、こちらも名前を覚えやすく、また相手にも信頼してもらいやすくなります。
医師の専門分野や、職種によってできること・できないことは異なります。それぞれの専門分野をしっかり把握しておくことで、いざというときの伝達もスムーズになります。
医療現場で働く人たちとはいえ、分野や職種によっては理解できない専門用語もあるかもしれません。患者さんに対して話すのと同じように、専門用語は分かりやすく伝えるようにしましょう。
スカウトサービス登録はこちら5.患者さんとの会話に困った時に使える話題、鉄板ネタ
「患者さんと何を話せばいいか分からない」はよくある悩みの1つ。特に看護学生が実習の際に、患者さんと話が続かず気まずい思いをするのは、あるあるではないでしょうか。
患者さんのことを理解するためにコミュニケーションは大事だと分かっていても、話のネタがないと困ってしまいますよね。そんな方に、患者さんとの会話のきっかけとなる鉄板ネタを紹介します。
1.天気と季節ネタは王道
天気や季節ネタは差し当たりのない共通の話題として、患者さんとだけでなくビジネスの商談などでもよく使われます。特に外出の機会がほとんどない患者さんだと気候の変化や季節を感じられなくなってしまうので、看護師さんとの会話で季節を意識できる場合もあるでしょう。
ただ、「天気がいいですね」「そうですね」とそれ以降会話が続かず、気まずくなってしまった人もいるのではないでしょうか?「このあたりの並木が紅葉してきたんですよ」や「桜がもうすぐ満開ですよ」と最近の季節の変化を告げてみましょう。季節の変わり目を感じて患者さんも嬉しくなるはずです。
「どの季節が好きですか?」と聞いて、相手が話すように促してみるのもおすすめです。また、「今日は一段と寒いですが、傷の痛みは大丈夫ですか?」など気候の変化と合わせて症状を気遣う質問をするのも良いでしょう。
2.食べ物の話は世代を問わない
食べ物は世代を問わず会話を広げるいいトピックです。小さいお子さんに対しては好きな食べ物や、退院したら食べたいものを尋ねてみましょう。自分の好きなものについて積極的に話してくれるかもしれません。
大人の患者さんには「今日の夕飯は何か」を伝えたり、入院食の感想を聞くことで、患者さんの食事に対する意見や考えを引き出せるかもしれません。子どもの頃の思い出の味を尋ねてみると、懐かしい思い出話に花が咲いて会話も弾むでしょう。
また料理が得意な患者さんには得意料理やレシピ、料理のコツを教えてもらうのはいかがでしょうか。人は得意なことは生き生きと話したくなるものです。料理の楽しさを思い出して、「退院したらこれを作りたい!」と入院の励みになるかもしれません。
3.出身地と地元話
出身地や地元について聞いてみるのも良いでしょう。ご自身の故郷の名産品や観光名所の話題はつい話したくなるという人も多いです。
人間には本能的に「自分のことを知ってもらいたい」「聞いてもらいたい」という欲求があると言われています。ハーバード大学の博士によると、自分自身のことを話すことで、快楽をもたらすドーパミンが増えるんだとか。
どこで生まれ育ったのか、またその土地で有名なもの、その土地での思い出・・・出身地の話題は話を広げやすいです。もし同郷だった場合や、その土地に訪れたことがある場合はより一層話が弾みます。
4.仕事での活躍話
仕事にやりがいを持ってそうな患者さんには仕事の話題を振ってみるのも良いでしょう。趣味や仕事に関する話題は自分から話しやすい話題だと言われています。
どんなお仕事をされていたのか、どんなときにやりがいを感じていたのか。入院期間が長引き、仕事を休んでから間が開くと、だんだん自分に対する自信がなくなってきて自己喪失感に陥ってしまう人もいるでしょう。そのような状況の中でも仕事で活躍したことを思い出すことで、患者さん自身も自信を取り戻すきっかけになるでしょう。
5.ご家族の話
家族の話題も、自分から話しやすい話題のうちのひとつです。家族構成や、家族との思い出話を尋ねられることで、患者さんも自然と心を開いて話せるようになるはずです。お子さんやペットがいる患者さんには写真を見せてもらうようお願いするのも良いでしょう。より話題が盛り上がり患者さんもリラックスして会話を楽しめるようになります。また大切な家族のことを思い出すことで、より治療を頑張ろうというモチベーションにもつながるでしょう。
6.最後に。話題に善し悪しは無い!
話しのネタはいろいろありますが、どの話でも大切なのは「相手に興味を持っている」「相手の話を聞きたい」という姿勢です。「メラビアンの法則」でも述べた通り、話す内容よりも相手に影響を与えるのは「視覚的情報」です。相手との会話を楽しんでいる表情と、相手の話をしっかり聞いている姿勢があればコミュニケーションが円滑に進み、徐々に相手との信頼関係が築けていけることでしょう。
患者さんは孤独を抱え、常に不安を抱えています。口には出さなくとも、「もっと気にかけて欲しい」と思っているはずです。看護師が積極的に患者さんとコミュニケーションをとり、理解しようとしてくれることで患者さんの不安の緩和につながります。
また、患者さんとのコミュニケーションは患者さんの変化に気づくうえでもとても重要です。ちょっとした変化も見逃さないよう、常にコミュニケーションを取るようにしましょう。
6.まとめ
「看護師にとって最初の壁はコミュニケーションだ」という声もあるほど、看護師さんにとってコミュニケーションは非常に大切かつ難しいことです。しかし、コミュニケーションも他のビジネススキルと同じで、ポイントを学んでスキルを伸ばしていくことができます。
どの相手に対しても真摯に、「相手と信頼関係を築きたい」という姿勢で向き合えば関係性もよくなっていくはずです。最初からうまくできないと思いますが、徐々に慣れていけば患者さんとも、同僚とも円滑なコミュニケーションが取れるようになっていきます。
ぜひ、次の出勤日は「笑顔で挨拶」から1日を始めてみましょう!
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