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看護における「アセスメント」って?正しく行うポイント!

  • 更新日
投稿者:小口 紗穂

「アセスメントって言葉はよく聞くけどイマイチ理解できていない」
「アセスメントをうまく書けない」

このような悩みはありませんか?

Assessment(アセスメント)は日本語で、評価や査定という意味です。看護におけるアセスメントは、情報収集を行い、客観的な判断軸で評価することを指します。看護師のなかには、看護アセスメントに苦手意識があり、内容をまとめるときに時間がかかる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、看護におけるアセスメントの意味や正しく行うコツ、書き方をわかりやすく解説します。この記事を読めば、看護におけるアセスメントの理解が深まり、スムーズに実習や仕事ができるようになるでしょう。

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1.看護におけるアセスメントとは?

看護におけるアセスメントは、主観的情報と客観的情報をもとに、患者さんの状態を評価・分析することです。看護過程のひとつで、患者さんの状態を把握する目的があります。

収集した情報を分析・評価することで、問題点が明確になり、解決する優先順位や看護ケアの方針を定める判断材料となります。アセスメントは、その後の看護過程を左右する重要なパーツです。

看護現場でのアセスメントは看護過程の第一歩

看護におけるアセスメントは、看護過程の第一歩です。看護過程とは、看護ケアを行うまでのプロセスのことをいいます。以下の5つのステップに沿って行うのが特徴です。

  1. 看護アセスメント:情報収集し、検査データなどを評価する
  2. 看護診断:問題の原因を特定し、把握した問題点に看護診断名をつける
  3. 看護計画:問題解決までの看護計画の立案
  4. 看護介入:看護計画に基づいた看護ケアの実施
  5. 評価:看護ケアによる成果や看護計画の変更を検討・評価

上記の看護アセスメントと看護診断は、どちらも分析する過程ですが、違いがあります。アセスメントは、主観的情報と客観的情報を分析し、現状を把握するのが目的です。一方で看護診断は、アセスメントの結果をもとに、看護計画を立案するために細かな診断を行います。

看護過程は一度実施したら終わりというわけではなく、前の段階に戻ったり繰り返したりすることも必要です。何度も見直しを繰り返しながら、看護ケアの質を向上していきます。

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2.アセスメントを正しく行うためには?

ここでは、アセスメントを正しく行うために必要なポイントを解説します。

アセスメントをする上で必要な情報

アセスメントで重要になるのが、情報収集です。症状の把握だけでなく、患者さんが抱えている課題や潜在的な部分まで掘り下げて情報収集する必要があります。

アセスメントで収集する情報は、「主観的情報」と「客観的情報」の2種類です。

  • 主観的情報:主に患者さんが訴える内容(食欲がない、頭痛がするなど)
  • 客観的情報:数値化・視覚化できる情報(バイタルや検査データ、観察してわかる情報など)

また、介入すべき問題がある場合は、その問題の原因や仕組みまで掘り下げて調べることが大切です。一つひとつの症状に理解を深めることで、ただ情報収集するだけでなく、治療法に対する根拠を示せるようになります。

アセスメントに役立つ理論

看護アセスメントを実施するときは、看護学者が提唱する理論に基づいて行うことが多いです。ここでは、代表的な理論を紹介します。

  • ヘンダーソン:14の基本的欲求
  • ゴードン:11の機能的健康パターン
  • マズロー:欲求5段階説
  • ロイ:4つの適応形式

ヘンダーソン:14の基本的欲求

ヴァージニア・ヘンダーソンが提唱した14の基本的欲求は、「健康な人や病気、障がいを抱えている人を問わず、すべての人に共通した欲求である」と定義しています。

14の基本的欲求の詳細は以下のとおりです。上に位置するほど優先度が高く、看護の必要性が増していきます。

  • 正常に呼吸する
  • 適切に飲食する
  • 身体の老廃物を排泄する
  • 移動する、良い姿勢を保持する
  • 睡眠と休息をとる
  • 適切な衣類を選び、着脱する
  • 体温を正常に維持する
  • 身体を清潔に保ち、身だしなみを整えて皮膚を保護する
  • 環境の危険因子を避け、他人を侵害しないようにする
  • 他者とコミュニケーションをとる
  • 自分の信仰に従って行動する
  • 達成感をもたらす仕事をする
  • 遊びやさまざまなレクリエーションに参加する
  • 正常な発達および健康を導くような学習を行い、好奇心を満足させる

ゴードン:11の機能的健康パターン

マージョリ・ゴードンが、あらゆる看護場面のアセスメントの枠組みとして開発したのが「11の機能的健康パターン」です。11の機能的健康パターンで収集すべき情報は、以下のように示されています。

  • 健康知覚・健康管理:運動習慣、服薬状況など
  • 栄養・代謝:食事の回数や時間、水分摂取量など
  • 排泄:排泄回数や排泄方法など
  • 活動・運動:1日の必要エネルギー量、筋力、ADLなど
  • 睡眠・休息:1日の休息時間、睡眠時間など
  • 認知・知覚:意識、感覚など
  • 自己知覚・自己概念:性格、社会的役割など
  • 役割・関係:職業、経済状況など
  • 性・生殖:年齢、家族構成
  • コーピング・ストレス耐性:ストレス状況など
  • 価値・信念:目標、価値観など

マズロー:欲求5段階説

アメリカの心理学者アブラハム・マズローは、「人間は自己実現に向かって、絶えず成長する生きもの」という自己実現理論を提唱し、「欲求5段階説」にまとめました。それが下記の5つです。

自己実現欲 自分の能力や経験に基づき、「あるべき自分になりたい」と考える欲求
承認欲求 他者から認めてもらいたい、尊敬されたいという欲求
社会的欲求 集団に属したい、親しい人が欲しいと考える欲求
安全欲求 安定した住居環境、経済状態など、安心して過ごしたい欲求
生理的欲求 食事や睡眠、排泄などの人間が生きていくうえで基本的かつ本能的欲求。

看護学で取り上げられるマズローの理論は、5段階のピラミッド型が一般的です。看護では、アセスメントの優先順位を決める際に用いられます。

ロイ:4つの適応形式

カリスタ・ロイは、「人間は絶えず変化する環境に適応するために成長・発達する適応システム」と考え、適応する手段を4つの適応形式に分類しました。それが以下の4つです。

生理的様式 身体的に生じた変化や反応
自己概念様式 精神的な不安や性格、自分らしさなどのイメージや自己期待などの変化・反応
役割機能様式 社会での役割の変更、経済状況の変化・反応
相互依存様式 人間関係を及ぼす変化・反応

ロイは、これらの適応様式を用いて表現される行動を観察し、その人の適応を促進することを支えて健康に導くことを看護の目標としています。

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3.看護アセスメントの書き方

ここでは、看護アセスメントの書き方と具体例を解説します。以下の流れに沿って書くと、スムーズかつ漏れなく記載することが可能です。

患者さんの「反応」をみる

まずは、アセスメントの視点から見た患者さんの反応を書きます。患者さんの発言(主観的情報)や検査データ(客観的情報)をもとにしながら患者さんの反応を解釈します。

書き方のテンプレートは、以下のとおりです。

アセスメント項目については、情報①や情報②があった。このことから、(解釈の結果)と考えられる。よって(実在型問題)を問題に挙げる。

実在型問題は、解釈結果が「不適切である」と判断した場合に記入する項目です。また、1つの情報だけを挙げると、間違った解釈を生む可能性があるため、情報①情報②のように複数挙げるのがポイントになります。

患者さんの健康管理状況を例に、具体的に見ていきましょう。

【具体例】

健康管理状況(アセスメント項目)は、3日前から咳や息苦しさがあったが症状が軽いことや(情報①)仕事が忙しく、自然に治るだろうと思い(情報②)受診しなかった。(情報③)入院後は健康管理について説明するも「興味がない」(情報④)と話している。これらのことから、健康管理状況は不十分(解釈の結果)と考えられる。

文章のはじめにアセスメント項目を書くことで、何についての情報かがわかりやすくなります。

反応が生じる「原因」を探す

次に、前述した患者さんの「反応」を引き起こした原因と、その反応を間接的に助長している誘因を書きます。原因・誘因は、患者さんの発言や生活環境などのあらゆる情報から参考にすることが大切です。

書き方のテンプレートは、以下のとおりです。

この問題の原因には、情報①、情報②から(原因)が考えられる。また、情報①、情報②から(誘因)がこの問題の誘因となっていると考えられる。

【具体例】

この問題の原因には、「これまで病院を受診したことがないくらい健康体だから大丈夫だろう」(情報①)や、「身内の中にも大病を患った者はいない」(情報②)などの発言から、健康状態の過信(原因)が考えられる。また、「健康について関心がない」(情報③)、「病気は自然に治るものだと思っている」(情報④)と話していることから、健康に関する意識が低いこと(誘因)がこの問題の誘因となっていると考えられる。

患者さんの反応を改善する「強み」を探す

ここでは、患者さんの反応を改善・促進・維持する「強み」を探して記入します。「強み」は、看護計画の立案の際に使う大切な要素です。アセスメントの段階で強みを探しておくとよいでしょう。

書き方のテンプレートは以下のとおりです。

情報①や情報②から(強み)が(アセスメント項目)の強みになると考えられる。

【具体例】

「3日前に妻から受診した方がいいと言われていた」(情報①)ことや「娘からタバコを控えてほしいと言われていた」(情報②)ことから、妻や娘による健康管理への適切な助言(強み)が健康管理状況(アセスメント項目)の強みになると考えられる。

今後の経過を「推測」する

最後に、患者さんの反応が今後どのような経過をたどるかを推測して記入します。推測と一口に言っても、「危険因子がなく改善される」と判断する場合や、「悪化する」と判断する場合などさまざまなパターンがあります。

たとえば、実在型問題がある患者さんで危険因子がある場合は、「今後さらに悪化する恐れがある」といった記録になるでしょう。

書き方のテンプレートは以下のとおりです。書き方は、解釈した結果によって異なります。

(解釈の結果)は、今後(将来の患者さんの状態)になると考えられる。

以下では解釈の結果、現在みられる実在型問題が悪化する場合の書き方を紹介します。

【具体例】

肥満(実在型問題)は、「営業という仕事柄、会食が多い」(情報①)や、「友人・家族と頻繁に飲み会を開催している」(情報②)といった状況から、仕事やプライベートで高頻度の食事の機会(増悪因子)が増悪因子となって、今後悪化することが考えられる。

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4.アセスメントを上手に行うコツ

アセスメントを上手に行うコツは以下の3つです。

  • 先輩看護師からのアドバイスをうける
  • アセスメントに必要な情報をできるだけ集める
  • フィジカルアセスメントを行う

一つずつ解説します。

先輩看護師からのアドバイスをうける

アセスメントを上手に行うコツは、「上手な人の真似をする」「アドバイスを受ける」ことです。先輩看護師がどのようにアセスメントし、どういった対応をしているのか聞くことでスキルアップにつながります。

また、書き方の参考だけでなく、自分が書いたアセスメントを先輩看護師に見てもらいましょう。第三者の意見を求めることで、多角的な視点でものごとを捉えられるようになります。

なかには、「先輩が忙しそうにしているから聞きづらい」と思うことがあるかもしれません。しかし、先輩も同じように学びながら成長してきたため、後輩の質問や相談を歓迎するはずです。

特に新人看護師や経験の浅い看護師は、積極的に学ぼうとする姿勢が求められます。臆せず、先輩看護師から積極的にアドバイスを受けましょう。

アセスメントに必要な情報をできるだけ集める

アセスメントで重要なのが情報収集です。情報は、患者さんの主観的情報と第三者の客観的情報の2種類から集めます。「異常を発見する」ことに注意がいきがちですが、大切なのは「異常がわかるように患者さんにとって正常な状態を把握する」ことです。

患者さんにとって病院で最も近い存在である看護師は、日頃から状態を観察する必要があります。また、情報収集をする際に欠かせないのがコミュニケーション力です。患者さんの気持ちに寄り添い、全体像を把握するように心がけましょう。

フィジカルアセスメントを行う

フィジカルアセスメントを行うことで、アセスメント力が身につきます。フィジカルアセスメントとは、問診・視診・触診・打診・聴診を用いてさまざまな情報を収集・分析し、患者さんの全身の状態を評価することです。

24時間患者さんを観察する看護師にとって、重要な技術のひとつです。フィジカルアセスメントを行うことで、急変時に迅速な対応が可能になり、医師とのコミュニケーションが円滑になります。

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5.まとめ

看護におけるアセスメントは、患者さんの主観的情報と第三者の客観的情報をもとに、本人の状態を評価・分析することです。アセスメントは看護過程の第一歩なので、非常に重要な要素となります。

「アセスメントがうまく書けない」という方は、「現状判断」「原因・誘因の特定」「改善する強みの把握」「今後について予測」という流れを意識して書いてみてください。アセスメントを上手に書くことで、患者さんに合った看護計画を立てられるようになります。

今回解説したポイントを参考に、ぜひ実践してみてください。

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セカンドラボ株式会社

URL:https://www.2ndlabo.co.jp

東京大学を卒業後、大学病院の病棟看護師として勤務。アレルギー・リウマチ内科、腎臓内分泌内科、心療内科等幅広い領域を担う病棟で従事。
2023年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療介護向け求人メディア「コメディカルドットコム」の営業・採用課題のサポートを行う。また、看護師の経験を生かし、看護師に関連するコンテンツ作成にも従事。

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