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【常勤換算の計算方法】介護施設が守らなければならない常勤換算とは?人員配置についても解説

  • 更新日
投稿者:加藤 直也

「常勤換算」という言葉は知っていても、意味や計算方法までは理解していない方も多いのではないでしょうか。常勤換算は人員配置基準を満たすために、正しく理解する必要があります。

本記事では、そもそも常勤換算とは何か、その計算方法や人員配置の考え方について解説します。この記事を読めば、常勤換算の計算方法が理解でき、職員数は足りているのか、基準を満たしているのかがわかるようになるでしょう。

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1.常勤換算とは

常勤換算とは、施設や事業所で働いている人の平均人数のことです。この「平均人数」は、パートやアルバイト、夜勤などの異なる勤務形態も考慮して換算する必要があります。

なぜ常勤換算が必要なのか

常勤換算が必要な理由は、介護保険法の「人員配置基準」を守るためです。施設や事業所では介護の質を保つために、サービス内容に合わせた人員の確保が欠かせません。

しかし、アルバイトやパートを正社員と同じ1人として考えてしまうと、実際の現場では配置基準を下回ってしまいます。そのため、「常勤職員が何人働いているか」を示す必要があるのです。

常勤・非常勤の考え方

常勤とは、事業所の就業規則に基づいた時間で働く人のことです。それ以外の人は非常勤と呼ばれます。例えば、ある施設が週40時間を所定労働時間と定めている場合、週40時間以上働く職員は「常勤」、それ以外の時間で働く人は「非常勤」となります。

よくある誤解として、アルバイトやパートは常勤ではないと考えられがちです。しかし、アルバイトやパートが週40時間の労働時間を満たしているのなら、「常勤」とみなします。

人員配置基準とは

人員配置基準とは、介護事業において国が定めた人員体制の制度です。介護施設の利用者数に対して、職員を何人配置すべきかを指します。人員配置基準は、介護保険法に基づいており、サービスの質を確保する目的で定められました。

人員配置は施設独自が定めるものではなく、施設形態や利用者数によって職員の配置人数も異なります。たとえば、特養やグループホームの場合、利用者3名に対して、介護士または看護師1名を配置しなければなりません。

人員配置基準に違反した施設は、以下の行政処分が科される可能性があります。

  • 新規受入停止
  • 営業停止
  • 指定取消しの処分
  • 介護報酬の減額

最悪の場合、介護事業を5年から10年間運営できなくなる可能性もあるため、施設の運営者だけでなく現場で働く人も知っておきたいポイントです。

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2.常勤換算の計算方法

常勤換算の計算方法は以下のとおりです。

常勤換算人数=(非常勤職員の合計労働時間÷所定労働時間)+常勤職員数

常勤職員は1.0とカウントし、非常勤職員が何人分に相当するかを算出する必要があります。そのためには、一人ひとりの勤務時間や休日数を把握しなければなりません。 常勤換算は以下の手順で行います。

常勤職員の人数と1週間あたりの勤務時間を算出

まずは、施設や事業所の「所定労働時間」を確認します。一般的には1日8時間×週5日=週40時間です。就業規則によっては、所定労働時間を32時間に設定していることもあります。そのため、必ずその施設や事業所の規則に従って計算しましょう。

ここでは仮に、Z事業所の所定労働時間を週40時間とします。Z事業所に週40時間働いている職員が10人いるなら、常勤職員数は「10」です。正社員だけでなく、アルバイトやパートタイムの職員も含めて計算する必要があります。

非常勤職員の労働時間を算出

次に、非常勤職員の労働時間を算出し、常勤換算上の人数を割り出します。

Z事業所で働くAさんの週労働時間20時間、Bさんは24時間、Cさんは28時間の合計72時間として、常勤換算上の人数を計算してみましょう。 計算式に当てはめると、

72(非常勤の合計週労働時間)÷40(所定労働時間)=1.8人(常勤換算上の人数)

Z事業所で働く非常勤職員の人数は、1.8人ということがわかります。

常勤職員と非常勤職員の平均人数を合算する

最後に、常勤・非常勤職員の常勤換算上の人数を合計します。 Z事業所を例にすると、常勤換算の人数は以下のとおりです。

常勤数10人+非常勤数1.8人=11.8人

この算出された11.8人が、Z事業所における常勤換算上の人数となります。

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3.常勤換算する際の注意点

ここでは、常勤換算する際の注意点についてみていきましょう。

有給休暇・出張の扱い

常勤職員は、有給休暇と出張を「労働時間」としてカウントできます。一方で非常勤職員は、有給休暇と出張は労働時間に含まれません。「実労働時間」のみが常勤換算の対象となります。 また、有給休暇や出張の期間が1ヶ月を超える場合、その期間は労働時間の計算に含まれません。

産休・育休の扱い

産休や育休など1ヶ月を超える場合は、常勤職員でも計算から除外されます。育児や介護、病気などの理由から短時間勤務になる場合は、非常勤と同様に実際の労働時間で計算しなければなりません。

ただし特例として、以下の3つの条件をすべて満たせば「常勤」として扱えます。

  • 勤務先の就業規則に、育児による短時間勤務の労働時間を明確に定めている
  • 就業規則に定められた短時間勤務の時間が週30時間以上である
  • 利用者さんのサービス提供に支障がない体制を整えている

兼務の扱い

複数の事業所を兼務したり、併設・系列内で複数の職種を兼務したりするケースも少なくありません。しかし、兼務の扱いについては、自治体によってルールが異なります。

基本的に、1つの介護施設・事業所内で業務を兼務する場合は、業務に支障がない場合のみ常勤換算が可能です。一方で、離れた場所にある施設や、並行して行うのが難しいと判断される業務は、職種ごとの時間で計算しなければなりません。

たとえば、同一施設内で常勤職員が午前中は介護職員、午後は生活相談員として働く場合、それぞれの職種で働いた時間の合計をカウントできます。別々の施設を兼務する場合は、それぞれの施設でそれぞれの職種ごとの労働時間で計算する必要があります。

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4.緩和傾向にある配置基準の課題と今後の見通し

2024年度の介護報酬改定では、人員配置基準の緩和について多くの変更点がありました。ここでは、その内容と課題、今後の見通しを解説します。

人員配置基準の緩和内容

人員配置基準緩和の内容は以下のとおりです。

外国人介護職員の人員配置基準の緩和

これまでは、経済連携協定(EPA)や技能実習生は、就労開始から半年経過した者だけが人員配置基準に算定できました。しかし、半年に満たない外国人介護職員の中には、ケアの習熟度や日本語能力が一定に達している方もいます。

今回の改定により、外国人介護職員の日本語能力や指導の実施状況、管理者などの意見を考慮したうえで、以下の要件を満たせば、勤労開始直後からの算定を認めています。

  • 一定の経験のある職員とチームでケアを行う体制を整える
  • 安全対策実施のための体制を整えている

出典:厚生労働省|令和6年度介護報酬改定について(外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱い)

ローカルルールにおける人員基準緩和

都道府県と市町村が独自に定める人員配置基準については、あくまでも「厚生労働省令に従う範囲内で地域の実情に応じた内容」であることが必須です。事業所から説明を求められた場合は、ローカルルールの必要性を説明できるようにしなければなりません。

夜間の人員配置における緩和

介護老人保健施設やグループホーム、特定施設は、1日あたりの配置人数を2人以上から、要件を満たす場合は1.6人以上に緩和されました。 また、利用者40人以下の施設で緊急時の体制を整えている場合は、1人以上の配置が必要です。

居宅介護支援における人員配置基準の緩和

以前は、要支援者の数を2分の1として換算していましたが、改定後は3分の1に変更されました。また、ケアマネージャー1人あたりの担当件数が35件から44件に変更。指定居宅介護事業所がケアプランデータ連携システムを使用し、事務職員を配置した場合、利用者数は最大49名までとなります。この改定により、ケアマネージャーが担当する件数が増えるということです。

個別機能訓練加算の人員配置要件の緩和

個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの単位数が以下のように変更されました。 改定前:85単位/日→改定後:76単位/日

両立支援への配慮に伴う人員配置基準の緩和

働きながら家族の介護や子育てをしている人、自身の治療などしている方も多いです。そのような状況でも両立できる環境整備を進め、職員の離職防止や定着促進を図る観点から一定の条件を満たした職員に対して、週30時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことが認められています。

兼務範囲とテレワークに関する人員配置基準緩和

管理者の兼務範囲については、業務に支障がなければ同一敷地内以外の事業所での兼務も問題ありません。ただし、利用者さんに対するサービス提供の中で起こる事象を把握し、職員や業務を管理・指示することが責務であることを明確化しておく必要があります。

また、テレワークについては個人情報を適切に管理し、利用者さんへのケアに問題がないことが前提のうえで、職種や業務ごとに具体的な考え方を示すこととなりました。ただし、居宅療養管理指導は、テレワークの対象外です。

出典:厚生労働省|第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について

今後の見通し

2024年度の介護報酬改定における人員配置基準の緩和では、介護ロボットやICTなどのテクノロジー導入が1つのポイントとなっています。深刻な介護人材不足が叫ばれるなか、テクノロジーを活用したサービス提供が不可欠です。

「いかに少ない人材で、高品質の介護サービスを利用者さんに提供できるか」に舵を切りつつある中、ますますICT化が進むと予想されます。実際にICT化に取り組む施設・事業所も増えているため、近い将来、介護現場で介護ロボットやICTの活用が当たり前になるでしょう。

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5.まとめ

常勤換算とは、介護施設で働く全職員の労働時間を常勤職員数に変換したものです。常勤換算は、介護保険法で定められた「人員配置基準」を満たすために欠かせません。 また、2024年度の介護報酬改定で人員配置基準が緩和され、介護ロボットやICTの導入が不可欠となってきました。

人員配置基準に違反した場合は、営業停止や新規受け入れ停止などの行政処分が科せられるので注意が必要です。 介護施設の運営に携わっている者だけでなく、働く職員も人員配置基準について理解することで、適切なリスク管理が行えるようになるでしょう。

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セカンドラボ株式会社

URL:https://note.com/2ndlabo/n/n56335bc8255e

2017年にセカンドラボ株式会社に入社。介護施設を担当する部門に配属され営業に従事。その後チームリーダーに就任。現在は事業部の統括的な立場でメンバーのマネジメントに関わる業務を主に担う。その他広報やコンテンツマーケティング等の業務も担当。

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