管理薬剤師とは?なれる条件や注意点、メリット・デメリットまで紹介
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「管理薬剤師の年収は高い?」
「管理薬剤師になるためには何が必要?」
このような疑問はありませんか?
本記事では、管理薬剤師の概要やメリット・デメリット、注意点などを解説します。この記事を読むことで、管理薬剤師についての基本的な知識を知り、キャリアアップを考える上での判断材料を得られるでしょう。
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1.管理薬剤師とは
管理薬剤師とは、薬局やドラッグストアにおいて、薬機法に基づき配置が義務付けられている責任者のことです。各職場には必ず1名配置する必要があります。
管理薬剤師の主な業務は、通常の調剤業務に加えて、店舗全体の管理業務や医薬品の適切な管理を行うことです。以下では、給与や業務内容について詳しく見ていきます。
給与の違い
一般的な薬剤師と管理薬剤師では、どの程度給与に違いがあるのでしょうか。
中央社会保険医療協議会が公表している「第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告 令和5年実施」によると、保険薬局に勤める一般薬剤師と管理薬剤師の給与は以下のとおりです。
薬剤師 |
管理薬剤師 |
|
---|---|---|
①平均給料年額 |
4,179,122円 |
6,482,871円 |
②賞与 |
685,165円 |
865,854円 |
①+② |
4,864,287円 |
7,348,725円 |
出典:中央社会保険医療協議会|第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告 令和5年実施
上表のとおり、管理薬剤師の平均年収は薬剤師よりも、約248万円も高いことがわかります。キャリアアップ、給与アップをしたい方は管理薬剤師を目指すのがおすすめといえるでしょう。
業務内容・役割の違い
薬剤師の業務内容は、調剤業務、服薬指導、薬歴管理、疑義照会などが中心です。管理薬剤師はこれに加えて、店舗全体の管理・監督が主な業務となります。
具体的には、従業員が適切に業務を行っているかの監督や指導、設備や医薬品の管理などを担います。人手不足の職場などでは、管理薬剤師が調剤業務や服薬指導などを行わなければなりません。
また、法令遵守の観点から店舗内の問題点を把握し、従業員と協力して問題を解決する役割も果たします。管理薬剤師にしかできない店舗管理の業務も多く、薬剤師と比べて業務量や責任の重さが異なる点が特徴です。
スカウトサービス登録はこちら2.管理薬剤師になるには?
管理薬剤師には、一定の経験と能力が必要です。ここでは、具体的な要件や目指す方法を解説します。
管理薬剤師になるための資格要件
厚生労働省が令和3年6月に公表した「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」によると、要件として以下のように明記されています。
「原則として、管理者は薬局における実務経験が少なくとも5年あり、中立的かつ公共性のある団体(公益社団法人薬剤師認定制度認証機構等)により認証を受けた制度またはそれらと同等の制度に基づいて認定された薬剤師であることが重要である。」
引用:厚生労働省|「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」について
つまり、薬局での実務経験が5年以上あり、認定薬剤師の資格を保有していることです。これは、必須の要件ではありませんが、実務経験や資格を求める職場が多いです。
また、管理薬剤師は兼業や副業が認められていないため、1つの施設で働けることも求められます。とはいえ、実務経験や認定資格については、募集している職場にもよるため、応募の際に確認しておきましょう。
経験5年未満など要件を満たさない場合は?
前述したとおり、「実務経験が5年以上あること」や「認定薬剤師の資格を持っていること」が推奨されています。これらの要件を満たしていない場合は、「厚生労働省が定める業務を遂行・遵守するために必要な能力および経験」を有していることが条件です。
そのため、「管理薬剤師として必要な能力や経験」をどう評価しているのか、その点を明確に説明できなければなりません。
管理薬剤師を目指す方法
管理薬剤師を目指す方法は、大きく分けて2つあります。
1つ目は、現職場で管理薬剤師に昇進する方法です。(病院なら薬局長や薬剤部長)
まずは、職場の上司に管理薬剤師を目指していることを伝え、チャンスが巡ってくるようにします。
そのうえで、薬剤師としての能力や質の高いサービス提供ができるのはもちろんのこと、保険制度や法律の深い知識を身につけます。ほかにも、従業員を指導・教育するうえで必要な信頼性も必要です。
2つ目は、転職して管理薬剤師を目指す方法が挙げられます。管理薬剤師を募集している職場も少なくありません。現職の状況によっては、ポジションが空いておらず、転職するほうが早く管理薬剤師になれる可能性もあります。
ただし、業種によって職務内容が異なるため、確認は必要です。また、転職先によっては、認定薬剤師の取得支援や研修を受けられる場合もあります。現職でポジションが空いていない場合は、積極的に募集している職場に転職するのがよいでしょう。
管理薬剤師に求められるスキル
管理薬剤師に求められるスキルは以下のとおりです。
薬局などで働く薬剤師の監督を行うため、従業員を引っ張っていくリーダーシップが必要です。リーダーシップがなければ、従業員間の連携が取れず、サービス品質が落ちたり、業務効率が下がったりします。
そのため、管理薬剤師には、従業員をまとめて適切な指示や指導ができるリーダーシップが欠かせません。
管理薬剤師は、患者さまへの服薬指導はもちろん、薬剤師や薬局開設者など、すべての人と密接なコミュニケーションを取る必要があります。店舗管理を円滑に行うためには、他の従業員の協力なくしてはできません。
また、クレーム対応なども責任者として、管理薬剤師が対応する場面もあります。そのため、相手の気持ちを汲み取って寄り添うコミュニケーション能力も求められるでしょう。
管理薬剤師は、従業員を指導・教育する役割があるため、医薬品や医療制度に関する幅広い知識が求められます。たとえば、調剤業務に関して新人薬剤師に指導したり、患者さんから副作用に関する質問をされたりする際に必要です。
また、診療報酬や保険制度などの複雑な知識も求められます。そのため、医薬品に関する知識はもちろん、診療報酬や保険制度についても、その店舗内で最も詳しい存在でなくてはなりません。
安定した店舗運営を行うためには、常に情報をアップデートしていく必要があります。新薬の誕生や法改正、医薬品の回収指示など、日々情報が新しくなっているからです。
これらの情報を収集するだけでなく、従業員に共有していくことも管理薬剤師には求められます。患者さんの利益につながるように、常に情報収集する必要があるのです。
スカウトサービス登録はこちら3.管理薬剤師になるメリット・デメリット
管理薬剤師になると、給与がアップしたり転職で有利になったりします。しかし、デメリットも存在します。ここでは、管理薬剤師になるメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット1.給与アップ
管理薬剤師になるメリットは、役職手当が支給されて給与が上がることです。薬剤師の平均年収が約486万円に対し、管理薬剤師は約734万円となっています。約248万円も年収が上がるということです。
通常、年収を200万円近く上げるのは非常に難しいため、給与を上げたい薬剤師にとっては大きなメリットといえるでしょう。
メリット2.キャリアアップで転職有利に
もうひとつのメリットは、実績が評価され、転職で有利になることです。管理薬剤師になるには、医薬品に関する幅広い知識はもちろん、法律や保険制度の知識が求められます。管理業務は、他の従業員には行えないため、貴重な人材として評価されるでしょう。
また、大手の調剤薬局やドラッグストアであれば、ブロック長やエリア長といった責任範囲がより広い役職につけるチャンスもあります。より好条件の職場に転職したい方にとって、大きなメリットとなるでしょう。
デメリット1.負担や責任もアップ
デメリットとして挙げられるのは、業務負担が増え、責任が重くなる点です。職場によっては、通常の調剤業務や服薬指導もこなしながら、管理業務を行うこともあります。
たとえば、従業員の指導や医薬品の管理、シフト管理、売上の数値管理、各種届出作業などを1人でこなさなければなりません。管理薬剤師にしかできない業務も多く、他の従業員に業務を振り分けることができないのも難点です。
また、職場に薬剤師が不足していれば、自分が代わりに出勤して人員を補うこともあります。そのため、管理薬剤師になると、負担や責任も増えてしまう点はデメリットです。
デメリット2.薬剤師として副業ができなくなる
管理薬剤師は原則として、兼業や副業ができないことが薬事法に定められています。薬剤師のなかには兼業や副業をしている方も少なくありませんが、管理薬剤師になると、それができなくなります。
管理薬剤師が兼業をするためには、都道府県知事などの許可を得る必要があるため手間がかかります。副業や兼業で収入アップしたい方にはデメリットといえるでしょう。
スカウトサービス登録はこちら4.管理薬剤師を目指して転職する際の注意点
薬剤師の中には、管理薬剤師を目指して転職する方も多いです。ここでは、管理薬剤師を目指して転職する際に注意すべき点を解説します。
業種ごとに職務内容は異なる
管理薬剤師の職務内容は、業種ごとに異なります。自分が把握していた職務内容と、実際の内容に相違がないか、事前に確認しておきましょう。
業種ごとの職務内容は以下のとおりです。
業種 | 職務内容 |
---|---|
薬局・ドラッグストア | 一般的な薬剤師業務+医薬品の管理、他の薬剤師の指導・教育、副作用が発生した場合の情報収集、報告など |
病院 | 医薬品の管理や一般薬剤師の統括、医師や他の従業員との連携、医薬品の処方、調剤 |
製薬会社、食品メーカーなどの企業 | 製品の品質管理、各種許可申請 |
なお、病院では管理薬剤師を配置する義務はなく、同じポジションで「薬剤部長」や「薬局長」と呼ばれることがあります。上記のように、業種ごとに職務内容が異なるため、転職する際は確認しましょう。
研修制度や薬剤師の在籍数を調べる
管理薬剤師を目指して転職する場合、転職先の研修制度や薬剤師の在籍数を調べるのが大切です。管理薬剤師として経験がない場合、研修制度が充実していれば安心して職務につけます。
また、薬剤師の在籍数が少ない職場は、人手不足の可能性があるので注意が必要です。人手不足により、調剤業務や薬歴管理、監査などの仕事に加えて、管理薬剤師としての業務も1人で行うことになります。
業務量が増えて、残業や休日出勤などが多くなる可能性もあるため、事前に確認しておきましょう。
スカウトサービス登録はこちら5.まとめ
管理薬剤師とは、薬局やドラッグストアなどの店舗における責任者のことです。1つの職場に1名の管理薬剤師の配置が義務付けられています。管理薬剤師になるためには原則として、「薬局での実務経験が5年以上」「認定薬剤師の資格」が必要です。
また、管理薬剤師になる方法として、今の職場で昇進を目指すか、転職で管理薬剤師を目指すかの2つが挙げられます。現職のポジションに空きがなければ、転職して管理薬剤師を目指すのがおすすめです。
管理薬剤師になると高収入が期待できるため、キャリアアップを目指したい方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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