認知症介護基礎研修は義務?eラーニングの申し込み方法や所要時間・費用など
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「自分が認知症介護基礎研修の受講対象なのか知りたい」
「介護職員初任者研修とどちらを受講すればいい?」
「受講にかかる時間は?」
このような悩みや疑問はありませんか?
2024年4月から、認知症介護基礎研修の受講が義務化されました。この研修を受けていない無資格の人は、ほとんどの介護事業所で働くことができません。これから介護業務に携わる方は必見の内容です。
本記事では、認知症介護基礎研修の概要や対象者、学習内容、費用などについて解説します。この記事を読むことで、自分が受講の対象者かどうか、介護職員初任者研修とどちらを選ぶべきか明確になるでしょう。
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目次
1.認知症介護基礎研修とは?
認知症介護基礎研修とは、認知症の利用者さんを介護する際に必要な基礎的な知識や介護技術を学べる公的研修のことです。この研修は、基本的な認知症ケアを実践できる人材の育成を目的としています。
2024年4月以降、原則としてこの研修を受講しなければ、無資格者は介護業務に従事することができなくなりました。認知症ケアに関する研修は他にもありますが、認知症介護基礎研修は「初心者向け」として位置付けられています。初心者向けの内容であるため、1日で修了できるのが特徴です。
スカウトサービス登録はこちら2.認知症介護基礎研修の義務化の背景
認知症介護基礎研修が義務化された背景には、進行する高齢化とともに増加する認知症患者の存在があります。日本はすでに超高齢化社会に突入しており、2023年時点で総人口の約29%が65歳以上です。
特に、認知症患者の増加は深刻な課題となっています。内閣府の調査によると、2022年には認知症を患う高齢者が443.2万人(有病率12.3%)に達し、2040年には584.2万人(有病率14.9%)に増加すると推計されています。
出典:内閣府|健康・福祉
認知症患者が増加するなか、より質が高く、適切な認知症ケアを提供するために「認知症介護基礎研修」が開始されました。義務化することで、介護業界全体の知識・技術の底上げを図る目的があるのです。
スカウトサービス登録はこちら3.認知症介護基礎研修の対象者
認知症介護基礎研修の対象者は、介護業務に携わる職員のうち、医療や福祉、介護の資格を持っていない無資格者です。以下では、免除となる条件と介護職員初任者研修との違いについて解説します。
免除となる場合について
認知症介護基礎研修が免除となる条件は、以下のとおりです。
免除となる資格 | 医師、歯科医師、薬剤師、看護師、准看護師、介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者、介護職員基礎研修課程又は訪問介護員養成研修 一級課程・二級課程修了者、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師、管理栄養士、栄養士、社会福祉士、介護支援専門員、精神保健福祉士 など |
---|---|
免除となる研修 | 実務者研修、介護職員初任者研修、生活援助従事者研修、介護職員基礎研修課程、訪問介護員養成研修一級課程・二級課程、認知症介護実践者研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護指導者研修 など |
また、下記の条件を満たす方も研修の対象外となります。
- 養成施設の卒業証明書および履修科目証明書により、認知症に関する科目を受講していることが確認できる方
- 卒業証明書により卒業が証明できる福祉系高校の卒業者
- 認知症介護実践者研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護指導者研修などの認知症に関する研修を修了した方
- 人員配置基準上、従業者数として算定されない方や、直接介護に携わる可能性がない方
ただし、民間資格である認知症サポーター養成講座や、任用資格である社会福祉主事などは免除の対象外です。
介護職員初任者研修との違い
介護職員初任者研修との大きな違いは、学習範囲です。初任者研修では、認知症ケアを含めた介護全般の基本的な知識や技術を学びます。
一方で認知症介護基礎研修は、認知症ケアに特化した基礎知識や技術を学ぶ点が異なります。これから介護士として長く活躍したい方は、介護職員初任者研修の取得がおすすめです。一方で、すぐに介護系の資格が必要な方には、認知症介護基礎研修の取得をおすすめします。
介護職員初任者研修 |
認知症介護基礎研修 |
|
---|---|---|
学習範囲 |
介護全般 |
認知症ケアに特化 |
受講料 |
5〜10万円前後 |
無料〜3,000円程度 |
受講期間 |
最短1ヶ月 |
最短1日 |
4.認知症介護基礎研修の学習内容
認知症介護基礎研修は、序章を含めた第1〜4章までの全5章で構成されています。具体的な内容は以下のとおりです。
序章:認知症を取り巻く現状 | 認知症や認知症介護に関する考え方や方向性、今後どのような姿を目指しているのかを理解する |
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第1章:認知症ケアにおいて基礎となる理念や考え方 | 認知症ご本人の声や生活の様子から考え方や捉え方を学ぶ |
第2章:認知症の定義と原因疾患 | 認知症と老化の違い、認知症の特徴を学ぶ |
第3章:認知症の中核症状と行動・心理症状の理解 | 認知症の症状が本人の心理や生活にどのような影響を及ぼすのかを学ぶ |
第4章:認知症ケアの基礎技術 | 認知症治療に関する知識、関わり方への具体的な方法を学ぶ |
序章部分は、認知症の概要について動画視聴で学びます。1〜4章は動画視聴後(5〜10分程度)に、復習問題と確認テストが章ごとに行われます。
確認テストは5問程度で、○×形式です。全問正解で次の章へ進めます。不合格の場合でも、動画視聴から再度実施できるので難易度は高くありません。4章すべて合格すれば、修了証書が発行されます。
スカウトサービス登録はこちら5.認知症介護基礎研修の受講手続き
認知症介護基礎研修の受講手続きは、以下の3ステップです。
- 事業所の登録をする
- 受講者の登録をする
- 受講料を支払う
①事業所の登録をする
事業所の登録には、介護保険事業所番号と事業所代表メールアドレスが必要です。(複数事業所の場合、事業所ごとにメールアドレスが必要)
事業所の登録後、事業所コードが発行されメールで届きます。
②受講者の登録をする
受講者登録には、発行された事業所コードと事業所名、受講者のメールアドレスが必要です。事業所コードや事業所名は、勤め先の事業所の代表者に確認してください。
登録後、ユーザーIDがメールで届きます。
③受講料を支払う
受講料を支払い、受講開始の案内メールが届きます。ユーザーIDとパスワードでログインし、受講開始です。
料金は自治体よって異なる
受講料の支払い先は、地域によって異なるため注意が必要です。仙台センターが実施団体の場合は、3,000円/人がかかります。
受講料の負担については、受講者自身が負担する場合と事業所が負担してくれる場合があります。これは勤務先の判断となるため、事前に確認してください。
また、実施団体が仙台センター以外の場合は、実施団体によって手続きが異なるため注意が必要です。確認は下記のHPから行えます。
研修は原則1日で修了できる
認知症介護基礎研修は、原則1日で修了可能です。eラーニングの場合は、動画視聴に150分程度と、確認テスト・自己ワークなどがあるため、修了までに個人差があります。
オンライン配信を含む集合型研修の場合、講義(認知症の人の理解と対応の基本)に3時間、演習(認知症ケアの実践における留意点)に3時間を割き、合計で6時間の内容です。研修の受講方法は、自治体によって異なるため確認が必要となります。
スカウトサービス登録はこちら6.受講についてのよくある疑問
ここでは、認知症介護基礎研修の受講に関してよくある疑問に答えていきます。
eラーニングを途中でやめることはできる?
eラーニングを中断することが可能です。途中でパソコンを閉じても、再度ログインすることで前回の学習から再開できます。
受講期限はある?
基本的には、受講開始期限や受講期限は設けていません。ただし、自治体によっては期日を設けている場合があるため、受講する自治体に確認が必要です。
難易度は高い?
難易度は高くありません。この研修は、無資格者や認知症介護にはじめて携わる方を対象としているからです。章末に確認テストはありますが、何度もチャレンジできるため難易度が高いとはいえないでしょう。
スカウトサービス登録はこちら7.認知症介護基礎研修取得後のスキルアップ
ここでは、認知症介護基礎研修を取得した後のスキルアップについて解説します。
認知症実践者研修
認知症実践者研修は、認知症ケアに関する実践的な知識・技術を学ぶための研修です。認知症介護基礎研修の上位資格の位置付けとなります。
研修修了後は、介護現場の中心的な存在として、認知症ケアの質を向上させるための具体的な行動ができる育成を目的としています。
受講要件は以下の要件を全て満たしている方です。
- 原則として、認知症の介護に関する経験が2年程度以上
- 指定の介護保険施設・事業所(居宅介護支援事業所を除く)に従事している
- 認知症介護基礎研修を修了した者
※自治体により要件などは異なる
認知症介護実践リーダー研修
認知症介護実践リーダー研修は、認知症介護におけるリーダーを育成するための研修です。認知症実践者研修の上位資格の位置付けとなります。認知症に関する知識や技術はもちろん、チームマネジメント力や指導力を学べるのが特徴です。
受講要件は以下をすべて満たしている方です。
- 介護業務におおむね5年以上従事した経験がある者
- ケアチームのリーダーまたはリーダーになることが予定される者
- 認知症実践者研修(旧基礎課程)を修了し、1年以上経過している者
ただし、令和9年3月31日までの間は、利用者さんに直接提供する介護職員として、介護福祉士資格を取得した日から起算して10年以上かつ、1,800日以上の実務経験を有する者は、上記の経験年数や認知症実践者研修の経過年数に関わらず対象者となります。
※自治体により要件などは異なる
認知症介護指導者養成研修
認知症介護指導者養成研修は、認知症介護に携わる指導者を育成するための研修です。介護現場や地域社会における認知症ケアの質の向上を目的としています。この認知症介護指導者養成研修は認知症介護の専門家として、プレゼン能力や効果的な人材育成のための組織体制づくり、講師としての態度・姿勢などを学べます。
受講要件は以下をすべて満たしている方です。
- 医療・福祉の国家資格を有する者
- 認知症介護実践者研修および認知症介護実践リーダー研修を修了した者
- 認知症介護実践研修等の企画・立案、講師、地域ケアの推進を担う見込みの者
※自治体により要件などは異なる
認知症対応型サービス事業管理者研修
認知症対応型サービス事業管理者研修は、認知症の方が能力に応じて自立した生活を営むことや、事務所の適切な運営方法を学べる研修です。事業所の管理者として、認知症ケアの質を向上させるために必要なスキルと行動を習得することを目指します。
受講要件は以下をすべて満たしている方です。
- 指定の認知症対応型通所介護事業所、指定小規模多機能型居宅介護事業所、指定認知症対応型共同生活介護事業所または、看護小規模多機能型居宅介護事業所管理者になる予定の方
- 認知症介護実践者研修(痴呆介護実務者研修(基礎課程)でも可)を修了している方
- 認知症の介護経験が3年以上ある方
※自治体により要件などは異なる
小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修
小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修は、指定の(看護)小規模多機能型居宅介護事業所の計画作成担当者として、ケアマネジメントや計画作成の技術向上を目指すための研修です。チームで利用者さんを支えるためのケアマネジメント力や、サービス計画の作成に必要となる知識と技術を向上させる目的があります。
受講要件は以下をすべて満たしている方です。
- 小規模多機能型居宅介護事業所、または看護小規模多機能型居宅介護事業所の計画作成担当者になる予定の方
- 認知症介護実践者研修(痴呆介護実務者研修(基礎課程)でも可)を修了している方
※自治体により要件などは異なる
認知症対応型サービス事業開設者研修
認知症対応型サービス事業の代表者として必要な、「認知症高齢者への基本的な理解」「認知症高齢者ケアのあり方」「適切なサービス提供のあり方」などを学ぶ研修です。認知症ケアへの理解を深めるのはもちろん、開設する事業所と地域との連携を深めるための取り組みを学ぶ目的もあります。
受講要件は以下をすべて満たしている方です。
- 指定の認知症対応型共同生活介護事業者、小規模多機能型居宅介護事業者および看護小規模多機能型居宅介護事業者の代表者(予定者を含む)
※自治体により要件などは異なる
研修を受けるメリット
上記で解説した研修を受けるメリットは、認知症ケアの知識と技術を極められる点です。ほとんどの介護現場では、認知症の方と関わるため、正しい知識や技術を持つ人材は重宝されます。
また、認知症ケアを提供する事業所/施設では、各研修修了者の配置が義務づけられていることもあるため、そのような人材の需要も高いです。さらに、職場によっては資格手当が支給され、給料アップにもつながります。
東京都で管理者として働く場合、認知症介護実践者研修と認知症対応型サービス事業管理者研修の修了が必須です。(例外あり)
そのため、管理者を目指す場合は、上記で説明した各研修を押さえておくとよいでしょう。
8.まとめ
認知症介護基礎研修は、認知症の方を介護するうえで必要な基本的な知識や技術を学べる公的研修です。この研修を受講していない無資格者は、介護業務に携わることができません。
受講方法には、対面で学ぶ方法とオンラインで学べるeラーニングがあります。自治体によって受講方法は異なるため、確認が必要です。
認知症介護基礎研修と介護職員初任者研修のどちらを受講すべきかで悩んでいる方は、基本的に介護職員初任者研修をおすすめします。すぐに資格が必要な方は、認知症介護基礎研修がおすすめです。
これから介護業務に携わる方は、この機会に研修を受講してみてはいかがでしょうか。
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