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女性薬剤師の年収は?将来性やキャリアプランなど働き続けるために必要なことを解説

  • 更新日
投稿者:小松 和貴

「女性薬剤師の年収は他の業界と比べて高い?」
「女性薬剤師が多い職場は、人間関係などのトラブルがないか心配」
「薬剤師の仕事は将来も安定している?」

このような悩みや疑問はありませんか?

本記事では、女性薬剤師の給料事情やキャリアプラン、よく聞く悩みごとなどを解説します。この記事を読めば、女性薬剤師の年収相場や働き方、リアルな悩みを知ることができ、将来的に薬剤師を目指すべきかの判断材料になるでしょう。

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1.薬剤師の男女比・女性に人気な理由とは?

厚生労働省が公表している「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、令和4年12月31日時点における日本の薬剤師数は323,690人です。薬剤師の男女比は、男性124,183人、女性は199,507人となっています。

つまり、全体の約61%が女性薬剤師です。また、薬局・医療施設に従事する薬剤師の約65%が女性となっています。

なぜ、男性薬剤師よりも女性薬剤師の割合が高いのでしょうか。その理由には、下記の3つが挙げられます。

出典:厚生労働省|令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況

家庭と仕事の両立がしやすい

薬剤師が女性に人気の理由は、「家庭と仕事との両立のしやすさ」です。前述したとおり、薬剤師の6割程度が女性であるため、出産や子育てに理解のある先輩も多いです。そのため、「家庭の事情で休むのは申し訳ない」といった心配も少ないでしょう。

また、薬剤師はシフト制の勤務体制をとっていることが多く、家庭の事情に応じた働き方を実現できます。出張や転勤もないため、家庭との両立のしやすさが女性に人気の理由です。

産休育休後に職場復帰しやすい・働き方を選べる

産休育休後のブランク明けでも職場復帰しやすい点は、薬剤師が女性に人気の理由に挙げられます。薬剤師の現場は常に人手不足です。女性が働きにくい環境では、採用難に陥ってしまいます。

そのため、最近では産休制度や育休制度、時短制度などを導入し、女性が働きやすい環境を整えていることが多いです。また、職場復帰した後もパートや契約社員、派遣社員など、ライフスタイルに合わせた働き方を選べる職場も増えています。

勤務先によっては、福利厚生の一環で託児所を設けている職場も珍しくありません。産休育休後の働き方に理解がある薬剤師の職場は、女性にとって魅力的といえるでしょう。

全国どこでも働けて安定した収入を見込める

薬剤師の職場である病院や薬局は、全国どこにでもあります。加えて、女性薬剤師の年収は他の職種に比べて高めです。正社員、パート、契約社員、派遣など、どの働き方を選んでも待遇のよい条件で働くことができます。

また、年齢に関係なく薬剤師の仕事は続けられるため、長く、安定した収入を見込める点は大きな魅力でしょう。次の章では、女性薬剤師の具体的な年収を解説します。

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2.女性薬剤師の平均年収はどれくらい?

女性薬剤師の平均年収は、他職種の中でも高い方なのでしょうか。厚生労働省が公表しているデータを参考にしながらみていきましょう。

男女別に見る薬剤師の平均年収

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、

  • 男性薬剤師の平均年収:622.5万円
  • 女性薬剤師の平均年収:542.7万円
  • 男女計:577.8万円

となっています。

全職種でみると、女性薬剤師の平均年収が高いことがわかります。国税庁が公表している「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は、男性が563万円、女性は314万円です。

給与取得者でみた男女の年収差は、250万円と大きな差があります。一方で薬剤師は80万円ほどの年収差なので、男女でほとんど差がありません。女性薬剤師は全職種の中でも年収が高く、男女の格差もほとんどないことが特徴といえます。

出典:厚生労働省|令和5年賃金構造基本統計調査

出典:国税庁|令和4年分 民間給与実態統計調査

他職種との比較

次に、同じ医療職と比較した場合の女性薬剤師の平均年収をみていきましょう。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」を参考に、女性薬剤師と他職種の女性平均年収を下表にまとめました。

女性

男性

医師

1148.3万円

1521.6万円

歯科医師

677.1万円

1017.7万円

助産師

566.9万円

-

薬剤師

542.7万円

622.5万円

獣医師

539.0万円

762.8万円

看護師

506.1万円

525.7万円

臨床検査技師

479.2万円

553.3万円

放射線技師

476.7万円

557.1万円

保健師

446.3万円

515.8万円

上記のとおり、女性薬剤師は他職種と比較しても、平均年収が高い職種であることがわかります。薬剤師と同様に、女性の割合が高い看護師よりも40万円ほど給料が高いのも特徴です。また、看護師とは違い、薬剤師には夜勤がないのも特筆すべきポイントでしょう。

職場別に見た女性薬剤師の平均年収

女性薬剤師の人気の勤務先である病院、調剤薬局、ドラッグストアの平均年収を紹介します。コメディカルドットコムに掲載されている求人から判断すると、女性薬剤師の平均年収は以下のとおりです。

病院:450万円〜600万円

病院は役職によっても年収が大きく異なります。一般職の女性薬剤師は約400万円、薬剤師主任で約500万円、薬剤師部長になると600万円以上稼ぐことが可能です。

病院薬剤師の主な仕事内容は、調剤業務や製剤業務、医薬品管理業務などが挙げられます。託児所完備の病院もあり、仕事と子育てを両立しやすい職場は女性薬剤師に人気です。

調剤薬局:450万円〜550万円

調剤薬局で働く女性薬剤師の平均年収は、一般職で約450万円、管理薬剤師が500〜600万円、エリアマネージャーになると550万円以上稼げます。調剤薬局は地域密着型の店舗のため、自宅近くで就職できる可能性が高いです。

主な仕事内容は調剤業務や服薬指導、薬歴管理などが挙げられます。在宅医療を提供している調剤薬局であれば、在宅業務も発生するでしょう。

ドラッグストア:500万円〜700万円

ドラッグストアで働く女性薬剤師の平均年収は、一般職が約500万円、管理職で約600万円、エリアマネージャーは約700万円となっています。全国に店舗があるため、働き口に困らず、比較的高収入なのがメリットです。

パートや派遣社員など働き方を自由に選びやすいのも魅力といえるでしょう。ドラッグストアの主な仕事内容は、医薬品の販売やレジ打ち、品出しなどが挙げられます。

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3.女性薬剤師が抱えるお悩みごととは?

薬剤師は女性に人気のある職業であると同時に、悩みを抱える方が多い職業です。ここでは、女性薬剤師のリアルな悩みを解説します。

人間関係のトラブル

薬剤師は、閉鎖的な環境で仕事することが多く、人間関係のトラブルに発展するケースも少なくありません。たとえば調剤薬局では、少数のスタッフで仕事をこなさなければいけないため、一度人間関係が悪化すると修復するのが難しくなりがちです。

また、女性が多い職場でよく見られる派閥やグループづくりなども、人間関係のトラブルに発展しやすくなります。特に閉鎖的な環境では、人間関係が密になり、合わないスタッフと距離を置くのが難しいでしょう。

人間関係を良好に保つためには、常日頃からコミュニケーションを取ることが大切です。しかし、1人ではなかなか解決できない場合もあるため、転職する女性薬剤師も多くいらっしゃいます。

業務量・残業が多い

業務量や残業の多さで悩みを抱える女性薬剤師も多いです。人手不足の職場の場合、1人あたりの業務量が多くなり、休憩時間がまともに取れなかったり、残業したりするケースもあります。

このような労働環境で働き続けた結果、体調を壊し、やむを得ず退職する方も少なくありません。人手不足の解消は、自分1人では解決が難しい問題です。上司に相談しても改善されない場合は、体調を崩す前に異動や転職を検討しましょう。

給料が上がらない

「給料が上がらない」といった待遇面での不満も、女性薬剤師の悩みです。女性薬剤師の給料は、一般的にみると高収入が期待できます。しかし、男性薬剤師と比べると、昇給しにくいと感じる方も多いです。

女性薬剤師は、妊娠・出産といったライフステージの変化があるため、昇給や昇進のチャンスが少ないと感じるようです。給料を上げる方法として、資格取得によるスキルアップや、より高待遇の職場への転職をおすすめします。

スキルアップできない

「スキルアップの機会が少ない」という状況に悩む女性薬剤師も多いです。病院・調剤薬局・ドラッグストアでの仕事は、慣れるとルーティンワークになってしまいます。

同じ業務を繰り返していると、「このままでは薬剤師として生き残れないのでは?」「成長できないのでは?」と不安になる方も少なくありません。業務量や残業が多い職場では、日々の業務をこなすことで精一杯になり、自身のスキルアップに費やす時間を確保するのが難しいでしょう。

今の職場でスキルアップが難しい場合は、転職をするのもひとつの手段です。認定薬剤師や専門薬剤師の資格取得や、キャリアアップの機会が多い職場を探すなどしてみましょう。

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4.女性薬剤師のキャリアプラン

女性薬剤師として長く働き続けるためには、キャリアプランをしっかりと立てて、実生活とのバランスを整えることが大切です。また、薬剤師としてバリバリ働きたいか、家庭と両立させたいかでキャリアプランの立て方が異なります。
ここでは、それぞれのケースで確認すべきポイント・おすすめの職場を紹介します。

女性薬剤師がキャリアアップできる職場かどうか

薬剤師としてバリバリ働きたい女性は、その職場がキャリアアップできる職場かどうかを確認しましょう。自身が持つ「理想の薬剤師像」を実現できるかどうかです。

たとえば、資格支援制度や研修体制などが充実している職場は、従業員のキャリアアップに積極的に取り組んでいるといえます。また、管理薬剤師やエリアマネージャーなどの役職についている女性比率も確認しておくとよいでしょう。

キャリアアップにおすすめの職場

女性薬剤師のキャリアアップにおすすめの職場は、大規模病院や大手の調剤薬局、ドラッグストアです。大手であれば研修制度やキャリアアップの機会が多くあります。

たとえば、大手ドラッグストアチェーンの「スギ薬局」では、独自の自己申告制度を設けています。社員が希望するキャリアや所属したい組織などの要望に応え、キャリアプランの実現に向けて積極的にサポートする制度です。

まずは自分が理想とするキャリアプランを思い描き、それを実現できる職場を探すことが大切です。

家庭と両立できる職場かどうか

女性薬剤師の場合、出産や育児などのライフイベントがあっても、家庭と両立できる職場であるかを確認しましょう。たとえば、産休・育休制度の充実、託児所完備の職場などが挙げられます。

産休・育休を取得できる期間は、職場によっても異なるため、福利厚生の充実度は事前に確認しておくことが大切です。また、時短勤務の有無や有給の取りやすさなど、育児に理解のある職場かどうかも確認しましょう。

家庭と両立できる職場の選び方

家庭と両立できる職場の選び方は、その職場に育児や出産に対しての理解があるかどうかが大切です。産休・育休制度を設けている職場であっても、「休みが取りづらい雰囲気で困る」といったケースもあります。

そのため、制度の有無だけでなく、過去の産休・育休の取得実績や取得例について聞いておきましょう。産休・育休制度以外にも、短時間勤務や育児支援サポート、託児所完備の職場なども確認しておくことが大切です。

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5.薬剤師として働き続けるために必要なこと

「薬剤師は飽和状態」と聞いて、不安になっている女性薬剤師の方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、薬剤師の将来性と働き続けるために必要なことを解説します。

薬剤師の需要予測

厚生労働省の「薬剤師の需給推計(案)」によると、2045年には薬剤師は最大で12万6千人、少なくとも2万4千人が過剰になると予測されています。実際に、求職者1人に対しての求人数は減少傾向です。

厚生労働省が公表している「一般職業紹介状況」によると、「医師、薬剤師等」の有効求人倍率は、2020年2月の3.41倍から2023年3月時点で2.17となっています。

しかし、現状はまだまだ薬剤師不足です。特に地方では、薬剤師不足が深刻となっており、高い給与を設定して採用に取り組んでいます。

出典:厚生労働省|薬剤師の需給推計(案)

出典:厚生労働省|一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)について

薬剤師の需要は減っていくと言われる理由

薬剤師の需要が減少していくといわれる理由には、

  • IT・AIの発展に伴う需要の減少
  • 登録販売者の増加に伴う需要の減少

などが挙げられます。

まず、ITやAIの発展によって、薬剤師の仕事が奪われると考える方が多いです。たしかに、IT化やAIが発展すれば、薬歴管理や調剤業務などの対物業務を薬剤師が行うことはなくなっていくでしょう。

しかし、コミュニケーションを必要とする対人業務に関しては、人間の方が得意です。今後薬剤師には、対人業務で必要となるコミュニケーション能力の高さがより求められるでしょう。

また、登録販売者の増加に伴う薬剤師の需要減少も考えなければいけません。登録販売者は、国内の医薬品の約9割を取り扱うことができる職種です。将来的に薬剤師にしかできない調剤業務がITに代替された場合、薬剤師の需要は減少していくでしょう。

薬剤師の需要は多様化していく

薬剤師の需要が減っていくといわれる一方で、需要が高まっていくケースもあります。それが、在宅医療に関わる薬剤師やかかりつけ薬剤師、高齢化が進む地方の薬剤師の需要増加です。

少子高齢化の問題が日々取り上げられる日本では、持続可能な医療・介護を整えるために「地域包括ケアシステム」の構築を急務としています。今後は、薬剤師の活躍場所が病院や薬局だけでなく、在宅医療の分野に広がっていくでしょう。

現状の在宅医療は、医療関係者間の連携や体制が万全ではなく、さまざまな問題を抱えています。たとえば、在宅医療に対応できる薬局や薬剤師の不足です。在宅医療やかかりつけ薬剤師など、地域医療における薬剤師の需要は多様化していきます。

高齢化が進む地方の薬剤師不足も、依然として改善の兆しが見えていません。とはいえ、将来の不透明さばかりに目を向けるのではなく、今できることに集中し、薬剤師として活躍し続けるために必要なスキルや知識を磨いていきましょう。

薬剤師として活躍し続けるために必要なこと

薬剤師として、活躍し続けるために必要なことは、

  • 薬剤師としての知識をアップデートし続ける
  • IT・AI技術の発展に適応していく
  • 在宅医療に適応していく

などです。それぞれ解説します。

薬剤師としての知識をアップデートし続ける

医療や薬学は日々進歩しているため、常に知識をアップデートしなければなりません。勉強方法としては、勉強会やセミナーへの参加、認定薬剤師や専門薬剤師などの資格取得、参考書やアプリを使った独学などが挙げられます。

独学が難しい場合は、教育制度や研修制度が充実している職場に転職するのもおすすめです。また、対人業務が重要視されていくなか、コミュニケーション能力も今まで以上に必要となるでしょう。

IT・AI技術の発展に適応していく

薬剤師の現場では、業務効率化のためにIT化やAI技術の発展が進んでいきます。すでにIT化やAIを活用している職場も少なくありません。

たとえば、膨大な調剤データや疑義照会、服薬指導の記録をAIにパターン学習させ、処方の確認や疑義照会の必要性などを瞬時に把握できるなどです。これから発展していくIT・AI技術に、いかに適応していくかが薬剤師として長く続けるためには必要となるでしょう。

在宅医療に適応していく

薬剤師として長く続けるためには、需要が伸びている在宅医療に適応していくのも大切です。在宅医療における薬剤師は、患者さまの自宅を訪問して薬剤管理や服薬指導を行います。

在宅医療の分野はまだまだ人手不足なので、在宅医療の経験者は多くの事業所から引く手あまたです。薬剤師として長く活躍するために、在宅医療を行っている薬局への転職や、在宅療養支援認定薬剤師などの資格取得を目指してみるのもよいでしょう。

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6.まとめ

本記事では、女性薬剤師の年収事情や将来性について解説してきました。女性薬剤師の平均年収は542.7万円となっており、他職種と比較しても高収入であることがわかります。

収入の高さに加え、「家庭と仕事との両立がしやすい」「産休育休後に職場復帰しやすい」といった点が女性に人気の理由です。ただし、職場選びは大切です。女性薬剤師がキャリアアップできる職場であるか、産休・育休制度が充実しているかどうかも確認しておきましょう。

ITやAIの発展により、将来性について不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。まずは、薬剤師としての専門知識やスキルを磨き、時代の変化に対応できる柔軟性を身につけていきましょう。

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2022年4月よりセカンドラボ株式会社に入社。主に病院を中心に医療介護向け求人メディア「コメディカルドットコム」の営業・採用課題のサポートを行う。

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