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精神保健福祉士とはどんな仕事?年収、資格の取り方、やりがい、将来性を徹底解説!

  • 更新日
投稿者:堀尾 健太

「精神保健福祉士ってどんな仕事?」
「社会人からでも精神保健福祉士を目指せる?」
「精神保健福祉士にキャリアチェンジしたら今よりも年収は上がる?」

このような悩みや疑問はありませんか?

実は、社会人になってから精神保健福祉士を目指す方は非常に多いです。日中働きながら資格を取ることもできます。とはいえ、精神保健福祉士がどんな仕事で、自分が目指すべきなのか迷っている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、精神保健福祉士の概要や資格の取得方法、給料事情、将来性などを解説します。この記事を読めば、精神保健福祉士が自分に適した職業なのか、社会人からでも目指すべきか判断できるようになるでしょう。

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1.精神保健福祉士とは?

精神保健福祉士とは、心に病や障がいを抱えた方の生活課題や社会復帰などのサポートを行う仕事です。1997年の「精神保健福祉法」の施行に伴い、国家資格として精神保健福祉士が新設されました。

2020年頃まではPSWと呼ばれていましたが、現在はMHSW(メンタルヘルスソーシャルワーカー)が使用されています。ソーシャルワーカーの仕事が、幅広いニーズに対応することを示すために変更されました。

そのため、精神科病院にとどまらず、地域の保健所、福祉施設、学校、一般企業、行政機関など、さまざまな場所で活躍しています。昨今、学校や職場、家庭環境のなかで心の悩みを抱える方が増えていることもあり、非常に注目されている職業です。

精神保健福祉士の役割

精神保健福祉士の役割は、心に病や障がいを抱える方の相談や訓練などを行い、多職種と連携しながら課題解決に努めることです。これまでは「入院医療中心」でしたが、障害者自立支援法などにより、「地域生活中心」に変化しています。

それに伴い、地域や学校、職場、家庭などとの連携を重視するようになってきました。精神保健福祉士には、患者さんと社会をつなぐコーディネーター的役割も求められています。

精神保健福祉士の人数と男女比

公益財団法人社会福祉振興・試験センターが公表している「社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の都道府県別登録者数」によると、精神保健福祉士の人数は、108,588人です。(2024年6月末時点の登録者数)

厚生労働省の「精神保健福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」を参照すると、毎年、約4,000〜5,000人のペースで精神保健福祉士が増えています。
男女比でみると、おおよそ3対7で女性の精神保健福祉士の方が多いです。

女性が多い理由としては、

  • デスクワーク中心で力仕事がなく、女性でも働きやすい
  • 心の悩みに寄り添う仕事は女性の方が得意な傾向がある
  • 非正規雇用も多く、育児などと両立しながら働ける

などが挙げられます。
なお、第26回精神保健福祉士国家試験(2024年2月実施)の合格者の男女比は、男性30.2%、女性69.8%でした。

出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター|社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の都道府県別登録者数

出典:厚生労働省|精神保健福祉士国家試験の受験者・合格者の推移

出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター|令和2年度(2020年)精神保健福祉士就労状況調査実施結果報告書

精神保健福祉士と社会福祉士の違いは?

精神保健福祉士と社会福祉士の主な違いは、支援する対象者です。精神保健福祉士は心に病や障がいを抱える方を対象としています。精神障害で悩む方からの相談を受け、適切な助言や訓練、就労支援などを行います。

一方で社会福祉士は、心身の障がいの有無にかかわらず、あらゆる人を支援する仕事です。心身に障がいを抱える方や、生活困窮者などの相談を受けて、安心して日常生活を送るための支援を行います。

精神保健福祉士と社会福祉士は、どちらも国家資格です。日常生活を送ることが困難な方に対して、相談援助業務を行う点は共通していますが、支援する対象者が異なります。さらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

精神保健福祉士と臨床心理士・公認心理師の違いは?

精神保健福祉士と臨床心理士・公認心理師の主な違いは、患者さんに対するアプローチの仕方です。臨床心理士・公認心理師は、心の問題に対して直接アプローチするのに対して、精神保健福祉士は心の問題によって発生した課題解決のためにアプローチします。

そのほかの違いは、以下の表にわかりやすくまとめました。

精神保健福祉士

公認心理師

臨床心理士

資格の種類

国家資格

国家資格

民間資格

仕事内容

相談・指導・訓練・助言など

・心理状態の観察、結果の分析
・相談、助言、指導
・心の問題の啓蒙活動

・臨床心理査定
・臨床心理面接
・臨床心理的地域援助

就業先

・医療機関
・福祉施設
・学校
・更生保護施設
・障害者職業支援センター など

・学校
・一般企業
・医療機関
・福祉施設
・家庭裁判所 など

・学校
・医療機関
・保健センター
・児童相談所
・刑務所 など

さらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

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2.精神保健福祉士になるには?

精神保健福祉士になるには、年1回実施される「精神保健福祉士国家試験」に合格し、資格登録する必要があります。ただし、国家試験は誰でも受験できるわけではありません。大学などで指定科目を履修すれば、卒業と同時に国家試験の受験資格を得られます。詳しく見ていきましょう。

精神保健福祉士の受験資格(11通り)

精神保健福祉士の受験資格を得るルートは11通りあります。代表的なのは、4年制福祉系大学や専門学校で精神保健福祉士養成課程を学ぶルートです。相談援助の実務経験がない場合でも、卒業と同時に国家試験の受験資格を得られます。

2年制・3年制の短大や専門学校の養成コースに進む場合、実務経験と短期養成施設などの修了が必要です。ほかにも、相談援助業務を4年経験し、一般養成施設で1年以上学ぶことで受験資格を得る方法もあります。
受験資格について、詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

精神保健福祉士国家試験の概要・合格率

精神保健福祉士国家試験の概要は以下の表のとおりです。実施する年によって内容が異なる場合があるため、国家試験にチャレンジする際は、社会福祉振興・試験センターのHPを確認しましょう。

試験時期 2月初旬の土日(2日間に分けて実施)
試験地 北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県
合格発表日 3月
試験形式 五肢択一を基本とする多肢選択形式
試験科目(新カリキュラム)※ 医学概論、心理学と心理的支援、社会学と社会システム、社会福祉の原理と政策、社会保障、権利擁護を支える法制度、地域福祉と包括的支援体制、障害者福祉、刑事司法と福祉、ソーシャルワークの基盤と専門職、ソーシャルワークの理論と方法、社会福祉調査の基礎、精神医学と精神医療、現代の精神保健の課題と支援、精神保健福祉の原理、ソーシャルワークの理論と方法(専門)、精神障害リハビリテーション論、精神保健福祉制度論
受験料 24,140円(精神保健福祉士のみ受験する場合)
合格率(2020〜2024年) 62〜71%

※2025年に実施される第27回精神保健福祉士国家試験から、出題される内容が変更されます。

精神保健福祉士の合格率は62〜71%で推移しています。しかし、2025年の国家試験から試験内容と出題傾向が変更になるため、合格率も変動する可能性があるでしょう。

なお、第27回国家試験の試験日は、令和7年(2025年)2月1日(土曜日)、2月2日(日曜日)の2日間です。受験申込期間が令和6年9月5日(木曜日)から10月4日(金曜日)までなので、受験する方は早めに申し込んでおきましょう。

出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター|第27回(令和6年度)試験概要

実は社会人から精神保健福祉士を目指す人が多い!

社会人から精神保健福祉士を目指す方は非常に多く、なかには50代以上の方も受験しています。厚生労働省が公表している「第26回精神保健福祉士国家試験合格結果」をもとに、合格者の年齢区分を表にしました。

年齢区分(歳)

人数(人)

割合(%)

〜30

1,898

38.65

31〜40

835

17.00

41〜50

1,183

24.09

51〜60

793

16.15

61〜

202

4.11

合計

4,911

100.00%

上記のとおり、30代以降の合格者が60%を超えていることから、社会人になってから精神保健福祉士を目指す方が多いです。
社会人の方が働きながら精神保健福祉士を目指す場合は、通信制と夜間制の学校に通うことをおすすめします。

通信制の魅力は、在宅学習ができる点です。ただし、一部対面での授業や医療機関・福祉施設での実習があります。完全在宅学習ではない点は注意が必要です。
受験資格については、以下の記事も参考にしてみてください。

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3.精神保健福祉士の主な職場・就職先とは?

精神保健福祉士の就業先で最も多いのは、福祉・介護・医療の分野です。全体の75.2%を占めています。施設・事業所別でみた就業先の割合は以下のとおりです。

施設・事業所 割合(%)
精神科病院 14.9
精神科以外の医療機関 8.9
障害者支援施設 8.1
就労支援事業所 7.0
相談支援事業所 6.1
市役所、町村役場 5.0
地域包括支援センター 4.2
市区町村社会福祉協議会 4.1
その他障害福祉サービス事業所 3.6
居宅介護支援事業所 3.6

出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター|令和2年度(2020年)精神保健福祉士就労状況調査実施結果報告書

精神保健福祉士の主な就業先は、精神科病院やその他の医療機関、障害者支援施設などが挙げられます。下記では、精神保健福祉士の主な就業先と珍しい職場を解説します。

精神科病院の精神保健福祉士

精神科病院で勤務する精神保健福祉士は、入院している患者さんの退院支援や、相談業務が主な仕事です。退院後も家庭訪問などで長期的に患者さんを見守ります。人権擁護の観点から、入・退院がきちんと行われているか見守ることが、精神保健福祉士の役割です。

また、精神科病院などの医療機関では、医師や看護師、薬剤師などの多職種と連携します。患者さんの社会復帰や生活の質の向上を目指し、チーム医療の一員として働くのが精神科病院の特徴です。

障害者支援施設の精神保健福祉士

障害者支援施設は、障がいを抱える方の日常生活上の介護や日中の活動を支援する入所施設です。知的障害や発達障害、身体障害などさまざまな方を対象としています。精神保健福祉士の仕事内容は、入所者さんやご家族の相談、就労支援、介護などです。

障害者支援施設に入所している方の多くが、障害者程度区分4以上です。そのため、食事や入浴、排泄介助などの介護業務が多くあります。他の介護士と同様、精神保健福祉士にも夜勤が入る可能性があるため確認が必要です。

就労支援事業所の精神保健福祉士

就労支援事業所は、障がいがある方の就職を支援する事業所です。精神保健福祉士は、就労移行支援事業所や就労継続支援A型・B型事業所で働きます。就職を目指す障害のある方を対象とし、仕事に必要な知識や技術を向上するためのサポート、相談業務が主な仕事です。

就労支援事業所では、職業指導員や生活支援員、サービス管理責任者と連携して業務を行います。就労支援事業所を利用する精神障がい者が増加傾向にあるため、精神障がいに精通した精神保健福祉士の需要が高まっている状況です。

相談支援事業所

相談支援事業所は、障がいのある方が地域社会で暮らしていくうえでの悩みごとや困りごとの相談に応じ、適切なサービスにつなげたり、関係機関との連絡・調整を行う事業所です。障がいを抱える本人だけでなく、ご家族からの相談にも対応します。

たとえば、「福祉サービスを利用したいけど、何から始めればいいかわからない」「障がい者支援施設を利用しているけど、1人暮らしする方法を知りたい」などさまざまです。精神保健福祉士は、相談内容に応じて福祉サービスをつなげたり、情報提供などのサポートを行う役割があります。

学校で活躍する「スクールソーシャルワーカー」

スクールソーシャルワーカーは、児童や生徒が抱える問題や課題に寄り添い、解決に導く仕事です。保護者や学校、関係機関と連携しながら問題解決に向けて働きかけるコーディネーター的な役割があります。

スクールソーシャルワーカーの職場は全国の小中高、特別支援学校、教育委員会などです。1つの学校を担当するのではなく、地域や学校の状況などに応じて複数の学校を担当します。

スクールソーシャルワーカーが扱う問題は、いじめや不登校、虐待、日常生活の悩みなどさまざまです。児童が抱える問題や課題を直接解決するわけではなく、児童・生徒が自ら解決できるようにサポートしたり、環境改善に向けて働きかけたりします。

「産業精神保健」で活躍する精神保健福祉士(EAP)

産業精神保健で活躍する精神保健福祉士(EAP)は、働く人の心をサポートする仕事です。EAPとは、従業員支援プログラムのことをいい、従業員の健康維持や増進、休職・復職のサポートをします。

産業精神保健では、電話やメール、対面での相談業務や困りごとのサポートなどを行います。支援する対象者は従業員「個人」と企業「組織」です。
そのなかで精神保健福祉士は、産業医や臨床心理士、産業カウンセラーと連携して、個別相談やメンタルヘルスに関する教育や研修などを担当します。

司法の分野で活躍する精神保健福祉士

司法の分野で活躍する精神保健福祉士は、社会復帰調整官や精神保健参与員として、犯罪の被害者の支援や罪を犯した人の社会復帰などをサポートする仕事です。保護観察所や刑務所、更生施設などで、弁護士や検察官、関係機関と連携・協働します。

罪を犯した人には、心の病気や障がい、経済的な理由、社会的な孤独などさまざまな背景があります。精神保健福祉士は、罪を犯した人と対話を重ね、心の問題や社会問題と向き合うことが役割です。

また、再犯を防止するために、周囲の環境の改善も重要な仕事です。たとえば、矯正施設では出所者に対して、仕事や住居などの生活基盤を整え、地域生活に定着するように支援します。

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4.精神保健福祉士の仕事内容とは?

精神保健福祉士の仕事内容は、勤務する分野によっても異なります。主な仕事内容は、心に病気や障がいを抱える方の相談に応じ、日常生活上の課題解決や社会復帰などに向けてサポートすることです。

たとえば、精神科病院に入院中の患者さんは、退院後すぐに就労することが難しい場合があります。そこで就労支援施設を紹介し、徐々に社会復帰できるようにサポートを行います。仕事内容は分野ごとで異なるため、以下で詳しく見ていきましょう。

【医療分野】精神保健福祉士の仕事内容

医療分野で活躍する精神保健福祉士の主な仕事内容は以下のとおりです。

  • 相談室や病棟における相談援助業務
  • デイケアなどでリハビリテーションプログラムの提供
  • 地域医療連携
  • 訪問支援
  • 患者さんの権利擁護
  • 地域住民のメンタルヘルスの維持・増進への貢献

医療分野における精神保健福祉士は、すべての患者さんが平等に医療を受けられるようにサポートし、よりよい生活を送れるようにするのが仕事です。特に医療分野では、医師や看護師などの医療職と連携し、適切な医療サービスを提供できるようにしなければなりません。

精神保健福祉士はチーム医療のなかで、心理・社会的側面を含めた包括的な取り組み方針をチーム内で共有することが大切な役割です。そのためには、患者さんの視点に基づいた情報収集・整理を行う必要があります。

また、精神医療においては病状により、患者さんを隔離・身体拘束などを行う場合があります。これらの業務に関わる場合は、より人権意識を研ぎ澄ましながら、業務を遂行しなければいけません。

【地域分野】精神保健福祉士の仕事内容

地域分野における精神保健福祉士の主な仕事内容は以下のとおりです。

  • 相談援助業務
  • 地域移行支援
  • 地域定着支援
  • 就労支援
  • 居住支援

地域で働く精神保健福祉士は、心に障がいを抱える方が地域社会で安心して暮らせるように支援する役割があります。そのためには、社会に存在するさまざまな障壁を取り除き、地域全体で障がいを抱える方を支える環境づくりが必要です。

たとえば、精神科病院に20年間入院していた方が「自分も1人暮らしをしてみたい」という希望を叶えるために、住まいを見つける支援や生活スキルを身につけるための訓練など、必要な準備を進めます。他にも地域の医療機関や行政機関などと連携し、退院後も継続的な支援を受けられる体制を整えるのも重要な役割です。

福祉に関わる問題が複雑化するなか、精神保健福祉士が行う業務は多様化し、求められる専門性も広がりをみせています。そのため、地域分野では行政や医療機関、福祉サービスを提供する事業所などとの連携が欠かせません。

【行政分野】精神保健福祉士の仕事内容

行政分野で働く精神保健福祉士の業務範囲は幅広く、以下のような内容が挙げられます。

  • 保健・医療・福祉に関する計画の策定
  • メンタルヘルスに関する研修や普及活動
  • 通院や入院に関する事務作業
  • 精神障害者保健福祉手帳の発行手続き
  • 相談援助業務
  • 新しい法律に対応した地域サービスの提供

なかでも、地域住民のメンタルヘルス向上は大きな役割のひとつです。心に障がいを抱える方が必要なサポートを受けられるように、行政や医療機関などと連携して活動します。

たとえば、父親から引きこもりの息子に関する相談を受けたケースでは、精神保健福祉士が息子の状況と意向をしっかりと把握し、必要な行政サービスに繋げて問題解決に導いた例があります。最適な行政サービスを提供するためには、本人の希望を尊重し、権利を守ることが大切です。

また、行政機関は住民が相談先として最初に頼る場所ですが、申請手続きが煩雑でわかりにくいという課題があります。そのため、正確でわかりやすい情報提供を行い、住民が安心して相談できる環境づくりを行うのも精神保健福祉士の仕事です。

【学校教育分野】精神保健福祉士の仕事内容

学校教育分野における精神保健福祉士の仕事内容は、自治体によっても異なりますが、

  • 生徒や保護者との面接
  • 家庭訪問
  • 教員のメンタルヘルス向上
  • 学校のチーム体制の整備
  • 他機関との連携・調整

などが挙げられます。学校教育分野の精神保健福祉士は、スクールソーシャルワーカーやキャンパスソーシャルワーカーとして配置されます。スクールソーシャルワーカーの役割は、子どもの福祉と利益を優先して業務を行うことです。

最近では、教員へのメンタルヘルス向上や学校のチーム体制の整備など、活動範囲が広がっています。なかでも、子どもや保護者、教員が抱える精神的な課題へのサポートが重要となっており、精神保健福祉士の専門性が期待されている分野のひとつです。

また、精神的な課題は複雑なもので、周囲の人間や環境だけでは問題解決が難しい場合もあります。そのため、行政機関や医療機関、児童相談所、障がい福祉サービス事業所、関係団体などとの連携・調整も精神保健福祉士の重要な仕事です。

【産業分野】精神保健福祉士の仕事内容

産業分野で働く精神保健福祉士の仕事内容は以下のとおりです。

  • 従業員の上司などへの情報提供
  • 会社全体の働き方の改善につながるコンサルテーション
  • 従業員との面談・指導、ヒアリング
  • ストレスチェックの実施
  • 企業のメンタルヘルスに関する知識の向上
  • 医療機関や専門相談などの他機関につなぐ支援
  • メンタルヘルス研修の実施

産業分野における精神保健福祉士の活躍の場は広がっており、企業等外のEAP機関、精神科クリニックのリワーク・デイケア、精神科病棟のストレスケア病棟などが挙げられます。

産業分野における精神保健福祉士の役割は、企業で働く従業員が自分らしく働けるように、環境の整備を進めることです。特に精神保健福祉士には、以下の3つの役割が求められています。

1つ目は障がいの有無に関わらず、従業員の能力を最大限発揮できるように支援することです。従業員の強みを活かせるように、その上司や同僚に対するコンサルや適切な情報提供を行います。

2つ目は、ストレスへの予防的取り組みです。ストレスチェックやストレス対策の研修、医療機関への紹介などを行います。

3つ目は、従業員のワークライフバランスの実現です。生き方・暮らし方にも寄り添い、必要な支援やサービスについて一緒に考えていきます。

上記のとおり、産業分野における精神保健福祉士には、幅広い役割が期待されています。しかし、精神保健福祉士が産業分野のスタッフとして配置されているケースはまだまだ少ないのが現状です。

精神保健福祉士の一日の流れ

前述したとおり、精神保健福祉士の業務内容は分野ごとでも大きく異なります。以下では、精神科病院で働く精神保健福祉士(デイケア担当)を例に、1日のスケジュールを紹介します。

08:30 朝礼、申し送り、1日のスケジュール確認
09:00 デイケア利用者さんの受け入れ
10:00 プログラム準備・参加
12:00 お昼休み
13:00 患者さんやご家族との面談
15:00 カンファレンスの参加
16:00 記録業務、行政機関へ連絡・調整
17:00 引き継ぎ、申し送り
17:30 退勤

比較的大規模の精神科病院では、入院病棟担当、外来担当、デイケア担当に分けることが多いです。そのため、精神保健福祉士の仕事内容やスケジュールも担当によって異なります。
また、退勤後に勉強会や打ち合わせが設定されることも珍しくありません。

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5.精神保健福祉士の年収は?

公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表している「令和2年度就労状況調査」によると、精神保健福祉士の平均年収は404万円です。前回の調査(平成27年度)では、精神保健福祉士の平均年収は347万円となっており、57万円高くなっています。

男女別でみると、男性の精神保健福祉士の平均年収は463万円です。前回調査(403万円)と比較して60万円高くなっています。一方で、女性の精神保健福祉士の平均年収は377万円で、前回調査(321万円)と比較して56万円高くなっています。

男女の平均年収を比較すると、86万円の差がありました。上記の調査結果からわかることは、精神保健福祉士の平均年収は徐々に高くなっているということです。
ここからは、「令和2年度就労状況調査」のデータをもとに、性別・年代別、施設・事業所別の平均年収を紹介します。

出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター|令和2年度(2020年)精神保健福祉士就労状況調査実施結果報告書

性別、年代別の平均年収

精神保健福祉士の平均年収を性別、年代別でみると、以下のとおりです。

男性

女性

20代

325万円

311万円

30代

420万円

351万円

40代

492万円

399万円

50代

541万円

451万円

60代

407万円

321万円

男性・女性ともに、年齢を重ねるごとに年収が上がる傾向にあります。管理職などの役職が増える50代でピークを迎えます。60代になると年収がガクッと落ちますが、これは定年を迎えて正規雇用から非正規雇用に切り替える方が多いからです。

【施設・事業所別】精神保健福祉士の年収目安

精神保健福祉士の年収は、勤務する施設・事業所によっても大きく変わります。以下の表では、精神保健福祉士の就職先として人気の高い施設・事業所から順に平均年収を紹介していきます。

施設・事業所 平均年収
精神科病院 384万円
精神科以外の医療機関 427万円
障害者支援施設 391万円
就労支援事業所 370万円
相談支援事業所 386万円
市役所、町村役場 464万円
地域包括支援センター 398万円
市区町村社会福祉協議会 439万円
その他障害福祉サービス事業所 400万円
居宅介護支援事業所 381万円

上記の中で最も平均年収が高かったのは、市役所・町村役場の464万円でした。また、精神保健福祉士が就職する施設・事業所全体でみると、「その他の司法関係」の平均年収690万円が最も高く、次いで「保護観察所、地方更生保護委員会」の647万円となっています。

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6.精神保健福祉士のやりがいと大変さ

精神保健福祉士はやりがいが多い仕事である一方、大変なところも多いです。精神保健福祉士の仕事に興味がある方は、この2つのバランスを考慮して自分が本当に目指すべきか判断するようにしましょう。

精神保健福祉士のやりがい

精神保健福祉士のやりがいは、自分の支援によって、心の病気や障がいを抱える方の悩みや困りごとが解決されたときです。支援する対象者やご家族は、仕事や学校での問題、生活、経済的な問題などさまざまな悩みを抱えています。

精神保健福祉士は、患者さんに真摯に向き合い、問題を解決する手助けをする仕事です。それでもなかなか前に進まないこともあります。
そのような状況でも、最後まで諦めず患者さんを支援し、改善されたときは自分のことのように嬉しくなるでしょう。

精神保健福祉士の大変さ

精神保健福祉士の大変さは、人の心という複雑で難しい問題に向き合うことです。同じ精神的な障がいをもつ患者さんでも、生活環境や人間関係、過去のトラウマなどはまったく異なります。

たとえば、「Aさんには〇〇によって解決できたけど、Bさんにはまったく効果がなかった」というケースも少なくありません。心の問題はじっくり時間をかけて解決する必要があるため、いつまで経っても努力が報われないこともあります。そういった心の問題の複雑さに、大変さを感じる方も多いです。

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7.精神保健福祉士に向いている人

精神保健福祉士に向いている人の特徴を以下の職場別に解説します。

  1. 精神科病院
  2. 障害者支援施設
  3. 就労支援施設

1.精神科病院

精神科病院の精神保健福祉士に向いている人の特徴は、コミュニケーションを取るのが好きな人やテキパキと動ける人です。精神科病院では、多職種・他機関との連携が求められたり、患者さんの書類作成の補助を行ったりします。業務の範囲も幅広いため、テキパキと動ける人が向いています。

2.障害者支援施設

真摯に業務に取り組める人は、障害者支援施設に向いているでしょう。自宅で生活するのが困難な方が入所しているため、介護業務が発生します。ルーティンワークになりがちな業務を真摯に取り組める人には向いています。

3.就労支援施設

就労支援施設の精神保健福祉士に向いている人の特徴は、相手の状況に応じて適切な判断が行える人です。就労支援施設では利用者さんの適性に応じて、仕事に必要なスキルの獲得、職場定着を支援します。人によって理解度やスキルが身につくスピードが異なるため、一人ひとりに寄り添って適切な判断ができる人に向いているでしょう。

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8.精神保健福祉士の将来性

精神保健福祉士をネット検索をすると、「精神保健福祉士 仕事ない」「精神保健福祉士 やめたほうがいい」という言葉が目に入り、不安に思った方も多いのではないでしょうか。しかし、数ある福祉職のなかでも、「精神保健福祉士は将来性がある」と筆者は断言します。

ここでは、精神保健福祉士に将来性がある理由を解説します。精神保健福祉士の仕事に興味のある方や、精神保健福祉士からキャリアチェンジを考えている方は参考にしてください。

精神保健福祉士の活躍の場は広がっている!

「精神保健福祉士に将来性がある」と断言できる理由は以下のとおりです。

  • 精神疾患の患者数が増えている
  • 活躍の場が広がっている
  • 求人数が増えている

それぞれ解説します。

1.精神疾患の患者数が増えている

精神保健福祉士に将来性がある1つ目の理由は、支援する対象者である精神疾患の患者数が増加している点です。厚生労働省が公表している「精神医療について(その1)」によると、2020年時点の精神疾患の総患者数は、約614.8万人となっています。

2017年のデータでは患者数が419.3万人です。たった3年で200万人近くの精神疾患の患者さんが増えています。今後もさらに精神疾患の患者数が増加すると予想できるため、精神疾患の支援に特化した精神保健福祉士の需要も高まるでしょう。

出典:厚生労働省|精神医療について(その1)

2.活躍の場が広がっている

精神保健福祉士の就職先は、福祉・介護・医療の分野で7割以上を占めています。しかし最近では、学校や企業、行政機関、司法などさまざまな分野で活躍する精神保健福祉士も増えてきました。

精神保健福祉士の活躍の場が広がっている背景には、心の問題が社会問題として重要視されるようになったことが挙げられます。また、精神保健福祉士の名称がPSWからMHSWに変更されたのも、活動領域の拡大が反映されているからです。活躍の場が広がることで、精神保健福祉士の需要も高まります。

3.求人数が増えている

精神疾患の総患者数の増加や、精神保健福祉士の活躍の場が広がっているということは、求人数も増加しているということです。特に「障害者雇用促進法」により、雇用障がい者数の増加や企業の法定雇用率の引き上げなどがあり、就労支援施設の求人が増加しています。

求人数が増加傾向にあるなか、精神保健福祉士の数が足りていないのが現状です。そのため、需要が高まる中で精神保健福祉士の評価も上がり、年収も増加しています。これらの理由から、精神保健福祉士に将来性があるといえるでしょう。

精神保健福祉士の仕事はAIに奪われない

今ある仕事のうち、約47%がロボットやAIに取って代わられるといわれる時代。その中でも精神保健福祉士の仕事は、AIが代替できない仕事です。

オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン著「雇用の未来」によると、AIやロボットによってなくなるリスクが低い職業の4位に「精神保健と薬物乱用の問題を支援するソーシャルワーカー」を挙げています。

精神保健福祉士の仕事は、人と人とのコミュニケーションによって成り立つ仕事です。心の問題という複雑な問題には、人の細かな配慮や思いやりが欠かせません。AIによって事務作業がなくなることがあっても、精神保健福祉士が担う人との深い関わりや個別支援は、なくなることはないでしょう。

出典:THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION? Carl Benedikt Frey† and Michael A. Osborne September 17, 2013(p57)

精神保健福祉士の資格は就職に強い

精神保健福祉士には年齢制限がなく、未経験でも活躍できる資格です。50代や60代の方も多く活躍しています。実際に、第26回精神保健福祉士国家試験を受けた方の年齢層は、50代以上が約20%を占めています。

社会人経験のある方が、第二の人生やキャリアチェンジ先として選ぶことが多いのが精神保健福祉士です。他の業界で50代や60代からキャリアを一から形成していくのは難易度が高いといえます。

しかし、精神保健福祉士を持っていれば、50代60代でも就職に困ることが少ないのが魅力です。長く続けられる職業であるため、精神保健福祉士の仕事は将来性があるといえるでしょう。

”世間的にはマイナー資格”だからこそのチャンス

「マイナー資格なのにチャンス?」と思われたかもしれません。これまでお伝えしてきたように、精神疾患の患者数は増加しています。需要に対して精神保健福祉士の数が少ないため、活躍できるチャンスが広がります。

実際に、精神保健福祉士の受験者数をみると、

2018年:6,779人
2019年:6,633人
2020年:6,165人
2021年:6,502人
2022年:7,024人

出典:厚生労働省|精神保健福祉士国家試験の受験者・合格者の推移

となっており、年々減少傾向だったのが2021年から増えつつあります。これは、精神保健福祉士が徐々に認知されてきたともいえます。心の病や障がいに注目が集まっている今、精神保健福祉士の需要はさらに高まっていくでしょう。

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9.まとめ

精神保健福祉士(MHSW)とは、心に病気や障がいを抱える方やそのご家族の日常生活上の課題解決や社会復帰を支援する仕事です。人の心という複雑で難しい問題に取り組む必要があるため、大変なこともあります。

しかし、人の人生という大きなテーマに関わり、人を幸せに導く仕事はやりがいも多いです。社会人から精神保健福祉士を目指す方も多く、国家試験の合格者の60%以上が30歳以上です。

さらに、年収も上昇傾向にあるため、今後も需要のある職業といえます。精神保健福祉士の仕事に少しでも興味のある方は、一度求人情報を確認して仕事のイメージを掴んでみてはいかがでしょうか。

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セカンドラボ株式会社

URL:https://www.2ndlabo.co.jp

神奈川県鎌倉市生まれ。
2019年4月にセカンドラボ株式会社にアサイン。
求人原稿作成やコンテンツ記事執筆、ライティングに関わる仕事をメインにしています。
休日は所属する3つのオーケストラでの活動や登山、旅行とアクティブに過ごしています。

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