精神保健福祉士は病むって本当?つらい・辞めたいと思う理由と対処法
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「精神保健福祉士の仕事に興味はあるけど、病むって話を聞いて不安になっている」
「現役保健福祉士として頑張ってきたけど、仕事が辛くなってきた」
「精神保健福祉士として働くうえで大変なことを知っておきたい」
このような悩みはありませんか?
本記事では、精神保健福祉士が仕事で病む理由や病みやすい人の特徴、辛くなったときの対処法を解説します。この記事を読めば、なぜ精神保健福祉士の仕事が「病む」「やめたほうがいい」と言われているのかがわかり、自分に務まりそうかどうかの判断材料になるでしょう。
これから精神保健福祉士を目指す人も、現役の精神保健福祉士の人も、ぜひ参考にしてください。
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1.精神保健福祉士が仕事で病む理由は?
なぜ、精神保健福祉士の仕事は「病む」と言われているのでしょうか。まずは、その要因を探っていきます。
精神保健福祉士の国家試験を実施している公益財団法人社会福祉振興・試験センターが行った「令和2年度就労状況調査」によると、離職理由(複数回答)に「心身の健康状態の不調」を挙げた人は22.6%、「職場の雰囲気や人間関係に問題があった」を挙げた人は35.9%となっています。
前の職場を辞めた理由(複数回答) |
回答数 |
割合 |
心身の健康状態の不調 |
3,550人 |
22.6% |
職場の雰囲気や人間関係に問題があった |
5,628人 |
35.9% |
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また、厚生労働省が公表している「令和4年度過労死等の労災補償状況」によると、医療福祉業界は全業種の中で、最も精神障害における労災補償の請求件数が多いです。つまり、医療・福祉業界の問題として、精神疾患にかかるリスクが高いといえます。
とはいえ、医療・福祉業界に限らず、他の業界も仕事は辛いはずです。ここでは、精神保健福祉士に特有の病む理由を解説します。
国家資格なのに年収が低い
精神保健福祉士は国家資格にもかかわらず、年収が低いといわれています。その理由として、精神保健福祉士資格は、医師や看護師、弁護士のような業務を独占的に行える国家資格ではないからです。精神保健福祉士と名乗れるのは資格保有者だけですが、実際に行う業務は資格を持っていない人も行えます。
では、精神保健福祉士はどの程度の年収なのでしょうか。公益財団法人社会福祉振興の就労状況調査(令和2年度)結果報告書によると、精神保健福祉士の平均年収は404万円となっています。
出典:公益財団法人社会福祉振興・試験センター|社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士就労状況調査(令和2年度)結果報告書
国税庁が発表した「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は458万円なので、仕事内容の割に給料が見合っていないと感じる人が多いようです。
やりたい仕事を任せてもらえない
精神保健福祉士として、やりたい仕事を任せてもらえないストレスから「病む」人もいらっしゃいます。精神保健福祉士の仕事は、精神的な病や障がいを抱えた人の相談業務や社会復帰の支援などです。
しかし、職場によっては雑務が多かったり、介護業務を任されたりすることもあります。特に医療機関や障害者福祉分野で働くと、人手不足などの理由から、配属希望が通らないケースも少なくありません。
また、相談業務を行う仕事で避けては通れないのが、クレーム対応です。自身が原因で発生したクレームではなくても、相談しやすい精神保健福祉士にクレームを伝える場合もあります。そのクレーム処理で心が病む人も多いです。
職場の人間関係に悩む
「職場の人間関係が一番の悩み」という人も少なくありません。精神保健福祉士の仕事上、多職種と連携しながら業務を進めるため、コミュニケーションに苦労することがあります。
たとえば、利用者さんの希望と上司からの指示が違う場合は、精神保健福祉士が間に入って話し合いを進めなければなりません。このように、利用者さんと他職種の間で板挟みになる大変さがあります。
また、精神保健福祉士は、医療機関で働く医師や看護師などの医療職よりも、立場が弱くなりがちです。そのため、雑務を押し付けられたり、こちらの提案を無視されたりすることもあります。これをいじめと捉えて悩む人もいらっしゃるでしょう。
もちろんこれは、相手の人間性の問題なので、すべての人に当てはまるわけではありません。
利用者からの暴言や暴力
精神保健福祉士が対応する利用者さんは、主に精神疾患を抱えている人です。その症状として、暴力を振るわれたり、暴言を吐かれたりすることもあります。そのような症状に精神的に疲れてしまい、離職する人も多いです。
しかし、精神保健福祉士として病気に理解がある人は、冷静に、上手に対応している人もいらっしゃいます。とはいえ、精神疾患への対応は難しく、暴言や暴力が立て続けに起これば、大きなストレスを抱えることになるでしょう。
担当患者の入院
担当患者さんが入院することで、自責の念を抱く人も多いです。精神保健福祉士は利用者さんが再入院しないように、日々考えながら業務に取り組んでいます。
そのなかで、支援対象者のうつ病や統合失調症などの症状が悪化すれば、入院になってしまいます。「自分は精神保健福祉士に向いていないのではないか」と、自分を責める人も少なくありません。
それほど真剣に利用者さんと向き合ってきたということです。しかし、「もっとこうしておけばよかった」「なぜ別の対応を取らなかったのだろう」と責任感を感じ、自身の精神的な悩みにつながるケースもあります。
スカウトサービス登録はこちら2.精神保健福祉士の仕事で病みやすい人の特徴
ここでは、精神保健福祉士の仕事で病みやすい人の特徴を解説します。その特徴は以下の5つです。
- まじめで責任感が強い
- 自己肯定感が低く、完璧を目指してしまう
- 感情移入しすぎてしまう
- 仕事上のコミュニケーションが苦手
- 仕事のオンオフが切り替えられない
それぞれ解説します。
1)まじめで責任感が強い
まじめで責任感が強いことは、精神保健福祉士の仕事において大切な要素です。しかし、まじめで責任感が強い人ほど、精神をすり減らす傾向があります。精神保健福祉士として、利用者さんに解決策を提供する責任感から、過度なプレッシャーを感じることも少なくありません。
2)自己肯定感が低く、完璧を目指してしまう
自己肯定感が低い人は、「絶対に失敗できない」と完璧を目指す傾向があります。仕事でミスをすると、「自分はダメな人間だ」「自分は精神保健福祉士に向いていない」などと精神的に追い詰めてしまうパターンが多いです。「完璧でなくても自分はこれでいい」という自己肯定感を持つことが大切です。
3)感情移入しすぎてしまう
精神保健福祉士の仕事は、心の問題と向き合う仕事です。たしかに、対象者が持つ感情に共感することは大切です。しかし、過度に感情移入してしまう人は、心を病む傾向があります。「今抱いている感情は誰のものか」「平常心を保てているか」「自分の感情を自覚できているか」といった自己点検が大切です。
4)仕事上のコミュニケーションが苦手
精神保健福祉士は、利用者さんやご家族、多職種などさまざまな人とコミュニケーションを取ります。そのため、円滑な人間関係を構築できる程度のコミュニケーション力は必要です。コミュニケーションが苦手な人は、利用者さんや多職種との関係がうまくいかず、大きなストレスを抱えることになるでしょう。
5)仕事のオンオフが切り替えられない
仕事のオンオフが切り替えられないのも、病みやすい人の特徴です。精神保健福祉士は精神的な悩みを抱える人の相談に乗るため、精神的な負担も大きくなる傾向があります。オンオフの切り替えやリフレッシュすることが苦手な人は、病みやすい特徴に当てはまるでしょう。
スカウトサービス登録はこちら3.精神保健福祉士の仕事が辛くなった時の対処法
精神保健福祉士の仕事が辛くなったときは、以下の対処法を試してみてください。
- プライベートの時間を充実させる
- 「仕事だけの関係」と割り切る
- 周囲に積極的に助けを求めてみる
- 相談窓口など外部機関を利用してみる
- 今の職場を辞めて転職する
一つずつ解説します。
1)プライベートの時間を充実させる
仕事が辛いと思ったら、プライベートの時間を充実させてみてはいかがでしょうか。精神保健福祉士の仕事が大変になってくると、プライベートの時間を後回しにしがちです。
しかし、趣味に時間を使ったり、友人と遊んだりするなど、プライベートの時間を取ることも大切です。プライベートの時間を充実させることで、仕事のモチベーションも向上します。
プライベートを充実させるためには、オンオフの切り替えが必要です。仕事だけでなく、プライベートにも目を向けて、人生を充実させましょう。
2)「仕事だけの関係」と割り切る
仕事をするなかで、どうしても価値観や考え方が合わない人はいます。同僚や上司、利用者さん、ご家族などさまざまな人と関わるため、馬が合わない人がいて当然です。
そういった人たちと関わるのが辛いときは、「仕事だけの関係だから」と割り切ってみてください。同僚や上司に関しては、無理に関係を改善しようと思うのではなく、「仕事上の付き合いだけ」と割り切ると、気にならなくなります。
利用者さんやご家族の場合は、信頼関係を構築しつつも、プライベートまで感情を持ち込まないことです。仕事とプライベートは切り離して考えるようにしましょう。
3)周囲に積極的に助けを求めてみる
精神保健福祉士の仕事が辛いときは、1人で抱えず、周囲に相談してください。1人で悩んでいると、「苦しい」「辛い」「不安だ」といったような悩みが堂々巡りし、いつまで経っても状況が変わりません。
仕事が辛いと感じている場合は、信頼のおける同僚や上司、友人、家族に悩みを打ち明けてみましょう。話すことで考えや悩みが整理され、解決策が見つかるかもしれません。
周囲に助けを求める人がいなければ、紙に悩みや辛い状況を書き出してみるのもおすすめです。客観的にものごとを見られるようになり、落ち着いて次の行動に移せるようになります。
4)相談窓口など外部機関を利用してみる
今の辛さが、いじめやセクハラ、パワハラからきている場合は、相談窓口などの外部機関を利用しましょう。いじめやハラスメントについて相談ができる機関があるので、1人で悩まず、適切なアドバイスをもらうことが大切です。
下記のページでは、厚生労働省が管轄する各種相談窓口のリンクが掲載されています。いじめやハラスメントだけでなく、メンタルヘルスに関する相談ができるページもあるため、チェックしてみてください。
5)今の職場を辞めて転職する
今の環境でできることはしたうえで、それでも辛い場合は、今の職場を辞めて転職することをおすすめします。もしくは、すでにメンタル不調の症状が出ている場合は、すぐに離職すべきです。
メンタル不調を抱えたまま仕事を続けてしまうと、仕事のパフォーマンスが下がったり、症状が悪化したりして、取り返しのつかないことになります。転職活動は、基本的に在職中に行うのがよいですが、どうしても辛い場合は、離職してから転職活動するとよいでしょう。
スカウトサービス登録はこちら4.まとめ
精神保健福祉士は、「病む」「やめたほうがいい」と言われることが多い仕事です。
その理由としては、
- 国家資格なのに年収が低い
- やりたい仕事を任せてもらえない
- 職場の人間関係に悩む
- 利用者さんからの暴言や暴力が辛い
- 担当患者さんの入院に責任を感じる
などが挙げられます。この記事を読むと、「精神保健福祉士の仕事は辛いことしかなさそう」と思うかもしれませんが、やりがいや魅力もあります。
重要なのは、悩みを1人で抱え込まず、誰かに相談することです。どうしても辛い場合は、転職して自分に合った職場環境で働くことをおすすめします。
この記事が、精神保健福祉士を続けるべきか、目指すべきかの参考になれば幸いです。
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