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就労継続支援a型はどんな人が対象?仕事内容や給与をわかりやすく解説

  • 更新日
投稿者:堀内 花音

障害や難病があっても、仕事をしたいと思う人は多いはずです。しかし、一般企業で働くのは、なかなか難しいというのが現実ではないでしょうか。
就労継続支援a型は、そんな人たちが利用できる障害福祉サービスです。その人の障害や病気の状態に合わせて、仕事や作業を行い、給料をもらうことができます。
今回は就労継続支援a型について、どんな人が利用できるのか、また仕事内容や給料、利用方法などを詳しく解説します。

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1.就労継続支援a型とは?

2013年に、障害者の日常生活と社会生活を総合的に支援することを目的とした「障害者総合支援法」が成立しました。「就労継続支援a型」は、この法律による就労支援に関する福祉サービスのひとつです。

ここでは、就労継続支援a型について、わかりやすく解説していきます。

一般企業で働くことの違い

一般企業も就労継続支援a型も、働く時に雇用契約を結ぶところは同じですが、就労継続支援a型は働くためのサポートを受けることができます。

その人の障害や能力を考慮して、仕事の内容や働く時間を調節してくれるのです。障害や特性に理解がある職場なので、安心して働けます。

就労継続支援b型との違い

就労継続支援には、a型だけでなくb型もあります。この2つの大きな違いは、雇用契約をするかどうかになります。a型は雇用契約を結びますが、b型はその必要がありません。そのため、a型は収入の安定や社会保険の適用で、安心して働くことができます。

b型は年齢や体力面の問題で、a型の事業所で採用されなかった人などが多く、働く時間もっ短く給料も低くなります。

就労移行支援との違い

就労移行支援は、一般の企業で働くことを目指すものです。就労継続支援のa型とb型のいずれも給与がもらえるのに対し、就労移行支援では給与がもらえないことがほとんどです。そのかわりに、一般企業で働けるスキルを身につけることができます。

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2.就労継続支援a型の利用者はどんな人

誰もが就労継続支援a型を利用できるわけではありません。では、どんな人が利用できるのでしょうか? ここからは、就労継続支援a型を利用できる条件について解説していきます。

障害がある人のためのサービス

就労継続支援a型は障害福祉サービスのため、何らかの障害がある人が対象になります。その生涯は、次のようなものになります。

  • 精神障害(うつ病、適応障害、統合失調症、不安障害、パニック障害、てんかん、高次脳機能障害など)
  • 発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群、学習障害、吃音症など)
  • 知的障害
  • 身体障碍
  • 難病

医師の診断があれば、障碍者手帳を持っていなくても利用できる可能性があります。手帳がなくても、申請を出して自治体が許可すれば、誰でも利用することができます。

支援があれば雇用契約をして働ける人

実際に働くことができる人であることが重要なので、次のような条件を満たすことが原則になっています。

  • 働いた経験があるが、今は働いていない
  • 就労移行支援サービスを利用して就職活動をしたことがあるが、一般企業など通常の会社で採用されなかった
  • 特別支援学校を卒業後、就職活動をしたが一般企業など通常の会社で採用されなかった これはあくまでも原則で、自治体によって条件が違うことがあります。

年齢や利用期間の制限はあるの?

就労継続支援a型には年齢制限があり、原則として18歳~65歳の人が利用できます。ただし、65歳になる前日までに就労継続支援a型の正式な利用者になっていれば、その後も続けて利用することができます。

就労継続支援a型の雇用契約には、特に期間の制限はありません。同じ事業所でずっと働き続けることもできるし、スキルを身につけて一般企業に就職することもできます。

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3.就労継続支援a型の仕事はどんな内容?

就労継続支援a型は障害や病気があっても、さまざまな支援を受けて働くことができる福祉サービスです。では実際にはどんな所で、どのような仕事をするのでしょうか。

ここからは、就労継続支援a型の仕事の内容について詳しく解説します。

どんな所で働くの?

就労継続支援a型は、「就労継続支援a型事業所」に就職することになります。就労継続支援a型事業所は、社会福祉法人やNPO法人、民間企業などの経営で、全国に約4,000か所あります。

この事業所内で働くこともあれば、仕事の内容によっては、他の場所に行って働くこともあります。 就労継続支援a型事業所で働く人の定員は10名以上と定めれているのですが、ほとんどのところが10名程度です。 労働者10名に対して次の人員が各1名以上います。

管理者

管理者は社会福祉に関する科目を、大学や専門学校で履修して卒業した社会福祉士で、社会福祉主事任用資格を持っている人です。

サービス管理責任者

障害福祉サービスの提供に係るサービス管理を行う人で、利用者のアセスメントの実施や、個別支援計画の策定や評価など、全体を管理する人です。社会福祉士や介護士の資格を持っている人や、福祉に関する実務経験のある人になります。

生活支援員

障害を持った人の食事の介護や生活サポートを行う人で、就労継続支援a型事業所の場合、健康管理の指導なども行います。

職業指導員

利用者に、仕事で必要な知識や技術を指導する人で、実際に仕事を教えてくれる人です。 障害を抱える人が、仕事そのものに慣れるために指導や支援をする役目もあり、利用者の症状や適性を判断して職業訓練を行います。

管理者に常勤の義務はなく、生活支援員と職業指導員は、どちらかが常勤していればいいことになっています。

どんな仕事をするの?

仕事の内容は事業所によってさまざまです。企業などからの仕事を受注している作業所もあれば、作業所独自で事業を行っているところもあります。

以前はパンや手芸品を作る仕事などが多かったのですが、最近はパソコンを使った仕事も増えてきています。新型コロナウイルスの感染拡大以降は、在宅で働けるところも増えています。 就労継続支援a型事業所では、次のような仕事をすることができます。

  • パソコンを使ったアンケートの集計やデータ入力
  • 書類整理や伝票整理
  • 商品発送のための梱包作業
  • インターネットオークションの出品代行
  • 記事の編集やライティング
  • システム開発・運用アシスタント
  • レストランやカフェでの接客・調理
  • パンやお菓子、アクセサリー、雑貨などのものづくり
  • 倉庫での軽作業やピッキング
  • 車の部品などの加工
  • 農作業
  • ホテルやビルの清掃
  • 介護
  • 配送、宅配の補助作業

労働日数と労働時間は?

1日の労働時間は、事業所や利用者によって違いがありますが、おおむね4時間から6時間の間で働いています。1週間に20時間以上働いている人が多いのですが、1日4時間程度の人が最も多いようです。 就労継続支援a型事業所で、1日8時間のフルタイムで働くことも可能ですが、実際フルタイムに対応している事業所はあまりありません。また、残業もほとんどないので、定時で帰ることができます。

就労継続支援a型は週3日程度から仕事を始めることができる事業所もありますが、週5日の所が多いようです。完全週休2日制のところがほとんどなので、週5日働くことになります。 基本的には週5日しっかり働けることが条件になっています。しかし、体調不良の時にはちゃんと休むことができるので、無理なく働くことが可能です。

最初のうちは、少ない勤務時間や日数で、徐々に増やしていくこともできるので、事業所に相談して決めていくといいでしょう。

出典:厚生労働省「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定検証調査 調査結果報告書 」

有給休暇はある?

就労継続支援a型は、事業所と雇用契約を結ぶため、一般企業と同じ労働基準法が適用されます。労働基準法では、有給休暇が決まっているので、就労継続支援a型の人も有給休暇をもらうことができます。

有給休暇は、次の条件を満たせばもらうことができます。

  • 6か月間継続して働いている
  • 決められた労働日の80%以上出勤している

有給休暇は、勤続年数によって1年でもらえる日数が変わり、その日数は次の通りです。

勤続勤務年数 付与日数
6か月 10日
1年6か月 11日
2年6か月 12日
3年6か月 14日
4年6か月 16日
5年6か月 18日
6年6か月以上 20日

1週間に働く日数が4日以下で、1週間の勤務時間が30時間未満でも有給休暇をもらうことができます。

社会保険に加入できる?

就労継続支援a型に限らず、全ての働く人は勤務時間や日数などの条件に当てはまれば、社会保険に加入することができます。社会保険は5つの種類があり、加入するとそれぞれ次のようなメリットがあります。

厚生年金保険

国民年金に上乗せした年金がもらえるようになります。この他、条件によっては障害年金や遺族年金で受け取る額が増えることもあります。また、自分の保険料が下がったり、扶養している配偶者の国民年金保険料をまかなうことができたりします。

健康保険

国民健康保険に代わる医療保険に加入できます。医療費が3割負担になって、保険料も国民健康保険より安くなります。

介護保険

40歳以上なら介護保険にも加入できます。将来、介護が必要になった時に、介護サービス料が1割~3割負担に減らすことができます。条件によっては、保険料が安くなることもあります。

雇用保険(失業保険)

失業した時や、育児休暇中に給付金が貰える保険です。ケガや病気などで失業を余儀なくされた場合、その間に給付金がもらえるので、生活が楽になります。

労災保険

仕事中や通勤途中のケガなどに、補償金がもらえる保険です。

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4.就労継続支援a型の給料は?

働く時に最も気になるのは、給料ではないでしょうか。そんなに多くを望んでいなくても、あまり安すぎるのも困ります。 ここからは、就労継続支援a型の給料について解説していきます。

1か月にもらえる金額はいくら?

厚生労働省によると、就労継続支援a型事業所の平均賃金は月額81,645円でした。(2022年)一般企業と比べると少ない印象を受けますが、1日の労働時間や1か月の労働日数が少ない人が多いので、そんなに少ないわけではありません。また、2021年は79,625円だったため、前の年より増加していることがわかります。

給料の金額は、作業する仕事の内容によって差があるので、毎月10万円以上稼いている人もたくさんいます。 ちなみに障害年金2級の1ヶ月分の支給額は66,250円なので、就労継続支援a型事業所で働く方が、収入が多くなることが分かります。

また、障害年金をもらいながら就労継続支援a型事業所で働くこともできます。その場合は、合計して月に140,000円~150,000円の収入を得ることになります。

出典:厚生労働省「令和3年度工賃(賃金)の実績について 」

出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額 」

最低賃金は適用されるの?

働くすべての人は原則として、どのような雇用形態であっても、法律で定められた最低賃金以上の金額をもらうことができます。最低賃金は都道府県によって金額が違っていて、ここ数年は毎年上昇していて、例えば東京都の最低賃金は1,113円です。

就労継続支援a型も、もちろんこの最低賃金以上の給与が保障されています。東京都の最低賃金(時給)は2023年10月から1,113円になっています。

手取りはどのくらいになる?

働いてもらうことができる給料から社会保険料が引かれた金額を「手取り」と言って、それが実際にもらえる給料になります。雇用保険は必ず引かれるのですが、だいたい月300円くらいです。他に厚生年金や健康保険に加入している場合も、給料から差し引かれます。

事業所によっては利用料がかかるところもあるので、その場合も給料から引かれた金額が手取りになります。

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5.就労継続支援a型の利用方法は?

就労継続支援a型を利用して事業所で働く場合、申請の手続きが必要になります。ここからは、就労継続支援a型を利用するための申請方法や、利用料について詳しく説明します。

①事業所を探す

まず、働きたい就労継続支援a型事業所を探すことから始めます。探し方は次の3つの方法があります。

  • 住んでいる市町村の障害福祉課で、紹介してもらう
  • インターネットで住んでいる地域の事業所を検索する
  • ハローワークで紹介してもらう

②見学や体験をする

希望する事業所が見つかったら、見学ができるところがほとんどなので、見学に行きます。また、体験できる事業所もあるので、その場合は体験もした方がいいでしょう。 この時に、事業所の雰囲気や他の利用者やスタッフの様子などを、しっかり観察しておきます。

③面接(選考)を受ける

就労継続支援a型は、雇用契約を結ぶ必要があるため、選考があります。これは、一般企業の面接と同じようなものです。履歴書などの必要書類を提出して、面接を受けます。

④自治体の窓口で申請する

採用が決まったら、住んでいる市町村の障害福祉課で利用申請をします。利用申請が認められたら「障害福祉サービス受給者証」がもらえます。

就労継続支援a型とb型は、この「障害福祉サービス受給者証」がなければ、利用することができません。 受給者証が交付されるまでの流れは、次の通りです。

  • 障害福祉窓口で就労継続支援の利用申請をする
  • 心身の状態などの聞き取り調査や、希望するサービスの内容などの確認を受ける
  • サービス等利用計画案を作成し、提出する
  • 障害福祉サービス受給者証が交付される

3つ目の「サービス等利用計画案」は、事業所を利用するにあたって、どんな支援が必要なのか、どんな目標があるのかなどを書いた計画書です。この計画書は障害福祉窓口などでもらうことができます。

自治体によって差がありますが、申請から受給者証が交付されるまでは、約2か月かかります。事業所と利用申請を同時にすすめると、スムーズに手続きが進みます。

⑤事業所と雇用契約を結び利用開始

障害福祉サービス受給者証が交付されたら、事業所と雇用契約をして仕事が始まります。慣れない環境で働くのは大変かもしれませんが、そのために支援してくれる人がたくさんいます。

就労継続支援a型事業所の利用料は?

就労継続支援a型事業所は働く場所ではありますが、障害福祉サービスなので、そのサービスを受ける利用料が必要になることがあります。

利用料は世帯の収入の状況によって、毎月の上限が決まっていて、1か月の利用回数が多くてもその上限を超えることはありません。 世帯収入に合わせた利用料は、次の通りです。

区分

世帯の収入

負担上限額

生活保護

生活保護受給世帯

0円

低所得

市町村民税非課税世帯

0円

一般1

市町村民税課税世帯 (所得割16万円未満)

9,300円

一般2

上記以外

37,200円

世帯収入が多ければ多いほど、利用料の上限が高くなりますが、実際に就労継続支援a型を利用する人のほとんどは、無料で利用している人ばかりです。

両親などの家族と同世帯の場合は、世帯収入が多くなって利用料がかかることがあります。その場合は「世帯分離」の手続をすれば、利用者だけの世帯にすることができるので、負担上限額が0円になる可能性があります。

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6.就労継続支援a型事業所の選び方は?

就労継続支援a型事業所は、日本全国に約4,000か所もあって、その事業内容はさまざまです。住んでいる地域によっては、近くに複数の事業所があることもあります。 ここでは、就労継続支援a型事業所の選び方について、ポイントを解説していきます。

仕事の内容で選ぶ

事業所が家から通いやすい場所にあることはもちろんですが、自分に合った仕事の内容を選ぶことが大切です。興味が持てない仕事では、長続きしない可能性があります。 事業所によっていろいろな仕事の内容があるので、自分が本当にやりたい仕事を見つけることが大切です。

給料を確認する

事業所によって給料にも差があるので、だいたいどのくらいの給料がもらえるのかを確認したほうがいいでしょう。採用してもらうのに、お金の話はしづらいと思う人もいるかもしれませんが、きちんと聞いておかないと後悔することになります。

見学をして雰囲気を確かめる

毎日通うところなので、実際に自分の目で見て雰囲気を確かめることも大切です。他の利用者や、スタッフの対応などを、しっかり観察する必要があります。 就労継続支援a型事業所は、見学ができるところがほとんどなので、気になる事業所が何か所かあったら、見学して比較するといいでしょう。

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7.就労継続支援a型から一般企業へ

一般企業には「障害者雇用枠」というものがあります。これは、病気や障害のある人に限定した雇用枠です。 採用されると一般の従業員とほぼ同じように仕事をしますが、病気や障害に対する理解や配慮があるため、働きやすい環境と言えます。

一般企業の障害者採用枠に応募するための足掛かりとして、就労継続支援a型事業所で働く人も多いようです。その理由のひとつは、一般企業のほうが給料が高いからです。 就労継続支援a型事業所でスキルと自信を身につけて、一般企業に転職するのもひとつの方法になります。

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8.まとめ

今回は就労継続支援a型について、どんな人が利用できるのか、また仕事内容や給料、利用方法などを詳しく解説しました。 就労継続支援a型は障害や病気を抱える人が、支援を受けながら働くことができる障害福祉サービスです。

就労継続支援a型事業所では、多種多様な仕事が経験できて、雇用と最低賃金が保障されるため、安心して働くことが可能です。一般の会社で働くのと同じように、決められた時間を決められた日数働く必要がありますが、障害や病気への理解があるので、働きやすい環境と言えます。

ハローワークや自治体の障害福祉課では、就労継続支援についての相談に乗ってくれますし、ほとんどの事業所では見学ができます。興味がある人は、まずいろいろな事業所の見学をしてみてはいかがでしょうか。

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URL:https://www.2ndlabo.co.jp

2022年4月よりセカンドラボ株式会社に入社。主にクリニックを中心に医療介護向け求人メディア「コメディカルドットコム」の採用課題のサポートを行う。

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