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療育とはどんな教育?どのようなことをするのか、実際に始める手順なども解説

  • 更新日
投稿者:堀内 花音

療育とは、障害をもつ子供やその可能性がある子供に対して、それぞれの障害や発達状況に応じた悩みの解決と将来の自立に向けて支援する概念になります。医療と教育を表した造語です。もともとは医療的なアプローチを含んでいましたが、現在は医療的な行為はあまり問われずに障害をもつ子供だけでなく発達が遅れている場合やその可能性がある子どもに対しても療育の対象になっています。療育が行われている機関は、それぞれの地域にある児童発達支援やデイサービス、私立の療育施設などさまざまです。

この記事では療育とはどのような教育なのか、どのようなことをしているのか、実際に始めるときの手順などを徹底解説します。

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1.療育とは?

療育とは、身体的障害・知的障害をもつ子どもや発達障害をもつ子どもたちを対象に行われる教育です。

療育という言葉は当初、身体的な障害をもつ子供に向けた医療的治療と社会参加に向けた教育を合わせたアプローチを意味していました。現在は障害をもつ子どもたちの発達を目的とする教育といった、広い意味で利用されることが基本的です。子どもの発達スピードは一人ひとり異なり、さらには抱える障害によって発達支援の方法も多様になります。療育では一人ひとりの子どもに向き合いながらどのようなアプローチで発達をサポートしていくか、障害の特性に合わせてどのようにその子どものできることを増やしていくかを計画し、支援していきます。

一例として言語を利用したコミュニケーションが苦手な子どもに対して、発声・発音の練習を提供したり、それらを用いてどうコミュニケーションをとっていくと良いかを教えたりします。これらの療育には子供たちの努力だけでなく家族のサポートも必要であるため、家族に対して支援していくこともあります。

どんな人が対象になる?

療育の対象になる人は年々増えていますが、一般的には

  • 身体障害をもつ児童
  • 知的障害をもつ児童
  • 精神的な障害をもつ児童(発達障害を含む)

児童福祉法では「児童」は18歳未満を指すことから年齢制限として18歳未満の人が対象となります。また、児童相談所や各市町村にある保健センター、医師の診断によって療育が必要と認められている児童も対象になるため、障害をもつことを証明する手帳は必須ではありません。各自治体で交付される受給者の交付を受ければ療育の支援を受けることが可能です。療育の受給者証があると療育を受ける施設の利用料のうち9割が支援されます。所属する市町村によって負担上限額も決まっており、負担する1割の負担額と上限額の安い方が実際の負担料金となります。

負担上限額は、通所受給者証に記載されており、以下のとおりです。

  • 生活保護世帯・住民税非課税世帯: 無料
  • 市町村民税課税世帯で所得割額が28万円未満の世帯: 負担上限月額4,600円
  • 市町村民税課税世帯で所得割額が28万円以上の世帯: 負担上限月額37,200円

これらと利用する施設の利用料(負担する1割)の安い方を負担します。

いつから療育は開始できる?

療育を始めるべきかという明確な基準は定められていません。一般的には1歳半検診で医師から言葉の遅れやコミュニケーションの取り方が平均よりも下回っている可能性があることが指摘され、3歳児健診までの間で療育を検討するケースが多いです。

しかし、年齢に関係なく必要と感じたタイミングでできるだけ早く開始することが推奨されています。小さいうちから療育を始めることで家族やその周囲の人が子供に対して適切な関わりを学び、理解していくことで本来持っている子供の能力を最大に引き出すことができるため、早期の療育開始が推奨されています。

発達支援とはどう違う?

療育と似たような言葉に発達支援がありますが、基本的には同じものとして扱われています。児童発達支援の言葉の定義は厚生労働省のガイドラインでは、以下のように表現されています。

  • 障害をもつ子どもに対して身体的・精神的な機能を適切に発達するように促進するためにそれぞれに応じた福祉的・心理的・教育的・医療的な援助を行う

出典:厚生労働省「児童発達支援ガイドライン」

保育とはどう違う?

子どもの支援という意味では保育とも似ていますが、保育と療育の違いとして以下があります。

  • 対象者
  • 目的
  • 指針
  • 活動方針

保育の対象者は保育が必要な子どもすべてが対象となり、障害の有無に関係なく保育を受けることが可能です。これに対し、療育は基本的に障害をもつ、発達に遅れがある、またはその可能性がある子どもたちを対象に支援していきます。

保育の目的は社会性などにフォーカスし、集団行動や社会的規範のベースを学ぶことが挙げられます。療育の目的は子どもたち一人一人に合わせてどのようなことを目的とするか変わりますが、主に発達の遅れをサポートして社会に参加できるスキルを磨いていくことが挙げられます。

一方で健康や人間関係、言語やそのコミュニケーションの取り方などのアプローチは共通しており、最終的に目指す方向性は同じとも言えます。

また、現在は保育士が療育の現場に求められています。理由として子どもの親族と密接にコミュニケーションをとるスキルや一人ひとりの子どもたちに合ったコミュニケーションの取り方やその観察ができることが挙げられます。

その反対に、療育現場で経験してきた療育保育士が通常の保育園が求めるケースも多くなってきています。背景として、障害はないけれど療育が必要であるかを適切に判断することが難しく、いわゆるグレーゾーンにあたる子どもたちが通常の保育園に入園するケースが増えているためです。療育現場の経験がない保育士にとって、このようなケースをいきなり扱うことは心理的にも不安を抱えやすい傾向にあります。保育園としてもどのように関わっていくことが正しいのかを教えて欲しいという依頼が増えています。

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2.療育を受けられる施設

療育を受けられる施設は、主に通所支援型と入所支援型の2つがあり、さらにその中でも福祉型・医療型に細分化されます。

通所支援型

ここからは、通所支援型の療育施設をご紹介します。

児童発達支援

児童発達支援施設は、小学校に入学する前の子どもたちに日常生活で必要な基本動作を指導したりする場所です。具体的にはトイレや着替え、その他の動作や集団生活をするにあたって適応できるように支援することなどが含まれます。

事務所やセンターに分類され、児童発達支援事務所の場合は中学校区に1ヶ所以上あるため、子どもたちが療育するために通いやすいようになっています。

放課後デイサービス

放課後デイサービスは、6歳から18歳までの就学児を対象にした施設です。2012年の法改正に伴い、未就学児・就学児を対象にした児童デイサービスから未就学児の「児童発達支援」と就学児の「放課後デイサービス」に分割されました。内容は児童発達支援と同じく、日常生活で必要な動作ができるように一人一人支援し、自立できるようにサポートしていきます。また、運動や音楽など創作活動なども行うなど、感受性や感性の育成も行っています。

保育所等訪問支援

保育所等訪問支援は、障害をもつ子どもが集団生活をできるように支援していく施設です。障害を持つ子どもたちの支援に関する知識を持つ指導員や保育士が、実際に保育所や幼稚園などを訪問して直接支援していきます。さらに、そこに勤務している施設のスタッフに対して子どもたちの支援に関する技術面での指導やアドバイスを行うこともあります。

医療型児童発達支援

医療型児童発達支援施設は、身体的な障害をもつ児童に対して理学療法をはじめとする訓練や医療面の管理下で行われる施設です。体幹機能に障害を持つ子どもたちに日常生活を送るための基本的な動作の指導や集団生活に適応するための訓練を中心に行います。また、医療的なアプローチも行うことから病院が主体となってサービスを提供しているケースもあります。

入所支援型

ここからは、入所支援型の療育施設について解説します。

福祉型障害児入所施設

福祉型障害児入所施設は、家庭では養育が困難とされる子どもたちの保護や生活の基本動作やその他必要な技能訓練を行う施設です。障害をもつ子どもを対象にコミュニケーションの支援や介護サービスが行われます。また、地元の小中学校との交流を通じて社会の交流を経験・促進する施設などもあります。

医療型障害児入所施設

医療型障害児入所施設は、福祉型障害入所施設に加えて医療面での支援・看護が行われる施設です。医学的な管理のもとで食事やトイレの仕方、入浴の介護などを行います。また、身体的な能力の維持・向上の訓練や社会を経験するためのレクリエーションなども提供しています。

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3.療育の方法とは?

療育の方法は、主に個別教育と集団教育があります。具体的な種類や支援のアプローチは施設によってさまざまですが、それぞれの子どもに最適な療育が行われます。

個別で行う療育

個別で行う療育は、子どもとスタッフがマンツーマンで行われます。集団での適応が難しい場合や個別の療育が最適であると判断されたケースで行われます。個別療育では子どもの反応をスタッフが随時モニタリングできるため、細やかなアプローチが可能です。

集団で行う療育

集団で行う療育は、10人以下のグループで行われます。集団生活に適応する訓練や集団で生活していく上でのルールの重要性や友達とのコミュニケーション能力を育んでいきます。社会性を身につけることができるため、将来の社会参加に向けたスキルの研鑽が期待できます。

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4.療育を受ける流れ

療育を受ける流れは、大まかには以下の通りです。

  • 公的機関への相談
  • 検査
  • 療育施設の選定
  • 受給者証の申請・交付

公的機関へ相談

療育を受ける最初のステップは、子どもの発達に関する公的機関への相談になります。一般的には1歳半健診や3歳健診をきっかけに相談にくるケースが多いです。保健師から発達に関する遅れが子どもにみられるとの指摘があり、行政に伝達されます。このほかにも通っている保育園などから相談されたり指摘されることもあります。

しかし、公的機関では随時相談を受け付けており、検査機関の紹介などを行っています。少しでも気になった場合は、まず近くの公的機関で相談してみることが子どもを安心して育てる一歩につながります。

検査

療育を受ける次のステップは、子どもを精密に検査できる医療機関を通じて検査を行っていきます。年齢によっても検査方法が異なり、さまざまな検査を組み合わせていきながらどのような問題があるのかを検査していきます。

発達検査の種類はいくつか存在しますが、日本では

  • 新版K式発達検査
  • 乳幼児精神発達診断法

が代表的です。

新版K式発達検査は、各年齢で一般的とされている行動や反応を検査対象の子どもがどのくらいできているか・合致するかを評価する検査です。姿勢・運動(P-M)・認知・適応(C-A)・言語・社会(L- S)の3つの評価軸で実際の発達年齢や発達指数の計測ができます。

乳幼児精神発達診断法は、乳幼児の日常生活を観察している母親に対して質問を行い子供の発達状況や行動の特徴を検査します。運動・探索・社会・生活習慣・言語の5つの評価軸で測定されます。検査に必要な器具がなく、子どもの状況に依存しないことから検査の実施が容易であることが特徴です。

実際に検査自体に時間がかかったり、1度の検査では判断が難しいため複数回検査を行ったりすることもあります。そのため、地域によっては専門機関の相談が膨大であり数ヶ月単位で待機するケースも発生しています。さらに、医師の判断などをもとに、検査せず経過観察をしてみる、検査結果がグレーであるため療育は必要とはいいにくいなどと診断されることもあります。医師の判断の他にも保護者の意向で療育をしないケースなどもあることは抑えておきましょう。

療育施設を選ぶ

療育を受ける次のステップは、適切な療育施設を選ぶことです。各自治体の福祉窓口で相談したり、各自で検索して民間の施設で候補を選ぶなどがあります。複数の候補をあげて、子どもと保護者がそれぞれ納得のいく施設を選びましょう。

現在地域によっては療育施設がキャンセル待ちで通いたいと思ってもすぐに通えないケースが発生しています。療育は早期から始めることが推奨されていますが、このような面からもすぐに行動に取り掛かることが大切であることが言われています。しかし、一番の目的は子どもが楽しく安心して成長できる環境を選ぶことです。慎重に選ぶ必要がありますが、施設の検討はできるだけ早いうちから着手していきましょう。

受給者証の申請・交付

療育を受ける次のステップは受給者証の申請と交付手続きです。施設によって交付される種類が違い、場合によっては専門の医療機関の診断書や医療記録の準備が必要であることもあるので、事前に自治体に確認しておきましょう。審査が終われば受給者証の交付が行われます。交付されれば療育施設と契約の手続きに進みます。その際、障害児支援利用計画案を提出するケースがあります。作成は自身で作成する、もしくは障害児相談支援事業所に依頼すれば完結し、費用負担などもありません。

利用開始

療育を受ける流れの最後は、利用施設やその事業所に通所受給者証を提示して利用契約することです。契約が締結されれば、契約の範囲内でのサービス提供されます。

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5.まとめ

今回は療育に関してどのような教育か、どのような施設で療育を受けることができるのか、具体的な療育を受ける手順などを解説してきました。療育は身体的障害・知的障害をもつ子どもや発達障害をもつ子どもたちを対象に行われる教育です。医療面でのアプローチだけでなく、それぞれの子どもたちが社会に参加できるようにさまざまなアプローチで支援していきます。

療育は早期開始が望ましく、早期に開始することで子どもの能力向上がより期待できるだけでなく、周囲の子どもの接し方も理解しやすくなるメリットがあります。ぜひこの記事を参考に、療育に関する理解を深めていきましょう。

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