年間休日はどれくらいが適切?年間休日が少なすぎると法律違反となる?
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これから就職を目指す方、また転職を目指す方は、さまざまな求人情報に目を通しているかと思います。そんな求人情報で気になる情報のひとつが「年間休日」です。年間休日として、1年で休みとなる日の総数を漠然と発表されても、なかなか働き方のイメージはつかめないものです。年間休日数は、何日間であれば平均的なのかという点も分かり辛いかもしれません。
この記事では年間休日数の考え方や、平均的な数値、さらに年間休日数における法律に関して、詳しくまた分かりやすく解説していきます。
現在求人情報を確認し、新たな職場を探している方は、ぜひこの記事を参考にして、自分らしく働ける職場を見つけてください。
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目次
1.年間休日の定義は?
まずは年間休日の定義に関して解説していきます。そもそも年間休日という言葉に法的な根拠はありません。つまり年間休日の数に関しては比較的会社ごとに自由に設定することが可能です。とはいえ、最低限遵守すべき法律はありますので、そのあたりに関しても解説していきましょう。
会社が定める1年間の休日
年間休日とは、その会社が定める1年間の休日の数を指します。労働者の労働時間や出勤日数に関しては、定めているのが労働基準法です。この労働基準法の範囲内であれば、年間休日は原則会社側が自由に設定できるということになっています。
法定休日と法定外休日の違い
会社が定める年間休日は、「法定休日」と「法定外休日」に分けることができます。
法定休日とは、労働基準法により、労働者に働く義務がない休日を指す言葉であり、労働基準法で定める条件は以下の通りです。
労働基準法第三十五条
使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
つまり、基本的には週休1日であるものの、4週間で4日以上の休みがあれば、毎週休みを与える必要はないということです。1年間はおよそ52週間ですから、年間休日のうち、52日程度が法定休日となります。
法定外休日とは、法定休日とは別に、会社が設定する休日を指します。法定外休日はその名の通り法で定めた以外の休日です。会社としては法定休日の項目のみを遵守していれば、法定外休日に関しては自由に設定できるということになります。
休日・休暇・休業の違い
休日とにた言葉で、休暇や休業という言葉があります。それぞれの言葉が持つ意味について確認していきましょう。
休日とは、労働者に労働義務がない日を指す言葉です。会社が労働基準法を遵守したうえで自由に設定できます。
休暇とは、労働者に労働義務がある日でも、労働者が条件を満たすことで労働を免除される日を指します。分かりやすい例を挙げれば、有給休暇が休暇です。休暇には労働基準法で定められた、法定休暇と、労働基準法にはない法定外休暇があります。法定外休暇は会社が福利厚生の一環として設定しているものです。
休業とは、労働義務がある日でも、雇用者もしくは労働者自身の都合により労働を免除、禁止される日を指します。労働者が労働規約上の違反を起こし、雇用者から労働を禁止されるケースなどがあたります。雇用者の都合とは、労働をするにも原材料や資材などが届かず、労働ができない状況などです。
休日、休暇、休業はいずれも労働者が労働をしない日であることは共通しています。休日はそもそも労働義務がない日、休暇と休業は労働義務がある日というのが大きな違いです。
スカウトサービス登録はこちら2.年間休日に夏季冬季休暇や有給休暇も含まれる?
休日と休暇、休業の違いを理解したところで、では多くの会社が採用する各種の休みに関して、年間休日に含まれるのかどうかを解説していきます。多くの会社が採用している2つの項目に関して解説していきましょう。
- 有給休暇
- 夏季休暇(お盆)・冬期休暇(年末年始)
有給休暇に関しては、上の項目でも説明しましたが、休暇に含まれますので年間休日には含めません。有給休暇は、労働者として労働の義務がある日でも、労働者の希望で取得できる休暇ですので、休日とは考えません。
ちなみに有給休暇に関しては、労働基準法において支給することが定められています。フルタイム労働者の場合、半年以上勤務し、出勤すべき日の8割以上出勤していれば、年間最低10日の支給が義務付けられています。
夏季休暇と冬期休暇に関しては、会社が全社的に休みと定めた日ですから、労働者に労働義務はありません。つまり年間休日に含まれます。例えば年末年始の休暇の場合、カレンダー上の祝日は1月1日のみです。祝日を年間休日に含めている会社でも、1月2日以降は労働義務が発生する日となります。しかし、会社が1月3日までは休日と指定した場合、2日と3日は労働義務が発生しませんので、休日扱いです。
ただし、夏季休暇や冬期休暇の前後に有給休暇を取得して連休を長くした場合などに関しては、有給休暇を使った分は年間休日には含めません。
スカウトサービス登録はこちら3.年間休日の決め方について
では求人条件などに記載されている、年間休日の決まり方について、どのように決めるとどの程度の年間休日になるのかという点から解説していきましょう。
年間休日125日・120日
まず、比較的見かけることが多い120日と125日のケースで考えてみます。1年間は365日ですので、約52週間です。完全週休2日制などで、1週間に確実に2日休める場合、まずは104日間が休日として計算できます。さらに年間の祝日が16日間ありますので、この16日間も休日とした場合、年間休日は120日間となります。
年間休日はあくまでも「休日」ですので、休暇や休業は含めません。つまり、有給休暇等は含めないということになりますので、年間休日が120日間を超える会社の場合、毎週2日の休みと祝日以外に休日が設定されていることになります。年間休日数が120日を超えている会社は、土日祝日以外の平日のどこかに休日を設定している会社です。多くの場合は夏季休暇や冬期休暇で設定しているケースでしょう。
分かりやすい例を挙げると、毎週土日に加え祝日も休日と設定している場合がこのケースに当たり、労働者の方がイメージする標準的な休日数ということになります。年間休日の平均値としては120日間を設定し、それ以上の会社は休みが多い会社、それ以下の会社は少ない会社と考えていいでしょう。
年間休日110日
年間休日が110日となるとちょっと考え方が変わります。
上記の通り、1年は約52週間ですから、週休2日以外の休日数が6日というのが年間休日110日の設定です。つまり、16日ある祝日のうち10日は出勤となるケースが年間休日110日というパターンの1つでしょう。
主に土日や祝日が休みになりにくい、小売業や飲食業で多い設定です。
年間休日が110日の場合、他にもパターンが考えられます。それが完全週休2日制ではないケースです。例えば毎月1日だけ土曜出勤があるようなケースを考えてみましょう。年間52週間のうち、12週間は週休1日、それ以外の40週間は週休2日と考えると、休日数は92日間となります。ここに祝日である16日間を加えると、108日間となり、年間休日がほぼ110日間となります。
年間休日が110日間に設定されている会社は完全週休2日制ではない可能性がありますので、注意が必要です。
年間休日105日
年間休日に関して労働基準法を参考にした場合、105日間が最低ラインだとする考え方があります。これは、労働基準法で定められた1日間の法定労働時間と、1週間の法定労働時間を基準にした考え方です。
まず、1週間の法定労働時間から、1年間の法定労働時間を算出します。計算式は以下の通りです。
365(日)÷7(日)×40(時間)=2,085.7時間
続いてこの1年間の法定労働時間を、1日の法定労働時間で割ります。
2,085.7(時間)÷8(時間)=260.7日間
つまり、1年間の法定労働時間をクリアするためには、261日間出勤する必要があるという計算になります。労働義務がない日、つまり出勤しない日が休日ですから、年間の日数から261日を引いた104日間というのが、法で定められた年間休日であるという考え方です。
この104日間は、毎年のカレンダーで105日間になるケースも多いことから、一般的には年間105日間が労働基準法で定められた最低年間休日数であると考えられています。求人広告に年間休日105日間と示している求人条件は、一般的な働き方のイメージと比較すると、休日が少ない職場であると言えます。
スカウトサービス登録はこちら4.年間休日105日以下でも労働基準法違反にならないケースとは
上の項で、労働基準法における最低年間休日は105日間と書きましたが、実はこの計算正しい計算とは言えません。実際に労働基準法が定めている年間休日の法定休日は、最初に書いた通り週休1日です。つまり労働基準法における最低の年間休日は、52日間程度となります。
そのほかにも、年間休日に関して、105日間よりも少なくても労働基準法違反とはならないケースについて解説していきましょう。
1日あたりの労働時間が短い
労働基準法で正式に定められている休日や労働時間に関する条件を一度整理しておきましょう。
- 休日は週休1日もしくは4週で4日以上
- 1日の法定労働時間は8時間
- 1週間の法定労働時間は40時間
上記の3つの条件を満たしていれば、労働基準法には違反しないことになります。つまり、1日の労働時間を短く設定した場合、年間休日は少なく設定できるということになります。
仮に1日の労働時間を、法定労働時間より1時間短い7時間と設定した場合、年間の法定労働時間(2,085.7時間)をクリアするために必要となる出勤日数は298日間です。つまり年間休日数は、67日間でよくなります。年間休日数67日間は、労働基準法で定める法定休日数をクリアしています。この条件であれば、年間休日は少ないものの、労働基準法違反にはなりません。
36(サブロク)協定を締結している
労働者の方の中には、36協定という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。この36協定も、労働時間や年間休日に関する協定です。
36協定とは、労働基準法第36条に関する協定を、労使間で結んでいるということを表します。まずは、労働基準法第36条を確認しておきましょう。
労働基準法第三十六条
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
法律の文章ですので、少々分かりにくい部分がありますが、要約すると、雇用者と労働者の間で合意がある場合は、休日数や労働時間の条件が違法状態になってもいいという法律です。ただし、合意が得られたことを、管轄する労働基準局監督署長に届け出を出す必要があると書いてあります。
かいつまんで説明してしまうと、ある程度法定労働時間や法定休日を無視して働かせることができるというのが36協定です。ただし、36協定を結んでいるからといって、無制限に働かせることはできません。36協定を結んだ場合でも時間外労働の上限は定められています。
36協定にはこまかな決まりや要件がありますが、この記事はあくまでも年間休日に関する記事ですので詳細の説明は省きます。
36協定を締結しているケースが多いのは、主に繁忙期と閑散期がはっきり分かれているような業種です。イメージしやすい業種としては引っ越し業者などです。引っ越しは、新生活がスタートする4月を前にした3月や、秋の人事異動が多い10月を前にした8~9月に仕事が一気に増えます。そのほかの月はそこまで忙しくないというのが特徴です。特に年末年始にかかる12~1月などは非常に仕事量が減ります。
そのため労使間で36協定を締結し、忙しくなる3月などは、労働時間や休日数が労働基準法で定める範囲を超えるような設定とするケースが多いようです。ほかには、第一次産業に含まれる、農業や漁業や、季節で仕事の忙しさが大きく変わる花火製造業なども36協定を締結しているケースが多くなります。
変則労働時間制を採用している
変則労働時間制とは、労働基準法に定める労働時間を1日単位、1週間単位ではなく、1ヶ月単位、1年単位で捉える考え方です。これも繁忙期を閑散期がはっきりしている業種で採用されるケースが多い働き方といえるでしょう。
上で紹介した引っ越し業界を例に挙げれば、仕事が忙しい3月や8~9月は、労働時間や法定休日を無視してどんどん働いてもらい、そのほかの月は労働時間を短縮し、休日を多く取得してもらうことで、1年間の労働時間と年間休日を確保するという考え方です。
この変則労働時間制を採用した場合も、年間休日が105日間を下回っても、労働基準法に触れないケースが考えられます。
スカウトサービス登録はこちら5.年間休日が多い少ないどっちがいい?
実際にこれから就職を目指す方、転職を考えている方にとって、年間休日は多い方がいいのか少ない方がいいのか。この点に関して解説していきましょう。双方についてメリットとデメリットを提示します。
年間休日が多い場合のメリットとデメリット
年間休日が多いということは、それだけ自分のために使う休日の時間が増えることを指します。つまり、ライフワークバランスという点では、優れているのが年間休日が多い会社で働くメリットです。
また、休日を上手に利用してリフレッシュすることで、仕事に対し常に新しい気持ちで挑むことができ、生産性の向上が望めるというのもメリットといえるでしょう。
反対にデメリットは、1日の労働時間が長くなる傾向にあることです。ここまで解説してきた通り、労働基準法で定められているのは、休日の数というより労働者個々の労働時間に関してです。休日が多くとも、法定労働時間は変わりませんので、必然的に1日の労働時間は長くなります。
長時間労働が苦手という方にとっては大きなデメリットといえるかもしれません。
年間休日が少ない場合のメリットとデメリット
年間休日数が少ないということは、それだけ多く働かないといけないイメージがありますが、法定労働時間は休日数にかかわらず同じです。そう考えると、1日当たりの労働時間は、年間休日が少ないほど短くなるということです。毎日の疲労がそこまで溜まらずに働けますので、この点はメリットと言えるでしょう。
また1日の所定労働時間が短いということは、残業をしてもそこまで帰りが遅くならない、もしくはそこまで早起きする必要がないということでもあります。無理せずしっかり残業代を手にできますので、収入面でも期待できるといえます。
デメリットはやはり休日の数が少ないという点です。休みが少なく、自分の趣味の時間や家族と過ごす時間など、リフレッシュできるまとまった時間が確保しにくいというデメリットが考えられます。
スカウトサービス登録はこちら6.それぞれの働き方に向いている方とは?
年間休日が多いか少ないかに関しては、双方メリット・デメリットがあるため、どちらが良いというものではありません。しかし、働き方として向いている方と向いていない方がいるのは間違いありません。双方の働き方に向いている方を解説していきます。
年間休日が多い会社が向いている方
年間休日が多い会社で働くのに向いている方は、自分らしい働き方を求めている方でしょう。休日が多いことで、自分の趣味の時間や家族と過ごす時間が確保できますので、ライフワークバランスを整えやすくなります。
また、転職に対してあまり抵抗感がないという方も休日が多い働き方がおすすめです。仕事以外の時間が増えることで、自分にとってやりたい仕事や挑戦したいことが見つかりやすく、新たなチャレンジに向かいやすい働き方と言えます。
年間休日が少ない会社が向いている方
年間休日が少ない方が向いている方は、その仕事でしっかりとキャリアアップを目指したい方でしょう。休日が少なく仕事と向き合う日数が多くなりますので、仕事に対し興味を持ち、より自身のスキルアップを目指したいという方は、むしろ休日は少ない方が働きやすいかもしれません。
また、その仕事で昇格・昇給を目指すという方も休日が少ない会社の方が働きやすいかと思います。年間休日の少ない会社は、それだけ毎日の所定労働時間が短く設定されますので、短い時間の中できっちり結果を残すという働き方が身に付くでしょう。また、残業時間が確保しやすいため、より業績を上げ、昇格を目指したい方には向いている働き方と言えます。
スカウトサービス登録はこちら7.会社選びにおける年間休日の注意点
就職や転職における会社選びで、年間休日を意識する場合、どのような点に注意して会社選びをするべきかという点をまとめておきましょう。
年間休日の意味をしっかり把握する
まずは何より年間休日の意味をしっかり理解することです。年間休日は、会社が設定する労働義務が発生しない日の日数です。土日祝日休みであれば、年間休日は120日以上となりますので、この日数を基準に多いか少ないかを判断しましょう。また、年間休日に有給休暇は含まれません。
休日の設定に関しても確認が必要
会社が設定できるのは年間休日数だけではありません。どの曜日を休日として設定するかも自由に行うことができます。週末休みが希望なのに、年間休日数が多いという理由で選んだ会社が、平日休みだったなどということがないように、休みの設定に関してもチェックするのが重要です。
また、完全週休2日制と週休2日制は全く違う制度ですので、その点を合わせて覚えておきましょう。毎週必ず2日間の休日を確保したいのであれば、完全週休2日制の会社を選んでください。
福利厚生の内容を確認する
年間休日は会社が定める労働義務がない日です。会社には福利厚生があり、その中に年間休日には含まれない休暇制度が記されています。有給休暇はもちろん、忌引きや育児休暇、出産休暇に関してもチェックが必要です。
また、近年では、こうしたオーソドックスな休暇以外にも、バースデー休暇など工夫を凝らした休暇設定をしている会社があります。こうした休暇の情報は、福利厚生に含まれますので、細かくチェックし、実際には年間何日の休みが確保できるかを確認しましょう。
スカウトサービス登録はこちら8.まとめ
年間休日の考え方や、どの程度の年間休日が一般的なのかという点に関して解説してきました。年間休日とは、会社が設定する労働者に労働義務が発生しない日の数であり、この数が多いほど休みが多い会社となります。一般的な土日祝日休みの会社の場合、年間休日は120~125日程度の設定となりますので、この数字をベースに休日が多いか少ないかを判断するといいでしょう。
年間休日の設定は会社ごとにさまざまです。また、多ければいい、少ないのは良くないというものでもありません。まずは自分らしく働くためにはどのような設定が望ましいかをイメージし、そのイメージに近い会社を探しましょう。
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