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訪問看護ステーションとは?役割や設置基準、最新データと将来性について

  • 更新日
投稿者:堀尾 健太

訪問看護ステーションとは何か、と改めて聞かれると回答に迷いませんか?
役割や種類、サービスの特徴、設置基準・人員基準など…etc.完璧に説明できる人は少ないと思います。

この記事を読むことで、訪問看護ステーションのふわっとしたイメージが、グッと具体的になります。記事の前半で、訪問看護ステーションの概要を説明します。

後半は最新データと国の施策を読み解き、訪問看護ステーションの将来性について考察します。結論から言いましょう。訪問看護ステーションは、医療福祉事業の中で最も有望視されている分野です!

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1.訪問看護ステーションとは?

訪問看護ステーションは、病気や障害を抱えた方が、自宅で療養生活を送れるよう支援する事業所です。訪問看護を行う看護師や理学療法士などが所属しています。

利用者は、赤ちゃんから高齢者まで、自宅で医療的なケアを必要とするすべての方々です。特に高齢者の利用が多いですが、近年では小児の訪問看護へのニーズも増加しています。医療技術の進歩により、重い障害や難病を抱える子どもたちが自宅で家族と過ごせる機会が増えています。

訪問看護ステーションの利用には、「介護保険」と「医療保険」が適用される場合があります。どちらの保険が適用されるかは、利用者の年齢や疾患によりますが、一般的には介護保険が優先されます。介護保険と医療保険の利用者はともに増加傾向にあり、それに伴い訪問看護ステーションの数も増え続けています。

訪問看護ステーションの役割

訪問看護ステーションは以下の役割を果たします。

  • 療養支援と治療の継続
  • 利用者及びご家族のサポート
  • 地域の医療機関や介護・福祉サービスとの橋渡し

訪問看護ステーションは、主治医の指示に基づいて利用者の自宅を訪問し、療養上の世話や必要な診療の補助を行います。

また、利用者や家族からの相談に対応し、在宅療養に関する助言や支援を提供します。

利用者の容体に変化があった場合、入院が必要であれば医療機関へ、入所介護が必要と医師が判断した場合は介護従事者と連携し、適切な対応を取ることが求められます。

訪問看護ステーションのサービス提供の仕組み

訪問看護サービスの提供には、主治医が作成する「訪問看護指示書」が必要です。利用を希望する方やそのご家族が、主治医に相談し指示書を発行してもらうのが第一歩です。

次に、訪問看護指示書に従って訪問看護ステーションが「訪問看護計画書」を作成します。訪問看護計画書には、訪問看護によって利用者が今後どうなることを目指すのか(目標)や療養上の課題・支援内容などを記入します。

訪問看護計画書の内容を利用者とご家族に説明し同意を得た後、主治医に提出することではじめて訪問看護サービスの提供が開始されます。

訪問看護サービスは、利用者の疾病の状況や要介護認定の有無等によって、医療保険または介護保険が適用されます。どのような違いがあるか簡潔に解説します。

訪問看護の医療保険・介護保険の違い

訪問看護における医療保険と介護保険は適用条件が異なります。原則として、医療保険と介護保険を併用することはできず、介護保険が優先されます。

医療保険の適用条件 介護保険の適用条件
  • 40歳未満の方
  • 40歳以上65歳未満で16特定疾病以外の方
  • 40歳以上65歳未満で介護保険第2号被保険者ではない方
  • 65歳以上で要支援・要介護の認定を受けていない方
  • 40歳以上65歳未満の第2号被保険者で16特定疾病の
  • 65歳以上の第1号被保険者で要支援・要介護認定を受けている方

訪問看護ステーションの成り立ち

訪問看護の起源とされる派出看護が登場したのは1891年です。この年に「慈善看護婦会」という名称のもとで派出看護婦会が設立され、看護師や助産師が家庭や病院に赴き、看護サービスを提供する施設が日本で初めて作られました。

1971年、東京・東村山市で寝たきりの高齢者を対象に訪問看護サービスが開始されました。1974年には東京・新宿区でも訪問看護が始まり、板橋区には訪問看護室が設置されるなど、訪問看護活動が広がり始めました。

1994年(平成6年)に健康保険法等の改正が行われ、訪問看護の対象者は高齢者に限らず全世代に広がりました。この改正により、訪問看護ステーションは現在の形となりました。さらに2000年(平成12年)には、訪問看護に介護保険が適用される改正介護保険法が施行され、これ以降は医療保険だけでなく、介護保険も利用できるようになりました。

医療の進化による入院期間の短縮、さらに歯止めが利かない少子高齢化が進んでいく今後、訪問看護ステーションの役割はより大きくなるでしょう。それに合わせて法改正が行われていくことが予想されています。

2.訪問看護ステーションの設置基準・人員基準

訪問看護ステーションを開設するためには、都道府県知事に対し、居宅介護サービス事業者の申請を行い認可を受けることが必要です。この居宅介護サービス事業者の認可が下りると、介護保険・医療保険の指定を受けたとみなされます。

この指定を受けるためには、厚生労働省が定める設置基準をクリアしなければいけません。設置基準には3つの項目があります。

  • 人員基準
  • 設備基準
  • 運営基準

人員基準は以下の通り、責任者と看護職員に関しての人数の基準です。

役職 資格要件 人員基準
責任者 看護師
保健師※1
常勤者 1名
看護職員 保健師
看護師
准看護師
常勤者 2.5名※2
(最低1名は常勤)

※1 健康保険法のみ指定の訪問看護ステーションの場合「助産師」でも可
※2 常勤換算方法を用いて算出

訪問看護ステーションには常勤の管理者が1名必須です。健康保険・介護保険適用の訪問看護ステーションの場合は、看護師か保健師の資格を持っていなければいけません。

看護職員は常勤換算で2.5名です。最低1名は常勤の看護職員がおり、残りの看護職員の勤務時間が、常勤者1.5名分を上回る必要があります。

設備基準は、相応の広さの事務所があることと定められており、広さに指定はありません。ただし、事務所内に相談室、独立洗面台など必要な設備が指定されています。

運営基準は、訪問看護ステーションの運営に必要とされる項目が多数設定されており、すべての項目を満たす必要があります。

訪問看護ステーションで働く職種

訪問看護ステーションで働く方の職種や資格を確認していきましょう。

  • 看護師
  • 准看護師
  • 保健師
  • 助産師
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士

中心となるのは看護師です。看護師は、医師の診療の補助ができ、ある程度の上位が許されている資格ですので、訪問看護は活躍の場の一つといえるでしょう。准看護師や保健師、助産師といった資格でも対応できる業務を少なくありません。

訪問先の患者様にリハビリの必要がある場合は、理学療法士などが活躍します。

3.訪問看護ステーションとみなし訪問看護の違いは?

訪問看護ステーションには、都道府県知事などの認可を受けているステーションとは別に、「みなし指定」を受けた施設があります。

みなし指定とは、病院や診療所が運営する訪問看護施設(もしくはサービス)のことです。
「病院や診療所といった医療機関は、介護保険法における訪問看護の事業者としての指定を受けているものとみなす」という考えのもと、営業が可能です。

訪問看護ステーションとみなし指定には、主に以下のような違いがあります。

項目 訪問看護ステーション みなし指定
人員基準(看護職員) 常勤換算2.5名以上 特に指定なし
(業務上必要な人数)
対象者 訪問看護指示書を持つ方
  • 自らの病院の患者様
  • 他病院の患者様で診療情報の提供を受けている方
指示書 必要 不要
理学療法士等の訪問 不可

大きな違いは訪問看護指示書の有無と、理学療法士等の訪問ができるかどうかという点です。さらに違いという点では、みなし指定の場合、行える訪問数に制限がありかつ、訪問看護報酬も安い設定となっています。

4.機能強化型訪問看護ステーションとは?

機能強化型訪問看護ステーションは、2014年の診療報酬改定時に創設された訪問看護ステーションの形態です。機能強化型訪問看護ステーションには3つの種類があります。

  • 機能強化型Ⅰ
  • 機能強化型Ⅱ
  • 機能強化型Ⅲ(2020年に追加)

「Ⅰ・Ⅱ」はターミナルケアの実施や重症児の受入れを積極的に行う手厚い体制を評価します。簡単に言うと、より充実した訪問看護を行うことができる事業所です。「Ⅲ」は地域の看護師や医療機関に対し訪問看護の教育を行うなど、訪問看護師の育成に力を入れるタイプとなります。

5.訪問看護ステーションに関するデータと考察

2024年現在、訪問看護ステーションがどのような状況なのかを、データの面から解説していきます。利用状況や施設の増減、さらに訪問看護ステーションで働くスタッフに関するデータを紹介し、現状を考察していきましょう。

訪問看護ステーションの施設数と開設主体

まずは、訪問看護ステーションの事業所数に関するデータを紹介していきます。

年度 訪問看護ステーション みなし指定 合計
2014年 7,433 1,655 9,088
2015年 8,158 1,623 9,781
2016年 8,839 1,604 10,443
2017年 9,422 1,516 10,938
2018年 10,000 1,484 11,484
2019年 10,577 1,480 12,057
2020年 11,128 1,427 12,555
2021年 12,078 1,366 13,444
2022年 12,985 1,302 14,287
2023年 14,074 1,211 15,285

出典:公益財団法人日本訪問看護財団 「訪問看護の現状とこれから2024年版」

訪問看護を行う施設は、この10年間で約1.7倍に増えており、特に訪問看護ステーションは2倍に迫る伸び率を見せています。一方医療機関が行うみなし指定の施設は微減の傾向です。

2001年当時、両者の数に大きな差はなかった(訪問看護ステーション4,693・みなし指定3,702)ことを考えると、病院と訪問看護という2つがはっきりと分業されていることが分かります。

特に東京などの首都圏や大都市部といった、人口の多い地域で、訪問看護ステーションの増加が顕著です。

訪問看護ステーションの規模(利用人員別割合)

2023年時点で、全国に14,000以上ある訪問看護ステーションですが、どの程度の規模なのかという点を解説していきます。

利用者数 占有率
1~9人 5.5%
10~19人 8.7%
20~29人 10.7%
30~39人 11.0%
40~49人 10.4%
50~99人 32.8%
100人以上 20.9%

出典:公益財団法人日本訪問看護財団 「訪問看護の現状とこれから2024年版」

利用者が50人以上という看護ステーションが過半数を超えており、看護ステーション自体の大型化が進んでいます。また、100人以上と答えた看護ステーションの多くは「サテライト」を持っており、サテライトの利用者数も含めた人数であるのも特徴です。

訪問看護ステーションの開設においては、遠方の患者様に対応するため、一定の基準を満たした「サテライト」の設置が認められています。サテライトとは「従なる事業所」であり、分かりやすくいってしまえば支店・支社のようなものを持っている考えて間違いありません。

今後もサテライトを開設する訪問看護ステーションは増加することが予想されています。

訪問看護利用者数と傷病割合

訪問看護を利用している方の数は右肩上がりで増加しています。厚生労働省老健局の調査によると、2012年(平成24年)には約30万人だった利用者が、2022年(令和4年)には約68万人に急増しました。

続いて訪問看護を利用する患者様には、どのような疾病等があるのかというデータを紹介していきましょう。

疾病等 占有率
脳血管疾患 12.9%
認知症(アルツハイマー含む) 8.9%
悪性新生物 8.5%
筋肉骨格系 8.4%
統合失調症 5.8%
糖尿病 5.0%
パーキンソン病 4.9%
損傷・中毒等 4.4%
高血圧系疾患 4.4%
呼吸器系疾患 4.3%
心疾患 4.2%
その他 28.3%

出典:公益財団法人日本訪問看護財団 「訪問看護の現状とこれから2024年版」

もともとは高齢者の方を対象にサービスが始まった訪問看護ですが、1994年の法改正で全世代が対象となったことで、利用する患者様の疾病も多岐にわたるようになっています。多くの疾病で訪問看護が求められているということは、利用者の増加スピードを考えても、今後もニーズが高まっていくことが予想されます。

訪問看護ステーションで働くスタッフ

厚生労働省老健局の調査によると、2021年(令和3年)時点での1事業所あたりのスタッフ数は常勤換算で8.0人、そのうち看護師資格を持つ方は5.6人です。2007年(平成19年)のデータでは、スタッフ全体が常勤換算で5.0人、看護師が4.3人でした。このことから、いずれの数字も増加していることが分かります。

1事業所あたりの人数が増えているということは、大きな事業所が増えている証拠といえます。また、看護師の比率が下がっているのは、より幅広いケアが求められていることを示しています。

訪問看護ステーションの数や訪問看護師の数が右肩上がりで増加している背景には、より働きやすい職場環境の整備や、未経験者を育てる体制の充実が進んでいることが考えられます。

現在、訪問看護ステーションは看護師資格を持つ方の働き方の一つとして広く認知されており、訪問看護師を目指す看護師が増えていると考えられます。

6.訪問看護ステーションの課題と将来性

訪問看護ステーションの現状に関してさまざまな角度から分析してきましたが、ここからは今後の訪問看護ステーションに関して解説していきましょう。

上記のデータ等から見て分かる通り、訪問看護の需要はますます上昇していくことが予想されます。特に第二次ベビーブーム世代が、70代に入る2040年以降に高齢者医療、訪問看護のニーズはピークを迎えることは間違いありません。その時期までは訪問看護ステーションの数も増加していくでしょう。

とはいえ、現状十分に対応できる状況が整っているとは言い難い部分があります。訪問看護ステーションが抱える今後の課題として、大きなポイントを2つ解説していきましょう。

需要の増加に対して人手不足

訪問看護の需要の増加率は凄まじく、毎年10%程度の上昇率を記録しています。訪問看護師として働く人材も増えてはいるのですが、需要の上昇率に看護師の増加率が追いついていないのが現状です。

訪問看護師の担い手不足という問題に対しては、国も本格的な対応を始めています。訪問看護ステーションに対する補助金や助成金の制定はもちろん、訪問看護報酬のベースアップを決定し、訪問看護ステーションの収益アップを後押ししています。

こうした国や自治体による後押しは、今後も訪問看護利用者の増加が続けば引き続き行われるでしょう。訪問看護という職場の待遇改善をより進めていくことが予想されています。

ICT化・DX化が遅れている

訪問看護師が働く現場はもちろん患者様の自宅が中心です。病院などと違い、各ご家庭の事情もあるため、ICT化、DX化という点では非常に遅れている業界と言われていました。訪問看護時の本人確認なども、健康保険証等を目視確認するなどが一般的でした。しかし、マイナンバーカードの普及が広まったことで、今後はICT化・DX化が一気に加速することが予想されます。

すでに2024年6月からマイナ保険証を利用したオンライン資格確認や、患者様本人の同意の上で、マイナンバーカードへ診療情報・薬剤情報等の取得も可能です。

2024年の診療報酬改定では、「訪問看護医療DX情報活用加算」が新設されており、オンライン資格確認等の計画的な管理を行うことで、診療報酬が加算されることが決まっています。

今後もICT化・DX化が進んでいけば、より働きやすい職場になることは間違いなく、看護師の転職先としてより注目を集めるのは間違いないでしょう。

7.まとめ

訪問看護ステーションは、その地域で自宅療養をする患者様のケアや診療の補助を行う事業所です。近年訪問看護の利用者急増を受け、全国的にその数は増えており、今後も少子高齢化が続くことを考えると、さらに数が増えていくことが予想されています。

しかし、こうした訪問看護ステーションの増加や、利用者の増加スピードに、人員の確保が追いついておらず、訪問看護の業界は人手不足という問題を抱えています。この人手不足という問題に対しては、国を挙げて取り組んでおり、今後職場環境や待遇の改善が期待できる業種といえるでしょう。

看護師の資格を持ち、新しい働き方を模索している方は、訪問看護という働き方も視野に入れ、今後の自身の働き方を考えていただければと思います。

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URL:https://www.2ndlabo.co.jp

神奈川県鎌倉市生まれ。
2019年4月にセカンドラボ株式会社にアサイン。
求人原稿作成やコンテンツ記事執筆、ライティングに関わる仕事をメインにしています。
休日は所属する3つのオーケストラでの活動や登山、旅行とアクティブに過ごしています。

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