日給月給制とはどんな制度?計算方法やメリット・デメリットなども徹底解説
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給与制度にはさまざまな種類があります。しかし、詳しくはわからないという方も多いのではないでしょうか。具体的には、日給月給制や完全月給制、月給日給制など似たような名前の制度が存在しています。違いがわからないまま雇用契約を結んでしまうと、実際に給与が支払われる時に想定外なことが起こりかねません。この記事では、他の給与形態との違いを確認するとともに、日給月給制の計算方法やメリット・デメリットについて詳しく解説します。納得して雇用契約を結べるよう、参考にしてみてください。
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1.日給月給制とは?
日給月給制とは、簡単に言えば、働かなかった分だけ給与が減るという給与形態です。
あらかじめ定められた月額基本給から休んだ日数分の給与を差し引き、1か月の給与額を決定します。休めば休んだ分だけマイナスされていくため、働き方によっては、思いのほか給与が少なくなってしまったということも。休みを取る場合にはじゅうぶん注意しましょう。
日給月給制は、法律で定義を決められた言葉ではありません。ハローワークなどで使用されている求人票には「日給月給制」という項目がないので、就職活動の際には注意が必要です。
日給月給制は単に「月給制」と表記されることが多くあります。しかし月給制という言葉には含みがあり、後述する完全月給制や日給月給制を指している可能性もあります。
では、求人票を見るときにはどこに注目したら良いのでしょうか。一例として、「月給制」の表記と共に「欠勤等により減給される」といった文言がある場合には、その月給制とは日給月給制のことです。
給与形態についてよくわからないまま契約してしまうと、思い違いにより、欠勤や手当の取り扱いについてトラブルを起こしかねません。記載されている給与規定の詳細をよく読み、わからない部分については担当者に問い合わせてみましょう。
スカウトサービス登録はこちら2.日給月給制のポイント
日給月給制という言葉は耳慣れないかもしれません。しかし特別な勤務形態というわけではなく、雇用条件や手当に関する考え方も、普通の雇用と同じです。普通の月給制だと思っていたものが、実は日給月給制だったということもあるかもしれません。
では、日給月給制について押さえておきたい特徴は、どのようなものがあるでしょうか。具体的なポイントを確認していきましょう。
有給休暇も取得可能
日給月給制であっても、普通の雇用形態と同様に有給休暇を取ることができます。「休んだ分だけ基本給からマイナスしていく」という仕組みの日給月給制ですが、有給休暇を使用した場合には、欠勤してもその分の給与を引かれません。有給休暇は日給月給制において強い味方であると言えます。
有給休暇の取得には、雇用開始から6か月以上経過し、所定労働日のうち8割以上の出勤が必要です。取得できる有給休暇の日数は、これまでの勤務時間や労働日数によって変わります。詳しくは勤務先へ確認してください。
また、有給休暇は付与されてから2年が経過すると消滅してしまいます。せっかくの権利ですので、忘れずに利用しましょう。
残業代や休日出勤などの手当も支給される
日給月給制をとっていても、残業代や休日出勤、深夜手当などが支給されます。ただし月単位で出ている手当については注意が必要です。
日給月給制の場合、給与の計算は1日ごとにおこなわれます。
欠勤した場合、月額の基本給からその分の給与を引くように、手当も月額の手当金額から欠勤した日数分の手当金額を引くことになります。基本給と同様に、手当も日割りして引かれてしまうということです。該当する手当は職務手当や役員手当など、月単位で金額が決まっているものになります。
一方で、月額で固定されていない手当については別途支給されます。残業代や休日出勤の手当などは月ごとに金額が決まっているわけではありません。それらは勤務実態に合わせた金額が支払われますので安心してください。
長期休暇の扱いは勤務先による
日給月給制において、長期休暇の扱いは難しいものです。一律の決まりがあるわけではなく、勤務先ごとに規定が違います。
たとえばお盆などを公休として勤務先が定めている場合には、欠勤扱いにはなりません。そのため、給与の変動なく休むことができます。しかし公休扱いになっていない場合には、当然ながら休めば通常の欠勤扱いです。欠勤日数分だけ給与に影響を与えますので注意しましょう。
支給額に影響を与えず長期休暇を取りたい場合には、有給休暇を使用するしかありません。公休などとも絡めつつ、計画的に休暇を取ってください。
スカウトサービス登録はこちら3.日給月給制とそのほかの給与形態はどう違う?
日給月給制とそのほかの給与形態について、さまざまな違いがあります。まず具体的な給与形態は次の通りです。
- 時給制
- 日給制
- 月給制(完全月給制)
- 月給日給制
- 歩合制
- 完全歩合制
- 年俸制
では、それぞれの給与形態は、日給月給制とどのような違いがあるのでしょうか。違いを知ることにより、勤務先選びにおいて自分の求める最適な条件を選べるようになります。
それぞれの給与形態を詳しく見ていきましょう。
時給制
1時間ごとの給与額を設定し、実際に労働した時間を掛け合わせて給与額を算出する方法が、時給制です。基本給から休んだ分だけマイナスされていく日給月給制とは違い、実際に働いた分だけ時間単位で給与が増えていきます。
勤務先によって、1分ごとに時給計算をする企業もあれば、15分ごとや30分ごとに計算をする企業もあります。雇用契約を結ぶ前によく確認しておくべきポイントです。
1時間ごとに給与額が決まっているため、アルバイトやパートなど短時間の勤務に適した給与形態でもあります。1日の労働時間を比較的自由に決められる利点があり、1時間だけ勤務することも比較的簡単です。また時間だけでなく給与額の計算もしやすいため、その時の経済状況に合わせた働き方ができます。
日給制
1日あたりの給与額をあらかじめ決めている給与形態が、日給制です。
1日の給与額と働いた日数を掛け合わせて1か月の給与を算出します。悪天候などで仕事の予定が変わりやすい土木工事の現場などで多く取り入れられている給与形態です。日雇い労働などでも日給制を多く取り入れています。
給与について1日単位で計算する点は日給月給制と似ていますが、根本的な考え方は真逆です。
- 休んだ日数によって1か月の給与が決まるのが日給月給制
- 働いた日数によって1か月の給与が決まるのが日給制
日給月給制であれば、有休を使用することで給与額が減ることなく休みを取ることもできます。しかし日給制の場合、働いた日数分しか給与に反映されません。そのため日給制の方が、給与総額に大きな変動を与えやすくなります。
月給制(完全月給制)
月給制とは、1か月ごとに給与額が決まっている給与形態です。単に月給制と言う時には念のため、日給月給制なのか月給日給制なのか、完全月給制なのかを確認してみてください。
月額の基本給が決まっているという点では、どの月給制でも同じです。しかし日給月給制と完全月給制では実態がまったく異なります。それは、欠勤や遅刻などの扱いが違うためです。
完全月給制は、月額の給与額を完全に固定しています。たとえ従業員が1か月の間に何日働いたとしても、給与の額は変わりません。どれだけ欠勤しても、遅刻や早退があったとしても、月額の固定給から欠勤分の給与が引かれないということです。ここが日給月給制との大きな違いとなります。
ただし、あまりに欠勤が多いのは考え物です。出勤日数が所定勤務日の8割未満になってしまうと、次の年の有給休暇が与えられない可能性も出てきます。どのような給与形態であったとしても、所定の労働はしっかりおこないましょう。
月給日給制
月給日給制もまた日給月給制と同様に、1か月当たりの給与額があらかじめ決められている給与形態です。前述の完全月給制とは違い、日給月給制と同じく欠勤や早退、遅刻などをした分だけ月額の基本給から給与を引かれます。
月額日給制が日給月給制と違うのは、手当に関する扱いです。
日給月額制においては、月額で固定されている手当も、基本給と同様に日割りで引かれていました。それに対し月給日給制では、たとえ欠勤したとしても、手当てが日割りで引かれることはありません。
決められた月額料金は満額で支給されるということです。労働者の立場としては、月給日給制の方がありがたい制度と言えます。
歩合制
給与額が自分の仕事の成果によって変動する給与形態を歩合制と呼びます。最低賃金を守るため、固定給と合わせて取り入れられていることが一般的です。歩合制はタクシーの運転手や営業職など、個人間の成果の差が激しい業種でよく採用されています。労働者としても、公平感があるでしょう。
欠勤したらその分だけ給与が少なくなる日給月給制と違い、成果を上げた分だけ給与が上乗せされるため、やりがいを感じます。頑張り次第では、より高額な給与を受け取れる可能性もあります。
ただし収入は安定しません。成果を出せなければ途端に収入が減ってしまうため、人によっては大きなストレスになる給与形態です。
完全歩合制
完全歩合制は固定給が存在せず、仕事の成果のみで得られる金額が決まります。しかし雇用形態として認められている方法ではないため、正社員などはこのような給与形態を取れません。完全歩合制をおこなえるのは、業務委託などの形を取っている場合のみです。
基本給が支給される日給月給制とは違い、完全歩合制では成果が0であると収入も0になってしまいます。実力次第では高収入も夢ではありませんが、無収入になるリスクも抱えている給与形態です。
ただし業務委託が主なため、労働者側が好きな仕事、好きな取引先を自由に選べるというメリットがあります。雇用にとらわれず、自分の力を試すことができるでしょう。
年俸制
スポーツ選手などによくある年俸制は、1年単位で給与の額が決まっています。野球選手などでもお馴染みではないでしょうか。1年間の給与額を月ごとに割って毎月支給したり、2回に分けてシーズンごとに支給したりと、支給方法は勤務先によって違います。
年俸制は1年の給与額が決まっているため、1年の途中でどれだけ成果を上げたとしても給与額が変わることはありません。どれだけ成果を上げても、それが年俸に反映されるのは翌年以降になってしまいます。逆に言うと、成果を上げられなくても、1年間は決められた額を貰い続けることが可能です。とは言え翌年以降の年俸には反映されるので、しっかり働くに越したことはありません。
最近では、外資系の企業やエンジニアなどにも取り入れられている給与形態です。
4.日給月給制のメリット
ここまで日給月給制がどのようなものであるかを見てきました。給与形態はさまざまな種類があります。では、日給月給制をとっている勤務先に務めるメリットは、どのようなものがあるでしょうか。具体的には次の通りです。
経済的な安定が得られる
日給月給制は時給制や日給制と違い、毎月の支給額が決まっています。
時給制や日給制では、その月にどの程度の給与を得られるかという確証がありません。とくに月の初めは不安になることもあるでしょう。
しかし日給月給制であれば、欠勤や遅刻さえしなければ満額支給されるわけですから、月々の収入が安定します。安定した収入があるという安心感から、労働のモチベーションを上げられることがメリットです。
不公平感がない
欠勤の多い従業員と、決められた日数を休まず出勤している従業員とが同じ給与額であると、不公平感が生まれます。しかし日給月給制であれば、欠勤の多い従業員にはそれ相応の給与しか支払われません。そのため周りの従業員は、不満を溜め込むことなく勤務することが可能です。
休暇をとりやすい
有給休暇を取ることができるため、時給制や日給制に比べて計画的な休暇を取りやすい傾向にあります。しっかり働きつつ、自分の時間を確保したい場合にも利用しやすい給与形態と言えるでしょう。
残業や休日出勤すると給与が増えることもある
日給月給制では、残業手当や休日出勤手当が支給されます。勤務実態によって基本給に加算される手当です。そのため働き方によっては、基本給よりも多くの給与を受け取れる可能性があります。具体的な内容を見ていきましょう。
残業手当について
勤務先は所定の労働時間を超えた勤務に対し、割増賃金を支払わなければなりません。具体的に残業代を支払わなければならない条件は以下の通りです。
- 1日の労働時間が8時間を超える場合
- 1週間の労働時間が40時間を超える場合
日給月給制における残業代の計算方法は、次の方法が一般的です。
- 月額の基本給÷1か月の所定労働時間で1時間当たりの支給額を求める
- 1時間当たりの支給額×残業時間で残業代を求める
このように求めた残業代が、支給額に上乗せされます。月額固定の手当と違い、日割りで引かれることもありません。
休日出勤や深夜の勤務について
また残業代以外にも、休日出勤や深夜の勤務をすることで割増賃金が支払われることもあります。
休日出勤に当たる休日を「法定休日」と言います。法定休日とは次の通りです。
- 1週間のうち1日休み
- あるいは、4週間のうち4日休み
法定休日に該当する日に勤務した場合は、休日出勤の手当として、給与額に対して35%の割増賃金が支払われます。
また、午後10時から翌朝5時までの間に勤務していた場合には、深夜手当がつきます。
深夜手当がつくことで、1時間当たりの給与額に対して25%以上の金額が上乗せされます。具体的な割増賃金額は勤務先の就労規定によって変わりますので、確認してみてください。
これらの手当も、欠勤したした時に日割りで引かれることはありません。
5.日給月給制のデメリット
日給月給制では欠勤が直接給与の支給額に関わってくるため、働き方によってはデメリットを感じる場面が出てきます。具体的に見ていきましょう。
欠勤が多いと給与が少なくなる
固定の基本給がある日給月給制ですが、欠勤すればするほど給与は引かれていきます。欠勤が多い場合には、それだけ給与も少なくなるということです。たとえやむを得ない理由があったとしても関係なく、給与に直結してしまいます。
基本給だけでなく、職務手当や役職手当といった月額固定の手当まで引かれてしまうことにも注意が必要です。似たような形態でも、月給日給制であれば手当が満額支給されます。混同しやすいのでよく確認してみてください。
急用での欠勤がしにくい
欠勤が給与に直結するということは、休むハードルが高くなるということです。そのため、病気やけがをしていたとしても、無理をして出勤するような従業員が出てきます。有給休暇を使い切っている場合には、なおさら休む選択がしにくいでしょう。
しかしそのような行為は、円滑な業務を続ける妨げとなりかねません。
勤務先によっては、病気やけがで欠勤した分の補填として、傷病手当を支給しているところもあります。福利厚生を上手に生かし、安定した生活を送るようにしましょう。
また場合によっては、協会けんぽなどから傷病手当金を受け取れる可能性もあります。条件はいくつか有りますが、休養時に給与の支払いがないことも条件のひとつです。そのため、日給月給制で使いやすい給付金と言えます。どのような場合に支給されるのか、詳しいことは加入している保健協会に問い合わせてください。
スカウトサービス登録はこちら6.日給月給制の計算方法
日給月給制の場合、基本給は毎月一定金額で決まっています。欠勤や遅刻、早退などがなければ、支給額は基本給通りです。ただし実際には、そこから社会保険料などが天引きされたり、残業手当などがある場合にはそれが加算されたりします。
詳しい計算方法について、具体的な例を使って考えてみましょう。
- 基本給20万円
- 職務手当2万円
- 1か月の所定勤務日数22日
- 1日あたりの所定労働時間8時間
上記のような場合、欠勤などがなければ総支給額は22万円となります。ここから社会保険料や住民税、所得税などが天引きされ、残った金額が労働者に支給されます。
欠勤日の扱い
上と同じ条件で2日欠勤した場合、支給額はいくらになるでしょうか。具体的な計算をしてみましょう。
まず基本給を所定勤務日数で割り、1日当たりの給与額を計算します。このとき日給月給制では、月額固定の手当も給与と同様に日割りして調整することになっています。1日当たりの給与額の計算は次の通りです。
- 基本給20万円+職務手当2万円=1か月の総支給額22万円
- 1か月の総支給額22万円÷所定勤務日数22日=1日当たりの支給額1万円
この計算により、1日当たりの支給額は1万円であることがわかります。
さて、欠勤した日数は2日でした。したがって、1か月の総支給額から引くべき金額は以下の通りです。
- 1日当たりの支給額1万円×欠勤日数2日=欠勤により引くべき金額2万円
これにより、支給される金額は次のようになります。
- 1か月の総支給額22万円-欠勤により引くべき金額2万円=支給額20万円
実際には、ここからさらに保険料等が引かれた上で、給与として支払われます。
早退の扱い
先ほどと同じ例において、30分の早退をしたとして考えてみましょう。
早退の計算は、月額の手当を含む基本給を1か月の労働時間で割り、一時間当たりの支給額を求めてから計算します。
順を追って一時間当たりの支給額を求めてみましょう。
- (基本給20万円+職務手当2万円)=1か月の総支給額22万円
- 1か月の総支給額22万円÷所定労働時間22時間=1日当たりの支給額1万円
- 1日当たりの支給額1万円÷1日の所定労働時間8時間=1時間当たりの支給額1,250円
これにより、1時間当たりの支給額を求めることができました。
早退した時間は30分なので、これを0.5時間として考え、早退によって引かれる金額を求めます。
- 1時間当たりの支給額1,250円×早退0.5時間=早退によって引かれる金額625円
この計算により、30分間の遅刻があった場合には、総支給額から625円を引けば良いとわかりました。複数回の早退がある場合には、その都度この計算をおこないます。
遅刻の扱い
遅刻の場合も、早退と同様に1時間当たりの支給額を求めて計算します。たとえば遅刻が3時間だった場合には、次のように引かれる金額を求めます。
- (基本給20万円+職務手当2万円)=1か月の総支給額22万円
- 1か月の総支給額22万円÷所定労働時間22時間=1日当たりの支給額1万円
- 1日当たりの支給額1万円÷1日の所定労働時間8時間=1時間当たりの支給額1,250円
- 1時間当たりの支給額1,250円×遅刻3時間=遅刻によって引かれる金額3,750円
このように、総支給額から3,750円引かれることがわかりました。
ただしこれらの計算は、就労規則で「何分遅れたら早退、遅刻扱いになるのか」ということが決まっていなければ計算できません。正しい給与額を知るためにも、勤務先の就労規則はよく理解しておきましょう。
スカウトサービス登録はこちら7.まとめ
給与形態にはさまざまな種類があります。今回は日給月給制について解説しました。日給月給制は耳馴染みのない言葉かもしれませんが、よくある給与形態のひとつです。残業手当などの割増賃金も支払われます。欠勤した分だけ支給額は少なくなりますが、有給休暇を上手く使うことで大きな減額を避けることも可能です。
また記事内では、欠勤や遅刻、早退時における給与の考え方についても解説しました。自ら支給額を計算する事で、勤務時間と給与のバランスを取ることが可能です。ワークライフバランスを意識して、豊かな生活を送ってください。
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