精神保健福祉士と公認心理師・臨床心理士の違いとは?ダブルライセンスについても解説
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「精神保健福祉士と臨床心理士、公認心理師のどれが自分に向いているか知りたい」
「心理分野に関わる資格の中で、どれが取得しやすいのか知りたい」
このような悩みを解決する記事です。
精神疾患・障がいを抱える方が増加傾向にある日本において、精神保健福祉士や公認心理師、臨床心理士の需要が高まっています。
国内最大級の医療・福祉の転職サイト「コメディカルドットコム」に蓄積されたデータをもとに、精神保健福祉士や公認心理師、臨床心理士の違いについて解説します。
この記事を読めば、自分がどの心理支援職を目指すべきか判断できるようになるでしょう。
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1.精神保健福祉士と公認心理師、臨床心理士の違い(表付き)
精神保健福祉士と公認心理師、臨床心理士の大まかな違いは下表のとおりです。
精神保健福祉士(PSW) |
公認心理師(CPP) |
臨床心理士(CP) |
|
---|---|---|---|
登録者数 |
106,962人(令和5年時点) |
71,987人(令和6年時点) |
41,883人(令和5年時点) |
資格の分類 |
国家資格 |
国家資格 |
民間資格 |
必要な学歴 |
高卒でも可※ |
大卒必須 |
大学院修了必須 |
試験の合格率 |
70.4%(令和6年実施) |
76.2%(令和6年実施) |
66.5%(令和5年実施) |
資格の更新 |
なし |
なし |
あり(5年毎) |
主な仕事 |
ソーシャルワーク |
カウンセリング |
カウンセリング |
誰に |
精神障害者 |
精神障害者、健常者 |
精神障害者、健常者 |
求人数(ハローワーク)※2024/5/13時点 |
7,244件 |
1,391件 |
1,576件 |
※高卒のまま受験資格を得るのは可能ですが、現実的に難しいです。福祉系大学の通信制に通うなどすれば、高卒からでも精神保健福祉士の資格を目指せます。
参考:社会福祉振興・試験センター|登録者の資格種類別-年度別の推移
参考:日本臨床心理士資格認定協会|「臨床心理士」資格取得者の推移
ここからは、精神保健福祉士と公認心理師、臨床心理士の具体的な違いを解説します。
役割と仕事内容、就業先の違い
精神保健福祉士と公認心理師、臨床心理士の役割や仕事内容、就業先の違いは以下のとおりです。
精神保健福祉士(PSW) |
公認心理師(CPP) |
臨床心理士(CP) |
|
---|---|---|---|
役割 |
心に病や障がいを持つ方の社会復帰を支援 |
心理的問題を抱える方やその周囲の人に対し、相談・アドバイスを行う |
臨床心理技法を用いて相談者の心の問題を解決する |
仕事内容 |
・相談業務 |
・心理状態の観察、分析 |
・心理アセスメント |
就業先 |
・医療機関 |
・学校 |
・医療施設 |
公認心理師や臨床心理士は、心の問題に直接アプローチするのに対し、精神保健福祉士は心の問題によって引き起こされる「日常生活の不具合や困難」にアプローチする点が異なります。
とはいえ、上記3つの職業では就業先や対象となる人に大きな違いはありません。人の心に寄り添い支援する点では、どの資格も共通しているといえるでしょう。
資格の取得難度の違い
精神保健福祉士と公認心理師、臨床心理士の資格難易度は以下のとおりです。
精神保健福祉士(PSW) |
公認心理師(CPP) |
臨床心理士(CP) |
|
---|---|---|---|
資格の分類 |
国家資格 |
国家資格 |
民間資格 |
必要な学歴 |
高卒でも可 |
大卒必須 |
大学院修了必須 |
主な受験要件 |
大学や短大を卒業する。必要に応じて相談援助業務や養成所を卒業 |
・指定大学院を修了 |
指定大学院または専門職大学院を修了 |
試験の合格率 |
70.4% |
76.2% |
66.5% |
資格の更新 |
なし |
なし |
あり(5年毎) |
3つの資格で大きく異なるのは、資格の種類です。精神保健福祉士と公認心理師は国家資格ですが、臨床心理士は「日本臨床心理士資格認定協会」が認定した民間資格になります。
資格の価値や社会的な信用性が高いのは、国家資格である精神保健福祉士や公認心理師といえるでしょう。
また、資格を取得するまでのルートも異なります。精神保健福祉士は11ルートあり、福祉系の大学(4年制)を卒業すれば、最短4年で受験資格の取得が可能です。
公認心理師の場合は、4年制大学卒業後に大学院修了もしくは実務経験2年以上が必要になります。そのため、最短6年はかかる計算です。
臨床心理士は大学院(2年制)の修了が必須なので、こちらも最短6年で受験資格を得られます。
求人数の違い
前述したハローワークの求人数の違いに加えて、コメディカルドットコムの求人数データも見てみましょう。
【コメディカルドットコムの求人数(2024/5/14時点)】
- 精神保健福祉士:2,535件
- 公認心理師:914件
- 臨床心理士:899件
ハローワークとコメディカルドットコムの求人データに共通しているのは、精神保健福祉士の求人数が圧倒的に多い点です。これは、精神保健福祉士の就業先が他の職業よりも豊富だからです。
公認心理師、臨床心理士は、求人数に大きな差はありません。公認心理師は2018年からできた国家資格なので、ここ数年で求人数が伸びています。
これは診療報酬改定により、公認心理師の評価が高まっているのが背景です。2024年診療報酬改定でも、公認心理師の支援に対して心理支援加算250点が新設されています。今後も公認心理師の求人数が、さらに増えると考えられるでしょう。
それぞれどんな人が向いているか?
ここでは、精神保健福祉士と公認心理師、臨床心理士に向いている人の特徴を解説します。
- コミュニケーション能力が高い人
- 忍耐強い人
- 奉仕の気持ちがある人
精神保健福祉士の仕事は精神的な障がいや病を抱える人、ご家族をサポートする仕事なので、人の気持ちに寄り添える人が向いているといえるでしょう。相手の気持ちに寄り添うためには、相手の話を深く理解するためのコミュニケーション能力、社会復帰を支援するためには長い時間が必要になるため、忍耐強さも求められます。
- 心理に興味がある人
- 他社の気持ちに寄り添える人
- 学習を続けられる人
公認心理師は、心の問題に対して広い視点でサポートする仕事なので、心理に興味がある人が向いていると言えるでしょう。また、公認心理師の仕事に就いてからも、専門性を高めていく努力を続けなければなりません。
- 他人に興味関心を示せる人
- 精神的にタフな人
- 観察力が高い
臨床心理士は、カウンセリングに来た人の話を深く理解する仕事なので、他人に興味関心がある人が向いていると言えるでしょう。また、相談内容の中には重い話題も多いため、精神的にタフな人が求められます。
スカウトサービス登録はこちら2.精神保健福祉士と公認心理師のダブルライセンスについて
精神保健福祉士と公認心理師のダブルライセンスについて、公認心理師の視点で見ると、9割以上の方がダブルライセンスを取得していることがわかっています。日本心理研修センターが公表している「令和5年度公認心理師活動状況等調査」によると、公認心理師のみを取得している人は2,541人です。
これは全回答数に対して6.5%なので、9割以上の公認心理師がダブルライセンス以上といえます。中には、精神保健福祉士と公認心理師、臨床心理士のトリプルライセンスという事例も珍しくありません。
主要な資格とのダブルライセンスを見ると以下の通りです。
公認心理師のみ | 2,541人 |
---|---|
公認心理師×臨床心理士 | 15,088人 |
公認心理師×精神保健福祉士 | 4,508人 |
公認心理師×社会福祉士 | 4,729人 |
出典:一般財団法人 公認心理師試験研修センター|令和5年度公認心理師活動状況等調査_報告書〔最終版〕
以下では、ダブルライセンスを取得するメリットとデメリットについて解説します。
ダブルライセンスのメリット
ダブルライセンスを取得するメリットは、「視点が増えることでアプローチの幅が広がる」「キャリアの選択肢を広げることができる」の2点です。それぞれ解説します。
ダブルライセンスを取得することで、心のプロフェッショナルとして専門的な知識や技術の視点が増えるため、クライエントへのアプローチの幅が広がる点がメリットです。
公認心理師の資格だけの場合、心理学の分野で専門性を高めて活躍できます。精神保健福祉士の資格も取得すれば、クライエントの社会復帰を支援する「福祉分野」の視点でもアプローチできるようになるのです。
ダブルライセンスを取得することで、キャリアの選択肢を広げられます。
例えば、公認心理師と精神保健福祉士の資格を持っていれば、心理学・福祉の両方の分野で専門性と実務経験の高さを示す証明となるでしょう。転職の際には、より高待遇の職場や独立開業を目指した働き方など、自分の理想のキャリアを選択できるようになります。
ダブルライセンスのデメリット
ダブルライセンスのデメリットは、「資格取得までの時間的・金銭的コストが高い」「両方の資格の専門性を維持する必要がある」などです。それぞれ解説します。
ダブルライセンスのデメリットは、資格取得までに時間・コストがかかる点です。公認心理師であれば、大学院を修了する必要があります。
心理学という点では共通した部分も多いですが、新しい知識を学ぶために時間も必要です。とはいえ、ダブルライセンスを取得している方は多いため、時間や費用に余裕がある方は取得することをおすすめします。
ダブルライセンスの専門性の高さを維持しなければならない点はデメリットです。そのためには、定期的な学習や研修への参加、学会での発表など自発的な行動が求められます。
しかし、精神保健福祉士や公認心理師は、人の人生に深く関わるため、専門性を維持しなければならないのは当然です。この点をデメリットと感じない人が、ダブルライセンスを取得して活躍できるでしょう。
スカウトサービス登録はこちら3.まとめ
精神保健福祉士と公認心理師、臨床心理士は、人の心の問題にアプローチする仕事です。精神保健福祉士は、心の問題によって引き起こされる「日常生活の不具合や困難」をサポートするのに対し、公認心理師や臨床心理士は心の問題に対して直接アプローチする点が異なります。
求人数の多さで見ると、精神保健福祉士の求人件数が最も多いですが、公認心理師は2018年にできたばかりの職業なので、今後さらに求人数も増えると予想できます。本記事で解説した内容を踏まえて、自分がどの職種に向いているのか、またはダブルライセンスを目指すべきか、自分に合った方法でキャリア形成していきましょう。
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