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介護現場の離職事情|離職率が示す介護の課題と背景を解説

  • 更新日
投稿者:加藤 直也

介護の職場で働くことを考えている方、またはすでに介護職で働きながら、より良い職場への転職を考えている方は多いかと思います。
こういった方が気になるのは、介護職の離職率の高さではないでしょうか?

一般的なイメージでは離職率が高いと思われがちな介護職は、実際に離職率が高いのかどうか?という点を解説していきます。また、介護職の離職率が高くなる理由や、収入面の現状、さらに職場改善のための施策なども合わせて紹介していきます。

最後には、離職率の高い職場の見抜き方なども紹介していきますので、今後の就職・転職活動に活かしていただければと思います。

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1.介護職の離職率は高い?

世間一般における介護職に対するイメージは、「仕事がキツくて給料が安い」というものではないでしょうか。このイメージから考えられるのは、「離職率が高い」というイメージです。 実際にテレビやニュースサイトを見ても、介護の現場の厳しさや、介護職を離職した方の声が取り上げられるケースは多く、介護職を離職率が高いというイメージを持つのは仕方ないことであるとも言えるでしょう。

では、実際に介護職の離職率は高いのでしょうか?発表されているデータから介護職に離職率の現状をチェックしていきましょう。

介護職の離職率は改善している

介護職の離職に関するデータは、「公益財団法人 介護労働安全センター」が公表している「介護労働実態調査(令和4年度)」を参考にします。 このデータによると、令和4年度の訪問介護員・介護職員の離職率は14.4%です。この2職種の離職率の推移は以下のようになっています。

年度 離職率
2013年度(平成25年度) 16.6%
2014年度(平成26年度) 16.5%
2015年度(平成27年度) 16.5%
2016年度(平成28年度) 16.7%
2017年度(平成29年度) 16.2%
2018年度(平成30年度) 15.4%
2019年度(令和元年度) 15.4%
2020年度(令和2年度) 14.9%
2021年度(令和3年度) 14.3%
2022年度(令和4年度) 14.4%

出典:公益財団法人介護労働安全センター「介護労働実態調査(令和4年度)」

介護職の離職率の推移は上記の通りです。見ていただければ分かる通り、年々離職率は減少傾向にあります。介護職の離職率が社会問題となったのは2005~2007年(平成17~19年)頃です。この3年間は、離職率が28.2%、29.0%、27.4%と非常に高い数字で推移しており、この頃のイメージが今でも残っていると考えられます。

介護業界と他の業界における離職率比較

介護職の離職率は年々減少傾向にあることは間違いありません。しかし、問題はその離職率が、ほかの職種と比較すると多いのか少ないのかという点ではないでしょうか。 そこで、厚生労働省が発表している「雇用動向調査」から、全業種の離職率の数字をチェックして比較してみたいと思います。

年度

介護職

全業種

2013年度(平成25年度)

16.6%

15.6%

2014年度(平成26年度)

16.5%

15.5%

2015年度(平成27年度)

16.5%

15.0%

2016年度(平成28年度)

16.7%

15.0%

2017年度(平成29年度)

16.2%

14.9%

2018年度(平成30年度)

15.4%

14.6%

2019年度(令和元年度)

15.4%

15.6%

2020年度(令和2年度)

14.9%

14.2%

2021年度(令和3年度)

14.3%

13.9%

2022年度(令和4年度)

14.4%

15.0%

出典:厚生労働省「令和4年雇用動向調査」

過去10年の推移を見ると、全業種の離職率と比較して、介護職の離職率はやや高い程度というのが続き、2022年にはついにその数値が逆転しています。 2022年度の数字だけをみれば、むしろほかの業種よりも離職率は低く、近年の傾向を見ても大きな差はないというのが現実です。

介護職の離職率が高いというのは、一時期話題になった時代の名残であり、現実としてはかなり改善されているというのが現状と言えます。

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2.介護職を辞めたい理由ランキング3選

介護職の離職率は、世間一般のイメージと比較すれば、そう高くはありません。とはいえ、2022年度でも14%以上の離職率があるのも事実です。では、介護職の方は、どんな理由で介護職を離職するのでしょうか?

介護職の離職理由として多いものをいくつか紹介していきましょう。

職場の人間関係が悪い

人間関係の問題は、介護職に限らずさまざまな職種でも問題となる離職理由でしょう。しかし、介護職の現場では、より深刻な問題と考えることができます。介護職とは、サービスの対象が要介護者の人間であり、人間と触れ合う機会が多い職業でもあります。

介護職として、施設に勤務して働く場合は、要介護者の家族、さらにほかの業務に就く職員と連携し、話し合いながらすべての業務を行う必要があります。そのためコミュニケーションの部分で一度問題が発生してしまうと、一気に労働環境全体が悪化してしまうという問題があります。

訪問介護に関しても同様に、要介護者の家族や担当の医師などと連携して介護にあたる必要があります。 ほかの職種と比較しても、人間同士の繋がりが深い職場であり、必然的に人間問題での退職も多くなるということになります。

給料が安い

介護職の離職理由として、依然として多いのが給与面の問題です。もちろん、事業者としても人材確保のために最大限の努力をしているかと思いますが、それでも給料の面で不満があるという方は少なくないようです。

介護職の給料をイメージするために、厚生労働省が発表している「令和5年賃金構造基本統計調査」のデータを見てみましょう。介護職員(医療・福祉施設等)の年収、月給、年間賞与は以下の通りです。

年収 371万3,800円
月給 26万3,600円
年間賞与 55万600円

出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」

国税庁が発表している、「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者全体の平均年収は458万円です。この数字と比較すると、介護職の年収は安いということになります。 さらに介護職に関しては、「労働量を考えると給料が安い」という問題もあります。

介護職は、要介護者という人間を相手にした仕事となります。そのため常に気を張って業務にあたる必要があり、この点はほかの業種ではあまり見られない特徴です。さらに業務には肉体労働も含まれるため、肉体的にも精神的にも厳しい仕事となります。そのわりには給料が安いという思いもあるようです。

生活が不規則になる環境がしんどい

特に施設に勤務する介護職の方は、どうしても生活が不規則になります。多くの施設は24時間体制で介護を提供しますので、働く介護職の方も日勤、夜勤、などシフト制で働くことになります。また、当然365日体制での介護となりますので、土日祝日が確実に休めるわけでもありません。

こうした不規則な生活、不規則な休日シフトが原因で、介護職を離れる方も少なくありません。特にお子さんができた方などは、生活をお子さんに合わせる必要があり、それが原因で離職する方も多いようです。

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3.厚生労働省が介護業界の離職を抑えるために対応していること

上でも触れたとおり、2005~2007年には、介護職の離職率が30%近くになるという事態となり、国としても無視できない問題となりました。当時から日本は少子高齢化と言われており、2024年現在もその傾向は変わりません。

総務省統計局の人口推計調査によると、2023年12月1日時点の日本人人口の年代別割合は以下の通りです。

年代 人口比率
15歳未満 11.5%
15~64歳 58.8%
65歳以上 29.8%

出典:総務省統計局「人口推計」

人口推計の推移を見ると、15~64歳の人口は1990年代前半をピークに減少を続けており現在の数字になっています。15歳未満の人口に関しては第二次ベビーブーム(1971~1974年)以降減り続けています。 毎年の出生者数のデータを見ても、子どもの数は減少しており、今後も当分は高齢者の割合が増え続けていくでしょう。

高齢者の割合が増えるということは、当然要介護者の数も増えていることが予想されます。そのためにも介護職を目指す方が減ることは国としても見過ごせない問題です。 そこで政府は介護職の離職率が問題になった頃から、介護職の労働環境改善、給与改善のためにいろいろな施策を打っています。そんな施策の一部を紹介しましょう。

介護福祉士修学資金等貸付制度

まずは、介護職を目指す方を増やすための施策に関して紹介します。厚生労働省が実施しているのが、「介護福祉士修学資金等貸付制度」です。この制度には4つの事業があります。

  • 介護福祉士修学資金貸付事業
  • 介護福祉士実務者研修受講資金貸付事業
  • 福祉系高校修学資金貸付事業
  • 社会福祉士修学資金貸付事業

それぞれの事業に関して紹介していきましょう。 「介護福祉士修学資金貸付事業」は、介護福祉士を目指すすべての方が対象となる事業です。介護福祉士を目指すには、介護福祉士養成施設で一定期間学ぶか、実務経験を活かして実務者研修を受けることが条件となります。

この事業は、介護福祉士養成施設で学ぶ方が対象となる事業です。

対象者 介護福祉士養成施設に在学中、もしくは入学を予定している方
貸付期間 養成施設に在学している期間
貸付金額 ・月額5万円以内 ・入学準備金20万円以内 ・就職準備金20万円以内 ・国家試験受験対策費用4万円以内(/年度)
返済免除 介護福祉士として介護の業務に5年間勤務することで全額返済免除

介護福祉士養成施設を卒業し、介護福祉士資格を取得した方が、介護職の現場で5年以上働けば、この事業で貸し付けられた全額の返済が免除されます。 すでに介護現場で働いており、介護福祉士になるための勉強を考えている方は、ぜひ利用したい制度です。

「介護福祉士実務者研修受講資金貸付事業」は、すでに介護職で働いている方が、実務者研修を受講することで介護福祉士試験の受験資格を満たすという場合に利用できる事業です。

対象者 実務者研修施設に在学している方
貸付金額 20万円以内
返済免除 介護福祉士として介護の業務に2年間勤務することで全額返済免除

こちらも、研修施設卒業後、介護福祉士として介護の現場で2年以上働けば全額返済免除となります。

介護福祉士を目指す方を支援する制度は、すでに介護職で働いている方だけが対象ではありません。「福祉系高校修学資金貸付事業」は福祉系の高校に入学予定の方、また在学中の高校生が対象の事業であり、上で紹介した事業同様学費の援助をする事業になります。

対象者 福祉系高校に在学中、もしくは入学を予定している方
貸付期間 福祉系高校に在学している期間
貸付金額 ・修学準備金3万円 ・介護実習費3万円以内(/年度) ・就職準備金20万円以内 ・国家試験受験対策費用4万円以内(/年度)
返済免除 介護福祉士として介護の業務に3年間勤務することで全額返済免除

「社会福祉士修学資金貸付事業」に関しては、介護職に直結しない資格ではありますので、簡単に説明しておきます。社会福祉士の資格取得のために養成施設で学ぶ方に貸し付ける事業であり、上で紹介した事業同様に、卒業後に社会福祉士として相談業務など、社会福祉士業務に従事することで、全額返済免除になる事業です。

出典:厚生労働省「介護福祉士・社会福祉士を目指す方々へ(修学資金貸付制度のご案内)」

いずれの事業も、一定期間取得した資格を活かした働くことで、返済が免除になるのがポイントでしょう。返済免除を受けるということは、福祉系の資格取得のための資金の一部を国が負担してくれるということになります。 国としても、学費を一部負担してでも、福祉系の仕事に従事したいという思いが伝わってくる制度といえるでしょう。

介護職員の処遇改善

介護職員の処遇改善は、介護職員の給与や労働環境を改善するための制度や取り組みの総称です。先に紹介した通り、介護職員の給料は全産業平均と比べて低く、長年問題視されてきました。介護職の賃上げを実現する為に、どんな取り組みが行われてきたか簡単にまとめます。

  • 2008年:介護従事者の処遇改善のための緊急特別対策を発表
  • 2009年:介護職員処遇改善交付金を実施(2009年10月~2012年3月まで)
  • 2012年:介護職員処遇改善加算を創設
  • 2019年:介護職員等特定処遇改善加算を創設
  • 2022年:介護職員等ベースアップ等支援加算を創設
  • 2024年:上記3つの加算を一本化し、福祉・介護職員等処遇改善加算を創設

2024年介護報酬改定で、「福祉・介護職員等処遇改善加算」が創設されました。介護職の賃金を2024年度に2.5%、2025年度に2.0%引き上げることを目標としています。

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4.転職活動で要チェック|離職率の高い職場の見分け方

国としてもさまざまな対策を練り、また事業者や働く方の意識も変わっている部分があるため、介護職の離職率は平均的な数値で落ち着いています。 しかし、残念ながら中にはまだ離職率の高い職場というものは存在します。そんな離職率の高い職場を事前に見抜き、離職率の高い職場を避けるようにすることで、自身も離職する可能性は下がるでしょう。

そこで、求人広告や就職・転職前の情報収集で集められる情報から、離職率が高いと考えられる職場の見抜き方を紹介していきたいと思います。

求人募集が常にでている

まずは介護職に限らずどんな業種でも共通する離職率の高い職場の特徴から紹介しましょう。分かりやすいところでは、常に求人情報が出ている職場は離職率の高い職場であると考えることができます。

常に求人情報を出しているということは、それだけ人員不足が深刻であるということでしょう。募集はするものの、応募者がいないか、応募者はいるものの離職者が多く、常に人員不足の状況が打開できていないかのどちらかである可能性が高くなります。

慢性的に人員不足の職場の場合、当然ですが働いている方にかかる負担も大きくなります。ほかの職場と比較しても、休日が少なかったり、労働内容が過酷であったりする可能性が高くなります。 労働条件が厳しいからこそ離職者が多くなり、そのため常に求人が出ている可能性が高くなります。

給料が高すぎる

意外なポイントとしては、求人条件にある給料が、同業他社と比較して高すぎる職場も危険な職場と言えます。給料が高い求人を出すということは、その金額を提示しないと応募が来ないということでもあります。

また、実際に働いている方にも同じ程度の水準で給料を支払っていると考えると、それだけ仕事内容も過酷であることが想像できます。上でも書いた通り、人員不足の職場は、それだけでも働いている方への負担は大きいものです。

過酷な労働条件であれば、やはり長く働くのは難しくなり、離職率も高くなってしまうでしょう。高い給料に魅力を感じて応募したものの、実務が厳しすぎて長く続かなかったというのもよく聞く話です。

採用人数が多すぎないか

求人情報の採用人数が多すぎる職場にも不安はあります。もちろん、施設の新規立ち上げなど、正当な理由がある場合の大量募集であれば気にする必要はありませんが、既存の施設であり、特に新規事業を行うといおうわけでもないのに大量募集をしている職場は離職率が高い可能性があります。

大量に採用する予定があるということは、それだけ人員が足りていないということです。人員不足の介護現場は特に個人にかかる負担が大きくなります。

また、一度の大量採用をしている職場の場合、何らかの理由で職員が一気に辞めた可能性があります。多くの職員が同時に辞めるのは尋常な事態ではありません。

募集要項は細かく記載されているか

求人の募集要項に、細かな条件が記載されていないというのも危険なケースです。求人情報というのは、どのような業務を担当する方を、どのような条件で募集するのか、明確に記されているのが普通です。

こうした重要な情報がない求人では、入社後聞いていた内容とは違う業務を求められたり、休日や残業などの条件が聞いていた内容と違うというケースがあります。 離職率の低い、働きやすい職場というのは、従業員が働く際の条件を明確に提示しているものです。また、明示している内容をしっかりと守っているからこそ、働く方も安心して働けるということになります。

求人の条件があやふやであったり、不確かな情報で募集している求人は避けた方が無難でしょう。

職員のコミュニケーションは問題ないか

就職や転職の場合、就職面接や事前に職場見学ができるケースがあるかと思います。こうした職場を事前にチェックする機会がある場合は、職場内で働く方々のコミュニケーションの状況を細かくチェックしましょう。

職場見学の際、職員がそれぞれ単独で業務にあたり、お互いにコミュニケーションを取っていないような職場は、決していい職場環境とは言えません。特に介護職の場合は、各所で働く方同士でコミュニケーションを取り合い、細かな情報交換をしながら介護業務にあたるのが一般的です。

ほかの業種と比較してもコミュニケーションは多い職場と言えますので、そのコミュニケーションが見えない、もしくはスムーズではない職場の場合、働き始めても働きにくい可能性が高くなります。

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5.まとめ

介護職の現場は、仕事が過酷なわりに、給料が安いため離職率が高いというのが一般的なイメージかと思います。しかし、実際のデータを見ると、介護職の離職率は社会人全体の離職率を大きな差はなく、介護職が特別離職率が高いということはありません。 介護職に離職率が高かったのは、2005~2007年頃の話であり、20年近く経過した現在でもそのイメージが根強く残っているのでしょう。

とはいえ、介護職の給料面には問題が残っています。実際に平均年収を比較すると、給与所得者全体の平均より90万円近く安い傾向にあります。離職率こそ落ち着いたものの、給与面や職場環境という点では、まだ改善の余地があるといえるでしょう。

国としても介護職の現場には積極的な支援を行っており、働く方、雇用する方の両面に対して支援をする制度があり、今後も職場環境は改善の方向に向かうと予想されます。 これから介護職で働く方、もしくは介護職への転職を考えている方は、離職率の高い職場は避け、職場環境改善に取り組んでいる職場を選ぶようにしましょう。

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セカンドラボ株式会社

URL:https://note.com/2ndlabo/n/n56335bc8255e

2017年にセカンドラボ株式会社に入社。介護施設を担当する部門に配属され営業に従事。その後チームリーダーに就任。現在は事業部の統括的な立場でメンバーのマネジメントに関わる業務を主に担う。その他広報やコンテンツマーケティング等の業務も担当。

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