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【接遇で変わる看護師の医療現場】患者への思いやりが信頼を得る極意

  • 更新日
投稿者:小口 紗穂

病院や診療所を訪れる人は、心身ともに不安を抱えています。看護師は、医療的な側面だけでなく、患者さん一人ひとりに寄り添う「おもてなしの心」を持つことが求められます。
年齢や背景の異なる患者さんと接する中で、信頼関係を築き、安心できる医療を提供するためには、看護師の「接遇」が重要な役割を果たします。今回は、看護師の接遇の重要性と、その具体的な方法について解説していきます。

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1.看護師に求められる接遇とは?

「接遇」という言葉は、単なる応対の仕方ではなく、相手への深い理解と共感に基づいた、より人間的なコミュニケーションを指します。接客に似ていますが、接客はお客様に対して必要最低限のサービスを提供することです。接遇は相手のことを理解して適切にお迎えする気持ちで対応するという意味が強くなり、相手の状況や気持ちを汲み取る対応が必要です。

医療接遇の場合、患者さんは、病気やけがという具体的な問題だけでなく、それによって生じる不安や孤独感といった心の問題を抱えていることも少なくありません。看護師は、そうした患者さんの心の状態に気づき、寄り添うことで、より良い医療を提供することができます。

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2.看護師に必要な接遇の基本5原則

看護師の接遇には基本的な5原則があります。いずれも当たり前に感じることですが、それほど重要な要素なので、必ず身に着けるようにしましょう。5原則について具体的に解説します。

あいさつ

看挨拶は看護師に限らず、あらゆる対人関係において非常に重要な要素です。特に医療現場においては、患者さんの不安を軽減し、信頼関係を築く上で、挨拶は欠かせないコミュニケーションの第一歩となります。

患者さんのカルテやPCを見ながらの挨拶は、相手に対して失礼な印象を与えます。必ず目を合わせて、笑顔で挨拶しましょう。明るく、ハキハキとした声で挨拶することで、相手に良い印象を与えます。

ただいくら挨拶をしても相手から必ずしも返してもらえないことがあります。これはただ気づかなかったのか、気づいていたとしても返せる状況ではなかった、あるいは医療スタッフへの不信感があるためにわざと返さなかったなどいろんな要因があります。

患者さんの対応 看護師が取るべき行動
気がつかなかった 大きめの声で挨拶する
気が付いていたが返せなかった 精神状態や経過を観察しケアの有無を見極める
気が付いたがわざと無視した スタッフへの不信感の可能性があるので理由を聞く

このような状況では、無理に返事を求めるのではなく、患者さんの状態を理解し、温かい気持ちで接することが重要です。

身だしなみ

身だしなみも重要な接遇です。医療機関は医者にせよ看護師にせよ衛生面を重視し、清潔感のある身だしなみは必須です。医者以上に患者さんと接する機会が多い看護師は特に身だしなみが重要です。 身だしなみとおしゃれを間違っている事例があります。あくまでおしゃれは自分基準であり、身だしなみは、相手である患者さんを基準にしたものなので、社会人として適切な身だしなみを徹底するようにしましょう。以下の表に従ってチェックすると良いです。

抜け毛やフケがないか 明るすぎないカラーリング 前髪を目にかからないようにする 肩より長い髪は櫃にまとめる シンプルで落ち着いたヘアアクセサリーをつける
濃過ぎない化粧であるか 髭のそり残しがないか
短く丸く整えられた爪になっているか
制服 サイズは合っているか ボタンが取れているようなことはないか、ボタンは留めているか 白衣から下着が透けていないか 襟元から下着が見えていないか シミやしわがないか ネームプレートの名前がわかりやすいか
靴下・ストッキング 臭いなどがないか 穴が開いていないか 清潔感のある色(白や制服に合った色)や無地かどうか
汚れなどがないか かかとがすり減っていないか 歩きやすいかどうか
その他 アクセサリーは外しているか 整髪料や制汗剤、香水の匂いは強くないか

表情

看護師にとって表情も大事な接遇です。看護師は患者さんの容態に合わせるような表情をしないと、患者さんが不快に感じる場合があるからです。「本当にこの人わかっているのか?」「事務的な対応だ」と思われると、クレームにもつながりかねません。

表情を合わせるには、日々どのような表情をしているかを客観視することが大切です。そして患者さんの気持ちが安心できるような表情、気持ちに寄り添う対応が大事です。

勤務中は常に穏やかな笑みを受けるようにします。医療現場で起こる想定外なことが起こって気持ちが高ぶった時にも深呼吸をするなどして気持ちを抑えるように心がけるだけで、心にゆとりができて表情が穏やかになります。

態度

患者さんとの会話では、相手の目を見て話すことが非常に重要です。患部の確認など、どうしても見なければいけない状況もあるかもしれませんが、会話中はできるだけ患者さんの目を見て、真剣に話を聞いていることを伝えましょう。また、患者さんの表情や反応を見ながら、話す内容やトーンを調整することも大切です。

また、姿勢や動作は、言葉以上に相手に与える印象が大きいです。猫背や、髪の毛を触る、貧乏ゆすりといった動作は、相手に落ち着きのなさや無関心な印象を与えてしまいます。また、足を組んだり、ため息をついたりするのも、相手に不快感を与える可能性があります。患者さんの不安を解消するためにも、常に落ち着いて、自信を持って接することが大切です。

昨今、医療現場では、患者さんのプライバシー保護が厳しく求められています。ナースステーションでの会話でも、患者さんの個人情報に関する話題は厳禁です。また、患者さんの家族や他の医療スタッフに対する悪口も、絶対に避けるべきです。

態度・しぐさ 相手が受け取ってしまう印象
ドアの開閉音が大きい 八つ当たりしているように思われる 苛立っている
時計をチラ見している 早く話を終えてほしいと思われている 関心がないと思われる
ため息をついている うんざりしていると思われている つかれている印象がある
眉をひそめる 不快感や不信感がある
視線を逸らす 関心がない 自信がなさそうに見える
目が泳いでいる 何か言えない都合の悪いことがある 自信がなさそうに見える
腕や足を組む 拒絶されているように見える 威圧感がある
上体を揺らしたり 貧乏ゆすりをする イラついている 落ち着きがない
猫背 元気がなくやる気がない 自信がないように見える
髪の毛を触る イライラしている 落ち着きがないよう見える 不衛生である

言葉遣い

看護師にとって言葉遣いも接遇の基本です。患者さんと親近感を持ち、気軽に話せる雰囲気を作ることは大切ですが、あまりにも馴れ馴れしい言葉遣いは避けましょう。患者さんとの間に、お互いを尊重し合う適切な距離感を保つことが大切です。

新人の看護師の場合、学生時代に使っていた言葉遣いが無意識に出てしまうことがあります。患者さんとの会話では、年齢や立場を問わず、誰にでも理解できる言葉を選ぶようにしましょう。

患者さんに対しては、敬語を使うことを基本としましょう。特に、ご高齢の患者さんや、初めて会う患者さんに対しては、丁寧な言葉遣いを心がけることで、相手に敬意を表すことができます。

医療現場では、専門用語が飛び交うことがありますが、患者さんとの会話では、できるだけ専門用語は避け、誰でも理解できる言葉で説明しましょう。

医療用語(専門用語) 一般的な表現
褥瘡(じょくそう) 床ずれ
誤嚥(ごえん) 気管内に誤って入る
悪心・悪寒 吐き気が起きている、寒気がする
足浴・手浴 足・手だけお湯につけて洗う
セカンドオピニオン 主治医以外の医師の意見
清拭 身体を拭くこと
現病 現在治療中のケガや病気
既往 これまでにかかったケガや病気
オペ 手術
リハ リハビリ
プライマリーケア 初期診療
アナムネ 治療に必要なことを知るために患者本人や家族から病気やけがの状況や経過を聴くこと
ムンテラ 主治医から病状や治療についての説明を患者に行う
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3.看護師に接遇が必要な理由

接遇は看護師の必須スキルです。医療行為と同等とみてもよいほど接遇を重要視しなければ、患者さんやその家族からの印象が悪くなり最悪クレームになってしまいます。その他にも看護師にとっても医療行為にとっても接遇の良しあしが大きなポイントです。

適切な医療を提供するため

技術的な医療と接遇とは一見無関係のように感じるかもしれません。しかし適切な医療を提供する際に接遇はとても重要な意味を持ちます。

事務的な対応によって患者さんが心を閉ざしてしまうと、本当に困っていることを聞くのが難しくなります。まず患者さんの心を開くような接遇を行うと、相手の心がつかめるため、症状をくわしく説明してくれるでしょう。

その結果、適切な医療が提供できるだけでなく、「うまく話が伝わらなかった」「求めていたことと違う」という患者さんからのクレームを未然に防ぐことができます。

看護師の労働時間短縮に繋がるため

意外と思われるかもしれませんが、接遇を改善することは、看護師自身の労働時間短縮につながります。接遇がうまくいかないと、患者さんがクレームをつけるなど、予期せぬことがおこりその対応に追われてしまいます。対応に手間がかかるとその分看護師としてやるべき業務ができなくなり、結果的に労働時間が伸びてしまうことにつながります。

もちろん医療上の想定外のことで労働時間が伸びることは仕方がありませんが、看護師の接遇をよりよくすることで、余計な対応に戸惑うこともなく、本来の業務がスムーズに行えるようになると、結果的に労働時間短縮につながり、業務効率もよくなるでしょう。

円滑なコミュニケーションをはかるため

信頼関係が深まれば患者さんが感じている異変を伝えてくれやすくなるため、情報が素早くキャッチでき、手遅れにならずに適切な医療的処置が取りやすくなります。

無意識に接遇が見についていれば、患者さんやその家族だけでなく、看護師の同僚や医者など同じ医療機関で働く仲間からの印象もよくなります。感謝の言葉である「ありがとう」が増えることで、働くモチベーション向上にもつながるでしょう。

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4.接遇のNG例|気をつけるタイミング

接遇は正しい使い方をしましょう。当たり前ですが間違った接遇の使い方をしてしまうと、トラブルを招く恐れがあります。ここではNG例を参考に解説し、気を付けるタイミングについて解説します

問診するとき

問診を行うときに問診表に記入することを嫌がる患者さんがいたり、検査の説明を聴くことを面倒に思ったりする患者さんがいます。このような場合でも「そういう決まりだ」とか「診察に必要だ」というような言い方をしてはいけません。ルールを患者さんに押し付けようとしているように捉えられ不信感につながります。この場合は「可能な範囲でよいので」とか「大事なことだから説明させてほしい」と患者さんに寄り添うように返事をしましょう。

次に問診表に記載された質問事項の内容を確認する質問ひとつにしても、書いてあることを淡々と事務的に問いかけるのと、その内容を組んで相手に寄り添う言葉で問いかけるのとでは患者さんが答える内容に違いが出てきます。

事務的な問いは接遇としてNGなのはわかりますが、その際でもただ一方的に質問することはたとえ語り掛けが優しくても良くありません。クローズドクエスチョンと呼ばれる質問方法では、事実が明確にできてもそれ以上の話が広がりません。

「おなかが痛いのですか?」という問いかけをすると、「はい」か「いいえ」しか答えてくれません。実際にはおなかのどこがどういう風に痛むかによっても症状が異なります。クローズドクエスチョンだけでは細かいところがわかりにくくなる恐れがあります。

そのために活用するのがオープンクエスチョンと言われる方法です。 「おなかが痛いとのことですが、どうされましたか?」と患者さんが自由に質問に答えられる聞き方をします。患者さんは自分の症状を具体的に説明しやすくなり、医療者側も患者さんの状況をより深く理解することができるので、より適切な診断と治療に繋がる可能性が高まります。

処置やケアをするとき

処置やケアを行う際に注意したいのは、業務を早く終わらせようとするために患者さんへのコミュニケーションを省略してしまう恐れがあるときです。

患者さんに体温を測定する場合、「それでは体温を測ります」といって、いきなり患者さんの体に触れてしまうと、人間の本能として無意識に抵抗してしまいます。体温を測ることが重要な要素だとしても、そこで「体温を測らさせていただきます。よろしいですか」と患者さんの同意を求めると、患者さんはよほどのことがない限り同意し、そのまま体温測定の業務に映ります。

その他入院している患者さんに対して、朝の挨拶とともに病室のカーテンをいきなり開く行為や「傷口を見ます」と言って同時に布団をめくりあげている行為もNGです。いずれに場合にしても一言、患者さんの同意を得てから行うようにしましょう。

点滴時などに患者さんが誤った行動をしてしまったとき

患者さんは医療行為のことについては素人のため、その行為に対して疑問を感じてしまうために想定外の行動をとる可能性があります。

例えば点滴の治療を行う際、体の負担を書けない程度の滴下速度で応対しているのに、患者さんのほうが「もっと早く終わらせられないのか」と思って滴下速度を勝手に早くするという事例は良くあることです。これは何も言わずに点滴を行うため、速度を遅くしている理由がわからないからそうなるのです。

もし、看護師が患者さんに一言「点滴の速度はお体の負担を書けないようにゆっくりしているので触らないでください」という理由を告げる。おおむねの点滴が終わる時間をあらかじめ伝えておけば、患者さんは理解して勝手な行為をすることはありません。

点滴は時間をかけて行う行為のため、排せつや食事等に対する不安を持っている場合があるので、そのことについても看護師は丁寧に説明する(点滴中でも排泄ができる、食事は病室でとることもできるなど)を伝えておけば、患者さんは安心して看護師の指示に従ってくれます。

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5.医療接遇を高めるために取り組むべきこと3選

接遇は、医療機関全体で取り組むべき重要なテーマです。患者さんとの信頼関係を築き、より良い医療を提供するためには、個人の意識向上だけでなく、組織全体で取り組むことが不可欠です。

患者と同じ目線にたてるよう意識し目標をたてる

医療機関に来られる患者さんと同じ目線に立てるように意識することが重要です。医者や看護師は医療に関する専門知識を有していて、病気やけがを治す業務を行っているために、無意識に上から目線になってしまう恐れがあります。逆に患者さんは医療費を払って下さる客と思って、逆に患者さんに対して看護師が不用意にへりくだってしまうかもしれません。

結論を言えばどちらも適切ではなく、あくまで患者さんと同じ目線に立つことが重要です。そのためには看護師個人が意識した接遇を行なうことはとても大事ですが、それに加えて同じ医療機関で働く看護師同士が同じレベルの接遇ができるようにしなければなりません。そのためには定期的に目標を立てることです。目標が明確化できれば、それぞれ個人個人がその目標に向かって努力できます。

具体的には朝礼で接遇の目標を簡単なモノから意識してやることも大事です。継続することにより自然に身に着けられます。また同僚同士で目標について声を掛け合うことも大事でしょう。目標ができているかどうかをお互い声を掛け合うことで、看護師の接遇のレベルが自然と上がっていきます。

接遇研修の時間を設ける

接遇を適切に行うためには接遇研修の時間を定期的に設けることが重要です。外部から接遇のプロを招いて講師をお願いする方法もありますし、医療機関で優秀な接遇ができる看護師を講師にしてもよいかもしれません。

様々な事例を想定して、どういう言葉をかければよいのか、どう動けばよいのかを研修の場で確認することで、看護師同士情報が共有できます。

接遇マニュアルを作成する

「接遇を行いましょう」と意識合わせをしても、書面や基準のようなマニュアルがないと、看護師の中ではどうしてよいのかわからず、結果的に接遇がうまくできないという事態が起きることも想定されます。そのためには医療機関で共有できる接遇マニュアルを作りましょう。マニュアルを作ることである程度接遇ができている看護師にとっても自分がマニュアルに記載されている接遇ができているかどうかがわかる指標になります。

ただし、接遇マニュアルに従っているだけでは、せっかくの接遇が「マニュアル化」された言葉になってしまう恐れがあるので、最終的にはマニュアルがなくてもハイレベルな接遇ができるように医療機関内で意識を高めていくようにしましょう。

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6.まとめ

看護師にとって技術面での医療行為に加え、大事なことは接遇です。患者さんに対して接遇を行なうことで、患者さんにとって安心のできる信頼のできるという好印象が与えられえるだけでなく、看護師自身にとっても業務改善につながり、患者さん以外の家族や同僚などからの印象もよくなり、看護師自身の餅メーションアップにつながります。

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セカンドラボ株式会社

URL:https://www.2ndlabo.co.jp

東京大学を卒業後、大学病院の病棟看護師として勤務。アレルギー・リウマチ内科、腎臓内分泌内科、心療内科等幅広い領域を担う病棟で従事。
2023年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療介護向け求人メディア「コメディカルドットコム」の営業・採用課題のサポートを行う。また、看護師の経験を生かし、看護師に関連するコンテンツ作成にも従事。

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