日本における助産師の人数はどのくらい?|人手不足の理由
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日本では少子化が進んでおり、お産の数が減っています。それでも出産という行為自体はなくならないため、助産師の仕事は今後も消えることはありません。
むしろ、助産師の人手不足が課題となっている医療施設も多く、需要過多の状態が続いているのが現状です。
本記事では、日本における助産師の人数を紹介しながら、なぜ人手不足の医療施設が多いのかを解説していきます。
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1.助産師の人数の現状は?
少子化の影響でお産の数は減少していますが、助産師の数は増え続けています。ここでは、助産師の現状をみていきましょう。
令和4年時点で38,063人
厚生労働省が公表している「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、令和4年時点で38,063人の助産師が登録しています。
ちなみに、同資料によれば看護師の登録数は1,311,687人、保健師は60,299人です。
看護師や保健師と比べると助産師の数は少なく、まだまだ伸びしろがある分野といえます。また、助産師が不足している医療施設も多いため、現場で非常に重宝される存在です。
出典:厚生労働省|令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
10年間で6,000人超増加
助産師の就業数は、年々増加傾向にあります。厚生労働省の資料によると、平成24年〜令和4年の10年間で6,000人超増えていることがわかります。
平成24年から10年間の年次推移は、以下の表のとおりです。
年次 | 就業助産師の人数 |
---|---|
平成24年(2012年) | 31,835人 |
平成26年(2014年) | 33,956人 |
平成28年(2016年) | 35,774人 |
平成30年(2018年) | 36,911人 |
令和2年(2020年) | 37,940人 |
令和4年(2022年) | 38,063人 |
上表のとおり、助産師の数は年々増加しています。助産師の仕事に需要があることや、助産師の仕事に興味がある方が多いことがわかるでしょう。
出典:厚生労働省|令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
6割超が病院勤務
厚生労働省の資料によると、助産師の就業場所として最も多いのが病院(60.7%)です。次に多いのが診療所(23.0%)となっており、助産師の就業場所の多くが病院と診療所ということがわかります。
就業場所の具体的なデータは以下のとおりです。
就業場所 | 割合 |
---|---|
病院 | 60.7% |
診療所 | 23.0% |
助産所 | 6.4% |
看護師等学校養成所 | 3.9% |
市区町村 | 3.8% |
保健所 | 1.2% |
その他 | 0.4% |
社会福祉施設 | 0.1% |
都道府県 | 0.1% |
事業所 | 0.1% |
全体で見ると少ないですが、保健所や助産所、出張専門助産院などさまざまな就業場所があります。自分がどのような働き方をしたいのか、どのような助産師を目指しているのかで働く場所を決めるとよいでしょう。
出典:厚生労働省|令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
8割超が常勤雇用
厚生労働省の資料によると、助産師の雇用形態は常勤雇用が81.0%と最も高くなっています。具体的なデータは以下の表のとおりです。
雇用形態 | 割合(人数) |
---|---|
正規雇用 | 81.0%(30,814人) |
非正規雇用 | 18.4%(7,021人) |
派遣 | 0.6%(228人) |
非正規から正規雇用を目指す方や、看護師を経験してから助産師を目指す方も多いです。
派遣の割合が少ないのは、労働者派遣法により禁止されている業務がいくつか存在するためです。そのため、基本的には病院や診療所へ助産師を派遣することはできません。
出典:厚生労働省|令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
20代後半が最も多い
次に、年齢別に見ると助産師の就業者数は、25歳〜29歳が最も多く、次に40〜44歳が多い結果となっています。具体的なデータは以下の表のとおりです。
年齢 | 実人員(割合) |
---|---|
25歳未満 | 2,251人(5.9%) |
25〜29歳 | 5,992人(15.7%) |
30〜34歳 | 4,721人(12.4%) |
35〜39歳 | 4,651人(12.2%) |
40〜44歳 | 4,798人(12.6%) |
45〜49歳 | 4,789人(12.6%) |
50〜54歳 | 4,136人(10.9%) |
55〜59歳 | 3,200人(8.4%) |
60〜64歳 | 1,962人(5.2%) |
65歳以上 | 1,563人(4.1人) |
助産師に若い世代が多い理由は、結婚や出産、育児などの女性特有のライフスタイルの変化による離職が考えられます。
とはいえ、比較的若い年代からベテランまで、幅広い世代が活躍している職業といえるでしょう。
出典:厚生労働省|令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
都道府県で2極化が進んでいる
助産師の就業者数が多い都道府県は、
- 1位:東京都
- 2位:大阪府
- 3位:神奈川県
となっていますが、この数字は人口の多さに比例したものです。人口10万人当たりの助産師数で見ると、以下のように結果は異なります。
全国平均:30.5人
1位:島根県50.8人
2位:鳥取県45.2人
3位:長野県43.2人
〜
45位:千葉県25.6人
46位:愛媛県22.1人
47位:埼玉県22.0人
大都市で見ると、東京都29.8人、神奈川県27.0人といずれも全国平均よりも低い数字です。そのため、人口が多い都道府県は、助産師の数が足りていないことがわかるでしょう。
出典:厚生労働省|令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
スカウトサービス登録はこちら2.助産師の人数は増加傾向でも不足が続く
前述したとおり、助産師の数は平成24年からの10年間で増加傾向にあります。助産師の数が増えていても、人手不足で悩んでいる医療施設が多いのが現状です。
ここでは、人手不足が続いている原因を解説します。
需要過多の状態が続いている
少子化の影響により、お産自体の数は減ってはいるものの、助産師が足りていない医療機関も多いです。
その理由は、離職率の高さや産後ケアや不妊治療など、新たに需要が増している分野の登場などが挙げられます。
また、晩婚化に伴う高齢出産などのハイリスク分娩の需要も高まっており、高い水準でケアできる助産師が求められています。
こうした背景もあり、助産師の数は増えてはいても、需要過多の状態が続いているのです。
離職率が10%程度ある
助産師不足は、離職率の高さも原因として挙げられます。日本看護協会の調査によると、正規雇用看護職員(助産師含む)の離職率は11.6%です。約11人に1人が離職している計算になります。
助産師の離職率が高い原因は、人手不足に伴う業務量の増加が挙げられます。また、助産師は夜勤や残業が発生する場合もあり、体力的・精神的にキツさを感じることも多い仕事です。
助産師不足によって一人ひとりの業務量が増加し、その影響で人が辞めてしまうといった悪循環に陥っています。
世界的に助産師は不足している
助産師不足は日本だけでなく、世界的な課題です。WHOの報告書によると、2021年時点で90万人の助産師が世界的に不足しており、これは世界で必要とされる助産師の労働力の3分の1に相当します。
2035年までに助産師によるケアを十分に確保することで、妊産婦死亡の67%、新生児死亡の64%、死産の65%を回避できる可能性があるのです。これにより、年間で430万人の命が救われると推定されています。
スカウトサービス登録はこちら3.まとめ
日本における助産師の数は、令和4年時点で38,063人です。平成24年からの10年間で、6,000人以上の助産師が新たに誕生しています。
助産師の数は年々増えていますが、人手不足の問題を抱えている医療機関が多いのが実情です。
世界的に助産師が不足しているため、好条件の求人を提示している医療機関も存在します。将来的にも需要がある仕事なので、興味がある方は助産師を目指してみてはいかがでしょうか。
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