診療看護師の年収は1000万！？給与や仕事内容やメリット・資格取得方法まで解説

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1.診療看護師とは？

診療看護師（Nurse Practitioner、通称NP）は、医師の指示に基づく一定の診療行為が行えます。 診療看護師は従来より幅広い診療行為ができる看護師として、全国での需要が高まりつつあります。

ただし2024年現在は日本NP教育大学院協議会の資格認定なので民間団体の資格です。 つまり診療看護師は国家資格ではありません。

診療看護師と一般的な看護師の違い

診療看護師と一般的な看護師の違いは1点で、医師のような診療行為をできるかできないかです。 医師法により原則、診断・診療などの医療行為を担うのは医師に限られています。

しかし医師不足が深刻化するなか、高度なスキルを身につけた看護師には診療補助の特定行為が認められてきました。

そのひとつが診療看護師で医師や薬剤師などの他職種と連携を図りながら、患者の診察や治療をより効果的・効率的かつタイムリーに行うことで、患者の疾病の重症化を防止しQOLの向上を図ります。

診療看護師と特定看護師の違い

診療看護師に似た言葉に特定看護師があるのをご存じでしょうか。

特定看護師は特定行為をするのに必要な研修を修了した看護師を指し、2015年厚生労働省が施行した「特定行為に係る看護師の研修制度」によって21区分38行為が定められました。

つまり診療看護師は資格ですが、特定看護師は資格ではないのです。 また、大学院卒業は必須ではありません。

診療看護師には特定看護師の研修カリキュラムも含まれています。

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2.診療看護師の年収

診療看護師はアメリカで上級の看護師として高報酬の人気職種ですが、日本ではどうでしょうか。

日本での診療看護師の年収は700万円〜800万円と言われています。 特別なスキルを保有している場合年収1000万円を超えるという話も聞きますが、大学院修士2年（臨床経験10年）＋本学卒業研修修了で、400万円弱という求人情報もあります。

診療看護師はこれから少子高齢化や人口減少、医師の不足等により需要が高まるにしたがって年収も上がっていくでしょう

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3.診療看護師の仕事内容

診療看護師は一般の看護師よりも裁量の幅が増えるため、その分やりがいと責任も増えます。

仕事内容を把握した上で診療看護師を目指すのか検討するようにしましょう。

相対的医行為

相対的医行為とは、医師の指示・監督のもとに看護師が行える行為のことを指し、医師の仕事を診療看護師が肩代わりできます。

なお、医師が行わなければならないのは絶対的医行為と言いますので覚えておきましょう。

特定行為

診療看護師は厚生労働省が定めた「特定行為区分」に該当する医療行為を、医師に代わって実施可能です。 たとえば「経口用気管チューブの位置の調整」や「心嚢ドレーンの抜去」「胃ろうカテーテルの交換」などを医師の手順書に従って指示を待たずに行えます。

特定行為を実施できる診療看護師が増えると、迅速な処置提供による患者の苦痛軽減につながるなど、質の高い医療提供が可能です。

医師と看護師の仲介

診療看護師は医師と看護師の両者の間にたって連携をとる役割もあります。 なぜなら現場の看護師にとって医師よりも診療看護師のほうが声をかけやすい存在であることが多いからです。

また医師が不在、多忙の際は診療看護師が医師の判断を仰いで迅速に対応し、看護師の指示待ちの時間を短縮するなど質の高い医療提供を実現します

各種プランの作成

診療看護師は医師に相談しながら、患者の治療に関係する各種プランを作成します。

クリニカルパスやリハビリスケジュールの作成・見直しに携わり、医師にかかる業務量の負担を減らします。

看護に携わる職員の教育

診療看護師は治療に関わる専門的な教育を受けており、看護経験が豊富です。

そのため現場の看護スタッフに教育をする機会が多く、やりがいを感じることも多いでしょう。

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4.診療看護師になるには？

診療看護師になるには、特定の過程を経て最終的に国立病院機構に「診療看護師/JNP」として認定される必要があります。

以下が一般的な診療看護師になるための流れと条件です。

• 5年以上の看護師経験を積んだ後、指定された大学院で医学を学ぶ
• 診療看護師の資格が取得できる大学院に2年通学
• 卒業と同時に日本NP大学院協会のNP認定試験を受験
• 合格すれば診療看護師の資格が取得可能

診療看護師になるには最短でも7年かかります。

合格後は通常よりも広い範囲の判断力や責任が求められますが、やりがいのあるポジションと言えるでしょう。

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5.診療看護師になるために大学院で学ぶ7つのこと

診療看護師の資格は転職や就職の際に有利にはたらくと考えられますが、現場レベルで診療看護師に求められるスキルを身につけておくことで、転職や就職がスムーズに進むでしょう。

診療看護師になるために大学院で学ぶことを7つ紹介・解説します。

包括的健康アセスメント能力

看護における「アセスメント」とは、対象の患者から得られる「主観的情報」と医療職の観察の結果得られた「客観的情報」をもとに、看護上の課題を分析することを指します。

診療看護師は特定の医療行為も行える看護師であるため、一般的な看護師よりも包括的なアセスメント能力が求められます。

適切な医療ケア・看護ケアに迅速につなげるためにも、必要な情報を効率よく収集できるスキルを身につけましょう。

医療処置・管理の実践能力

診療看護師は医師の指示のもと、一定の範囲の医療的処置を患者に行うことが可能です。

そのため医師がいない場で複数の患者に対する医療的な判断を迫られるケースも少なくありません。

時間や場所、病状、患者を問わず、効果的で公平な医療的処置をタイムリーに行えるように医療的処置マネジメント能力を高める必要があるでしょう。

熟練した看護実践能力

診療看護師として活躍するには、論理的な考え方と正確な看護スキルに基づく熟練した看護実践能力を身につける必要があるでしょう。

日本看護協会によると、看護実践能力の核となるスキルには「ニーズをとらえる力」「ケアする力」「協働する力」「意思決定を支える力」の4つが存在します。

診療看護師は医師に近い立場で医療的処置も行うため、幅広い視野をもって患者にとって最適な手段を選び、QOLを高める看護を実践する能力が求められます。

出典：日本看護協会「看護師のまなびサポートブック」

看護マネジメント能力

診療看護師は一般の看護師よりも裁量があり、高度な知識・スキルを持ち合わせていることから、一般の看護師の指導スタッフとして管理業務を任されることもあります。

また医師や看護師、薬剤師などといったほかの医療職とスムーズに連携するための架け橋としても機能することから、チーム医療をマネジメントする立場も努めなければなりません。

チームワーク・協働能力

診療看護師は医師と看護師との間の架け橋となる存在であり、チーム医療においてはほかの医療関係の職種やケアマネージャーなどとの連携をスムーズにする役割を果たす職種です。

患者のQOL向上をめざした対応を迅速に行うためにも、他職種と効果的に連携し、協力し合う関係を構築するチームワーク・協働能力が求められます。

医療保険福祉制度の活用・開発能力

近年では医療機関もICT化が進み、電子カルテや診療報酬の請求業務のためにシステムを導入している病院・クリニックは少なくありません。 医療・保健・福祉に関するシステムを活用する能力は、個人情報・検査データの適切な管理やこまめな情報収集が欠かせない診療看護師にとって、必須のスキルといえます。

またより効果的・効率的に診療看護師の業務をするには、適切なシステムを自身で考案・開発することも重要です。

普段の業務のなかでICT化できるポイントを探すことも、システム活用能力・開発能力を伸ばすことにつながるでしょう。

倫理的意志決定能力

看護師として働くうえで、「治療方法の選択に悩む患者やその家族をどのように支えるか」「その人らしい最期とはなにか」などの倫理的な課題は避けて通れません。 臨床看護における倫理では、患者や家族、医療・看護や介護など関わる専門職の意見を集め、折り合いをつけながら患者にとってのベストをめざして課題解決に取り組みます。

診療介護はチーム医療の中心的役割を担うこともあるため、倫理的課題を最善のゴールに導くための高い判断力（倫理的意志決定能力）が必要となります。

倫理的課題を考える際のアプローチや考え方を理解し、倫理的課題を抱えるケースについて自分で考えてみるなどのトレーニングを日頃から行うことを心がけましょう。

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6.診療看護師の資格が取れる大学院

診療看護師になるには診療看護師の資格が取れる大学院に2年通学し、修士（看護学）の学位を得ることがまず必要です。

なお、2024年2月時点で日本NP教育大学院協議会が認定するNP教育課程の大学院は以下になります。

• 北海道医療大学大学院
• 国立大学法人　秋田大学
• 東北文化学園大学大学院
• 国立大学法人　山形大学大学院
• 東京医療保健大学大学院看護学研究科
• 国際医療福祉大学大学院
• 佐久大学大学院
• 藤田医科大学大学院
• 愛知医科大学大学院
• 公立大学法人　島根県立大学大学院
• 公立大学法人　大分県立看護科学大学大学院
• 国立大学法人　富山大学大学院
• 森ノ宮医療大学大学院
• 東京医療保健大学大学院医療保健学研究科
• 令和健康科学大学
• 国立大学法人　大阪大学大学院
• 聖隷クリストファー大学大学院
• 公立大学法人　名古屋市立大学大学院

出典：日本NP教育大学院協議会

入学試験の難易度や倍率は個々に異なります。

診療看護師の大学院でかかる学費

診療看護師の大学院生活2年間の学費は150万円〜200万円と言われています。

奨学金制度はどこの大学院にもありますが、大学院によっては独自の奨学金制度を設けている診療看護師の大学院もあるようです。

また職業訓練給付金の対象になっていることもあるので、志望する大学院の情報を確認しましょう。

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7.診療看護師になるメリット5選

最低でも取得に7年かかる診療看護師の資格ですが、取得するとどんなメリットがあるのでしょうか。

人によってメリットは変わってくると思いますが、大体の人にあてはまるメリットを5つ紹介します。

今後の高い需要が見込まれ、将来性がある

従来よりも幅広い診療行為ができる看護師として、今後も高い需要が見込まれるでしょう。

給与が高い・手当がつく

日本の診療看護師の年収は700万円〜800万円と言われています。 特別なスキルを保有している場合は年収1000万円を超える診療看護師もいるようです。

チーム医療の中心的な存在として活躍できる

診療看護師になると従来よりも幅広い診療行為が行え、チーム医療の中心的な存在として活躍していることを実感できます。

看護師長・看護部長などへの昇格もしやすくなる可能性

診療看護師になると10年後、20年後のキャリアパスを意識して働けるようになり、将来的に看護師長・看護部長などへの昇格もしやすくなるでしょう。

医師が多忙や不在でも診療機能を維持させられる

診療看護師は医師が多忙・不在でも診療機能を維持できるので、より質の高い医療行為を提供できます。

働きながら大学院に通うのは、決して簡単なことではありません。 ですが看護師としてのやりがいや年収アップを望むなら、診療看護師になる意義は十分あります。

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8.診療看護師の求人はどこで探す？

診療看護師の求人を探す方法をご紹介します。

紹介

診療看護師に限らず最近では「リファラル採用」と言って、友人や知人、家族や親戚など人脈を通じた紹介によって応募・転職する方法があります。

紹介で転職するメリットは紹介者が求職者本人をよく知っているため、スキルを相手先に上手に説明ができ、本人の良さが先方に伝わりやすい点です。

逆に紹介してもらっている以上、内定をもらったときに断りにくいというデメリットもあります。

各医療機関のホームページ

診療看護師の需要は高まっているため、各医療機関のホームページでも募集をしている場合もあります。

直接応募してみても良いでしょう。

転職サイト

転職サイトにもさまざま種類があり、それぞれに得意としている求人があります。 診療看護師の場合は医療や福祉に特化した転職サイトから求人を選ぶのがおすすめです。

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9.まとめ

診療看護師の給与や仕事内容についてまとめました。

診療看護師は医師の包括的指示のもと、一定の範囲の医療行為を行え、大規模な病院からクリニック、訪問看護などの幅広い職場で活躍しています。

日本の高齢者人口の割合は2023年8月時点で29.1%であり、2040年には35.3%になると見込まれているので、高齢者人口が増えるにつれ診療看護師の需要も高まるでしょう。

出典：統計局「人口推計」

出典：厚生労働省「令和2年版　厚生労働白書」