調剤薬局の薬剤師の仕事内容は?収入やメリットデメリットについて解説
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「調剤薬局で働く薬剤師の仕事内容は?」
「調剤薬局の薬剤師の収入は?」
調剤薬局への就職や転職を検討している薬剤師の方は、このような疑問があるのではないでしょうか。
本記事では、調剤薬局で働く薬剤師の仕事内容や収入、魅力などを解説します。
調剤薬局へ転職する際に必要なスキルについても見ていくので、自分に適性があるかどうかの判断材料にしてください。
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目次
1.調剤薬局における薬剤師の仕事内容
調剤薬局における薬剤師の仕事内容は、主に以下の5つが挙げられます。
- 調剤業務
- 服薬指導
- 薬歴管理
- 健康相談
- 在宅医療業務
ここでは、具体的にどのような仕事内容があるのか解説します。
さらに、薬剤師の就職先として人気のある病院薬剤師との違いについてもみていきましょう。
調剤業務
調剤業務は、医師が発行した処方箋の内容をもとに、患者様に薬を調剤する業務のことです。
医師が発行する処方箋が100%正しいとは限りません。そこで薬剤師は、患者様の症状と処方箋に相違がないか確認するのも大切な業務の一つです。
万が一、重複処方やアレルギーなどの問題が見つかれば、処方した医師に連絡し、本当に内容が正しいか照会・処方提案します。
医師と調剤薬局の薬剤師がそれぞれ確認することで、医療ミスの防止にもつながるのです。
服薬指導
服薬指導は医薬品を処方する際、患者様に薬の情報を説明する業務です。服薬方法だけでなく、保管方法や服用するにあたっての注意ポイントも説明し、患者様の同意をもらう必要があります。
また、薬を処方する際に患者様から、わからないことや不安なことを聞かれることもあるでしょう。
薬剤師は患者様の悩みや疑問点を聞き出し、薬の専門家として適切な助言を行うのも大切な仕事の一つです。
薬歴管理
薬歴管理とは、患者様の薬剤服用歴の情報入力・管理をする仕事です。
新しく医薬品を患者様に処方する場合、患者様の服薬状況や服薬歴、副作用歴、アレルギーなどを調べる必要があります。これは、薬の組み合わせによって効果が強くなったり、半減したりする場合もあるからです。
また、調剤薬局では健康組合に調剤報酬請求を行います。その際に、患者様の薬剤服用歴の情報が正しいものでないと報酬請求が行えないため、薬歴管理は重要な業務です。
健康相談
調剤薬局に訪れる患者様から、健康面に関する相談を受ける場合もあります。
「こういった不調があるときは、どの薬を購入すればいい?」など患者様から質問を受け、答えるのも調剤薬局で働く薬剤師の仕事の一つです。
実は調剤薬局には、処方箋がなくても薬を購入できる「OTC医薬品」も取り扱っています。患者様の悩みに応じて、どのOTC医薬品を購入すればよいのかアドバイスも行います。
調剤薬局で働く場合は、そこで取り扱っている薬に関する情報を理解しておくことが求められるでしょう。
在宅医療業務
在宅医療業務は、薬剤師が患者様の自宅に訪問し、処方箋に応じた医薬品の提供、服薬指導などを行う仕事です。超高齢社会に伴い、自宅療養する患者様も増加すると予想されているので、在宅医療業務も増えていくとみられています。
高齢の患者様で嚥下力が低下している場合、従来の錠剤やカプセルの薬を飲み込めないケースもあります。患者様の状態に応じて、薬を粉状にするなどの「配慮する力」が求められるでしょう。
薬剤や服薬に関する情報は、訪問医療を提供している他のスタッフや福祉関係者に共有します。薬剤師だけでは在宅医療を提供できないため、包括的にケアするために他のスタッフと連携する力も大切です。
病院薬剤師との違い
病院薬剤師と調剤薬局薬剤師は、医師の指示に従って患者様に薬を処方する点では同じです。しかし、病院薬剤師が取り扱う注射に使用する薬剤の調合は、調剤薬局では行いません。
また、食事で栄養摂取することが難しい患者様に対して、点滴で栄養剤を入れる場合がありますが、その栄養剤の調合は病院薬剤師が担当します。しかし、調剤薬局で点滴をすることはないため、調剤薬局薬剤師が点滴の栄養剤の調合を行うことはありません。
病院薬剤師と調剤薬局薬剤師とでは勤務体系も異なります。調剤薬局薬剤師は日勤のみのシフト制ですが、病院薬剤師は「夜勤を含めた3交代制」が一般的です。
スカウトサービス登録はこちら2.調剤薬局の薬剤師に求められるスキルとは?
調剤薬局薬剤師の仕事は多岐にわたります。仕事内容に応じて、薬剤師に求められるスキルも異なります。
調剤薬局の薬剤師に求められるスキルは以下のとおりです。
- 情報収集能力
- コミュニケーション能力
- 薬物療法に関する専門知識
- 患者さんに寄り添う姿勢
- 在宅医療に関するスキルや知識
- 認定薬剤師資格
ここでは、それぞれ具体的にどのような能力が求められるのか、なぜ必要なのかについて解説します。
調剤薬局薬剤師への転職を検討している人は、自分に適性があるかの判断材料に使ってください。
情報収集能力
調剤薬局で働くためには、最新の医薬品や医療について調べられる情報収集力が必要です。
今後新たにコロナウイルスなどの未知の病気が現れる可能性もゼロではありません。そういった病気や疾患に関して、すぐに対応できるように情報収集を行い、薬剤師としてできることを検討する能力が求められます。
また、患者様から質問された際には、すぐに答えられるように医薬品や医療に関する情報には常にアンテナを立てておく必要があるでしょう。
今後、オンラインでの服薬指導や在宅医療の増加も予想されています。時代の変化に対応するためにも、最新情報を常にキャッチしておく情報収集力は欠かせません。
コミュニケーション能力
調剤薬局で働く薬剤師には、患者様一人ひとりとのコミュニケーションが求められています。
薬を処方する際に薬の効果や副作用、服用方法についてわかりやすく丁寧に説明しなければなりません。
また、患者様に服用している薬はないか、既往歴やアレルギーなどがないか情報を聞き出す必要もあります。調剤薬局薬剤師は、患者様とのコミュニケーションによって成り立つ仕事なので、そのスキルは必要です。
薬物療法に関する専門知識
薬物療法の高度化に伴い、薬物療法に関する専門知識も調剤薬局で務める薬剤師に求められるスキルです。新しい医薬品も登場する中、服用に注意が必要な薬も少なくありません。
そこで調剤薬局の薬剤師は、患者様に医薬品の情報を適切に助言できるように、これまで以上に専門的な知識を身につけておく必要があります。
医薬品の専門家として、薬物療法に関する専門知識も求められるでしょう。
患者さんに寄り添う姿勢
患者様一人ひとりに寄り添う姿勢も、調剤薬局で働く薬剤師に求められるスキルの一つです。その背景には、かかりつけ薬局の推進や在宅医療の需要が高まっていることが挙げられます。
これまでの調剤薬局のように、ただ処方箋通りに医薬品を処方する存在ではありません。
今後求められるのは、患者様がどのような悩みや不安を抱えているのか、しっかりと話を聴くことです。
患者様の話を聞いたうえで、どうすれば解決できるのか専門的な知識をもって、薬の処方やアドバイスをします。
調剤薬局で働く薬剤師には、患者様の話を聴く力や患者様がどのような課題を抱えているのか把握する力が求められるでしょう。
在宅医療に関するスキルや知識
近年、自宅での療養を希望する患者様が増加傾向にあり、それに伴い在宅医療の需要が高まっています。
今後、調剤薬局で働く薬剤師には、在宅医療に関する知識やスキルも求められるでしょう。
実際に、薬剤師が患者様の自宅に訪問し、さまざまなサービスを提供している薬局も多いです。在宅医療で薬剤師が活躍するために、患者様の服薬状況について把握しておく必要があります。
また、特定の患者様には継続的な服薬指導も行っていかなければなりません。
これからの調剤薬局には、「在宅医療の経験がある」「興味を持っている薬剤師」の活躍が期待されています。
認定薬剤師資格
取得しておくと転職に有利になる資格として、「認定薬剤師」が挙げられます。認定薬剤師はいくつかの分野に分かれている資格です。
認定薬剤師の主な資格は以下の3つです。
資格名 | 概要 |
---|---|
研修認定薬剤師 | 良質の薬剤師業務を行うために、倫理、基礎薬学、医療薬学、衛生薬学及び薬事関連法規・制度などの自己研鑽を積んでいると認定された薬剤師 |
がん薬物療法認定薬剤師 | がん治療における薬物療法の専門知識と技能を持つと認定された薬剤師 |
感染制御認定薬剤師 | 院内感染の予防と管理において専門知識と技能をもつと認定された薬剤師 |
調剤薬局で勤務するにあたり、まずは研修認定薬剤師の資格取得を目指すとよいでしょう。学習意欲のあることの証明にもなり、転職で有利になりやすいです。
上記で紹介した3つの資格は、薬剤師として専門性の高さを証明できるため、自身の市場価値も高まるでしょう。
3.調剤薬局における薬剤師の待遇
調剤薬局で働くことを検討する薬剤師が気になるのは、どのような待遇が期待できるのかではないでしょうか。ここでは、調剤薬局における薬剤師の待遇を見ていきます。
転職先を探すにあたっての参考にしてください。
年収の目安
コメディカルドットコム掲載の求人から独自に調査した結果、調剤薬局で働く薬剤師の平均年収は、400〜600万円でした。他の就職先と比べた平均年収は以下のとおりです。
職種 | 平均年収 |
---|---|
病院薬剤師 | 500〜600万円 |
医薬品情報担当者(MR) | 500〜1,000万円 |
調剤薬局薬剤師 | 400〜600万円 |
ドラッグストア | 450〜600万円 |
平均年収は薬剤師としての経験年数、役職、調剤薬局の規模、勤務地などによっても大幅に異なります。調剤薬局の薬剤師で、エリアマネージャークラスになると、年収800万円以上稼いでいる方もいらっしゃいます。
出典:コメディカルドットコム
勤務時間
調剤薬局で働く薬剤師の勤務時間は、近くの病院やクリニックの診察時間に合わせて営業していることが多いです。店舗によって異なりますが、基本的には平日の日中に働きます。
朝8時〜9時に出勤し、17時〜18時に退勤する勤務時間が多いです。
また、夜の診察に対応している医療機関が近くにあれば、調剤薬局も合わせて営業するため、早番・遅番のシフト制になります。
「かかりつけ薬剤師」として登録している薬剤師は、24時間体制で患者様の対応を行うため、夜勤が発生する場合もあります。
基本的には固定制やシフト制ですが、中には変形労働時間制やフレックス制を採用している調剤薬局もあるので確認しましょう。
休日
前述したように、調剤薬局は近くの病院やクリニックに合わせた休日になります。近くのクリニックが土日休みであれば、調剤薬局も土日休みです。
調剤薬局の中には広範囲の病院やクリニックからの処方箋に対応している店舗もあり、曜日に関わらず営業しているケースもあります。そういった調剤薬局では、週休2日のシフト制で勤務することになるでしょう。
スカウトサービス登録はこちら4.調剤薬局で薬剤師が勤務する魅力
ここでは、調剤薬局で働く薬剤師の魅力について解説します。
医療用医薬品の知識が深まる
調剤薬局で働くと、最新の医療用医薬品の知識が深まる点がメリットの一つです。これはドラッグストアの勤務では、なかなか身につけられない知識といえます。
また、調剤薬局ではさまざまな症状を抱えた患者様から、相談を受けることもあります。その中で医療用医薬品の知識だけでなく、病気に対する知識も深まるでしょう。
薬剤師として、さまざまな分野の知識を深めたい方にはメリットといえます。
ワークライフバランスが整っている
調剤薬局の勤務時間や休日は、近くの病院やクリニックに合わせて決まることがほとんどです。そのため、土日休みや日勤業務のみのシフト制が多く、プライベートが確保しやすい職場環境です。
病院薬剤師のように夜勤や残業もほとんどないため、定時退社できる職場もあります。
そのため、ワークライフバランスが整っている職場で働きたい薬剤師にはメリットです。
ただし、調剤薬局によっては土日祝の営業や夜遅くまで営業している場合もあります。
調剤薬局に転職を検討する際は、求人票に記載されている勤務時間や休日なども確認しておきましょう。
患者さんとの距離が近くやりがいがある
調剤薬局で働く薬剤師は、服薬指導や薬歴管理、健康相談など患者様と直接コミュニケーションを取りながら業務を行うことが多いです。
薬剤師の存在により、正しい医薬品を提供できるため、医療ミスを防ぐことにもつながっています。
患者様の健康をサポートする中で、「ありがとう」と感謝される機会も多いです。薬剤師が就職する職場には、患者様と直接関わらない仕事もあります。患者様との距離が近く、健康を支えられる点は調剤薬局のメリットといえるでしょう。
家族の転勤にも対応しやすい
調剤薬局はコンビニよりも店舗数が多いため、家族の転勤で引っ越しした場合でも転職がしやすいメリットがあります。
また、大手の調剤薬局に勤めている場合は、人事異動にも柔軟に対応してくれる場合も多いです。
たとえ人口が少ない地方に引っ越すことになっても、新しい仕事を見つけることは難しくありません。
そのため、他の病院や企業などの就職先と比べても、生活の変化に対応しやすい点がメリットといえるでしょう。
地域医療に貢献できる
調剤薬局で勤務すると、地域医療に貢献できるメリットがあります。
調剤薬局の薬剤師は医師からの処方箋をもとに調剤し、患者様に渡すだけの仕事ではありません。
地域住民の健康を支えるのも薬剤師の役割の一つです。
調剤薬局に訪れる地域住民の相談に対し、病気の予防についてアドバイスしたり、健康をサポートしたりすることも求められます。
来店される患者様だけでなく、薬剤師が患者様の自宅に訪問し、処方箋に応じた医薬品の提供や服薬指導も行います。
これから地域医療に携わりたい方は、調剤薬局で勤務することがおすすめです。
5.調剤薬局で薬剤師が勤務するにあたっての注意点
調剤薬局への転職を検討している薬剤師の方は、以下の点を考慮しなければなりません。
特定の症状の取り扱いに偏る危険性
調剤薬局の業務内容は、処方元の病院やクリニックの診療科目に限定される可能性があるため、特定の症状に知識が偏る点は考慮する必要があります。
また、調剤薬局では調剤・服薬指導・薬歴管理が主な業務になり、ルーティンワークになりがちです。
毎日同じような作業が続く可能性があり、仕事へのモチベーションが低下する方もいらっしゃいます。
しかし、在宅医療業務や健康相談など、患者様とコミュニケーションを取りながら業務を行うこともあるため、職場によっては魅力に感じるでしょう。
人間関係が狭くなりがち
調剤薬局に在籍する薬剤師は、基本的に少ない人数で営業します。特に門前薬局のように小規模な店舗では、数人で対応しなければなりません。
そのため、人間関係が狭くなりやすく、職場の人間関係でトラブルが発生した場合、非常に働きづらくなります。
しかし、人間関係が狭くなる分、職場のスタッフ同士で密にコミュニケーションを取り合える環境ともいえます。
調剤薬局へ転職する際は、人間関係が良好かどうかは必ず確認しておくべき項目の一つです。
ビジネスマナーを知らない先輩しかいない場合も
調剤薬局は営業職のように、企業相手に業務を行うことは基本的にありません。打ち合わせや交渉、ビジネスメールなどもないため、基本的なビジネスマナーが身につきにくい環境です。
職場によってはビジネスマナーを知らない先輩しかいない場合もあり、業務上でストレスを感じる可能性もあります。
ビジネスマナーを身につけたい場合は、個人で研修や読書で学ぶなど、自己研鑽が大切です。
6.まとめ
調剤薬局で働く薬剤師の仕事内容は、調剤業務・服薬指導・薬歴管理・健康相談・在宅医療業務など多岐にわたります。
今後は超高齢社会に伴い、在宅医療に力をいれる薬局や、オンラインでの医薬品販売、服薬指導が増えていくと予想されています。
時代とともに変わりつつある薬剤師業界では、最新の情報をキャッチする能力やコミュニケーション能力、薬物療法に関する専門知識が求められるでしょう。
本記事の内容が、調剤薬局への転職を検討している薬剤師の方の参考になれば幸いです。
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