看護師と機能訓練指導員の兼務ガイド|介護施設での役割と責任
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「デイサービスなどの介護施設で看護師と機能訓練指導員は兼務できる?」
「施設の事情で看護師兼機能訓練指導員になったけど不安」
このようなお悩みはありませんか?
結論から申し上げると、デイサービスなどの介護施設で看護師と機能訓練指導員の兼務は可能です。ただし、兼務するためには条件があります。
本記事では、看護師と機能訓練指導員の兼務についてわかりやすく解説します。
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目次
1.看護職員と機能訓練指導員の兼務が可能か
冒頭でもお伝えしたとおり、看護師と機能訓練指導員の兼務は可能です。ここでは、その条件と兼務するメリット・デメリットについて解説します。
機能訓練指導員としての兼務条件
介護施設などでは、看護職員の配置基準を満たしていれば、機能訓練指導員との兼務が可能です。
兼務する条件には、「看護師として業務に従事していない時間帯に限り、機能訓練指導員として勤務できる」ことが挙げられます。
つまり、看護師として勤務する時間帯は機能訓練指導員の業務が行えず、同様に、機能訓練指導員として勤務する時間帯は、看護師の業務は行えないということです。
ただし、病院やクリニック、訪問看護ステーションと連携している場合、連携で配置される看護師が機能訓練指導員の兼務はできません。
兼務のメリット
看護師が機能訓練指導員を兼務することにより、利用者様の健康状態をよく理解している看護師が機能訓練も行えるようになります。より少ない職員数で、人員配置基準を満たせる点がメリットです。
さらに、利用者様にとってもメリットがあります。看護師が機能訓練指導員も兼務すれば、情報共有や連携がスムーズに行えるようになり、利用者様は質の高いケアを受けられるでしょう。
兼務をのデメリット
看護師が機能訓練指導員を兼務するデメリットは、業務の負担が増加することです。看護師と機能訓練指導員に求められる役割は異なるため、兼務によって業務へのストレスや負担が発生します。
また、機能訓練指導員として業務を行うには、知識やスキルも必要です。看護師の中には、リハビリに関する知識や技術が十分でない方も多いでしょう。
そのため、看護師と機能訓練指導員を兼務しながら、リハビリの知識と経験を積まなければならない点はデメリットです。
2.看護師と機能訓練指導員の役割の違い
看護師の仕事を大きく分けると「診療の補助」と「療養上の世話」があります。表面上の看護だけでなく、患者様やそのご家族に寄り添い、心身ともにケアする役割も求められます。
一方で機能訓練指導員は、利用者様一人ひとりの状態に合わせて機能訓練(基本動作の改善や維持を図る訓練)を行い、自分で身の回りのことができるよう支援する役割です。
それぞれ全く異なる業務内容ですが、利用者様の健康と生活の質を向上させるため、違う観点から貢献しています。
スカウトサービス登録はこちら3.看護職員の人員配置基準
介護施設には人員配置基準が設けられており、施設によって異なる基準があります。ここでは、看護職員における人員配置基準について見ていきましょう。
配置基準
看護職員の人員配置基準を介護施設ごとにまとめたのが下表です。
施設別 | 人員配置基準 |
---|---|
有料老人ホーム | 入居者30名以下に対して看護師1名以上(入居者50名増すごとに1名追加) |
ケアハウス | 入居者30名以下に対して看護師1名以上(入居者50名増すごとに1名追加) |
デイサービス(通所介護) | 利用者定員10名以上の場合、看護師1名以上 |
特別養護老人ホーム | 利用者3人につき看護師1名以上 |
また、利用定員10名以下の小規模デイサービスの場合は、「看護職員または介護職員のいずれか1名の配置で可」となっています。そのため、看護職員を配置しなくても認められます。
配置条件
上表のとおり、デイサービスでは利用定員11名以上の場合、看護師1名以上の配置が必須です。ただし、以下の①・②の場合において、それぞれ条件を満たす場合は、専従看護師を配置しなくても認められます。
①同一敷地内または隣接する敷地内等の同一法人が運営する他事業所との兼務
②病院やクリニック、訪問看護ステーションとの連携
【条件】
- 看護職員が当該指定通所介護事業所内でサービス提供日ごとに利用者の健康状態の確認等を行うこと
- 提供時間を通じて、同一敷地内他事業所及び病院、診療所又は訪問看護ステーションと密接かつ適切な連携を図っていること
※上記②以外の介護サービス事業所や自宅待機などは認められません。
※密接かつ適切な連携とは、当該指定通所介護事業所に駆けつけられる体制や適切な指示が行える連絡体制などを確保することをいいます。
注意点
前述した人員配置基準を満たせない状態になった場合は、行政に報告・相談しなければなりません。
行政への報告・相談を怠ったまま介護施設の運営を続けた場合、以下のような行政処分を受ける可能性があるため注意が必要です。
- サービスの一時停止
- 人員基準欠如減算
- 新規の入居者受け入れ停止
- 事業所の指定取り消し
上記の処分は介護施設だけでなく、入居者の生活にも影響が出てしまうため、人員配置基準については知っておきましょう。
スカウトサービス登録はこちら4.看護職員の主要業務
ここでは、看護職員が担う主要な業務内容と、派遣看護師の場合の違いについて説明します。
業務内容
介護施設などで勤務する看護職員の主要な業務は、「健康管理」と「療養」に関する業務です。例えば、以下のような業務が挙げられます。
- 体温、血圧などのバイタルチェック
- 爪を整える・耳掃除
- 医療看護ケア
- 薬の管理(投薬管理)
- 医師への連絡・連携
- 救急時の対応
デイサービスなどでは、介護職員と協力して介助業務やレクリエーションへの参加なども求められることがあるでしょう。
また、介護施設は医師が常駐していない場合が多く、インフルエンザなどの感染症対策でも重要な役割を担います。
派遣の場合
派遣看護師の業務内容は、前述した常勤看護師と変わりません。主な業務は、健康管理や療養に関する業務です。
必要であれば、経管栄養や喀痰吸引などの医療ケアを行うこともあります。
なお、特別養護老人ホームやデイサービスなどは、登録型派遣や常用型派遣が可能です。介護老人保健施設への派遣に関しては、紹介予定派遣のみの制限があります。
スカウトサービス登録はこちら5.機能訓練指導員の職務内容
ここでは、機能訓練指導員の具体的な業務内容と給与水準について詳しく解説します。
業務内容
機能訓練指導員の業務内容は、利用者様の身体状態や生活環境などに合わせて機能訓練計画書を作成し、必要な機能訓練を実施することです。
機能訓練計画書は3ヶ月に1回、利用者様の状態に合わせて見直しや修正を行います。
機能訓練指導員だけでは利用者様全員の訓練の指導や介助が難しいため、介護士や他の看護師などの協力も得ながら実施します。
施設によっては、日常生活の介助や送迎なども対応する場合があるでしょう。
給与水準
コメディカルドットコムの求人から算出した機能訓練指導員の年収は、320万円〜400万円です。パートで働いた場合の時給は、1,200円〜となっています。
看護師と機能訓練指導員を兼務する場合は、時給1,500円〜の求人が多いです。
ただし、機能訓練指導員の給与水準は、地方や都市部、施設形態などによっても異なります。特に給与が高い求人を探している場合は、特別養護老人ホームがおすすめです。
出典:コメディカルドットコム
スカウトサービス登録はこちら6.機能訓練指導員になるための資格
機能訓練指導員になるためには、以下7つの資格のうちいずれかを保有していることが条件となります。
- 看護師または准看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- あん摩マッサージ指圧師
- 柔道整復師
- 鍼灸師
それぞれの資格について見ていきましょう。
看護師または准看護師
看護師や准看護師は、医学的な専門知識と技能を用いて利用者様の健康管理や病気・怪我の処置を行います。
デイサービスなどの通所施設では、看護師と機能訓練指導員を兼務する場合も多いです。
特別養護老人ホームでも兼務は可能ですが、原則看護師として専従します。
看護師は機能訓練やリハビリの知識や技術が備わっていない場合があるため、機能訓練指導員の業務の中で経験を積むことがほとんどです。
理学療法士
理学療法士は病気やケガにより、運動機能に障がいをもった利用者様のリハビリテーションを行います。
運動療法や物理療法を活用し、運動機能の回復や維持、向上を目的として利用者様の自立を促します。
機能訓練指導員と重なる業務が多いため、すぐに活躍できるでしょう。
理学療法士になるためには、養成校で必須科目を3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。
活躍できる場所は病院や介護施設、リハビリテーションセンター、障害者福祉センターなど多岐にわたります。
作業療法士
作業療法士は「食事」「入浴」「掃除」「読書」などの日常で必要となる応用的動作能力や、地域活動への参加、就労といった社会的適応能力の維持・改善を専門的に行う専門職です。
前述した理学療法士は立つ・座るなどの基本動作を支援し、作業療法士は箸を持つ・手を洗うなどの応用的な動作を支援する点が異なります。
作業療法士の業務ではレクリエーションや創作活動も取り入れ、利用者様の精神的なケアも行うのが特徴です。
作業療法士になるためには、国家試験に合格しなければなりません。養成施設で3年以上学ぶことで、国家試験を受験できるようになります。
言語聴覚士
言語聴覚士は話す・聞く・食べることに障がい・後遺症を持つ方に対して、リハビリテーションを行う職種です。
機能訓練指導員としては、利用者様の嚥下障害や口腔機能などの改善・向上を目的にサポートします。
言語聴覚士は、特に高齢者の体力を維持するために欠かせない「食べる力」をサポートする仕事として近年注目されている仕事です。
言語聴覚士になるためには、指定の養成所を卒業したあと、言語聴覚士国家試験に合格しなければなりません。
あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師は、利用者様の肩や首のコリ、腰痛などをマッサージや指圧療法などを通して症状の緩和や軽減を目的に施術する仕事です。
施術するだけでなく、不調の原因を特定するために問診や検査を実施します。
あん摩マッサージ指圧師になるためには高校卒業後に養成施設などで3年以上学習し、国家試験に合格しなければなりません。
活躍できる職場は治療院や病院、介護施設、スポーツ関係、企業など多岐にわたります。
柔道整復師
柔道整復師は、接骨院・整骨院として知られている職業です。具体的な業務は捻挫や骨折、打撲などに対して整復・固定の手技によって機能回復を目指します。
整骨院や接骨院での勤務経験があると、高齢者の疾患や機能を把握しているため、介護施設の機能訓練指導員としても活躍しやすいです。
柔道整復師になるためには高校卒業後、養成学校などで3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。
活躍の場は整骨院や接骨院だけでなく、病院や整形外科クリニック、介護施設などが挙げられます。
鍼灸師
鍼灸師(しんきゅうし)は、2018年の介護保険法改定により、機能訓練指導員の資格要件に追加されました。
鍼(はり)や灸(きゅう)を使った治療により、自然治癒力を高めて病気の治療や予防を図る仕事です。
副作用の少ない治療法として、乳児や高齢者など幅広いニーズがあります。
鍼灸師になるためには、養成校にて3年以上知識と技能を学び、国家試験に合格しなければなりません。
ただし、鍼灸師が機能訓練指導員として働くためには、機能訓練指導員が在籍している介護施設などで半年以上の実務経験が必要です。
そのため、鍼灸師の資格を持っているだけでは、機能訓練指導員として働けない点には注意しましょう。
7.機能訓練指導員が兼務できる職場
看護師が機能訓練指導員と兼務できる職場には、「介護福祉施設」と「要介護者向けの医療施設」の2つが挙げられます。ここでは、それぞれの職場について見ていきましょう。
介護福祉施設
機能訓練指導員が在籍する介護福祉施設には、以下のような種類があります。
- 特別養護老人ホーム
- デイサービス
- ケアハウス
- グループホーム
- 有料老人ホーム
介護福祉施設を利用する方は、ほとんどが高齢者です。そのため、運動機能を向上することよりも、改善・維持により日常生活をしっかり送れるようにリハビリを行います。
中にはグループホームのように認知症の方が入所する施設もあり、その場合は運動機能の維持に特化したリハビリが多いです。
また、施設によってはリハビリ業務だけでなく、介護業務のサポートや送迎業務など、介護スタッフに近い業務も任されることがあるでしょう。
要介護者向けの医療施設
機能訓練指導員が在籍する医療施設の種類は以下の2種類です。
- デイケア(通所リハビリテーション)
- 介護療養型医療施設
要介護者向けの医療施設は、介護福祉施設よりも介護度が高い利用者様が多く、重度の障がいを抱えている方が多い傾向にあります。
医師や看護師が配置されており、より専門的なリハビリの指導や多職種と連携した業務が特徴です。
そのため、看護師が機能訓練指導員として活躍するよりも、即戦力として活躍できる理学療法士や作業療法士が多いです。
機能訓練指導員を目指す場合は、より専門的に業務が行える医療施設への転職がおすすめといえるでしょう。
8.需要とともに増す機能訓練指導員
少子高齢化により、高齢者を支える人材がますます不足すると予想されています。人材不足を解消する一つとして、利用者様ができる限り、自立した生活を送れるようにする必要があります。
そのためには、機能訓練に特化した知識や技能を持つ機能訓練指導員の存在が欠かせません。
少子高齢化は今後も進むと予想されており、高齢者が自分で生活できる能力を維持することが求められます。
今後は看護師はもちろんですが、機能訓練指導員の需要も高まり、期待されている職業の一つです。
9.まとめ
機能訓練指導員は、利用者様に合わせて個別機能訓練計画書を作成し、必要な機能訓練を実施して日常生活機能の向上・維持を目指す仕事です。
看護師と機能訓練指導員の兼務は可能ですが、看護師の業務に従事していない時間帯に限り、機能訓練の業務が行えます。
今後ますます加速していく高齢化社会において、看護師と機能訓練指導員の需要は増していきます。
2つの仕事を兼務することでリハビリの幅広い知識と技能が身につき、看護師としての市場価値も上がるでしょう。
すでに看護師として活躍している方は、機能訓練指導員としての業務も検討してみてはいかがでしょうか。
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