WOCナース(皮膚・排泄ケア認定看護師)になってキャリアアップを図ろう
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WOCナース(ウォックナース)とは、皮膚・排泄ケア認定看護師のことです。具体的には、「創傷」「ストーマ」「失禁ケア」分野において、質の高い看護を提供できる看護師を指します。
現在は、一般の方の理解を向上させるために「皮膚・排泄ケア認定看護師」と呼ばれています。看護師としてキャリアアップを図る際に、皮膚・排泄ケア認定看護師の仕事が気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、皮膚・排泄ケア認定看護師とはどんな役割で、どんな仕事があるのか、どうすればなることができるのかなどを解説します。内容を読み進めると、皮膚・排泄ケア認定看護師への理解が深まり、自分が目指すべきかの判断材料になるでしょう。
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目次
1.皮膚・排泄ケア認定看護師とは
皮膚・排泄ケア認定看護師とは、創傷・ストーマ・失禁ケアの分野において、深い知識と熟練した技術を用いて看護を提供できる看護師のことです。いわば、皮膚・創傷・排泄ケアのスペシャリストといえます。
例えば、褥瘡の予防や治療、人工肛門や人工膀胱の患者様への生活支援、排尿・排便トラブルを抱える患者様へのケアの実施などです。
また、ケアの実施だけにとどまらず、医師や他の看護師から相談を受けたり、皮膚や排泄ケアの方法について指導したりするなど幅広い役割を担います。
WOCナース
WOCナース(ウォックナース)は日本看護協会が認定する認定看護師の1つです。WOCは、「Wound(創傷)」「Ostomiy(人工肛門・人工膀胱)」「Continense(失禁)」の頭文字からとった言葉です。
日本看護協会が1997年に開始したWOCナースですが、一般の方の理解を深めるため、2007年7月に「皮膚・排泄ケア認定看護師」に名称が変更されています。WOCナースが誕生してから登録数は増加傾向にあり、2020年12月時点では、全国のWOCナース登録者は2,581人となっています。
今後も高齢化が進む日本において、看護の深い知識と高い技術を持ったWOCナース(皮膚・排泄ケア認定看護師)の需要はますます高まるでしょう。
スカウトサービス登録はこちら2.皮膚・排泄認定看護師の役割
前述したとおり、皮膚・排泄ケア認定看護師の以前の名称は「WOCナース」でした。「Wound(創傷)」「Ostomiy(人工肛門・人工膀胱)」「Continense(失禁)」それぞれの頭文字を取った名称です。
ここでは、それぞれのケアの役割と仕事内容を解説します。
創傷=W(wound)
創傷は皮膚のトラブル、例えば褥瘡などが生じないように、予防やスキンケアを実施する役割です。特に寝たきりの患者様や栄養失調の患者様は、血流障害が発生しやすく、褥瘡になりやすくなります。
皮膚・排泄ケア認定看護師は、こういった方の皮膚トラブルを予防するために、活動状況に適したベッドを選択したり、その患者様に合ったスキンケア用品を選択したりしなければなりません。一人ひとりの患者様に合わせた、予防・スキンケアを実施することが求められます。
ストーマ(人工肛門・人工膀胱)=O(Ostomy)
ストーマとは、消化器疾患や泌尿器疾患によって病巣を取り除いた後、便や尿を排出するために新しく作る人工肛門や人工膀胱のことです。
皮膚・排泄ケア認定看護師は、ストーマを造設する患者様に対して、ストーマケアに関する情報提供や日常生活のアドバイスをする役割があります。
また、ストーマの造設手術を控えている患者様の不安を軽減できるように、精神的なサポートを担うのも役割の一つです。
ストーマ周辺で皮膚トラブルが発生した際は、尿や便の漏れの原因を調べ、対処方法を患者様にアドバイスし、サポートするのも重要な仕事です。
失禁(尿や便の漏れ)=C(inContinence)
失禁の分野では、病気や手術後、加齢などによって尿・便失禁で悩む患者様をケアする役割があります。失禁によって尿や便が皮膚に触れることにより、皮膚炎などのトラブルも発生するため、皮膚トラブルの予防や改善のケアも大切な仕事です。
例えば、尿・便失禁がある患者様に適したおむつを選択したり、おむつ交換の改善策を検討したりします。また、失禁改善に効果が期待できるセルフケア方法や骨盤底筋帯体操など、日常生活のアドバイスを行うのも重要な役割です。
スカウトサービス登録はこちら3.特定行為研修を修了している看護師もいる
皮膚・排泄ケア認定看護師として活躍する方の中には、「特定行為研修」を修了している方もいらっしゃいます。「特定行為研修」とは、2020年度から認定看護師制度に新たに組み込まれた教育課程のことです。
特定行為研修を修了すれば、一部の医療行為を医師の事前指示書のもと、特定行為として行えるようになります。これにより、医師の指示を待つ必要がなくなるため、迅速に治療・処置が行える点がメリットです。
創傷・ストーマ・失禁ケアの分野においては、創傷管理関連の特定行為研修があります。皮膚・排泄ケア認定看護師が創傷管理関連の特定行為研修を受ければ、医師の指示書のもと、創傷の壊死組織の除去や陰圧閉鎖療法などを実施できます。
スカウトサービス登録はこちら4.皮膚・排泄ケア認定看護師になるには
皮膚・排泄ケア認定看護師になるには、以下のステップを踏まなければなりません。
- 教育機関の入学要件を満たす
- 認定看護師の教育機関に入学する
- 皮膚・排泄ケア認定看護師の認定審査を受ける
- 皮膚・排泄ケア認定看護師として登録する
それぞれの流れを見ていきましょう。
教育機関の入学要件を満たす
皮膚・排泄ケア認定看護師の認定資格を取得するには、日本看護協会が指定した教育機関で皮膚・排泄ケア学科を受ける必要があります。
教育機関には入学要件があり、看護師免許を取得したうえで、実務研修を通算5年以上・うち3年以上は皮膚・排泄ケア分野の研修が必要です。
また、教育機関では特定行為研修を組み込んでいないA課程と、特定行為研修を組み込んでいるB課程があります。A課程については2026年度に廃止されるため、現在は特定行為研修を組み込んだB課程の受講がおすすめです。
課程 | 受講条件 |
---|---|
A課程 | ・外科系領域またはストーマケアを行う施設での看護実績が通算3年以上あること ・ストーマ造設患者の看護実績が1例以上、創傷または失禁ケアの看護実績が4例以上あること ・ストーマ・創傷・失禁ケアを行う施設で現在も勤務している(必須ではない) |
B課程 | ・皮膚・排泄ケア領域での看護実績が通算3年以上あること ・皮膚・排泄ケア領域の看護を5例以上経験し、うち創傷・ストーマ・排泄管理の実績が1例以上あること ・皮膚・排泄ケアを行う施設で現在も勤務している(必須ではない) |
認定看護師の教育機関に入学する
前述したとおり、認定看護師の教育機関に入学するためには、看護師免許の取得に加え、通算5年以上の実務研修経験が必要です。また、A課程またはB課程の研修内容の要件を満たせば、認定看護師の教育機関に入学してカリキュラムを受けられます。
A課程とB課程では、受講時間や教育機関などが異なる点に注意しなければなりません。
A課程 |
B課程 |
|
---|---|---|
受講時間 |
645時間〜 |
848時間 |
受講期間 |
8ヶ月〜 |
12ヶ月 |
教育機関 |
福岡県看護協会 |
・日本看護協会 看護研修学 |
A課程での教育は、2026年度をもって終了するため、B課程を選ぶのがおすすめです。なお、それぞれの教育機関で定員数が決まっており、タイミングによっては定員割れや休講するケースもあります。
皮膚・排泄ケア認定看護師の認定審査を受ける
認定看護師の教育機関で必要なカリキュラムを修了し、年1回実施される認定審査を受けます。
認定審査の申請手続きは、以下の3つを全て行わなければなりません。
- 「資格認定制度 審査・申請システム」からWEB申請
- 審査料51,700円を振り込む
- オンラインで審査書類を提出する
審査では、マークシート方式・四肢択一で100分の筆記試験が実施されます。合否は2週間を目安に、「資格認定制度 審査・申請システム」にて確認が可能です。
皮膚・排泄ケア認定看護師として登録する
皮膚・排泄ケア認定看護師の認定審査に合格すれば、登録手続きを行います。登録手続きは、「資格認定制度 審査・申請システム」から行うことが可能です。
登録する際はA課程とB課程で登録分野が異なります。B課程で合格した方は、「特定認定看護師」として働けます。
また、認定看護師の資格には有効期間があり、その期間は5年です。5年ごとに資格を更新しなければならない点には注意しましょう。
スカウトサービス登録はこちら5.2024年度認定看護師教育課程募集要項
2024年度の看護研修学校(清瀬市)を例に、一般的な募集要項を紹介します。教育機関によっても異なるため、自身が受講する教育機関の募集要項をチェックするようにしましょう。
出願期間 | 9月上旬から中旬まで |
---|---|
入学試験日 | 11月中旬 |
試験方法 | 筆記試験、オンライン面接 |
合否発表 | 試験日から1ヶ月程度 |
教育機関によっては、願書の受付期間が1ヶ月もない場合があるため、早めに確認しておくことが大切です。
スカウトサービス登録はこちら6.WOCナース(皮膚・排泄ケア認定看護師)になることのメリットは?
皮膚・排泄認定看護師に興味がある方は、なった後にどのようなメリットがあるのか気になるのではないでしょうか。ここでは、皮膚・排泄ケア認定看護師の認定を取得するメリットを3つ解説します。
スキル・給与面が向上する
皮膚・排泄ケア認定看護師になるメリットの一つは、皮膚・排泄ケア領域において専門的なスキルの向上・給与アップが期待できる点です。創傷・オストミー・失禁看護の分野において、水準の高いスキルで看護を実践できる者として、職場から評価されやすいです。
勤務先によっては資格手当を支給したり、基本給をアップしたりすることもあります。看護師としてスキルの向上や給与アップを図りたい方にとっては、大きなメリットと言えるでしょう。
やりがいがある
今後ますます加速する高齢化により、高度な看護スキルをもった看護師の需要が高まっています。
皮膚・排泄ケア認定看護師は、皮膚・排泄ケアのスペシャリストとして、多くの患者様やご家族から頼りにされ、感謝されることが多いです。
やりがいをもって仕事に就きたい方は、皮膚・排泄ケア認定看護師になるメリットは大きいでしょう。
転職時に有利になる
皮膚・排泄ケア分野のスペシャリストである皮膚・排泄ケア認定看護師は、多くの医療機関・施設で需要が高い人材です。
皮膚・排泄ケア認定看護師の認定を取得していれば、その高いスキルが評価され、転職時にも有利になります。
高待遇の職場への転職もしやすくなり、結果的に給与アップも期待できるでしょう。
7.皮膚・排泄ケア認定看護師になるための教育機関に入学するには
皮膚・排泄ケア認定看護師になるための教育機関に入学するには、前述の「看護師教育課程募集要項」で解説したとおりです。以下では、教育機関に入学する際に必要な入学金や授業料を解説します。
教育機関の入学金・授業料
皮膚・排泄ケア認定看護師になるための教育機関の入学金・授業料は以下のとおりです。
入学検定料 | 約50,000円 |
---|---|
入学金 | 約50,000円〜150,000円 |
授業料 | 約1,000,000円(うち特定行為研修に20万円程度必要) |
また、上記の項目とは別に、PCや教材、交通費なども必要になります。 すでに特定行為研修を修了している方は、一部授業料が免除される場合があるため確認しておきましょう。
スカウトサービス登録はこちら8.WOCナース(皮膚・排泄ケア認定看護師)の主な就職先
皮膚・排泄ケア認定看護師の主な就職先は、以下の4つです。
- 病院
- 訪問看護ステーション
- 大学などの教育機関で教師として働く
- 介護系施設
一つずつ見ていきましょう。
病院
皮膚・排泄ケア認定看護師の就職先として最も多いのが病院です。ストーマ外来のある病院では、オストミー領域での業務がメインになります。
他にも、患者様の褥瘡予防やスキンケア、皮膚トラブルの予防につながるように、他の看護師への指導・教育も行うことも多いです。最新医療に携わりながら、幅広い業務をこなしたい方には向いているでしょう。
訪問看護ステーション
訪問看護ステーションを利用する患者様は、褥瘡や失禁などさまざまな悩みを抱えています。訪問看護ステーションで勤務する皮膚・排泄ケア認定看護師は、患者様が自宅で安心して暮らせるように、チーム医療の要として看護を提供します。
病院勤務で働く皮膚・排泄ケア認定看護師が圧倒的に多いため、訪問看護ステーションで働く方が少ないのが現状です。
皮膚・排泄ケアで深い知識と高いスキルをもった看護師は、訪問看護ステーションで重宝されるでしょう。
大学などの教育機関で教師として働く
特定の看護分野において高いスキルをもつ看護師は、大学や教育機関で教師として働く道もあります。
実際に講義や書籍などを通して、皮膚・排泄ケアに関する知識・スキルを広めている方もいらっしゃいます。
看護実践ではなく教師として働きたい方には、向いている就職先といえるでしょう。
介護系施設
介護施設には、褥瘡や皮膚トラブル、失禁などの問題を抱えている方が多く利用しています。
病院とは異なり、利用者様一人ひとりとじっくり関われるため、トラブルの原因を把握したうえで予防的介入と治療が行いやすいです。
また、他の看護師や介護士など、利用者様に関わるスタッフへ指導・教育を行うこともあります。一人ひとりの利用者様と深く関わってケアしたい方には、介護施設が向いているでしょう。
スカウトサービス登録はこちら9.WOCナース(皮膚・排泄ケア認定看護師)として得られるやりがい
皮膚・排泄ケア認定看護師のやりがいは、患者様やそのご家族から「ありがとう」と直接感謝されることにあるでしょう。
皮膚・排泄ケア認定看護師になるまでに、実務研修や厳しい審査をクリアしなければなりません。
日々努力した経験は、看護師としてのキャリアアップにも役立つでしょう。高いスキルをもった看護師として、自分に自信が持てるようにもなります。
何より、水準の高い看護を患者様に提供できるようになり、感謝されることで、看護師として大きなやりがいを感じられるようになるでしょう。
10.WOCナース(皮膚・排泄ケア認定看護師)以外に関連するおすすめの資格
ここでは、皮膚・排泄ケア認定看護師以外に、皮膚や排泄ケアに関連するおすすめの資格を2つ紹介します。
臨床スキンケア看護師
臨床スキンケア看護師は、皮膚トラブルを抱える患者様に対して、専門的な知識と予防的ケアを行う看護師です。日本創傷・オストミー・失禁管理学会が認定資格制度として制定したものです。
臨床スキンケア看護師の研修を受けるためには、以下の条件をすべて満たしている必要があります。
- 看護師免許を有している
- 看護師の臨床経験が3年以上ある
- 日本創傷・オストミー・失禁管理学会正会員である
- 日本創傷・オストミー・失禁管理学会学術集会(過去5年以内)に1回以上参加している
臨床スキンケア看護師は、8時間の講習会受講と臨床研修を8時間修了することで認定されます。
出典:日本創傷・オストミー・失禁管理学会|臨床スキンケア看護師
褥瘡認定師
褥瘡認定師は、一般社団法人日本褥瘡学会によって認定された資格です。褥瘡予防やケアに必要な知識とスキルを有する者と認められます。
褥瘡認定師の仕事内容は、褥瘡に関して専門的な知識とスキルを用いて、褥瘡予防や処置・治療、他の看護師への指導・教育などを行います。
褥瘡認定師になるためには、以下の要件を満たさなければなりません。
- 看護師免許を取得してから4年以上経過している
- 日本褥瘡学会の正会員に4年以上所属している
- 褥瘡予防、医療に4年以上従事している
- 日本褥瘡学会地方会が主催するセミナーや教育セミナーeラーニングの受講証明書を有している
11.関連学会
皮膚・排泄ケア認定看護師は、日本看護協会が認定制度を設けています。皮膚・排泄ケアに関連した学会は、以下のようにいくつかあります。
- 日本ストーマ・排泄リハビリテーション
- 日本褥瘡学会
- 日本創傷・オストミー・失禁管理学会
- 日本下肢救済・足病学会
前述した臨床スキンケア看護師は、日本創傷・オストミー・失禁管理学会が制度を設けており、褥瘡認定師は日本褥瘡学会が制度を設けているのが特徴です。
スカウトサービス登録はこちら12.まとめ
皮膚・排泄ケア認定看護師は、創傷・ストーマ・失禁の分野において深い知識と高いスキルを行うスペシャリストのことです。
高齢化が進む日本において、皮膚・排泄ケアのスペシャリストである看護師は重宝されています。
皮膚・排泄ケア認定看護師が就職する場所には、病院以外にも介護施設や訪問看護ステーション、教育機関などで教師になる道もあります。
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