退院調整看護師とは?仕事内容と向いている人、必要な資格を解説
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「退院調整看護師」という職種を聞いたことがありますか?
聞いたことはあるが、詳しく説明できない方が大半かと思います。この記事では、退院調整看護師とは何か?仕事内容や役割を解説したうえで、実際に向いている人や退院調整看護師になるためには何をすべきかを徹底解説します。
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目次
1.退院調整看護師とは
退院調整看護師とは、入院患者さんが退院後も地域で安心して暮らせるように、退院支援・退院調整を行う看護師のことです。
病院では患者さんの治療を行えば、完治していなくても退院・転院しなければならないケースも見られます。医師から「退院できる」と評価されても、患者さん自身は不安を感じるでしょう。
退院調整看護師は、そのような患者さんの不安や希望を汲み取り、今後の治療方針や病状を考慮して退院後も安心して生活できるように体制を整えます。
役割
退院調整看護師の役割は「退院支援」と「退院調整」の2つに分けられます。2つの定義は以下のとおりです。
入院患者さんに必要な介入を考慮し、適切な部門へ橋渡しします。また、患者さん自身が病気や障がいを理解し、退院後も医療や看護を受けながらどこで療養し、どのような生活を送るかについての意思決定をサポートします。
患者さんが退院後の療養場所や生活などを自己決定できるようにするために、制度や地域医療、福祉サービスとの連携を調整する役割です。その他にも、退院前のカンファレンスの実施や、退院に関連する問題点の洗い出しと共有など、さまざまな業務があります。
病棟看護師との違い
退院調整看護師は、患者さんが退院後も安心して生活できるようにサポートする役割です。一方の病棟看護師は、退院するまでに必要なケアを行う役割を担います。
つまり、患者さんの退院に向けた調整役が退院調整看護師、退院に向けてケアを行うのが病棟看護師です。病棟看護師とは違い退院調整看護師は、医師や医療ソーシャルワーカー(MSW)などの他職種と連携しながら、退院に関するさまざまな業務を行います。
医療ソーシャルワーカー(MSW)との違い
医療ソーシャルワーカーとの主な違いは、患者さんへのアプローチの仕方です。MSWは患者さんが抱える問題を解決するために支援する仕事です。どちらも患者さんの退院調整を担う役割という点では同じといえます。
しかし、退院調整看護師は看護視点から患者さんの身体状態を中心に退院後の生活を判断する一方で、MSWは患者さんとご家族の関係性などから判断する点で違いがあります。
それぞれが持つ専門性を活かして協働するケースも多いです。お互いの専門性や強みから協力体制を構築し、退院支援や調整のサポートを行います。
スカウトサービス登録はこちら2.退院調整看護師の仕事内容
ここでは、退院調整看護師の仕事内容を解説します。具体的には以下の4つです。
入院時のスクリーニング
退院調整看護師は、早ければ入院決定から入院後48時間以内を目安に介入して、スクリーニングを行います。退院調整が必要な患者さんかどうか評価する重要な業務です。
多くの病院では、評価用のスクリーニングシートが用意されており、既往歴や入退院の繰り返し有無、服薬管理状況などをチェックできます。シートの内容をもとに退院調整が必要かどうかを評価し、業務を進めていくことが多いです。
しかし、入院中に患者さんの容態が悪化する場合もあり、身体状況に変化が生じるケースもあります。そのため、入院初期に「退院調整の必要がない」と判断された場合でも、再検討が求められるでしょう。
入院時のアセスメント
退院調整が必要かどうか把握した後は、患者さんの状態を客観的に分析・評価するアセスメントを行います。アセスメントを行う際は、病状・病態から考えられる「医療管理に関する課題」と、ADLやIADLから考えられる「生活ニーズに関する課題」に分けて情報整理することが重要です。
そこから入院前の状態とどう変化したのか把握し、退院後の生活イメージに繋げる必要があります。入院時のアセスメントは、患者さんやご家族が退院後の生活をどのようにイメージしているか知ることが大切なのです。
退院前のカンファレンス
病院での治療を終え退院の目処が立つと、カンファレンスを行います。医師や看護師、理学療法士、ケアマネなどを集め、退院後も安心して生活できる支援を検討する会議です。
退院前カンファレンスには、以下のような効果が期待できます。
- 患者さんやご家族の意向や希望などを共有できる
- 専門職や患者さん、ご家族が退院までに必要な準備の確認ができる
- 退院後の生活に向けて解決すべき課題を共有できる
- 退院後に必要となるサービスを共有できる
- 退院調整に関わる専門職の役割をお互いに把握できる
カンファレンスを通じてスタッフ同士が連携している様子を患者さんやご家族に見てもらうことで、しっかりと情報交換が行われていると実感してもらえます。それが信頼関係の構築や退院後の安心感につながるでしょう。
退院後のモニタリング
退院した数日後に、患者さんやご家族の状況を確認します。退院後の様子を把握することで、適切な評価を行えます。
退院後の数日間は病状が悪化するケースもあり、患者さんやご家族の療養生活が安定しているか確認する大切な業務です。退院後の状況を確認する方法として、
- 担当の訪問看護師やケアマネージャーなどに確認する
- 外来受診時に直接確認する
などが挙げられます。モニタリングを通して改善すべき点が見つかれば、新たな調整や連携を行わなければなりません。
スカウトサービス登録はこちら3.退院調整看護師の1日のスケジュール
ここでは、退院調整看護師の1日のスケジュール例を紹介します。
8:30 勤務開始 | カンファレンスや相談予約の確認。メンバーと情報共有やスケジュール確認も行います。 |
---|---|
9:00 退院調整 | 退院が近い方の情報収集やカンファレンスの日程調整などを行います。医師からの情報収集も大切な業務の一つです。 |
11:00 医療ソーシャルワーカーと会議 | MSWと退院調整について会議を行います。看護面からは看護師が、社会面からはMSWがお互いの視点を交えて情報共有します。 |
12:00 お昼休み | |
13:00 病棟カンファレンスに参加 | カンファレンスに参加。他職種と情報共有、意見交換を行います。 |
15:00 患者さん・ご家族と面談 | 退院後の生活イメージや不安な点についてヒアリングします。 |
16:00 退院調整業務 | 退院に向けて必要な訪問診療や訪問看護、デイサービスなどの社会資源を調整します。 |
17:00 記録業務 | 今日の記録や他職種との共有のために記録をつけます。 |
17:30 退勤 |
4.退院調整看護師になるメリット・デメリット
ここでは、退院調整看護師になるメリットとデメリットを解説します。
メリット
病棟や部署を超えて他職種と関われる点がメリットです。退院調整看護師は、院内のスタッフだけでなく、他の医療機関や関係機関と連携して患者さんの退院後の生活を支援します。
さまざまな職種の人と協力して業務を進める楽しさも魅力の一つです。また、患者さんが退院する際は、本人やご家族から感謝の言葉をかけられることもあります。
退院調整看護師として専従で働く場合は、処置やケアを行わずに退院調整業務に集中できる点もメリットです。専従であれば夜勤はなく、土日休みの安定した働き方ができるのも魅力といえるでしょう。
デメリット
求人数が少ない点もデメリットの一つです。退院調整部門のある病院で勤務することが前提になります。
しかし、退院調整看護師は150床以上の病院のうち3分の2しか配置がないため、平均1〜2名程度しか配置できません。そのため、求人数が少なく地域によっては募集がない場合もあります。
また、退院調整看護師の求人では「看護師経験3〜10年以上が必要」といったケースも多いです。経験年数が浅い看護師にとっては、応募するハードルが高いといえるでしょう。
スカウトサービス登録はこちら5.退院調整看護師に向いている人の特徴
退院調整看護師は看護師資格さえあればなれる職業ですが、誰でもできる仕事ではありません。ここでは、退院調整看護師に向いている人の特徴を解説します。
調整役が得意
患者さんやご家族を関係機関に繋げることが得意な方は向いているでしょう。患者さんが退院した後でも、安心して生活を送れるように調整するのが退院調整看護師の役割です。
そのためには医師や看護師、地域のケアマネや介護士、訪問看護などさまざまな職種と連携しなければなりません。それぞれの視点から情報を整理し、患者さんの退院調整を進めていく必要があります。
時にはリーダーシップを発揮し、マネジメントも行う必要があるため、調整役が得意な方は退院調整看護師が向いているといえるでしょう。
傾聴力が高い
患者さんやご家族の不安などを汲み取る「傾聴力が高い人」は退院調整看護師に向いています。退院調整看護師は、患者さんが希望する退院後の生活イメージを実現するために調整を行うのが仕事です。
そのため、患者さんやご家族から退院後の希望や不安について、聞き取りを行う必要があります。不安な気持ちが強い患者さんに対しては、気持ちに寄り添い、不安を少しでも解消できるように話を聴くことが大切です。
社会福祉の知識がある
社会福祉の知識がある方は、退院調整看護師に向いています。退院調整看護師は患者さんやご家族が退院後に必要な福祉サービスを繋げる必要があるため、支援課程でどのような社会資源があるのか把握しておかなければなりません。
そのため、看護の知識だけでなく、介護や福祉など幅広い知識が求められます。活用できる最新の社会福祉制度や福祉サービスなど日々情報収集することが大切です。
退院後も患者をサポートしたい
入院中だけでなく退院後も患者さんのサポートをしたい方は、退院調整看護師の仕事に向いています。退院調整看護師は入院中の患者さんのサポートから、退院後の支援に至るまでさまざまな経験を積めます。
病棟看護師の場合は、入院中の患者さんのケアが主な業務です。退院後のサポートもしたい、退院後の生活支援に興味のある方は、退院調整看護師がおすすめの仕事といえるでしょう。
スカウトサービス登録はこちら6.退院調整看護師に特別な資格は必要ない
退院調整看護師になるために、特別な資格は必要ありません。看護師資格さえあれば、退院調整看護師になることができます。しかし、退院調整看護師は病院と地域(診療所や介護施設)が連携しながら患者さんの支援を行うため、誰でもできる業務ではありません。
そのため、「看護経験が3年以上ある者」を募集内容に記載している求人も多いです。また、主任や看護師長などの役職を経験した看護師が担当するケースもあります。退院調整看護師を目指す方は、次章を参考にしてください。
スカウトサービス登録はこちら7.退院調整看護師になるには?
ここでは、退院調整看護師になるための方法や、退院調整看護師としてスキルアップを目指す際に行うべきことを解説します。
退院支援看護師育成プログラムへ参加する
地域によっては「退院支援看護師育成プログラム」を実施している場合があります。退院調整に必要な知識を学ぶことができ、実践に活かせるスキルが身につくプログラムです。
例えば、以下のようなプログラムが実施されています。
- 介護保険や地域包括ケアシステムについて基礎的な知識の学習
- 関係機関・職種の役割理解を目的として講師との意見交換
- カンファレンスへの育成メンバーの参画
こういったプログラムに参加し、知識や実践に役立つスキルを身につけることで、採用面接で有利に働くでしょう。
訪問看護・地域連携の経験を積む
退院調整看護師としてスキルアップを図る場合は、訪問看護や地域連携の経験を積むことも大切です。医療において地域との連携強化が推進される中で、訪問看護の重要度は高まっています。
退院調整看護師として他職種と連携しながら業務を進めた経験は、訪問看護でも活かせます。退院調整看護師の専門性を高められると、退院調整部門の立ち上げにあたって責任者になる道もあるでしょう。
スカウトサービス登録はこちら8.まとめ
退院調整看護師は、入院患者さんが退院した後でも安心して暮らせるように支援する看護師のことです。患者さんが抱く退院後の生活イメージや不安をよく聞いたうえで、各職種の関係者と連携しながら退院調整を進める役割を担います。
退院調整看護師は看護師資格さえあればなれる職業ですが、誰でもできる仕事ではありません。社会福祉の知識がある方や、調整力・傾聴力がある方などが向いています。まずは、求人サイトで退院調整看護師の募集内容をチェックし、働くイメージを掴んでみましょう。
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