内視鏡室看護師とは?詳しい仕事内容から向き不向きまで紹介!
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「内視鏡室の看護師ってどんな仕事をするの?」
「内視鏡室の看護師ってきつい?」
「内視鏡室での勤務が自分に合っているか知りたい」
このような疑問をお持ちではありませんか?看護師が活躍できるフィールドには、病棟、外来、手術室、透析室、内視鏡室などさまざまあります。長く働き続けるためにも、自分に合った環境を選ぶことが大切です。しかし、自分がどの部門に合っているのかわからない方も多いかと思います。
今回はそのうちの一つである「内視鏡室」について紹介します。この記事を読んで、実際に内視鏡室で働くイメージを創りあげて、自分に向いているか判断できる材料にしてください。
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目次
1.内視鏡室とは?
内視鏡室は内視鏡検査が行われる場所ですが、具体的に内視鏡検査とは何を指すのでしょうか。
内視鏡検査とは、口や肛門、尿道から内視鏡(先端にカメラが付いた細長い筒状の医療機器)を挿入し、病気の有無や重症度などを観察する検査のことです。病変があった場合は、内視鏡の先端部から器具を出し入れして直接病変部を切除します。代表的な内視鏡検査は「上部内視鏡(胃カメラ)」と「下部内視鏡(大腸カメラ)」の2つです。
他にも、肺や気管支を観察する「気管支内視鏡(ブロンコ)」を実施する医療機関もあります。
スカウトサービス登録はこちら2.内視鏡室看護師の仕事内容は?
内視鏡室で働く看護師の役割と仕事内容とはどのようなものなのでしょうか。実際に内視鏡室で働くイメージが湧きやすいよう具体的に解説します。
内視鏡検査前の準備
内視鏡検査を行う上で大切なのが、物品の在庫管理や検査時に用いる薬液準備などの事前準備です。
前述したように患者さんの口や肛門、尿道などから内視鏡を挿入するため、検査時間が長くなるほど負担も大きくなります。事前準備がしっかりできていれば、検査もスムーズに行われます。
また、内視鏡室看護師は、検査の内容や流れについて丁寧に説明を行うのはもちろん「何か病気が見つかるかもしれない」という患者さんの不安を少しでも軽減できるような対応も求められます。
例えば、患者さんに笑顔や柔らかい口調を心がけ、患者さんがリラックスできる環境作りが欠かせません。
内視鏡検査中~終了後の看護
看護師は内視鏡検査中から終了後も、患者さんの状態をよく観察し、不安を最小限にするようサポートが必要です。以下では、内視鏡検査中と検査終了後に分けて、看護師の役割を解説します。
内視鏡検査中の看護師の役割は、患者さんの「観察」「介助」です。鎮静剤使用に伴い、呼吸抑制と血圧低下のリスクがあるため、モニターを注視し患者さんの状態をよく観察します。検査中、必要に応じて医師の補助や体位変換などの介助を行います。
内視鏡検査中はもちろんですが、検査後のバイタルチェックも非常に大事です。検査終了後にバイタルサインの変動や合併症の有無などを観察します。
そのほかに、注意事項があれば医師または看護師が患者さんに説明を行います。
3.1日のスケジュール(消化器内視鏡クリニックでの例)
ここでは、内視鏡室で働く看護師の1日のスケジュール例を紹介します。
その日の検査・治療の予約人数の確認。必要に応じて下剤の準備、鎮静剤投与の準備、その他物品の準備を行います。
検査中は医師の補助、バイタルチェックを含めた患者さんの状態観察、適宜患者さんに声かけ・介助などを行います。
午後の検査は午前中と同じ流れです。医師の補助やバイタルチェックを含めた患者さんの状態観察、声かけなどを行います。
最後に片付けやトイレ掃除、次の日の予約状況を確認しながら情報共有などを行います。
内視鏡室は夜勤がなく、1日の検査・治療人数が決まっているため、残業がない場合がほとんどです。ただし、病院での内視鏡室ではオンコール対応が求められる場合もあります。
4.内視鏡室看護師の給与
ここでは、内視鏡室看護師の一般的な給与について解説します。現状の給与と比較し、転職するか否かの参考にしてください。
内視鏡室看護師の平均年収
求人サイトに掲載されている情報を参考にすると、内視鏡室で働く看護師の平均年収は約350万〜400万円です。看護師全体の平均年収は508.1万円となっており、比較すると内視鏡室看護師の年収は低い傾向にあります。これは、内視鏡で勤務する場合、夜勤や残業がないことが一つの要因です。
前述した看護師全体の平均年収は、年間のボーナスや夜勤手当など各種手当を含んだ総額なので、実際は上記の金額より低いでしょう。内視鏡室の看護師でも、内視鏡検査の件数が多い胃腸科や肛門科の専門病院・クリニックの年収は高くなりがちです。
また、働く医療機関や資格の有無、看護師の能力・勤続年数などによっても変動するでしょう。
看護師の給料は?平均年収や年収の上げ方・おすすめの職場を紹介
世間一般では「看護師は高給」というイメージが強いですが、本当でしょうか。
詳細を見る5.メリット、デメリット
ここでは、内視鏡室看護師として働くメリットやデメリットを解説します。
メリット
看護師が内視鏡室で働くメリットは以下の3つです。
- ワークライフバランスの調整がつきやすい
- 専門的な技術や知識を学ぶことができる
- 診療に携わっているという臨場感がある
内視鏡室は夜勤や残業がないため、ワークライフバランスの調整がしやすい点がメリットです。予約制で1日に検査・治療する人数も決まっており、基本的に定時で帰れます。「子育て中で働く時間が限られている」「夜勤はしたくない」「カレンダー通りに働きたい」といった方にとっては大きなメリットといえるでしょう。
内視鏡室では専門的な検査や治療が行われるため、その知識や看護技術を身につけられる点もメリットです。
内視鏡室で2年以上働き、指定の講習を受けると「消化器内視鏡技師」や「カプセル内視鏡読影支援技師」といった専門資格にも挑戦できるようになります。これらの資格を持っていれば、より条件の良い職場に転職しようとする際にも有利に働くでしょう。
内視鏡室看護師は、診療に携わっているという責任感や臨場感のある仕事です。やりがいを持って仕事したい方にとってはメリットといえます。
実際に、患者さんが処置室に入ってからは内視鏡検査の補助をし、臨機応変な対応を求められることも多いです。テキパキ動かないといけないため大変ですが、自分が診療に携わっているということにやりがいを感じられるでしょう。
デメリット
一方で、看護師が内視鏡室で働くデメリットには以下の3つが挙げられます。
- 一般的な看護技術のスキルは身につきにくい・低下する可能性あり
- ルーティンワークの面が多い
- 日々の勉強が欠かせない
内視鏡検査やそれに関連した業務の専門的な知識や看護技術を身につけられるメリットがある反面、一般的な看護技術のスキルは身につきにくい点がデメリットです。
また、与薬管理や病棟患者の管理などの一般的な看護業務に携わることが少ないため、スキルの低下も考えられます。「幅広い看護技術や知識を身につけたい・維持したい」といった方にはデメリットといえるでしょう。
内視鏡室での業務はルーティンワークが多く、業務に慣れてくると人によっては単調に感じるかもしれません。
とはいえ、医師や患者さんとのコミュニケーションは必須であり、内視鏡の技術が進化して新しく覚えることも多いです。大枠で見れば数ばかりをこなす感覚に陥ることもありますが、ただの「作業」ではなく患者さん一人ひとりに目を向けるように意識を変えていくことが大切です。
内視鏡検査は専門性が高く、技術や使用機器の進化もあるため、日々の勉強は欠かせません。特に、内視鏡室で働き始める頃は覚える業務も多いでしょう。勉強会や講習などに積極的に参加して、情報収集していく必要があります。ただし、これはどの分野の看護でも同じことです。
日々の勉強がキャリアの幅を広げてくれるので、内視鏡室にかかわらずどの分野においても大切でしょう。
6.内視鏡室看護師に必要なスキル
ここでは、内視鏡室看護師に求められるスキルについて解説します。
必要な予備知識
まずは内視鏡カメラなどの使用物品の取り扱い方法や使用する薬剤、検査・治療の流れについて正しく理解しておかなければなりません。患者さんの身体・精神的負担を軽減するためにも、スムーズな検査・治療が必要です。そのためには、物品の在庫管理や検査時に使用する薬液などの事前準備が欠かせません。
スタンダードプリコーション(基本的な感染対策)
スタンダードプリコーションとは、感染症の有無にかかわらず、全ての患者さんのケアに対して適用される感染予防策です。内視鏡室では、患者さんの唾液・胃液・血液などの分泌物から感染する可能性もあります。患者さんと医療提供者双方の安全を守るため、基本的な感染対策は必須です。
スタンダードプリコーションの内容として以下の10項目が挙げられます。
- 手指衛生
- 個人防護具(PPE)
- 患者配置
- 患者ケアに使用した器具の取り扱い
- 環境の維持管理
- リネンの取り扱い
- 労働者の安全
- 呼吸器衛生/咳エチケット
- 安全な注射手技
- 腰椎穿刺手技のための感染予防策
予測を立てながら動く力
内視鏡室での看護師は、テキパキとした行動が求められます。内視鏡検査の途中で病変があった場合、そのまま治療に移ることもあるからです。医師が今何をしているのかを観察しながら次の行動を予測しつつ、医師の指示を受けたらすぐに対応できるようにしておかなければなりません。
複数のことを同時に行う力
内視鏡室の看護師は、複数の作業を同時に行う力も求められます。
医師のサポートや器械の操作をしながら患者さんの状態を観察し、声掛けや必要に応じて介助を行います。1人での対応が難しい場合は、応援を呼ぶことも必要です。複数の作業を同時に行うと焦ってしまう方もいらっしゃいますが、落ち着いて業務をこなすことが大切です。
予備知識の身につけ方
内視鏡室看護師が予備知識を身につけるための方法として、以下の6つをおすすめします。ここで挙げたものを意識しておくと、働きながらでも自然と内視鏡室で働くための知識は身についていくかと思います。
- 医師から指導を受ける
- 先輩看護師の動き方を観察する
- 先輩看護師がやっていることの根拠を考える
- 内視鏡関連の書籍で勉強する
- 書籍で学んだことは、普段の業務に繋げて考える
- 技術到達のチェックリストの活用
7.内視鏡室看護師に向いている人
ここでは、内視鏡室看護師に向いている人の特徴を3つ解説します。
患者さんの心に寄り添える方
まずは一人ひとりの患者さんに寄り添える方が看護師に向いています。内視鏡検査を受ける方の中には、緊張や「何か病気が見つかるかもしれない」という不安を抱えている患者さんも多いです。そういった不安を抱える患者さんに、丁寧な声掛けを通して不安な気持ちを和らげる対応が求められます。
患者さんの不安な気持ちを汲み取り、一人ひとりの心に寄り添える方は内視鏡室看護師が向いているといえるでしょう。
ルーティンワークを段取りよくこなしていくのが好きな方
本記事のデメリットでも解説したとおり、内視鏡室の業務に慣れてくるとルーティンワークになりがちです。特に物品準備や検査介助などは、覚えてしまえば単調に感じるかもしれません。1日に何件もの内視鏡検査を実施するので、スムーズに業務を進める必要があります。
ルーティンワークが苦じゃない方や、ルーティンワークを段取りよくこなすのが好きな方は内視鏡室看護師に向いているといえるでしょう。
ワークライフバランスを重視したい方
内視鏡看護師は夜勤や残業はないため、ワークライフバランスを重視したい方に向いている仕事です。現在育児中の方やプライベートの時間をしっかり確保したい方におすすめといえます。特に内視鏡室の経験があれば、産休・育休後も復職しやすい職場です。
8.働ける場所
内視鏡室看護師の主な勤務先は「病院」「クリニック」があります。働く場所によっても勤務形態が異なるため、それぞれの特徴についてみていきましょう。
病院
病院勤務の看護師は、病院の内視鏡センターや内視鏡室で勤務します。24時間体制で救急や入院患者の対応を行っている場合が多いため、勤務先によっては夜勤勤務を求められることもあるようです。
病院は消化器内視鏡検査、呼吸器内視鏡検査、泌尿器内視鏡検査など、さまざまな種類の内視鏡検査を行っており、検査件数も多いため、多様な症例に携わる機会があります。
また、病院には医師や看護師のほか、消化器内視鏡技師や臨床検査技師などのスタッフ体制が充実している点が特徴です。夜勤や残業がある場合は、日勤のみのクリニックより給与は高くなるでしょう。
クリニック
クリニックの内視鏡室看護師は「消化器内科クリニック」や「内視鏡専門のクリニック」で勤務します。予約制なので1日来院する患者数も決まっており、日勤のみのクリニックがほとんどです。
検査内容としては消化器内視鏡検査が中心で、呼吸器内視鏡検査や泌尿器内視鏡検査を行うクリニックは少ないです。検査件数も病院に比べると少ない傾向にあります。ただし、内視鏡検査機器は決して大掛かりなものではなく、小規模のクリニックでも病院と変わらない高性能の内視鏡機器を備えることが可能です。そのため、内視鏡検査の精度は病院と大きな違いはないと言えるでしょう。
また、病院とは違い夜勤や残業がない点がメリットといえます。ただし夜勤がない分、病院勤務より給与が低い点はデメリットです。
9.まとめ
内視鏡室看護師について仕事内容や向いている人の特徴などを解説してきました。内視鏡室看護師は残業が少なく、夜勤がない施設が多いため、仕事とプライベートの両立がしやすいといえます。
また、内視鏡室で経験を積めば、専門的な知識や看護技術の習得ができるので、キャリアアップしたい方にもおすすめです。
ただし、業務に慣れてくるとルーティンワーク化する面もあり、患者さん一人ひとりとじっくり関わりたい方には不向きかもしれません。内視鏡看護師への転職をお考えの方は、本記事で紹介したメリット・デメリットを踏まえてしっかり検討しましょう。
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