老健の支援相談員の仕事内容は?給与事情やキャリアアップも解説
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「老健の相談員に興味はあるけれど、仕事内容がよく分からない…」
「資格がないと働けないの?」
そんなお悩みや疑問はありませんか?
今回は老健で働く相談員「支援相談員」の役割や資格要件、仕事内容や1日の流れ、給与事情やキャリアアップについて解説します。特に仕事内容はどこよりも詳しく触れているので、ぜひ参考にして支援相談員について理解を深めてください。
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目次
支援相談員の役割
支援相談員になるために必要な資格
生活相談員との違い
2.支援相談員の仕事内容
問い合わせ対応から入所相談・インテーク
訪問による本人面談(実態調査)
入所判定会議
入所対応と契約の締結
サービス担当者会議への参加
他職種やケアマネ、ご家族との情報共有
退所後30日以内に、生活状況の確認
その他の業務
3.支援相談員の1日の流れを紹介
4.支援相談員の給与事情とキャリアアップ
年収は約411万円、月の平均給与額は約34万円
キャリアアップはケアマネor施設管理者が多い
5.支援相談員のやりがい(メリット)
6.支援相談員の大変さ(デメリット)
7.支援相談員に向いている人は?
8.まとめ
1.老健で働く支援相談員とは?
支援相談員とは、介護老人保健施設で勤務する相談員、ソーシャルワーカーのことです。支援相談員という職種名は老健独自の名称で、他の施設(特養やグループホームなど)では使用しません。
支援相談員の役割
支援相談員の役割は、利用者・ご家族の意向を施設内の各専門職に共有し、支援の方向性を統一することです。支援相談員は利用者・ご家族の代弁者として、多職種連携における調整役を担います。また外部の医療機関やケアマネと連携し、施設と地域の橋渡しを行います。
支援相談員になるために必要な資格
支援相談員になるための資格要件はありません。無資格・未経験の方も支援相談員になることは可能です。しかし、専門的な知識が求められることから「社会福祉士」「社会福祉主事任用資格」「精神保健福祉士」や、「介護福祉士」「介護支援専門員」の有資格者を配置している老健が多いです。
生活相談員との違い
支援相談員と生活相談員の違いは働く施設によるもので、業務内容はそこまで変わりません。特別養護老人ホームや有料老人ホーム、デイサービスやショートステイで勤務する相談員を生活相談員と呼びます。ただ生活相談員には資格要件があり、「社会福祉士」「社会福祉主事任用資格」「精神保健福祉士」のいずれかが必要です。(自治体によっては「介護福祉士」や「介護支援専門員」でもなれます)
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2.支援相談員の仕事内容
支援相談員の仕事内容は、入退所にまつわる相談の対応と手続き、それに伴う施設内部と外部機関との連絡調整です。一つ一つ具体的に仕事内容を見ていきましょう。
問い合わせ対応から入所相談・インテーク
病院や居宅介護支援事業所、またご家族から入所に関する問い合わせの電話が老健に入ります。支援相談員の仕事は、ここからスタートします。問い合わせでは、主に待機状況と費用についての質問、また「このような状態ですが入所できますか?」と入所対応の可否を聞かれることが多いです。
入所相談は、入所を希望される本人とご家族に施設に来てもらい行います。初回はご家族のみということも多いです。本人とご家族の状況を聞きながら、施設の概要を説明します。支援相談員は、本人とご家族にとって最初に話をする施設の職員です。施設の印象はここで決まるので、支援相談員としての力量が試される場面です。
訪問による本人面談
本人が実際にいる病院や施設、また自宅に訪問して面談を行います。入所の意思、認知機能、ADL等を確認し、入所判定会議の判断材料として情報をまとめます。
入所判定会議
入所判定会議では、様々な職種が集まり入所希望者の対応が可能か話し合います。支援相談員は司会の役割を担うことが多く、入所希望者に関する情報を資料としてまとめ報告します。会議の方法は施設によって様々で、毎週決められた時間に会議を開く施設もあれば、最近ではオンライン上で会議を完結させる施設もあります。判定会議を無事通過すれば、次は入所日の決定となります。
入所対応と契約の締結
入所日当日の支援相談員の大きな仕事は契約の締結です。入所に関しての各種同意書や意向等を最終確認します。確認すべき内容は入所者様によって様々ですが、入所時点で再確認を行うのは認識の相違を解決しトラブルを事前に防ぐ上でとても重要です。
サービス担当者会議への参加
サービス担当者会議は、入所者のケアプランの新規作成または変更時に行われます。各専門職が集まり、施設のケアマネジャーが中心となって情報の共有や意見交換を行います。支援相談員はその中で、普段の本人の様子や本人とご家族の在宅復帰に関する希望を伝えます。
他職種やケアマネ、ご家族との情報共有
入所中の様子を観察し、各職種やご家族に情報共有することも支援相談員の大事な仕事です。ケアプランに沿ったサービスが提供できているか、在宅復帰に向けて入所者の状態が改善しているかを、食事やリハビリの現場で確認します。気になる様子があれば、実際にケアを行う専門職に話を聞くことも大切です。
退所後30日以内に、生活状況の確認
退所後30日以内に、在宅生活が継続する見込みがあることを確認します。実際に居宅を訪問するか、居宅ケアマネから情報を受けて状況を記録します。退所時に要介護4または5の場合は、14日以内の確認となります。
その他の業務
支援相談員の業務の幅は広く、勤務する施設の人員配置や稼働率、提供する介護サービスなどの状況によって変わります。実際にどんなものがあるか紹介していきます。
- クレーム対応
利用者、ご家族からのクレームに対応します。気乗りするものではありませんが、老健の信頼を維持するために重要な業務です。 - 送迎業務
デイサービスやショートステイ利用者の送迎、入所者の病院への通院の為、支援相談員が搬送車を運転することがあります。 - 病院、居宅介護支援事業所への営業
いわゆる外回り業務です。施設の稼働率が下がってくると新規の入所者獲得の為、支援相談員が営業活動を行うことがあります。
ほかにも人が足りていない際は、介護スタッフの応援を行ったり、レクリエーション・季節行事の企画準備を手伝うケースがあります。
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3.支援相談員の1日の流れを紹介
1日のスケジュールをチェックします。朝の申し送りに出席し、夜勤者から急変等で病院に受診する必要がある方がいないか確認します
問い合わせ電話は時間を問わずかかってくる為、つど対応が必要です。判定会議や在宅復帰に向けての資料作成を進めます。
入所時間は基本平日の午前中、10時に設定しているケースが多いです。入所されるご本人とご家族を出迎え、契約の締結や医師の診察、各部署からの案内を行います。
入所相談は、ご家族の希望に合わせて時間を設定します。午前中は10時か11時、午後は13時か14時と枠を設定している施設もあります。
食事介助を行う看護師や介護スタッフの様子を含めて観察します。食事形態や食事摂取量が適しているか多職種で確認します。
入所希望者の自宅または入院先等を訪問し、現在の状況を詳しく調査します。本人・家族の他、医療相談員などから情報を集め、入退所判定会議で報告します。
在宅復帰に向けて個別リハビリに取り組む利用者の様子を観察します。また医師が回診を行い看護師やリハビリスタッフにどういった内容を指示したか、各職種から話を聞き情報共有します。
その他、入退所判定会議やサービス担当者会議への出席、入所前後訪問指導などを随時行います。会議は曜日や時間を固定して行う施設もあれば、Zoom(ズーム)等を利用して、オンライン上で行うこともあります。
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4.支援相談員の給与事情とキャリアアップ
支援相談員の収入面とキャリアアップについて紹介します。
年収は約411万円、月の平均給与額は約34万円
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査」によると、2022年12月の常勤支援相談員の平均給与額は「342,810円」でした。
平均給与額は「基本給(月額)+手当+一時金(賞与)の1/12」で計算されるので、12倍した4,113,720円、約411万円が平均年収と概算されます。
キャリアアップはケアマネor施設管理者が多い
支援相談員のキャリアアップは主に2つの道が考えられます。
ケアマネジャーの受験資格は、保健・医療・福祉に関する国家資格保有者としての実務経験が5年以上かつ従事日数が900日以上と定められています。
国家資格を保有していなくても、受験資格に定められる相談援助業務に通算5年以上の従事期間があり、900日以上の従事日数があれば、受験資格が与えられます。老健の支援相談員として働くことで全くの無資格の方も、ケアマネジャーの受験資格を得ることが可能です。
支援相談員が行うベッドコントロールや内外部の関係者との連絡調整は、施設の収益や運営に大きな影響を与えるため、管理者としてのスキルを身につけるのに役立ちます。実際に施設長や事務長は相談員としての経験を持つ方が多いです。
5.支援相談員のやりがい(メリット)
ここでは、支援相談員の仕事のやりがいを以下の3点に分けて解説していきます。
- 在宅復帰の喜びを本人とご家族またスタッフと分かちあえる
- 施設運営に深く携わることができる
- 地域・人との繋がりの輪が広がる
①在宅復帰の喜びを本人とご家族またスタッフと分かちあえる
自信を持って高水準の看護を実践できるのは一番重要となります。在宅復帰を目指す老健だからこそのやりがいです。本人とご家族はもちろん、施設のスタッフ、担当しているケアマネジャーなど多くの方と喜びを分かち合うことができます。
②施設運営に深く携わることができる
支援相談員の業務のメインはベッドコントロールであり、施設の収入に直結します。また空床を埋めるだけでは収入が上がらず、在宅復帰率が重要となります。在宅復帰に向けて本人ご家族の意向を各専門職に共有し、多職種連携のかじ取りを行う支援相談員は、施設運営のキープレイヤーと言えます。
③地域・人との繋がりの輪が広がる
入所者が老健に入所する前に生活していた場所は、自宅、病院、障害者施設など様々です。入院していた病院の医療相談員や、住んでいた地域のケアマネジャーなどから紹介を受けることが多いため、必然的に各事業所の相談援助職や計画作成担当者とやり取りすることが多くなります。地域の中で横のつながりを作り出し、地域で高齢者を支えるというやりがいがあります。
6.支援相談員の大変さ(デメリット)
ここでは、支援相談員の仕事の大変さを以下の3点に分けて解説していきます。
- クレーム対応に心が折れてしまう
- 職場の人間関係に悩みを抱える
- 業務範囲が広く精神的体力的にまいってしまう
クレーム対応に心が折れてしまう
クレーム対応は相談員にとって避けて通ることができない業務です。ご家族の思い込みによる不条理な苦情や過剰な要求に対処するのは、精神的に大きな負担がかかります。利用者本人の希望とご家族の意向が食い違い、対応に困ることもあるかもしれません。
職場の人間関係に悩みを抱える
多職種連携の調整役を担う支援専門員は、異なる立場・考えを持ったスタッフ間の板挟みとなり、人間関係にストレスを感じることも少なくありません。医療職と介護職の間に上下関係ができてしまったり、職種によるヒエラルキーができてしまっている職場もあります。
業務範囲が広く精神的体力的にまいってしまう
支援相談員の業務範囲は施設により様々です。「何でも屋」と呼ばれ、事務的な雑務をお願いされたり現場で介護業務を行うようなケースもあるようです。そういった場合、業務量の多さに精神的にも肉体的にも疲弊してしまうことが考えられます。
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7.支援相談員に向いている人は?
下記の3点に当てはまる人は、支援相談員に向いていると言えるでしょう。
- チームワークを大切にできる人
- 積極的なコミュニケーションが取れる人
- フットワークが軽い人
チームワークを大切にできる人
多職種連携において調整役を担う支援相談員は、チームワークの意識が必要不可欠です。情報共有をスムーズに行う為には各専門職との信頼関係が重要です。
積極的なコミュニケーションが取れる人
利用者とご家族、施設内の職員や連携を取っている外部機関と幅広いコミュニケーションが求められる為、コミュニケーション力が必要なのは言うまでもありません。その上で、積極的に相手から話を引き出し情報を集めることが求められます。
フットワークが軽い人
支援相談員は利用者宅や入院先の病院や施設に出向くこともある為、フットワークの軽さは重要です。入所者のリハビリの観察やミールラウンドで、施設内でも動き回ります。
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8.まとめ
この記事では、老健で働く支援相談員の役割や資格要件、仕事内容と1日の流れ、給与事情とキャリアアップについて紹介しました。資格要件は特にありませんが、社会福祉士や介護福祉士などの資格を取得していると、就職やキャリアアップに有利になります。仕事内容は、入所前の電話相談から始まり、入退所にまつわる内外部の連絡調整が主な業務でした。
支援相談員の仕事には、利用者様の在宅復帰支援を目指す老健独自のやりがいがある一方で、利用者様・ご家族・施設職員の間の板挟みとなる大変さがあります。チームワークを大切にして積極的なコミュニケーションを取れる方が支援相談員に向いていると言えるでしょう。
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堀尾 健太
セカンドラボ株式会社
神奈川県鎌倉市生まれ。
2019年4月にセカンドラボ株式会社にアサイン。
求人原稿作成やコンテンツ記事執筆、ライティングに関わる仕事をメインにしています。
休日は所属する3つのオーケストラでの活動や登山、旅行とアクティブに過ごしています。