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クリニックで働く理学療法士|メリット・求められるスキル・業務の特徴も解説!

  • 更新日
投稿者:高田 眞帆

理学療法士の就職先の1つとして、「クリニック」があります。現在、理学療法士の大半が病院で勤務していますが、クリニックは病院に次いで2番目に在籍数が多い就業先です。

そのため、クリニックで働くことを検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、病院とクリニックでは患者様の層が異なるため、求められるスキルや業務も異なります。

この記事では、クリニックで働く場合のメリットやデメリットを紹介するとともに、クリニックでの業務の特徴や1日の流れも解説していきます。就職先でクリニックを視野に入れている理学療法士の方は、ぜひご覧ください。

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目次


1.「クリニック」とは

そもそも、クリニックとはどのような特徴があるのでしょうか。クリニックは、19床以下の病床数を有する、もしくは入院機能を持たない医療機関のことです。


一方で、20床以上の入院施設がある医療機関のことを「病院」と呼び、医療機関でも「病院」と「クリニック」に分けられます。


クリニックで働く理学療法士は1割程度

冒頭でも触れた通り、就職先で最も多いのは病院です。日本理学療法士協会会員の6割近くが従事しており、圧倒的に多いのが特徴です。一方でクリニックに勤務している理学療法士は全体で8%と、1割もいません。


次に、病院とクリニックの違いを詳しく解説します。


出典:公益社団法人日本理学療法士協会「会員の分布」


病院との違いは?

理学療法士として病院で働く場合とクリニックで働く場合とでは、以下のような違いがあります。


病院

病院で働く理学療法士に求められるのは、患者様の在宅復帰や日常生活の向上です。病気や怪我の後遺症など、患者様に合ったリハビリテーション計画を立案しなければなりません。


病院勤務と一口に言っても、「急性期病院」「リハビリテーション専門病院」「療養型病院」などの勤務先があります。急性期病院の場合は、筋萎縮などの廃用症候群の予防のため、リハビリテーション病院の場合は、日常生活動作の改善や自立、在宅復帰が主な目的です。理学療法士がリハビリで患者様に関わるタイミングは「急性期」または「回復期」です。


病院の種類によっても業務内容に違いがあるので、求人を探す際は注意しましょう。


クリニック

クリニックでは、在宅復帰している患者様が主な対象であり、日常生活動作の改善を目指します。つまり、「以前と同等の生活レベルを取り戻せるようにすること」が主な目的です。


病院に比べて規模が小さく、1日に多くの患者様を診るため、効率性が求められます。その分、患者様との距離は近く、じっくりと向き合い、信頼関係の構築をできるのが病院との大きな違いです。


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2.クリニックで働く理学療法士のタイムスケジュールは?

ここでは、クリニックで働く理学療法士の1日の流れの例を紹介します。


1日の流れ自体は病院と大差ありませんが、1日で対応する施術数はクリニックの方が多くなる傾向にあり、その点が最も大きな違いです。出勤から業務終了までの流れを順番に見ていきましょう。


クリニックでの1日の流れ

クリニックで働く理学療法士の1日の流れは、以下の通りです。


08:30  出勤

09:00  午前のリハビリ開始

13:00  休憩

14:30  午後の準備

15:00  午後のリハビリ開始

17:00  記録の作成

18:00  業務終了・片付け


出勤

出勤時間はクリニックによって差はあるものの、大体9時〜10時の午前の診療が開始する時間に合わせる事業所が多いです。
出勤後の準備時間も加味し、診療開始までに準備が整うように出勤します。


午前のリハビリ

午前の診療は、12時〜13時あたりまで行っているクリニックがほとんどです。午前診療の約3〜4時間でクリニックに訪れた患者様を施術します。1人あたりの施術を20分とし、午前だけで10単位前後の施術を行うことが多いです。


休憩

病院とは異なり、スタッフ全員が同じ時間帯に休憩に入ります。多職種との関わりが少ないクリニックですが、休憩時間を活用して他のスタッフとコミュニケーションを取ることができます。


午後のリハビリ

午前中のリハビリの記録を作成し、午後のリハビリに向けて準備します。午後の診療は14〜15時ごろに始まり、18時半ごろまでには診療が終了するクリニックが多いです。


約4時間の午後診療の中で、12単位程度のリハビリを提供します。午前と午後の単位を合わせると、約20単位程度のリハビリを1日の中で提供することになります。


記録の作成

午後のリハビリが終われば、その日に対応した患者様の活動記録を行うことがほとんどです。その際、医師や看護師などのスタッフ同士で情報共有を行い、漏れがないように細かく記録を作成します


業務終了・片付け

最後は、使用した器具のメンテナンスや片付け、院内の清掃を行います。翌日の準備も行い、1日の勤務が終了です。


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3.診療科目別にみた業務の特徴

クリニックと一口に言っても、診療科目によって業務の内容は異なります。一般的には整形外科のイメージが強いですが、その他の診療科目でも理学療法士の活躍の場があります。


診療科目によっても業務内容が異なるので、今までの経験や今後身に着けたいスキルに応じて診療科目を選ぶことがおすすめです。



整形外科

整形外科クリニックのリハビリ対象は、運動器疾患の患者様が中心です。そのため、筋肉や関節の解剖運動学的な知識や、徒手療法の技術を重点的に得ることができます。日常生活は自立している方がほとんどなので、幅広い年齢層の患者様や部活動・スポーツで怪我をした患者様も対応します。


フィットネスクラブやプロスポーツチームでのトレーニング指導など、将来的に一般企業も視野に入れている人は、それに向けた経験を積むことができるでしょう。


循環器内科

循環器内科でリハビリを行う対象は、以下の疾患を持っている患者様です。


  • 急性心筋梗塞
  • 狭心症
  • 慢性心不全
  • 大血管疾患の診断を受けた人
  • 開胸術後の患者様

他の診療科に比べて、高齢者の患者様が多いのが特徴です。何らかの病気を発症してリハビリを行う患者様が主であるため、運動前後でのバイタルサインや身体所見を注意深く観察することが求められます。


これらの理由からアセスメント能力が自然と高まり、どの分野のリハビリでも重宝される理学療法士になるでしょう。


脳神経外科

脳神経外科は脳梗塞や脳出血・くも膜下出血などの脳血管障害、頭部外傷や脳腫瘍などの疾患を抱えた患者様が主な対象です。


高血圧や糖尿病などの合併症を持つ患者様も多く、主疾患だけに注目するのではなく、血圧や血糖値などのデータを確認しながらリハビリを行う場面が多くなります。


脳神経外科での理学療法士は、合併症のリスク管理を含めてリハビリプログラムを立案・実施していくことが求められるでしょう。


小児リハビリ

小児リハビリを提供している施設は、「病院」「クリニック」「訪問看護ステーション」「児童福祉施設」など多岐にわたります。子どもの障がいが先天性なのか後天性なのかでもアプローチ方法は異なり、施術効果は成人に比べて個人差が出やすいのが特徴です。


リハビリの対象である子どもは成長途中であるため、個々の成長や体格・年齢に合わせた理学療法のスキルが求められます。家族と来院するケースがほとんどなので、家族と良好な関係を築けるコミュニケーションスキルも必要です。


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4.クリニックで働くメリット・デメリット

ほとんどの理学療法士が病院勤務を選ぶ中、クリニックで勤務するメリット・デメリットもあります。

ここでは、クリニックで勤務するうえでのメリットとデメリットをいくつか解説します。


長く働くためにも、メリットだけでなくデメリットもしっかり理解した上で勤務先を選ぶことが大切です。


メリット

まずは、クリニックで働くメリットを見ていきましょう。

具体的には以下の4つです。


  • 比較的休日が多い
  • 担当出来る患者様が多い
  • 専門性の高いスキルを身につけることが出来る
  • 回復意欲の高い患者様が多い

比較的休日が多い

病院はシフト制が多く、365日リハビリテーションを提供しているところも増えています。一方クリニックは休みの曜日が固定である場合が多いです。


GWやお盆、年末年始などの大型連休は、クリニック自体が休診になることも多く、比較的休日が多いのがメリットといえます。そのため、仕事とプライベートの両立ができ、予定が立てやすいのも魅力です。


担当出来る患者様が多い

病院では、病床数が決まっているので1人の患者様に対して3単位(1単位=20分)のリハビリを実施することが多いです。その点では、患者様一人ひとりじっくり時間をかけてリハビリを行うことができます。


対してクリニックは1人の患者様に対して1単位であることが多いうえ、1日に20人程度のリハビリを行えるため、関わる患者様の数が多くなります。そのため、特定領域でさまざまな症例を経験したい方にとっては、大きなメリットといえるでしょう。


専門性の高いスキルを身につけることが出来る

病院など他の施設形態とは異なり、クリニックは診療科目がしっかり分かれています。その分、クリニックの診療科目の分野での知識や経験値を集中して高めることができます。


限られた時間の中で施術を行うため、短期間でリハビリを組み立てる能力も自然と身につくでしょう。特定の分野のリハビリテーションを深く学んでいきたい方にとってはメリットといえます。


回復意欲の高い患者様が多い

入院機能がないクリニックでは、自ら来院して施術を受ける自立した患者様がメインです。病院のように、施術拒否をされる心配もありません。クリニックに来院する方は回復意欲のある患者様であるため、施術が比較的スムーズに進むのがメリットです。


デメリット

次に、理学療法士がクリニックで働くデメリットを紹介します。

具体的には以下の3つです。


  • 多職種との関わりが少ない
  • 学べるスキルに限界がある
  • ある程度の体力が必要

多職種との関わりが少ない

クリニックは病院とは違って、多職種との意見交換やカンファレンスの場が少ない職場です。関わりがない分、自ら判断して行動する必要があるため、ある程度の経験は必要不可欠といえます。


また、病院に比べて理学療法士の数も少ないため、切磋琢磨して仕事ができる仲間を作りにくいのもデメリットといえるでしょう。


学べるスキルに限界がある

メリットでも解説した「専門性の高いスキルを身につけることができる」という反面、クリニックにはその診療科目に準じた患者が来院するため、対応できる疾患が限られています。


特定の分野の知識を深く学びたい方には適していますが、「幅広い疾患を担当したい」という方にとっては物足りなさを感じるでしょう。


さらに病院のような定期的な勉強会や研修の機会が少ない上、在籍人数も少ないため、OJTの時間も限られています。「学ばせてもらいたい」という受け身の気持ちが強い方には向いていないでしょう。


ある程度の体力が必要

クリニックでは担当する患者数が多いため、限られた診療時間の中で1日数十人の患者様に対応しなくてはなりません。


対応する患者様が多い分、忙しい1日を過ごすことになり、体力にある程度の自信が必要です。そのためには豊富な経験を求められることもあるので、経験が浅い方にとっては辛いと感じる場面も多いでしょう。


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5.クリニックで求められるスキル

クリニックは診療科目がはっきりと分かれており、1日あたりの施術数が比較的多いのが特徴です。そこからわかる理学療法士に求められるスキルは3つあります。

具体的には、以下の3つです。


  • 短期間で成果を出すスキル
  • 診療科に応じた専門的なスキル
  • 自ら判断し行動に移すスキル

短期間で成果を出すスキル

病院に比べてクリニックは、1人あたりの施術時間が少なく、限られた時間の中で成果を出さなければなりません。外来数が多いクリニックは特に、状況に応じて臨機応変に対応できるスキルが求められます。


「即戦力」を求めているクリニックも多いので、未経験で経験の浅い方は、就職が難しい場合もあるでしょう。


診療科に応じた専門的なスキル

病院と比べてクリニックは、患者様が抱える疾患に対応できる幅が狭いため、より専門的な知識・経験が必要とされます。実際のところ、「実務経験3年以上」などの要件が記載されてある求人も少なくありません。


この要件をクリアするために、「認定理学療法士」や「専門理学療法士」など、プラスαの資格を取得することで、就職活動時にライバルとの差別化が図れるでしょう。


自ら判断し行動に移すスキル

クリニックの理学療法士に求められるスキルとして、受け身ではなく、主体性を持って行動に移すスキルが求められます。病院などクリニック以外の施設形態では、職場に10名以上の同職種が在籍していることが多いです。


しかし、クリニックでは在籍数が数人程度で、シフトによっては1名体制になることもあります。業務中に判断に迷うことがあっても、同職種に相談できないことも多々あるでしょう。在籍している理学療法士の人員も少ない分、伴う責任も大きいです。


そのため、受け身ではなく、自ら判断して行動に移す理学療法士が求められます。


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6.忙しいが休日はしっかり確保!専門的な知識も深まる

ここまで、クリニックで働く理学療法士について、メリットや求められるスキルなどを解説してきました。クリニックで働く場合、1日あたりの施術件数が多い上に、病院より在籍するスタッフの数が少ないため、1日が忙しく感じることもあるかもしれません。


対応する患者数が多い分、専門的な知識や経験を積むことができるのはメリットです。また、休日もしっかり確保でき、メリハリをつけた働き方ができる点も大きな魅力といえます。


理学療法士の就職先の1つの選択肢として、クリニックも視野に入れてみてはいかがでしょうか。


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