専門看護師とは?認定看護師との違いや資格取得の条件・費用を解説!
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看護師のキャリアアップの道として、専門看護師が思いつく人も多いはず。ただ名前は知っていても、具体的な取得方法やかかる費用は把握していない人が多いのではないでしょうか?
また、認定看護師と混合されやすいため、今回の記事では2つの違いに触れながら専門看護師について解説していきますので参考にしてください。
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目次
1.専門看護師とは?
専門看護師とは、複雑で解決が難しい看護問題を抱えている患者や家族・集団に対して、高水準の看護ケアを効率的に提供するための、特定の専門看護分野の知識・技術を有している看護師のことです。
専門看護師は、専門看護分野において以下の6つの役割を果たします。
2.看護者を含むケア提供者に対してコンサルテーションを実施する。(相談)
3.必要なケアがスムーズに行われるために保健医療福祉に関わる人との間でコーディネーションを実施する。(調整)
4.個人や家族・集団の権利を守るために倫理的な問題や抱えている葛藤の解決をサポートする。(倫理調整)
5.看護者に対してケアを向上させるための教育的役割を担う。(教育)
6.専門知識・技術の向上の他、開発を図るために実践の場における研究活動に取り組む。(研究)
14の専門看護分野について
専門看護分野とは、日々変化する看護需要に対して、独立した専門分野として知識・技術に幅と深さがあると専門看護師制度委員会が認めたものです。2022年12月時点で特定されている分野は以下の14分野となっています。
分野名 | 分野の特徴 |
がん看護 | がん患者の身体的・精神的な苦痛を理解する。その上で患者や家族に対してQOL(生活の質)の視点から高水準の看護を提供する。 |
精神看護 | 精神疾患患者に対して高水準の看護を提供し、一般病院でも心のケアを行う「リエゾン精神看護」の役割も提供する。 |
地域看護 | 産業保健・学校保健・保健行政・在宅ケアのいずれかの領域で高水準の看護を提供し、地域の保健医療福祉の発展に寄与する。 |
老人看護 | 高齢者が入院・入所・利用する施設で、認知症や嚥下障害などの複雑な健康問題を抱える高齢者のQOLを向上させるために高水準の看護を提供する。 |
小児看護 | 子どもたちが健やかに成長・発達していけるように療養生活を支援し、他の医療スタッフと連携して水準の高い看護を提供する。 |
母性看護 | 周産期の母子や家族への支援、女性のライフサイクル全般の健康への援助など、高水準の看護ケアを提供する。 |
慢性疾患看護 | 生活習慣病の予防や、慢性的な心身の不調を抱えて生きる人々に対する慢性疾患の管理・健康増進・療養支援などに関する高水準の看護を行う。 |
急性・重症患者看護 | 緊急度や重症度の高い患者に対して集中的な看護を提供し、患者本人とその家族の支援、医療スタッフ間の調整などを行い、最善の医療が提供されるよう支援する。 |
感染症看護 | 施設や地域における個人や集団の感染予防と発生時の適切な対策に従事するとともに感染症の患者に対して水準の高い看護を提供する。 |
家族支援 | 患者の回復を促進するために家族を支援する。患者を含む家族本来のセルフケア機能を高め、主体的に問題解決できるよう身体的、精神的、社会的に支援し、水準の高い看護を提供する。 |
在宅看護 | 在宅で療養する対象者及びその家族が、個々の生活の場で日常生活を送りながら在宅療養を続けることを支援する。また、在宅看護における新たなケアシステムの構築や既存のケアサービスの連携促進を図り、水準の高い看護を提供する。 |
遺伝看護 | 対象者の遺伝的課題を見極め、診断・予防・治療に伴う意思決定支援とQOL向上を目指した生涯にわたる療養生活支援を行い、世代を超えて必要な医療・ケアを受けることができる体制の構築とゲノム医療の発展に貢献する。 |
災害看護 | 災害の特性をふまえ、限られた人的・物的資源の中でメンタルヘルスを含む適切な看護を提供する。平時から多職種や行政等と連携・協働し、減災・防災体制の構築と災害看護の発展に貢献する。 |
放射線看護 | 放射線がもたらす身体、心理社会的影響の特性をふまえ、放射線事故・災害における平時からの体制構築と健康課題を有する対象へ長期的な看護を提供する。また、放射線診療を受ける対象者とその家族へ水準の高い看護を提供するとともに、職業被ばく低減の方策等、施設における体制を構築する。 |
専門看護師の活躍のフィールド
2023年9月時点で、専門看護師は全国に3,096人います。専門看護師が活躍するフィールドは病院が大半を占め、次に看護大学などの教育機関、そのほか訪問看護ステーションやクリニックなどがあります。
なお、施設種別の専門看護師の人数は以下の通りです。(2023/9/5時点)
- 病院:2,031人
- 訪問看護ステーション:132人
- クリニック・診療所:39人
- 介護保険施設:22人
- 学校・大学:337人
- 認定看護師教育機関:3人
- 会社:10人
- 看護協会:6人
- その他:44人
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2.「認定看護師」と「専門看護師」は何が違うの?
ここでは、「認定看護師」と「専門看護師」の違いについて解説していきます。まずは、以下の表をご覧ください。
認定看護師 | 専門看護師 | |
人数 | 22,866人(2023年9月時点) | 3,096人(2023年9月時点) |
役割 | 実践/指導/相談 | 実践/相談/調整/倫理調整/教育/研究 |
必須経験 | 実務研修5年以上 (うち3年以上は認定看護分野) | 実務研修5年以上 (うち3年以上は専門看護分野) |
教育課程 | 認定看護師教育機関で所定のカリキュラムを修了(6カ月~1年) | 看護系大学院の修士課程で所定の単位を取得(2年~3年) |
看護分野 | 感染管理/がん放射線療法看護/がん薬物療法看護/緩和ケア/クリティカルケア/呼吸器疾患看護/在宅ケア/手術看護/小児プライマリケア/新生児集中ケア/心不全看護/腎不全看護/生殖看護/摂食嚥下障害看護/糖尿病看護/乳がん看護/認知症看護/脳卒中看護/皮膚・排泄ケア(B課程19分野) | がん看護/精神看護/地域看護/老人看護/小児看護/母性看護/慢性疾患看護/急性・重症患者看護/感染症看護/家族支援/在宅看護/遺伝看護/災害看護(14分野) |
求められる役割と影響の範囲の違い
認定看護師と専門看護師は求められる役割と影響の範囲が異なります。認定看護師は患者とその家族により良い看護を提供するために、自身の専門性を発揮しつつ他の看護師の育成を行います。病院内の看護師のお手本と言えるでしょう。
対して専門看護師は、患者とその家族に起きている問題を総合的に捉えて、所属する病院全体や地域を巻き込み解決にあたります。病院内では看護師だけでなく医師や他の医療職、地域では訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所など様々な職種・施設と関わり調整役を担います。
認定看護師は「現場の最前線で実践を行う看護のスペシャリスト」、専門看護師は「病院全体や地域を巻き込みより良い看護の仕組みづくりを行うコーディネーター」と言えます。
資格取得難度の違い
実務経験5年以上(専門分野で3年以上の経験)という要件は共通していますが、必要な学歴と教育機関の修了期間に違いがあります。
認定看護師は、学歴不問で認定看護教育機関での教育課程の修了(6ヶ月~1年以内)後に、認定看護師認定検査に合格すれば取得可能です。
一方、専門看護師は看護系の大学院に進むため学士取得(看護大学の卒業)が前提で、大学院の修了(最低2年間)後に専門看護師認定検査に合格する必要があります。
※学士が無くても大学院に進めるケースがあるので、後ほど紹介します。
専門分野の違い
認定看護師は細分化された分野での専門性を磨き、専門看護師はその分野の包括的な視点を学ぶという違いがあります。例えば「がん」に関わる分野についてまとめると、認定看護師は「がん放射線療法看護」「がん薬物療法看護」「緩和ケア」「乳がん看護」と4つありますが、専門看護師は「がん看護」1つです。
認定看護師に向いている人、専門看護師に向いている人
ここでは、認定看護師・専門看護師それぞれに向いている人の特徴をあげていきます。
- 最前線に立ってより良い看護を実践したい人
- 自身と共に働く看護師の知識・技術を磨き、現場の実践力を高めたい人
- 特定行為に興味があり、身につけたい人
- 病院全体、地域と広い視点でより良い看護の仕組みを構築したい人
- 教育や研究の面から組織全体の看護の質の向上に取り組みたい人
- 大学院で確かな看護観の形成を含めじっくり学びたい方
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3.専門看護師になるメリットは?
ここでは、専門看護師になるメリットを以下の3点に分けて解説していきます。
- 自信を持って質の高い看護が実践できる
- 待遇面の向上が期待できる
- 活躍の場が広がり、院内外に人脈が広がる
①自信を持って質の高い看護が実践できる
自信を持って高水準の看護を実践できるのは一番重要となります。 自分の看護に自信を持ち、患者とその家族に、より良い看護を提供したいと思って専門看護師を目指す人は多いです。周囲からの信頼や期待、評価も大切ですが、一番は自分が提供したい看護の実現に近づくことが大切でしょう。
②待遇面の向上が期待できる
専門看護師になることで、給料・昇進・昇格が期待できます。実際、約30%の医療施設は専門看護師に対して優遇措置などを行っており、平均12,926円の「資格手当」が与えられているようです。 また、専門看護師は患者とその家族の間に入り、調整役やコーディネーターとしての役割もあるので、日中メインの働き方ができ、夜勤なしの勤務ができます。
③活躍の場が広がり、院内外に人脈が広がる
部署内から病院全体・地域へと、活躍の範囲を広げることが可能です。看護師の横のつながり、他職種との連携も頻繁に行われるので、院内外に人脈を広げられます。 また、専門分野の看護ケアをテーマにした研修会・セミナーの講師として招かれる機会もあるので、活躍の場を大きく広げることが可能です。
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4.専門看護師になるには?
専門看護師になるには、看護系の大学院に進学し、日本看護協会の専門看護師認定審査に合格する必要があります。主な流れは以下の通りです。
2. 実務経験5年以上(専門看護分野の実務経験3年以上)
3. 看護系の大学院に入学、専門看護師教育課程を修了
⇒総計38単位の取得:かかる期間は2年
※大学院により3年間の長期履修コースもあります
4. 専門看護師認定検査(筆記試験・論述式)
5. 専門看護師認定証交付・登録
専門看護師は看護師の上位資格ともいわれており、取得の難易度は高いです。また、専門看護師は認定更新制となっているため、認定後5年ごとに更新審査を受ける必要があります。更新の際は一定の条件が定められており、30,800円の更新審査料もかかると覚えておきましょう。
看護系の大学院について
看護系の大学院は、2023年6月時点で全国に107校あり、327課程が開講しています。ただし、専門看護分野によっては数校しかなく、たとえば、地域看護は新潟大学大学院・石川県立看護大学大学院の2校のみです。 開講期間や授業料、願書受付期間などは教育機関によって異なるので、目指す際には事前に情報を集めておくようにしましょう。 なお、教育機関の検索は以下で検索可能です。
看護系の大学院に進むために、基本的には学士の取得(看護大学の卒業)が必要になりますが、 大卒ではない看護師も専門看護師になる2つの方法があるので次項で解説します。
専門卒でも専門看護師になれるの?
専門卒の看護師の方でも、以下の2通りの方法で専門看護師になることが可能です。
- 通信制大学で学士を取得する
通信制大学で学士を取得することが可能です。看護学士の学位を取得すれば、大学院の専門看護師コースの受験資格を得られます。 - 専門卒でも受験できる大学院を受験する
多くの看護系大学院は「3年課程の看護学校を卒業し、看護師として◯年以上の実務経験がある者」と条件を定めて、専門看護師コースの受験資格を認めています。ただし、大学院独自の審査があり、審査をパスしなければ大学院入試を受験できません。
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5.専門看護師取得にかかる費用は?
専門看護師取得にかかる費用はおよそ200万円以上と言われています。費用の内訳は以下のようになります。
大学院の受験料⇒約3万円
入学金⇒約30万円
授業料⇒約60万円×2年間
教材代⇒約20万円
その他(施設費、実習費など)⇒約30万円
専門看護師認定検査の受験料⇒51,700円
認定料⇒51,700円
合計⇒約215万円
引っ越し費用と家賃
交通費・定期代
参考書代
ノートパソコン代
大学院の2年間の学費が費用の大半を占めています。かなりの高額となりますので、ここからは費用負担を軽減する2通りの方法を紹介します。
奨学金制度の活用
専門看護師を目指す際は、以下のような日本看護協会や各種団体の奨学金、地方自治体の助成金などを活用することで、費用を抑えられます。また、病院によっては、病院独自の奨学金制度を用意しているところもあります。
- 石橋美和子がん看護CNS奨学金
- 国際看護師協会東京大会記念奨学金
- 公益財団法人木村看護教育振興財団の専門看護師奨学金助成事業
- 公益信託山路ふみ子専門看護教育研究助成基金
- 各都道府県の看護協会による専門看護師教育課程奨学金
- 各都道府県の看護師等修学資金貸与事業(未実施の都道府県あり)
病院の資格取得支援制度の活用
資格取得支援制度は、病院によってそもそもの有無が分かれます。あったとしても、内容はそれぞれです。また、認定看護師と違い、少なくとも2年間大学院に通うため、休職扱いが多いのが実情となっています。傾向として、大規模病院や複数グループ病院を持つ医療法人だと制度が充実しており、入学金や学費の負担があったり、就学期間を研修扱いにして一部給与を保障してくれることもあるようです。
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6.まとめ
専門看護師になる難易度は高いですが、待遇面の向上や活躍の幅が広がることを考えると、十分目指す価値があります。また、費用負担を軽くするために、資格取得支援制度や奨学金制度がある職場に転職するのも選択肢の一つです。
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