病院や介護施設で働く調理師の仕事内容・給与、資格取得、今後の需要を解説!
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「調理師」と聞くとなんとなくイメージは湧きますが、具体的な仕事内容や資格の取得方法など詳しく説明できる方は少ないのではないでしょうか。実際、調理師という職業には次のような疑問が浮かびます。
「調理師の就職先は飲食店だけ?」
「調理師の平均給与は?」
「調理師資格の取得方法って?」
調理師は、飲食店だけでなく介護や医療などさまざまな場面で活躍できる仕事です。今回は、医療福祉施設で働く調理師の仕事内容や平均給与・資格の取得方法・今後の需要について解説します。
調理師に興味がある方から実際に目指している人にも分かりやすい記事ですので、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
2.調理師の仕事内容は?調理補助ってなに?
3.調理師になるには?資格取得方法を解説!
4.調理師のやりがいや大変なこと、向いている人は?
5.調理師の平均給与は?
6.調理師の今後は?
7.まとめ
1.調理師とは?
調理師とは、国家資格を持ち、日常のさまざまな場面で調理業務を行う人のことを指します。例えば病院の場合は入院患者様に、介護施設ではサービス利用者に提供する食事の管理を担当している人です。
調理師は「名称独占資格」となっているため、調理を行っている人であれば誰でも名乗れるわけではありません。国が定める「調理師法」には次のように書かれています。
調理師法
(名称の使用制限)
第八条 調理師でなければ、調理師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。
(中略)
第十一条 第八条の規定に違反した者は、三十万円以下の罰金に処する。
引用:調理師法
法律で定められている通り、この第八条に違反すると30万円以下の罰金が科せられます。それほど調理師資格には重みがあり、重要な役割がある仕事であるといえるでしょう。ちなみに、調理業務を行う無資格の人は「調理員」と呼ばれることが多いです。
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2.調理師の仕事内容は?調理補助ってなに?
調理師の仕事内容は、働く場所によってさまざまです。そこで今回は、病院と介護施設に絞って解説していきます。
病院での仕事内容
入院中の患者様に対して、管理栄養士や栄養士が作成した献立に沿って調理した食事を提供します。施設によっては調理だけでなく清掃や食器洗浄・配膳なども業務内容として含まれる場合もあり、線引きはあいまいです。
大規模病院であれば、1度に数百食作ることも珍しくありません。病院には通常、幅広い病状や体調の患者様が入院しています。そのため、患者さんごとに最適な献立内容で料理することが必須条件です。
また、免疫力が落ちている病気の方に向けた食事を提供するので、食中毒予防などの衛生管理は徹底しなければなりません。その日に作った料理は必ずその日のうちに提供するのが基本となり、前日の仕込みや作り置きは認められません。その分残業が少なく、プライベートも大切にできる点はメリットです。
病院調理師が作る食事は、大きく分けて2種類あります。
- 一般食
- 特別治療食
それぞれの食事の違いについては、以下で詳しく解説していきます。
普通食とも言われており、特別な制限がない食事のことです。高齢者や嚙む力が弱い方に合わせて柔らかさ・形状が通常とは異なる「嚥下食(えんげしょく)」もこれに含まれます。嚥下食に関しては、ゼリー状からペースト状・刻み食・一口大サイズなどさまざまです。
一般食とは反対に、特別な制限がある食事のことを指します。具体的には、カロリーやタンパク質・脂質・塩分など疾患に合わせて制限するのが一般的です。制限するものを区別するために、エネルギーコントロール食やたんぱくコントロール食などとも呼ばれます。
その他、消化管手術を受けた患者様に提供する「術後食」や消化性潰瘍の患者様に提供する「潰瘍食」なども特別治療食です。
介護施設での仕事内容
管理栄養士や栄養士が作成した献立に沿って調理する点は病院と同じですが、提供対象は高齢の利用者になります。
主な職場としては、次の施設があげられます。
- 特別養護老人ホーム
- 有料老人ホーム
- 介護老人保健施設
- グループホーム
- ケアハウス
- ショートステイ(短期入所生活介護)
- デイサービス・デイケア
- サービス付き高齢者向け住宅
飲み込むことが難しい方には、とろみやペースト状にして提供します。また、噛むことが苦手な方には刻み食・口に入れやすいサイズにカットするなど、さまざまな状況に応じた調理法が必要です。
他には糖尿病や肝臓病の方にはタンパク質や塩分・カロリー制限をするなど、利用者ごとに多くの工夫がされています。
調理補助とは?
病院や介護施設によっては、調理補助の方を配置している場合があります。調理補助とは、名前の通り「調理業務を補助する」役割を持つ人です。具体的には食材の洗浄や切り込み・食器や調理器具の準備や洗浄を担当しています。
職場の規模によっては料理の配膳や下膳・調理場の清掃・食材の発注や管理まで担当しており、幅広い対応力が必要です。ここまで見ると、調理師と業務内容は変わらないように見えます。しかし、資格を有していないため調理師と名乗ることはできません。
職場によっては立場を明確化するため、調理師と調理補助で役割を分担しているケースもあります。後述する調理師資格の取得方法には実務経験が関わるパターンもあるため、調理補助として経験を積む方も多いです。
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3.調理師になるには?資格取得方法を解説!
調理師資格を取得するためには、以下2通りの方法があります。
- 調理師学校で学ぶ
- 実務経験を積んで、試験に合格する
ここからは、それぞれの取得方法について見ていきましょう。
調理師学校で学ぶ
厚生労働省が指定した調理師養成施設で学び、卒業することで、調理師免許を取得できます。該当する養成施設は、主に大学・短大・専門学校・高校にある調理科です。全国に配置されており、誰でも通いやすい体制が敷かれています。
調理師養成施設の卒業後は、住所地の都道府県知事に申請することで試験を受けなくても免許を取得できる点が特徴です。厚労省が指定した全国の調理師養成施設は以下から確認できます。
ここで紹介されている養成施設は、中学校を卒業した人であれば誰でも入学資格があります。通う期間は学校やコースによって異なりますが、最短であれば1年間での卒業も可能です。
実務経験を積んで、試験に合格する
免許取得には実務経験を積んだうえで、試験に合格するという方法もあります。経験内容としては、飲食店などで週4日以上かつ1日6時間以上の勤務を2年以上行うのが条件です。勤務形態に制限はなく、正社員の他にパートやアルバイトでも条件を満たせば受験資格がもらえます。
また、必ず1か所でのみ働かなければならないという決まりもありません。転職などで職場を変えて働いていたとしても、通算して条件を満たせればOKです。ただし、同時期に複数施設で働いているWワークの場合、勤務時間の合算はできない規則となっています。
さらに1カ月以上の長期休暇も勤務期間にカウントできません。あくまでも、1日に1か所の施設で6時間以上働いていた日数のみが条件に該当してきます。実務経験にみなされる施設は以下の通りです。
- 飲食店営業
- 魚介類販売業
- そうざい製造業
- 寄宿舎、学校、病院等の給食施設
ちなみに、以下の業務は実務経験として認められないので注意しましょう。
- 喫茶店営業
- 食肉処理、食品製造、飲料の調製
- 簡易な飲食店営業の対象となる調理
出典:公益社団法人調理技術技能センター「令和5年度調理師試験」
実務経験を証明するためには、調理業務従事証明書を勤務先に作成してもらう必要があります。受験者本人の記入・修正は認められないので、必ず実務経験を積んだ勤務先の代表者に作成を依頼しましょう。
複数の施設で勤務していた場合は、それぞれから証明書をもらわなければなりません。これは、勤務期間中に支店異動があった際も同様です。
調理師試験は都道府県ごとに実施されており、日程や会場・受験料は場所によって異なります。試験の中に実技は含まれておらず、全て4択から選ぶマークシート方式の筆記試験です。
全60問で構成されている試験内容は、以下の6科目から出題されます。
- 公衆衛生学
- 食品学
- 栄養学
- 食品衛生学
- 調理理論
- 食文化概論
目安として、全科目の合計点数が60%以上で合格となります。ただし、1科目でも平均点を大きく下回ると不合格となってしまうので注意が必要です。全ての教科をまんべんなく学習し、マークミスに気を付けることが合格への一歩となるでしょう。
厚生労働省が発表している「調理師試験の実施状況」によると2022年度の合格率は65.4%となっています。過去3年間の受験者数や合格者数・合格率については、下のグラフの通りです。
厚生労働省が発表している年度別・都道府県別の合格率によると過去10年間で、合格率の平均は60〜70%の間を推移しています。一方都道府県単位で見ると、合格率は高いところで80%以上、低いところでは50%前後とさまざまです。
年度によって合格率に大きな差はありませんが、都道府県別で見ると合格率に大きな差があります。都道府県ごとに試験難易度に差があることが要因の一つとして考えられるでしょう。
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4.調理師のやりがいや大変なこと、向いている人は?
ここでは、調理師として働くことのやりがいや大変なこと・向いている人まで解説していきます。
調理師のやりがい
調理師は、患者様や入居者様に食事を提供するため病状や体調の回復に直接関わることができます。施設によっては1日に数百食作る場合もあり、完成させることでやりがいを感じられるでしょう。
また、配膳・下膳時などタイミングによっては利用者と直接かかわる場面も出てきます。「ありがとう」「おいしかった」などの感謝を伝えてもらえればモチベーションアップにもつながるでしょう。
病院や介護施設に在籍する利用者様の中には、食事を一日の楽しみにしている方も多いです。安心安全かつおいしい食事は、誰にとっても毎日の喜びや生きがいになります。調理師という仕事は周りの人々に幸せを運ぶことができる、やりがいのある仕事なのです。
調理師の大変なこと
一方で人によっては大変だと感じることもあります。施設の食事は集団調理が基本で、健常者に比べて免疫力が弱まっている方へ提供するものです。万が一のことがあってはならないので、衛生基準はかなり厳しくなっています。
食中毒や集団感染を起こさないためにも、徹底した衛生管理が必要です。多くの施設で注意すべき点として、次のような対応策があげられます。
- 仕込みや作り置きができない
- 作業が切り替わるたびに手洗いや消毒を実施
- 調理道具のこまめな消毒
- 納品から調理・提供にいたるまで食材や料理の温度管理を徹底しなければならない
また、調理の仕事は立った状態での作業が基本となります。長時間立ちっぱなしなのはもちろん、仕入れ食材や大きな調理器具を運ぶこともあり体力勝負な部分も多いです。長く続けるのであれば、なおのこと体力に自信がある方のほうが有利といえるでしょう。
管理栄養士や栄養士が在籍している職場では、立場の違いから意見の食い違いが生じるケースもあります。うまくコミュニケーションが取れないと、人間関係でストレスを抱えてしまうことにもなりかねません。
調理師に向いている人は?
ここまでの内容を踏まえて、以下の3点に当てはまる人は病院や介護施設の調理師に向いているといえます。
- コミュニケーション能力がある人
- 体力がある人
- 几帳面な人
前項でも少し触れましたが、調理師は職員だけでなくサービス利用者とも接する機会がある職業です。感謝の言葉をもらえることがほとんどですが、時にはうまくコミュニケーションを取らなければならない場面も出てくるでしょう。
また、管理栄養士や栄養士が在籍している場合、管理者と現場という立場の違いから考え方が異なってしまう場面もあります。複数人の食事を一気に作るので、チーム内の連携も必要不可欠です。
相手の立場を理解しつつ、現場として対応が難しいことは、はっきりと伝えたり、周りに相談することが必要です。調理を円滑に進めるために、チーム内の連携が取れるよう働きかけられる人が最適でしょう。
病院や介護施設では、毎食たくさんの量の食事を作ります。調理中は立ち仕事がほとんどで、大量の食材や大きな調理器具を運ぶことも多いです。熱を発生する器具を扱うので、厨房の気温も上がります。特に夏場は大変という声もあるほどです。
調理師として業務をこなすのであれば、体力に自信がある方が適しています。業務に慣れることで、自然と体力もついてきますが、体力に自信がない方は、初めのうちは苦労するかもしれません。
食事は人間にとって生死に大きく関わる部分であり、調理師は命を預かる重要な仕事です。調理師の役割を理解したうえで、責任感があり、妥協を許さない几帳面な人が調理師に適していると言えます。
衛生管理は大変な部分ではありますが、少しの気のゆるみが大事故につながるケースも珍しくありません。
また、病院や介護施設では、提供する人の体調やニーズに応じて、栄養素の量が細かく決まっていたり、食材の大きさが決まっていたりするので、細部までこだわれる人が向いていると言えます。
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5.調理師の平均給与は?
厚生労働省の調査によると、飲食物調理従事者の平均給与は次の通りです。
- 月収:26.06万円
- 賞与:26.80万円
- 年収:339.52万円
※あくまでも「飲食物調理従事者」なので、一般的な飲食店で働く方や調理師資格を持っていない方も含まれています。
一方で、コメディカルドットコム内の求人を見てみると、病院や介護施設での調理師の月給平均は各都道府県別で次の通りです。
- 各都道府県別の平均月収:19.0〜26.8万円
※東京都の平均は26.8万円
一見すると、厚生労働省の結果より低いと感じるでしょう。しかし、病院や介護施設では一定以上の賞与が出る場合が多いです。そのような施設であれば、年収は厚労省が発表している金額と同等かそれ以上になります。
職場によっては住宅手当や皆勤手当・早出手当など福利が充実している施設も多く、年収をさらに上げることも可能です。
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6.調理師の今後は?
以下のグラフは、飲食物調理従事者と職業全体の有効求人倍率を比較しています。
飲食物調理従事者の有効求人倍率は、職業全体と比較すると約2倍ほど高く、企業側は人材確保に難航していることが分かります。
調理師の資格保有者は年々増えていますが、毎年の合格者数に大きな変化はありません。今後も毎年の合格者数に大きな変化はないと予想されるので、調理師は引く手あまたと言えます。
新型コロナウイルスの影響で2019年から2020年にかけて、有効求人倍率が下がっていますが、現在は徐々に戻りつつあります。
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7.まとめ
調理師は社会からの需要があり、今後も見通しが明るい職種です。特に医療や福祉施設の調理師は、今後さらに需要が高まることが予想されます。国家資格なので取得までに時間がかかりますが、働きながら調理師を目指す人も多いです。
飲食店で勤務しつつ仕事終わりに勉強をしている人もいるため、無理なくチャレンジできる資格といえるでしょう。コメディカルドットコムでは、未経験・無資格可の調理師・調理補助求人も多数掲載しています。
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セカンドラボ株式会社
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n6565a29f667f
2022年4月よりセカンドラボ株式会社に入社。主に病院を中心に医療介護向け求人メディア「コメディカルドットコム」の営業・採用課題のサポートを行う。