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認定看護師になるには?必要な条件、かかる費用や期間を解説!

  • 更新日
投稿者:小口 紗穂

看護師のキャリアアップを考える上で、真っ先に浮かぶのが認定看護師。ただ名前は知っていても取得の流れや条件、必要な期間や費用を把握していない人も多いのではないでしょうか?

そこで今回の記事では、認定看護師になるための方法や受験にかかる費用などを詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

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目次

1.認定看護師とは?

認定看護師とは、特定の看護分野において高い看護技術・知識を身に付けていると日本看護協会に認められた看護師です。患者・家族に質の高い看護を提供できるよう、認定看護分野ごとの専門性を発揮しつつ認定看護師の3つの役割である「実践・指導・相談」を行います。

認定看護師の役割は以下の通りです。

1.個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を実践する。(実践)
2.看護実践を通して看護職に対し指導を行う。(指導)
3.看護職等に対しコンサルテーションを行う。(相談)

出典:日本看護協会「認定看護師」

認定看護分野とA課程、B課程について

認定看護分野とは、保健・医療や福祉の現場において、高いレベルの看護技術・知識を必要とする看護分野として、日本看護協会が定めたものです。従来使われてきたA課程(21分野)と、2021年度から認定審査が開始したB課程(19分野)があります。2つの違いを簡単に言うと、B課程には特定行為研修が組み込まれています。

注意点として、A課程は2026年度に教育が終了し、2029年度をもって認定審査が終了します。

A課程認定看護分野の一覧(21分野)

以下は、A課程看護認定分野の一覧です。

分野名 必要な知識と技術(一部)
救急看護 救急医療現場での病態に応じた迅速な救命技術・トリアージの実施
災害時の急性期の医療ニーズに対するケア
危機状況にある患者・家族への早期的介入や支援
皮膚・排泄ケア 褥瘡などの創傷管理およびストーマ、失禁等の排泄管理
患者・家族の自己管理およびセルフケア支援
集中ケア 生命の危機状態にある患者の病態変化を予測した重篤化の予防
廃用症候群などの二次的合併症の予防および回復のための早期リハビリテーションの実施
緩和ケア 疼痛、呼吸困難、全身倦怠感、浮腫などの苦痛症状の緩和
患者・家族への喪失と悲嘆のケア
がん化学療法看護 がん化学療法薬の安全な取り扱いと適切な投与管理
副作用症状の緩和およびセルフケア支援
がん性疼痛看護 痛みの総合的な評価と個別的ケア
薬剤の適切な使用および疼痛緩和
訪問看護 在宅療養者の主体性を尊重したセルフケア支援およびケースマネジメント看護技術の提供と管理
感染管理 医療関連感染サーベイランスの実践および状況の評価と感染予防・管理システムの構築
糖尿病看護 血糖パターンマネジメント、フットケア等の疾病管理および療養生活支援
不妊症看護 生殖医療を受けるカップルへの必要な情報提供および自己決定の支援
新生児集中ケア ハイリスク新生児の病態変化を予測した重篤化の予防
生理学的安定と発育促進のためのケアおよび親子関係形成のための支援
透析看護 安全かつ安楽な透析治療の管理
長期療養生活におけるセルフケア支援および自己決定の支援
手術看護 手術侵襲を最小限にし、二次的合併症を予防するための安全管理(体温・体位管理、手術機材・機器の適切な管理等)
周手術期(術前・中・後)における継続看護の実践
乳がん看護 集学的治療を受ける患者のセルフケアおよび自己決定の支援
ボディイメージの変容による心理・社会的問題に対する支援
摂食・嚥下障害看護 摂食・嚥下機能の評価および誤嚥性肺炎、窒息、栄養低下、脱水の予防
適切かつ安全な摂食・嚥下訓練の選択および実施
小児救急看護 救急時の子どもの病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施
育児不安、虐待への対応と子どもと親の権利擁護
認知症看護 認知症の各期に応じた療養環境の調整およびケア体制の構築
行動心理症状の緩和・予防
脳卒中リハビリテーション看護 脳卒中患者の重篤化を予防するためのモニタリングとケア
活動性維持・促進のための早期リハビリテーション
急性期・回復期・維持期における生活再構築のための機能回復支援
がん放射線療法看護 がん放射線治療に伴う副作用症状の予防、緩和およびセルフケア支援
安全・安楽な治療環境の提供
慢性呼吸器疾患看護 安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた呼吸器機能の評価及び呼吸管理
呼吸機能維持・向上のための呼吸リハビリテーションの実施
急性増悪予防のためのセルフケア支援
慢性心不全看護 安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた生活調整及びセルフケア支援
心不全増悪因子の評価およびモニタリング

出典:日本看護協会「認定看護師」

B課程認定看護分野の一覧(19分野)

B課程は、A過程を基に分野の統合と分野名の変更を行っています。

  • 分野統合
    「救急看護」+「集中ケア」⇒「クリティカルケア」
    「緩和ケア」+「がん性疼痛看護」⇒「緩和ケア」
  • 分野名変更
    「がん化学療法看護」⇒「がん薬物治療法看護」
    「訪問看護」⇒「在宅ケア」
    「不妊症看護」⇒「生殖看護」
    「透析看護」⇒「腎不全看護」
    「摂食・嚥下障害看護」⇒「摂食嚥下障害看護」
    「小児救急看護」⇒「小児プライマリケア」
    「脳卒中リハビリテーション看護」⇒「脳卒中看護」
    「慢性呼吸器疾患看護」⇒「呼吸器疾患看護」
    「慢性心不全看護」⇒「心不全看護」

また「必要な知識と技術(一部)」の内容についても、社会や医療ニーズに合わせて変更しています。なお、B課程は2020年度から教育を開始しており、2021年度から認定審査が開始しています。

分野名 必要な知識と技術(一部)
感染管理 医療関連感染の予防・管理システムの構築
医療管理感染の予防・管理に関する科学的根拠の評価とケア改善
医療関連感染サーベイランスの立案・実施・評価
身体的所見から病態を判断し、感染兆候がある者に対する薬剤の臨時投与ができる知識・技術
がん放射線療法看護 放射線治療を受ける対象の身体的・心理的・社会的アセスメント
再現性確保のための支援
急性期及び晩期有害事象に対する症状マネジメントとセルフケア支援
医療被曝を最小限にするための放射線防護策、安全管理技術
がん薬物療法看護 がん薬物療法の適正な投与管理とリスクマネジメント、曝露対策
がん薬物療法に伴う症状緩和
自宅での治療管理や有害事象に対応するための個別的な患者教育
患者・家族の意思決定支援と療養生活支援
緩和ケア 痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題のアセスメント
全人的問題を緩和し、QOLを向上するための症状マネジメント
家族の喪失や悲嘆への対応
クリティカルケア 急性かつ重篤な患者の重篤化回避と合併症予防に向けた全身管理
安全・安楽に配慮した早期回復支援
身体所見から病態を判断し、侵襲的陽圧換気・非侵襲的陽圧換気の設定の変更、人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整、人工呼吸器からの離脱ができる知識・技術
身体所見から病態を判断し、持続点滴中の薬剤(カテコラミン、ナトリウム、カリウム又はクロール、降圧剤、糖質輸液又は電解質輸液、利尿剤)の投与量の調整を安全・確実にできる知識・技術
呼吸器疾患看護 呼吸症状のモニタリングと評価、重症化予防
療養生活行動支援及び地域へつなぐための生活調整
症状緩和のためのマネジメント
身体所見を病態判断し、侵襲的陽圧換気・非侵襲的陽圧換気の設定の変更、人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整、人工呼吸器からの離脱ができる知識・技術
在宅ケア 生活の場におけるQOLの維持・向上とセルフケア支援
対象を取り巻くケアシステムの課題に対する解決策の提案
生活に焦点をあてた在宅療養移行支援及び多職種との調整・協働
意思決定支援とQOLを高めるエンド・オブ・ライフケア
身体所見から病態を判断し、気管カニューレの交換が安全にできる知識・技術
身体所見から病態を判断し、胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換が安全にできる知識・技術
身体所見から病態を判断し、褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去が安全にできる知識・技術
手術看護 手術侵襲及びそれによって引き起こされる苦痛を最小限に留めるためのケア
手術中の患者の急変及び緊急事態への迅速な対応
患者及び家族の権利擁護と意思決定支援
身体所見から病態を判断し、経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整ができる知識・技術
身体所見から病態を判断し、侵襲的陽圧換気の設定の変更、人工呼吸器からの離脱ができる知識・技術
身体所見から病態を判断し、直接動脈穿刺法による採血、橈骨動脈ラインの確保ができる知識・技術
身体所見から病態を判断し、硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整ができる知識・技術
身体所見から病態を判断し、持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整ができる知識・技術
小児プライマリケア 重篤な状態にある児もしくは医療的ケア児に対する重症化予防
外来及び地域等のプライマリケアの場におけるトリアージ
家族の家庭看護力・育児力向上に向けたホームケア指導
不適切な養育または虐待の予防、早期発見と、子どもの事故防止
身体所見及び気管カニューレの状態を病態判断し、気管カニューレの交換が行える知識・技術
新生児集中ケア ハイリスク新生児の急性期の全身管理
障害なき成育のための個別ケア
ハイリスク新生児と親への家族形成支援
不適切な養育または虐待のハイリスク状態の予測と予防
身体所見及び気管カニューレの状態を病態判断し、気管カニューレの交換が行える知識・技術
心不全看護 心不全症状のモニタリングと評価、重症化予防
療養生活行動支援及び地域へつなぐための生活調整
症状緩和のためのマネジメント
身体所見から病態を判断し、持続点滴中の薬剤(カテコラミン、ナトリウム、カリウム又はクロール、降圧剤、糖質輸液又は電解 質輸液、利尿剤)の投与量の調整を安全・確実にできる知識・技術
腎不全看護 疾病の進展予防、合併症の早期発見と症状マネジメント、セルフケア支援
腎代替療法の選択・変更・中止にかかわる自己決定に向けた支援
透析療法における至適透析の実現に向けた支援
急性血液浄化療法における血液透析器又は血液透析濾過器の操作及び管理を安全・確実にできる知識・技術
生殖看護 性と生殖の機能、その障害とリスク因子に関する知識に基づく妊孕性の評価
性と生殖の健康課題に対する、多様な選択における意思決定支援
患者・家族の検査期・治療期・終結期の安全・安楽・納得を守る看護実践とケア調整
妊孕性温存及び受胎調節に関する指導
摂食嚥下障害看護 摂食嚥下機能とその障害の評価
摂食嚥下機能の評価結果に基づく適切な援助・訓練方法の選択
誤嚥性肺炎、窒息、栄養低下、脱水の増悪防止に向けたリスク管理
糖尿病看護 血糖パターンマネジメント
病期に応じた透析予防、療養生活支援
予防的フットケア
身体所見から病態を判断し、インスリンの投与量の調整ができる知識・技術
乳がん看護 術後合併症予防及び緩和のための周手術期ケアと意思決定支援
ライフサイクルの課題を踏まえた、治療に伴う女性性と家族支援
乳房自己検診、リンパ浮腫等の乳がん治療関連合併症の予防・管理
身体所見から病態を判断し、創部ドレーンの抜去ができる知識・技術
認知症看護 認知症の症状マネジメント及び生活・療養環境の調整
認知症の病期に応じたコミュニケーション手段の提案と意思決定支援
家族への心理的・社会的支援
身体所見から病態を判断し、抗けいれん剤、抗精神病薬及び抗不安薬の臨時の投与ができる知識・技術
脳卒中看護 重篤化回避のためのモニタリングとケア
早期離床と生活の再構築に向けた支援
在宅での生活を視野に入れたケアマネジメントと意思決定支援
身体所見から病態を判断し、抗けいれん剤、抗精神病薬及び抗不安薬の臨時の投与ができる知識・技術
皮膚・排泄ケア 褥瘡のトータルマネジメント
管理困難なストーマや皮膚障害を伴うストーマケア
専門的な排泄管理とスキンケア
脆弱皮膚を有する個人・リスクがある個人の専門的なスキンケア
地域包括ケアシステムを視野に入れた同行訪問実施とマネジメント
身体所見から病態を判断し、褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去及び創傷に対する陰圧閉鎖療法ができる知識・技術

出典:日本看護協会「認定看護師」

認定看護師はどんな働き方をしているか

実際にどんな働き方ができるかイメージできるよう具体例を紹介していきます。

Aさん(緩和ケア認定看護師の場合)

緩和ケアチームに所属しているAさんは週に1回、各種医療スタッフで構成されている緩和ケアチームで病棟をラウンドしています。緩和ケアが必要な患者や家族に対しての直接ケアも欠かしません。また、緩和ケア相談窓口を開設しました。そのほか、緩和ケアリンクナースの育成を行ったり、院外セミナーの講師を努めたりしています。

Bさん(皮膚・排泄ケア認定看護師)

外科・泌尿器科病棟に所属しているBさんは病棟勤務をする傍ら、週1回は認定看護師として医師・栄養師・薬剤師などと連携して、褥瘡回診やストーマ外来を実施しています。病棟・外来看護師からの相談も受け、スタッフとともに直接ケアを行います。また、月1回は院内勉強会を開催しています。

Cさん(感染管理認定看護師)

Cさんは院内をラウンドし、感染対策上の問題点がないかを点検し、感染症発生者を常に把握し、適切な感染対策が行えているかの確認を行っています。また、自身で感染対策に必要なマニュアルを作成・改訂をし、院内感染の発生率を調査して感染対策が適切かどうかの確認も行います。また、院内学習会も開催しています。

認定看護師の活躍のフィールド

2023年8月時点で、認定看護師は全国に22,866人います。活躍の場は病院が中心ですが、訪問看護ステーションや学校・大学など他の選択肢もあります。

なお、施設種別の認定看護師の人数は以下の通りです。(2023/8/25時点)

  • 病院:15,798人
  • 訪問看護ステーション:808人
  • クリニック・診療所:291人
  • 介護保険施設等:180人
  • 学校・大学:289人
  • 認定看護師教育機関:36人
  • 会社:45人
  • 看護協会:29人
  • その他:122人

参考:日本看護協会「分野別都道府県別登録者検索」

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2.認定看護師になるメリットは?

認定看護師になるメリットは以下の3つです。

  • 自分に自信が持て、周りから信頼される
  • 活動範囲の拡大と待遇の向上
  • 「自分はどんな看護をしたいのか」が明確になる

①自分に自信が持て、周りから信頼される

取得した認定看護分野では医師並み、またはそれ以上の知識が身に付き、自身の看護ケアへの自信となります。取得の難しさは誰しもが知っているので、同じ看護師仲間からも一目置かれる存在となるでしょう。また、転職や再就職の際に事業所からの評価が期待できます。

②活動範囲の拡大と待遇の向上

他の看護師への指導や病院内外での勉強会・セミナーの開催と活躍の場が広がります。また、これらは日中に行われる事が多いので、負担軽減の為に夜勤回数が減ることもあるでしょう。そのほか、資格手当の支給や昇進で給料がアップを期待できます。

③「自分はどんな看護をしたいのか」が明確になる

認定看護師になることで、自身の看護観を見つめ直すきっかけとなるでしょう。 今後の看護キャリアや将来像が具体的にイメージできるようになり、上記でも述べましたが病院側からの評価も高く、理想のキャリアを実現するための転職がしやすいです。

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3.認定看護師になるには?

認定看護師になるには、認定看護師教育機関に入学・教育課程を修了し、日本看護協会の認定看護師認定審査に合格する必要があります。資格取得までの道のりと流れを解説していきます。

1. 日本国の看護師免許を持っていること
2. 看護師の実務経験5年以上(うち3年以上は認定看護分野の経験)
3. 認定看護師教育機関への入学、修了
A課程:615時間(6ヶ月以上1年以内)
B課程:800時間+特定行為研修の実習時間(1年以内)
4. 認定看護師認定検査(筆記試験・マークシート方式)
5. 認定看護師認定証交付・登録

最低条件として5年以上の実務経験と、認定看護分野の3年以上の経験が必要です。認定看護師への教育機関への願書提出をスタートに、取得まで約2年はかかると考えておきましょう。次項では、認定看護師教育機関に関して詳しく解説していきます。

認定看護教育機関について

2023年8月時点で認定看護教育機関は、A課程・B課程合わせて全国に87ヶ所あります。主に首都圏に集中していて、地方には1ヶ所もないことがあります。認定看護分野によっては、全国で1カ所しか開講していなかったり、A課程の一部の分野は既に教育が終了しています。

開講期間や費用は教育機関によって異なり、願書受付期間が1週間しかないということも少なくありません。願書提出時には、推薦書や勤務証明書などの応募書類の作成に時間がかかるため、受付期間内に提出できるように注意しましょう。 なお、受験は筆記試験と面接で、倍率は高い所で4倍になるケースもあります。

下記リンクから分野別・都道府県別で教育機関を検索できるので参考にしてください。

参考:日本看護協会「教育機関検索」

カリキュラムや授業内容は?

認定看護師の授業内容は共通科目と専門科目に分かれており、共通科目の「看護管理」「リーダーシップ」「看護倫理」「医療安全管理」は全分野共通です。講義形式や技術演習のほか、ロールプレイ・グループワークが多く、授業を受けるというよりは学習した内容や自分の考えを発表するような生徒参加型の授業が多いです。

講義内容には、まだ文献に記載されていないような最新の内容が含まれており、非常に高度なので毎日の予習・復習は必須でしょう。また、定期的に試験があり、課題も多いので自習の時間も相当必要になります。

教育課程の後半では隣地学習が実施され、約1か月半、施設で実際に自分の専門分野の患者を受け持つことになるので覚えておきましょう。そこでも、施設側の業務を学び、他のスタッフと上手くコミュニケーションを取りながら、看護計画の立案や記録のまとめを行わなければなりません。そのため、非常に多忙な日々になります。

隣地学習が終わると再び教育機関に戻り、事例発表会があるので息つく暇はありません。自分の看護実践を報告して、成果や見つかった課題を発表します。事例発表会は、講義で学んだ知識・技術を実際にそれぞれの看護場面に応じて実践できるかを見るためのものです。

認定看護師認定検査について

認定試験は毎年1回開催され、5月に全国4会場で同日に行われます。試験内容は以下の通りです。

  • 四肢択一のマークシート方式
  • 共通科目を含む各認定看護分野の教育基準カリキュラムから出題される
  • 時間:100分

合格発表は約2か月後で、近年の合格率は90%台と高い合格率を維持しています。合格発表後は、認定料を納付して登録、さらに1ヶ月後に認定証が届くという流れです。こうして、晴れて認定看護師としてのキャリアがスタートします。資格の有効期間は5年です。

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4.認定看護師取得にかかる費用は?

認定看護師取得にかかる費用は、共通でかかるものと個々の状況によるものに分かれます。およそ200万円、人によってはそれ以上かかると言われています。

共通でかかる費用

認定看護師教育機関の入試検定料⇒約5万円
入学金⇒約5万円
授業料⇒約70万円
実習費⇒約10万円
認定看護師認定審査の審査料⇒51,700円(税込)
合格後の認定料⇒51,700円(税込)
合計約100万円

個々の状況でかかる費用

引っ越し費用(教育機関には寮が無いケースがほとんど)
家賃(家具や家電が備え付きのマンスリーマンション・アパートを契約するケースが多い)
実習時の宿泊費・交通費
定期代
教材費・参考書籍代
ノートパソコン代(受講の際に必須)
合計約100万円~

上記に加えてもちろん生活費がかかります。また賃貸で1人暮らしをしている方は、今住んでいる住宅の家賃を払い続ける必要があります。次からは費用負担を軽減する2通りの方法を解説します。

奨学金制度の活用

奨学金の活用は、まず日本看護協会の「認定看護師教育課程奨学金」が候補に挙がります。地域・年齢・所得の制限なしで年額120万円以内を一括貸与することができます。ほかの奨学金や給付金との併用も可能です。

参考:日本看護協会「認定看護師教育課程奨学金」

そのほかには、県や市が運営する「看護師等修学資金貸付制度」があります。以下は八千代市の例です。

  • 八千代市看護師等修学資金貸付制度
    貸与額:100万円
    返還について:一定要件のもと八千代市内で看護師等の業務に従事したときには免除

参考:八千代市「八千代市看護師等修学資金貸付制度」

認定看護師取得支援制度の活用

認定看護師取得支援制度は、病院によって支援制度の有無が分かれており、あったとしても内容はそれぞれ異なります。研修期間中の扱いは大まかに4つに分かれます。

  • 出張扱い:学費の免除あり、給与・賞与の支給あり、生活費の補助あり
  • 研修扱い:仕事は免除され給与・賞与の支給がある、学費・生活費などは自己負担
  • 休職扱い:全額自己負担となるが、職場への復帰ができる
  • 退職:病院側の理解が得られない場合は退職し、資格取得後に転職する必要がある

たとえば、医療法人iグループの場合は研修期間の身分保障のほか、受講料や交通費・休職期間中の給与などに充当する額の支給を受けることが可能です。

また、医療法人tグループでは看護師修学派遣制度を設けており、研修期間中は現在支給している給与のうち固定的に支給している給与が保証されます。交通費や宿泊費を含む研修費用もすべて施設負担です。

傾向として規模が大きい病院や、複数グループ病院を持つ医療法人だと制度が充実しています。また、認定看護師所得支援が手厚い病院は、取得後の評価も前向きな職場と言えるでしょう。

職場の理解が得られない場合は、転職するのも選択肢の1つです。転職を検討する場合は、以下をご覧ください。

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6.まとめ

認定看護師になるには、日本国の看護師免許を持っており、看護師の実務経験が5年以上(5年のうち3年以上は認定看護分野の経験)なければなりません。また、認定看護師教育機関への入学・修了する必要があり、その後、認定看護師認定検査に合格することで認定看護師になれます。

約2年の勉強期間が必要で、負担する費用は少なくありません。費用負担を軽くするために、認定看護師取得支援がある職場に転職するのも選択肢の一つです。道のりは険しいかもしれませんが、活動範囲の拡大と待遇の向上などのメリットがあるので、今後のキャリアを考えると目指す価値は十分あるでしょう。

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セカンドラボ株式会社

URL:https://www.2ndlabo.co.jp

東京大学を卒業後、大学病院の病棟看護師として勤務。アレルギー・リウマチ内科、腎臓内分泌内科、心療内科等幅広い領域を担う病棟で従事。
2023年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療介護向け求人メディア「コメディカルドットコム」の営業・採用課題のサポートを行う。また、看護師の経験を生かし、看護師に関連するコンテンツ作成にも従事。

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