保育士は将来性のある職業?その理由と保育士の仕事内容や給与事情を徹底解説
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保育士を目指している方や現在保育士として働いている人の中には、保育士の将来性に不安を抱いている人も少なくないのではないでしょうか。
また、少子高齢化が進む現代において、保育士の需要も減ってくるのではと考えている方も多いでしょう。しかし、保育士の需要は年々高まっており、人材確保に向けて政府や自治体も動いています。
今回は、保育士の将来性について詳しく解説していき、なぜ将来性があると言えるのか?その理由と保育士として活躍していくための方法も紹介していくので参考にしてください。
目次
1.保育士の将来性
まず初めに、保育士には将来性があると言われる4つの理由を解説していきます。
- AIに仕事を奪われない
- 共働き世帯の増加
- 勤務先の多様化
- 待遇改善が図られている
AIに仕事を奪われない
AI(人工知能)の発展によって将来的に衰退していく職業がある中、保育士という職業はAIに取って代わられる心配がない職業です。
事務作業の効率化の手段としてICTシステムを導入することはあっても、一人ひとりの感情を汲み取る必要のある保育業務は人にしかできません。そのため、どれだけAIが発展しようとも需要がなくなることがないので将来性があると言われているのです。
共働き世帯の増加
厚生労働省の「共働き等世帯数の年次推移」を見ると、2021年の共働き世帯数は1,247万世帯・専業主婦世帯数は566世帯です。共働き世帯が年々増加傾向にある一方で、専業主婦世帯は年々減少傾向にあることがわかります。
共働きの場合、日中は子どもを保育園や幼稚園に預けることになるので、子どもの数が減っているとは言え、将来的な需要がなくなるということはないでしょう。
勤務先の多様化
保育士の勤務先は保育園だけではありません。2006年には認定こども園の制度が開始され、令和4年4月1日時点での認定こども園の数は9,220(前年8,585)あります。
働き口の増加で保育士の需要も高くなっており、保育園や認定こども園以外にも福祉施設や民間施設での需要もあるので、勤務先に困る可能性は低いでしょう。
待遇改善が図られている
保育士は給料が低いイメージがあると思いますが、政府が処遇改善に向けて動いており、給与は年々上昇傾向にあります。保育士の給与については以下の表をご覧ください。
年度 |
月収 |
年間賞与 |
2018年 |
239,300円 |
700,600円 |
2019年 |
244,500円 |
700,600円 |
2020年 |
249,800円 |
747,400円 |
2021年 |
256,500円 |
744,000円 |
2022年 |
266,800円 |
712,100円 |
政府は、2022年2月~10月に収入を3%(月額9,000円)引き上げるための補助を実施しました。10月以降も収入を3%程度引き上げる補助を継続しており、今後さらに給与が上がることが期待されています。
2.保育士の仕事内容
ここでは、保育士の仕事内容を解説していきます。保育士の主な仕事は以下の4点です。
- 子どもの保育
- 保護者支援
- 地域交流・子育てサポート
- その他(施設内の管理など)
子どもの保育
乳児〜小学校就学(0歳〜6歳)までの子どもの、身の回りのお世話や保育・教育などが主な業務です。食事・排泄・着替え・睡眠など身のまわりのことから「言語能力」「運動能力」など、心身の成長や社会性・自立心の醸成のサポートまで行います。
また、子どもの学び・成長する環境を整えるための健康状態の管理も欠かせません。
保護者支援
子育てに悩む保護者へのアドバイスも保育士の仕事のひとつです。連絡帳などを通して子どもの成長を伝えたり、配布物や保育計画書の作成を行ったりします。
保護者と日頃からコミュニケーションが取れていると、安心して子どもを預けることができるでしょう。
地域交流・子育てサポート
良い保育・教育を行うにあたり、地域交流は必要不可欠です。地域住民との交流を深めておくことも保育士の役割となります。
地域住民からの理解・サポートがあってこそ保育・教育を行うことができるので、地域交流や子育てサポートは怠らないようにしましょう。
その他
以下のような業務も保育士が行います。
- 施設内の管理(清潔かどうか・危険はないかどうかな調べる)
- 教材を作成・選定
- 入園式・卒園式・運動会・遠足などの行事の企画・運営
- 管理系の事務作業(シフト管理・請求処理・備品管理など)
このように、保育士の業務は多岐にわたります。
保育士の仕事内容とは?1日の流れや給料・やりがいについても解説!
保育士とは、乳児〜小学校就学までの子どもを預かり、保育・教育をする仕事のことです。将来の夢として挙げられることも多い人気の職種ですが、
詳細を見る3.保育士の勤務先
ここでは、保育士として勤務できる職場を紹介していきます。保育園以外にも多くの職場があるので転職先を検討されている方は参考にしてください。
保育園・保育所
保育園・保育所は厚生労働省が管轄しており、0〜6歳までの子どもが対象で、身の回りのお世話(食事・排せつ・着替え)をしながら、子どもの心身を保護するのが主な業務です。
都道府県の認可を受けた認可保育所と、認可を受けていない認可外保育所がありますが、認可保育所にはさらに公立と私立があり、公立の保育所で働く保育士は地方公務員扱いとなります。
認定こども園
幼稚園(文部科学省管轄)と保育園(厚生労働省管轄)を一体化した施設です。幼稚園が担う教育と、保育園が担う保育の両方を提供します。
認定こども園の施設形態は「幼稚園型」「保育園型」「幼保連携型」「地方裁量型」の4つがあり、施設形態ごとに目的や必要となる資格が異なります。
一般的には保育教諭と呼ばれ、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方が必要です。保育士資格を保有し、保育士として「3年かつ4320時間の勤務経験」があれば、幼稚園教諭の免許が取得できる特例措置が令和6年までは設けられています。
幼保連携型以外(幼稚園型・保育所型・地方裁量型)の場合は以下の通りです。
- 満3歳以上→保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を保有していることが望ましい
- 満3歳未満→保育士資格が必要
保育所型認定こども園の場合、教育時間外の保育をする場合には保育士資格が必要となります。
学童保育
放課後児童クラブとも呼ばれます。保護者が日中、家にいない家庭の子ども(小学生)を預かる施設で、放課後や夏休みに宿題・勉強のサポートや遊びの指導を行うのが主な業務です。
資格は必須ではありませんが、保育士や学童保育士(学童保育指導員)を要件とする場合もあります。
院内託児所・企業内託児所
従業員の子どもを保育するために院内・企業内に設けられた施設です。福利厚生の一環として提供されています。企業や施設の営業時間のみ、保育を行うことが多いです。土日休みの企業であれば、保育士の休みも土日になるため休日が取りやすいのが特徴です。
一方で、病院など夜勤を行う職員の子どもを預かるケースもあり、その場合夜勤が発生することもあるので覚えておきましょう。
児童発達支援・放課後等デイサービス
障がいを持つ子どもたちに対して療育を行う施設です。対象は、児童発達支援が0~6歳までの未就学児、放課後等デイサービスが6~18歳までの就学児となっています。
日常生活で必要な能力を訓練することを目的としており、保育士として働く場合は幅広いスキルと経験が求められる傾向にあります。児童福祉や障がい支援に携わりたい方におすすめの職場となっています。
児童養護施設
保護者がいない子どもや、日常生活において虐待された子どもを受け入れ、生活を行うための環境を提供する施設です。身のまわりのお世話や基本的な生活の手助けなどを行い、将来的な自立を支援します。また、児童養護施設では、24時間体制でのフォローが必要となります。
児童養護施設以外にも母子支援施設・乳児院・障がい児入所施設などの福祉施設も、保育士の就職先としてあげられます。
4.保育士として働くメリット
ここでは、保育士として勤務するメリットを紹介していきます。主なメリットは以下の3点です。
- 就職・転職に強い
- 働き方の自由度が高い
- 幅広い年齢の子どもと接し育児の知識を身に付けられ
就職・転職に強い
保育士業界は人手不足のため、就職先に困ることはないでしょう。保育士の有効求人倍率は令和5年1月時点で3.12倍です。全職種で見ると1.44倍となっており、保育士の有効求人倍率が高水準であることが分かります。
働き方の自由度が高い
保育士資格の更新義務や都道府県での制限がありません。転居による勤務先変更にも、柔軟に対応可能です。また、求人数が多いためブランクがある場合でも働きやすいでしょう。
幅広い年齢の子どもと接し育児の知識を身に付けられる
幼稚園の対象が満3歳~未就学児までである一方、保育園は0歳~未就学児までとなっているため、育児に関する知識を幅広く身に付けることが可能です。なお、放課後等デイサービスなどでは、18歳までの子どもを対象としています。
5.保育士のキャリアアップ
保育士の役職はこれまで「役職なし」「主任」「園長」の3種類のみでした。しかし、仕組みが改善されて「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」という新たな役職が誕生しています。
また、キャリアアップの方法として、保育士等キャリアアップ研修の受講が設けられました。以下で詳しく解説していきます。
保育士等キャリアアップ研修とは
「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」に就くためには、この研修の受講が必要となります。
保育士の処遇改善と専門性の向上を図るためには、保育士等キャリアアップ研修の受講は必須と言えるでしょう。令和6年以降には、処遇改善等加算Ⅱの支給要件として、研修修了が必須となることが予定されています。
「保育士等キャリアアップ研修」は8分野からなり、1分野ごとに15時間以上が規定されており、研修修了の評価は、15時間以上の研修の受講を確認するとともに、受講後のレポート提出で行い、試験はありません。研修修了後には修了証が交付され、全国で有効です。
また、保育士等キャリアアップ研修には、各都道府県が実施するものと、特定の実施機関で行うものがあります。実施状況や受講料などの詳細については、各自治体のHPを確認してみてください。オンラインでの受講も可能です。
保育士のキャリア形成|キャリアアップ研修や取得したい民間資格を紹介
保育士の処遇改善と専門性の向上を図るために、「保育士等キャリアアップ研修」の受講が令和5年度より必須となります。
詳細を見る受講のメリット
これまで曖昧なものだった保育士のキャリアパスが明確になります。また、「保育士等キャリアアップ研修」を修了することで処遇改善の支給対象者になれば、月額5,000円以上の手当を受け取ることが可能です。
キャリアとそれに対する加算額が明確化され、モチベーションにつながるでしょう。その他、技術や知識の指標を得ることもできます。
6.まとめ
共働き世帯が多い現代において、保育士の需要は高いです。AIに代替されることのない保育士は、将来性もあると言えるでしょう。
これまでは、給与の低さが問題とされてきましたが国や自治体が処遇改善に向けて動いており、改善しつつあります。また、キャリアパスも明確になりつつあるので、キャリアプランも描きやすくなりました。
今後も保育士の需要が高まっていくことが予想されます。将来性の高さにも注目が集まっていくことでしょう。この機会に資格取得の準備や転職活動の準備を始めてみてはいかがでしょうか。