病院で働く理学療法士|仕事内容や平均年収、メリット、転職先を解説!
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理学療法士の就職先で1番多いのは病院です。「日本理学療法士協会」の会員分布によると実に50%以上が病院で勤務しています。新卒で病院勤務を選んだ方も多いのではないでしょうか?
今回は病院で働く理学療法士の仕事内容や平均年収、メリット・デメリット、おすすめの転職先まで徹底解説します!「自身の職場は一般的に忙しいのか?」「年収は平均以上か?」「仕事がきつくて転職したいが、おすすめの転職先はどこか?」など、様々な悩みに対して、この記事が解決の一助となれば幸いです。
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目次
1.病院で働く理学療法士の仕事内容は?
理学療法士とは、ケガや病気などで身体に障害をもつ人に対して、「立つ」「歩く」「座る」「寝る」などの基本的動作能力の回復や維持を図る専門職です。理学療法士の病院での仕事内容は大きく分けて以下5つです。
- リハビリプログラムの作成
- 身体機能回復の訓練
- 住宅環境の整備
- 他の専門職員との連携
- 補装具の適合判定
リハビリプログラムの作成
理学療法士は、リハビリを実施する前に、患者様の状態を確認して今後の治療計画をたてます。初めに、基礎疾患や既往歴、生活状況などの基本情報や身長体重、心電図、筋電図、運動機能、神経機能など身体情報を検査します。
次に検査結果から必要なリハビリプログラムを設計し、治療の方針と目標を決定します。その際には、医師や他の専門職との協議をおこないます。
その後、プログラムに沿って運動療法や物理療法を行い、評価を繰り返しながら患者様の回復を目指していきます。
身体機能回復の訓練
リハビリは大きく分けて2種類の訓練を組み合わせながらおこないます。
- 運動療法
- 物理療法
運動療法は、身体の一部や全体を使って機能回復を図るリハビリテーションです。
例えば、機械や重りを使っての筋力増強訓練、自転車エルゴメーターを用いた持久力増強訓練、ストレッチなどの関節可動域訓練が挙げられます。その他、協調性訓練や治療体操も運動療法の1つです。
また、手術や重篤な症状で寝たきりの期間が長くなった方が、日常生活動作(ADL)を取り戻せるようにも訓練を行います。
物理療法は、温熱、光線、電気やマッサージなど、外部から刺激を与えて機能回復を図るリハビリテーションです。
運動療法が行えない場合の痛みやむくみの改善、運動療法を効果的にするための準備などの目的があります。
住宅環境の整備
患者様が自宅で安心して日常生活を送れるよう、アドバイスすることも理学療法士の役割の1つです。退院後の生活で不便がないよう患者様の自宅に訪問し、自宅内や周辺環境を調査することもあります。
必要に応じて、手すりの設置や段差の解消など住宅改修に関するサポートもおこないます。
他の専門職員との連携
接する機会が多い職種を挙げると、医師や看護師、作業療法士、言語聴覚士、義肢装具士、心理職、ソーシャルワーカー、ケアマネジャーなどです。リハビリプログラムを作成、実行していく上では決定権を持つ医師との連携が重要になります。
また、チーム医療では看護師などに患者様の移乗方法や食事の姿勢についてのアドバイスをしたり、一緒に車いすを選定したりするのも理学療法士の役割です。
補装具の適合判定
患者様のなかには義肢や装具、杖、車椅子などの補装具が必要な方がいます。他の専門職員と連携して補装具の適合判定や調整、着脱、使い方のレクチャーをおこないます。
義肢や装具などの採寸・採型・製作は義肢装具士が行い、その過程で理学療法士が連携することもあります。
スカウトサービス登録はこちら2.病院で働く理学療法士の1日のスケジュールは?
ここでは病院で働く理学療法士の一般的な1日のスケジュールを解説します。
病院によってはこれよりも忙しかったりするケースもあるので、自身のスケジュールと比較する参考になれば幸いです。
理学療法士のタイムスケジュール例
08:30 | 【出勤・ミーティング】 |
09:00 | 【リハビリ開始】 |
12:00 | 【昼食】 |
13:00 | 【リハビリ開始】 |
16:30 | 【診療記録記入・ミーティング】 |
17:30 | 【退勤(場合によっては残業)】 |
朝礼やミーティングでは、1日の流れを確認したり、他職種と患者様の情報共有をおこないます。
職場によっては朝にまとまった時間をつくり、勉強会やリハビリプログラム作成にあてていることもあります。
患者様の看護記録をチェックしてから、リハビリを開始します。
午前中は平均8~9単位(1単位:20分)のリハビリをおこないます。
診療報酬上のルールとして「1単位を20分とする」「実施単位数は従事者1人につき1日18単位を標準とし、週108単位までとする」「ただし、1日24単位を上限とする」があります。上限いっぱい(週108単位)リハビリをおこなう病院や、80~90単位ほどにおさまっている病院など、職場によって様々です。
病院によって異なりますが、だいたい3時間半~4時間ほど、リハビリをおこないます。午後は平均10単位のリハビリをおこない、午前と合わせ1日18単位が目安となります。
リハビリプログラムをもとに患者様のご家族に治療方針や現状、退院後の生活についての説明もおこないます。
その日のリハビリが一通り終わったら、カルテの記入などをおこない、今日1日の情報を整理します。その後、他職種を含めたミーティングをおこない、その日の情報を共有したり、今後の方針を検討します。
病院にもよりますが、残業が発生するケースも少なくありません。カルテの記入やリハビリプログラムの作成などの書類作業は、日中に行うこととされていますが、実際にはリハビリ等で忙しく、時間が取れないケースが多いようです。
なかには、残業代が支払われず、サービス残業が当たり前となっている職場も存在します。サービス残業は違法ですので、そういった場合は職場を変えるのもひとつの手段です。
スカウトサービス登録はこちら3.病院で働く理学療法士の平均年収は?メリット・デメリットも解説!
ここでは病院で働く理学療法士の平均年収や病院で働くメリット・デメリットを解説します。給与面やメリット・デメリットをふまえ、リハビリプログラムを計画するかのごとく、今後のキャリアプランを計画していきましょう。
病院で働く理学療法士の平均年収
厚生労働省によると、病院で働く理学療法士の平均年収は約416万円となっています。(月給29万円×12ヶ月+ボーナス68万円)
一般社団法人日本病院会によると、病院で働く平均職員数は約550人でしたので、厚生労働省のデータも企業規模が100人〜999人の事業所の年収に絞って算出しました。
1,000人未満の施設では年収に大きな差はありませんが、1,000人以上を雇用している大型施設になると年収に50万円以上の差が出ています。
細かい内訳をみると、月給で約3万円、年間賞与で約20万円高くなっています。
※出典:令和4年賃金構造基本統計調査
※出典:病院経営定期調査
年代別の平均給与や給与アップの方法は以下のリンクから確認してみましょう。
理学療法士の給料は上がる?平均年収や年代・性別ごとの違いなどを解説
今回の記事では、理学療法士の給料についてさまざまな角度から解説しますので、参考にしてみてください。
詳細を見る病院で働くメリット
理学療法士が病院で働くメリットは以下3点です。
- スキルアップしやすい
- 福利厚生が充実している
- 転職に有利になる
病院ではさまざまな症例の患者様と関わることができます。そのため、幅広い分野の経験や知識を働きながら身に着けることができます。先輩が多く在籍していたり、定期的に勉強会や研修が開催されるなど教育面も充実しています。
また、他の専門職員と連携する機会が多いので、他職種の知見を得ることができると同時に、情報共有能力やコミュニケーション力が身につきます。
病院はクリニックや介護施設に比べ、規模が大きいので、福利厚生が充実しています。また、多くの理学療法士が在籍しているので、休日がしっかりとれたり、シフトの融通がききやすい傾向にあります。
病院は学べる環境が整っているので、意欲がある人はどんどんスキルアップしていけます。いくら独学で知識をつけたとしても、経験に勝るものはありません。
また、幅広い分野に触れることで、自身が極めたい分野が見つかり、今後のキャリアプランが決まることもあります。病院で働くデメリット
理学療法士が病院で働くデメリットは以下2点です。
- 病状が急変するリスクがある
- リハビリ以外の業務が多い
病院で勤務する理学療法士は、入院患者様のリハビリがメイン業務です。そのため、医療的管理が必要な場合が多く、管理ができていないと急変のリスクが高まります。
ときには命に関わる場合もあるので、プレッシャーを感じることがあります。
病院勤務では、リハビリだけでなく、リハビリプログラムや退院時サマリー、カンファレンス記録といった書類業務が多くなる傾向にあります。
また、勉強会や研修が積極的に開催されており、その予習や課題に追われることもあります。日中はリハビリ業務で忙しいので、残業で書類業務をしたり、勉強会をおこなうケースも少なくありません。
その他、理学療法士が悩んでいることは以下のリンクから確認してみましょう。
理学療法士が辞めたいと思う理由7選|続けるメリットはある?
この記事では理学療法士が仕事を辞めたいと思う原因や辞めたくなったときに考えられる選択肢、おすすめの転職先などについて詳しく説明します。
詳細を見る4.病院で働く理学療法士のキャリアプラン
理学療法士の数は年々増加傾向にあります。高齢化が進み需要も増加しているものの、理学療法士の供給数の方が上回っているのが現状です。人が集まりやすいため多職種と比較して給料が上がりにくい傾向があります。明確なキャリアプランがないと理学療法士として長期的に働くことは難しいかもしれません。
理学療法士のキャリアプランは大きく以下の3つに分けられます。
- スペシャリストになる
- ジェネラリストになる
- スキルを活かして転職・開業する
スペシャリストを目指す場合
スペシャリストとは、特定の分野に特化した知識やスキルを有する人のことを言います。脳卒中や脊髄損傷など特定の疾患や障害に対して専門的な理学療法を行う理学療法士や、スポーツ理学療法や産業理学療法など特定の分野に特化した理学療法を行う理学療法士がスペシャリストと呼ばれます。
知識をアップデートしていくことが苦にならない方や、臨床の現場で理学療法士として働き続けたいという方はスペシャリストに向いているタイプと言えるでしょう。
専門的なスキルや技術を取得する方法としては、大学院への進学や関心のある分野に関する資格の取得が挙げられます。資格は認定理学療法士や専門理学療法士のように理学療法士としての専門性を高める資格から、心臓リハビリテーション指導士や認知症ケア専門士のように特定の症例ごとに専門性を高める資格があります。
資格の詳細や受験資格などは下記の記事をご参考ください。
理学療法士としてスキルアップするには?おすすめの民間資格を紹介!
「理学療法士の資格を取得したけど、もっとキャリアアップしたい!」「ゆくゆくは、より専門的な分野で活躍できるところへ転職してみたい!」
詳細を見るジェネラリストを目指す場合
ジェネラリストとは、幅広い分野の知識やスキルを有する人のことを言います。特定の分野には特化していなくても、さまざまな分野に対応できる理学療法士がジェネラリストと言えるでしょう。マネジメントに関心があり、リハビリ科の主任や科長など管理職を目指したい方に向いています。
リーダーとしてスタッフをまとめるには、理学療法士としての知識や経験だけでなく、コミュニケーション能力や人間力が必要とされます。特に多職種と連携して業務を行うことが多い病院の場合、コミュニケーション能力は必要不可欠となるでしょう。
転職・開業する場合
理学療法士としての経験を活かして、一般企業やスポーツジムに転職するという方もいます。理学療法士としての経験を活かせる転職先としてハウスメーカーがあります。住環境整備のアドバイスやバリアフリー住宅の営業などを理学療法士の視点からできるので、企業が理学療法士を求めているケースは少なくありません。医療と建築のスキルを身に着けることができるので、将来的にも幅広い分野で活躍することができるでしょう。
理学療法士は、医師の指示の下でリハビリテーションを行うことが法律で定められています。そのため、理学療法士として開業することはできません。しかし、資格を活かして、整体院や予防理学療法などの事業を起業することができます。起業にはさまざまなリスクも伴うため、しっかりと準備をしてから行動することが大切です。
スカウトサービス登録はこちら5.転職の際には?病院以外の選択肢ってあるの?
ここまでは病院で働く理学療法士の仕事内容や1日のスケジュール、平均年収、メリット・デメリットを解説しました。では、実際に転職を考えた際にはどのような転職先があるのか、具体的に解説していきます。
転職先の例として下記のものがあります。
- 別の病院
- 特別養護老人ホーム
- 有料老人ホーム
- 介護老人保健施設
- デイサービス、デイケア
- 整形外科クリニック
- 訪問リハビリ
別の病院
一括りに病院といっても、急性期、回復期、慢性期など種類はさまざまです。病院の種類によって患者様の状態も異なるので、働き方も変わってきます。
短期間で最適なリハビリを提供したい場合は急性期、患者様の回復していく様子を実感したい場合は回復期、今よりも快適な生活が送れるようサポートしたい場合は慢性期がおすすめです。
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特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは、要介護の高齢者の生活をサポートする施設です。理学療法士は身体機能の維持・向上をはかるべく、利用者にあった個別リハビリを提供します。
落ち着いた雰囲気のなかで、一人ひとりの生活に寄り添いたい、終末期までしっかり関わりたいという理学療法士に向いています。
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介護老人保健施設
介護老人保健施設は、在宅復帰を目指してリハビリを行う施設です。介護老人保健施設には種類があり、「超強化型」「強化型」の施設では、より積極的なリハビリが行われています。
急性期の病院を退院した方の回復に関わりたかったり、在宅分野に興味がある理学療法士におすすめです。
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デイサービス・デイケア
デイサービスやデイケアは日帰りで介護サービスを提供する施設です。要介護度が低い利用者の方が多く、運動リハビリのような少々負荷の高いリハビリを提供する事業所もあります。
利用者の施設は運営時間がきっちりしているため残業が少ないのが特徴です。
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整形外科クリニック
整形外科クリニックは、整形外科分野のスペシャリストを目指す理学療法士におすすめです。スポーツにおける傷病全体を対象にする施設や、腰や肩など特定部位に特化している施設などがあります。
興味のある分野が決まっていて、将来的に関連した分野で独立を目指す人がスキルを培うために働くケースもある職場です。
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訪問リハビリ
訪問リハビリの職場は、在宅分野を専門にしたい理学療法士に向いています。慢性期・維持期の利用者に対してのリハビリが中心です。日常動作の維持・向上に介入するリハビリであるため、利用者の生活に寄り添ったリハビリが提供できます。基本的に利用者の自宅へ単独で訪れるため、しっかりとした技術と経験が必要です。
土日は休みで残業はほぼなく、給与や待遇が良い施設が多い傾向にあります。
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6.まとめ
病院での勤務は理学療法士にとってさまざまな利点があります。一方で、「忙しい」「年収が低い」「極めたい分野が見つかった」など、さまざまな理由で転職を考えている人もいるでしょう。
安易に転職を選ぶのではなく、自分の軸を明確にしてから、今後の行動を決めていくことが重要です。
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