透析室看護師とは?仕事内容やメリット、向いている人まで徹底解説!
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透析室看護師は「夜勤がなく、病棟より楽そう」「専門性が高く、覚えることも多そう」など、印象はさまざまかと思います。もしくは、病棟や外来と違ってイメージがつかない方もいるのではないでしょうか?
今回の記事では、透析室看護師について解説していきます。仕事内容から給与平均、透析室看護師のメリットや向いている人まで幅広く解説していくので参考にしてください。
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目次
1.そもそも透析ってなに?
そもそも透析とは何なのか分からないという方もいると思います。
ここでは、透析について解説していきますので、この機会に覚えておきましょう。
透析とは
透析とは、正常に機能しなくなった腎臓のかわりに体内に溜まった老廃物や毒素、余分な水分を人工的にろ過する治療(腎代替療法)です。
透析には大きく分けて2種類あり、血液透析と腹膜透析があります。
腎代替療法には腎移植もありますが、日本の場合はルールが厳しいため、腎移植はあまり認知されていません。ほとんどの方は、血液透析を選択しています。
血液透析についてと処置方法
血液透析は、ダイアライザーという体外にある機械(人工腎臓)で血液をろ過します。
1回の治療時間は4~5時間程度です。基本的には、週3回(月・水・金もしくは火・木・土)通院して行い、治療中は血管(シャント)から血液を毎分200ml取り出し、ダイアライザーに通す必要があります。
そのため、透析治療前にシャント手術(腕の静脈と動脈をつなぎ合わせて部分的に一本の太い血管にすること)が必要です。
腹膜透析についてと処置方法
腹膜透析は自分の腹膜を利用してろ過します。
お腹の中に透析液を一定時間入れておくことで、腹膜の細い血管を介して血液中の老廃物や不要な水分が透析液に移行する治療法です。その透析液を体外に排出することで血液を浄化します。
日中に4回程度の透析液交換を手動で行う必要があり、24時間持続的に透析を行うCAPDと、主に寝ている時間を利用して透析液交換を自動で行うAPDがあるので覚えておきましょう。
透析には血液透析と腹膜透析がありますが、透析患者の9割以上は血液透析です。自分でやらなければならない点や7~8年で腹膜の機能低下により血液透析に移行しなければならないため、腹膜透析は普及率が低くなっています。
スカウトサービス登録はこちら2.透析室看護師の役割や仕事内容は?
ここでは、透析室看護師として働くイメージを掴んでもらうため、役割や仕事内容を紹介します。
病棟・外来勤務と比較できる箇所は比較して解説していきます。
透析室看護師の役割
透析室看護師の役割は主に以下の2点です。
- 患者の看護
- 透析患者の健康管理や生活指導
【患者の看護】
透析中は患者の状態が変動しやすいため(透析は簡単に言うと、血液を一旦体の外に出して機械で洗って、元の体に戻すという治療)血圧低下により嘔吐や意識障害が起こることがあります。
クリニックは比較的状態の安定している患者が多いですが、病院内の透析室・透析センターではリスクの高い患者を担当することもあります。
【透析患者の健康管理や生活指導】
体重管理・食事制限・活動制限・内シャントの管理(患者への教育も含む)
透析患者は、心不全や感染症・高血圧などの合併症が起こりやすいため、自己管理や生活習慣のコントロールが重要です。
透析室看護師の具体的な仕事内容
透析手順は以下の通りです。
1日のスケジュール例(日勤)
以下は、日勤の場合の透析室看護師の基本的な1日のスケジュールです。
08:30 | 【出勤・朝礼・情報収集】 受け持ちの患者さんの情報収集を行います |
08:35 | 【透析準備】 プライミング |
08:45 | 【患者さん入室】 透析前バイタルチェック |
09:00 | 【透析開始】 |
10:30 | 【バイタルチェック】 |
11:00 | 【ミーティング】 患者さんの状態について共有 |
12:30 | 【透析後バイタルチェック・記録】 |
13:00 | 【昼食】 |
14:00 | 【2クール目の準備・透析実施】 午前中に1クール、午後に1クール |
17:00 | 【環境整備・翌日の準備】 |
17:30 | 【業務終了】 |
基本的に夜勤もオンコールもないクリニック・病院が一般的です。
ただし、3クール制など夜間透析がある場合は、遅めのシフトにつくこともあります。
病棟などと比べて急変も少ないため、残業はほとんどありません。
スカウトサービス登録はこちら3.透析室看護師のメリット・デメリットは?
ここでは、透析室看護師として働くことのメリット・デメリットを項目ごとに解説していきます。
透析室勤務の良い面・悪い面を把握しておくことで、転職後のギャップを防ぐことが可能です。
透析室看護師として働くメリット
メリットについては以下の4点があげられます
- 身体的な負担が少ない
- 専門的な知識を深く得ることができる
- 自分のライフスタイルに合わせた働き方が可能
- 患者との深いかかわりを持って看護できる
患者1人あたりに要する時間が決まっていたり、救急搬送がなかったりと突発的な残業がないのが特徴です。
クリニックの場合透析に来る患者さんは基本的に自立しているため、病棟のような力仕事(移乗や体位交換、入浴介助など)もほとんどありません。基本的にワンフロアで行われるので、多くの部屋を行ったり来たりすることが少なく、子育て中の方や産休育休からの復職先としても働きやすいです。
透析室看護師の業務は、一度技術を習得してしまえば経験者として別の病院やクリニックに転職しやすい傾向にあります。
キャリアアップする場合は、「慢性腎臓病療養指導看護師」「透析看護認定看護師」「腎不全看護認定看護師」「透析技術認定士」などの資格もあり、知識や技術の幅を広げることも可能です。
日勤だけでは給与が足りないという方は、夜間透析やオーバーナイト透析がある職場を選ぶといいでしょう。夕方は、子供の迎えや夕食の準備がしたいという方は、早朝透析がある職場を選ぶといいです。
このように、透析室看護師は自身のライフスタイルに合わせた働き方ができます。
ただし、夜間透析やオーバーナイト透析がある職場は人手不足などを理由に、日勤看護師が残業で夜間透析も担当したり、夜勤明けに日中透析の機械準備を担当したりといったケースもあるので、あらかじめ確認しておくようにしましょう。
腎臓病は一生付き合う病気なので、3~5時間の長い透析時間の中で積極的にコミュニケーションをとっていくことで、患者の人生(療養生活)に影響を与えられるような深いかかわりができます。
透析室看護師として働くデメリット
デメリットについては以下の3点があげられます
- ルーティンワークで刺激が少ない
- 経験が限定されてしまう
- オープンフロアによるストレス
透析室看護師の業務内容は、ルーティンワークがほとんどなので1度仕事を覚えてしまうと単純作業となってしまいます。
人によっては刺激が無くなり、物足りないと感じる方もいるでしょう。
そのため、単純作業が苦手な方にはあまりおすすめできません。
透析室看護師の業務は、他の看護業務と異なり特殊なため、汎用的なスキルが身につきにくいです。
そのため、転職を検討する際に、転職先が透析に限定されてしまう可能性があります。
汎用的なスキルを身に付けたい場合、最初に就職する場所は透析以外の業務ができるところのほうがいいでしょう。
透析室はオープンフロアなので、常に患者の状態を確認できます。
しかし、時間内に仕事をこなさなければならない透析室看護師にとっては、サポートが必要な患者がいても対応できない場合があり、葛藤が生まれてしまうケースもあります。
常に周りから見える状態にあるため、他の職員や患者からのプレッシャーを感じやすいというケースもあります。
透析室に勤める看護師の約半数が、オープンフロアにストレスを感じているとの研究結果もあるので、勤務する際はこういったストレスに耐えられるかどうかも検討する必要があるでしょう。
※研究結果:J-STAGE(国立研究開発法人科学技術振興機構)
スカウトサービス登録はこちら4.気になる給与事情は?他の看護師との比較
ここでは、透析室看護師の給与に関して解説していきます。現状の給与と比較し、転職するか否かの参考にしてください。
透析室看護師の平均年収
透析室看護師の平均年収は約450万円です。
病棟看護師は約500万円、外来看護師は約400万円となっています。厚生労働省の調査では、看護師の平均年収は508.1万円となっています。
深夜勤手当や残業代が少ないので病棟看護師より給与は下がりますが、準夜勤手当や透析室ならではの特別手当により外来看護師よりは給与が高いです。
※出典:令和4年賃金構造基本統計調査
スカウトサービス登録はこちら5.透析室看護師に向いている人は?
ここでは、透析室看護師はどんなタイプ、どんな働き方をしたい人に向いているのかを解説していきます。
向いている方は以下4つのタイプ
- ルーティンワークを得意としている方
- コミュニケーション力に自信のある方
- プライベートと給与の両方を重視したい方
- 専門的な知識や技術を身に着けたい方
ルーティンワークを得意としている方
慣れてくればルーティンワークになる業務が多く、患者さんも通院の方がほとんどなので顔見知りが多くなります。
そのため、ルーティンワークの中でも業務を効率化したり、なじみの患者さんの小さな変化に気づいたりなど、コミュニケーション力がある方に向いているでしょう。
日々の業務をこなしつつ、患者と深く関わりたい方におすすめです。
コミュニケーション力に自信のある方
患者は一度透析を始めると、腎臓移植をしない限り最後まで透析治療と付き合うことになります。自分より患者の方が透析経験が長いこともしばしばです。
そんな患者さんに対して親身に寄り添ったり、自分の意見が言えたりといったコミュニケーション力が必要になります。
また、オープンフロアのため他の職員や患者との関わりが目に入りやすくそういった状況下でも人間関係を円滑に進められる力が重要です。
プライベートと給与の両方を重視したい方
深夜勤務や残業などで長時間働くのは厳しいけれど、給与はそこまで下げたくないという方は透析室看護師がおすすめです。
基本的に日勤であったり、手当も充実していることが多いため、労働条件も給与も両方妥協したくないという方には適しているといえます。
勤務時間や給与は地域や職場によって異なるので、事前に確認しておくようにしましょう。
専門的な知識や技術を身に着けたい方
透析室看護師の業務は最初は覚えることが多く、大変に感じることもあるでしょう。
しかし、一度覚えてしまえばあとは繰り返しのルーティン業務になります。
透析患者は年々増加傾向にあり、スキルを身につけておけば今後重宝される可能性が高いです。
スカウトサービス登録はこちら6.透析室看護師の主な職場とその特徴
ここでは、透析室看護師の主な勤務先とその特徴を解説していきます。
病院
病院の場合は、病院で透析導入を行った後に、近くの透析クリニックに通院して透析治療を行うという流れになります。
大学病院では、心臓病などリスクの高い疾患をもつ患者が対象となることが多いです。
療養型病院では、高齢者中心の病院も多く合併症を持っている患者や長期にわたる療養生活を必要とする患者が多く入院しています。
クリニック
クリニックとは、入院施設のない医療施設または19床未満の医療施設です。
通院での治療が多く、基本的に血液透析のみを行っています。
そのため、腹膜透析に関する知識やスキルは身に付きづらいかもしれません。
7.まとめ
透析室看護師は、自身のライフスタイルに合わせた働き方ができます。そのため、仕事とプライベートを両立させたい看護師におすすめです。
一度知識と技術を身に着けてしまえば、どの透析室でも戦力になりますが、長く勤めるとキャリアが透析に限定されることもあるので、そのあたりのことは頭に入れておきましょう。
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よくある質問
病棟看護師は約500万円、外来看護師は約400万円となっています。厚生労働省の調査では、看護師の平均年収は508.1万円となっています。
深夜勤手当や残業代が少ないので病棟看護師より給与は下がりますが、準夜勤手当や透析室ならではの特別手当により外来看護師よりは給与が高いです。
ルーティンワークを得意としている方
コミュニケーション力に自信のある方
プライベートと給与の両方を重視したい方
専門的な知識や技術を身に着けたい方