助産師を目指したい方必見!仕事内容や資格の取り方・難易度まで徹底解説
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助産師は、生命の誕生の瞬間に立ち会うことのできる素晴らしい職業です。
そんな助産師に憧れを持つ方も多いのではないでしょうか。また、ご自身の出産や仕事を機に、助産師という職業に関心を持ったという看護師の方もいらっしゃるでしょう。
今回は、助産師について仕事内容や資格の取り方、やりがいや向いているタイプなどを詳しく紹介します。助産師になりたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
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1.助産師とは
助産師とは、妊娠から出産、育児まで一貫して母子の健康をサポートする職業のことです。 出産の介助に加えて、出産前・出産後の母子の保健指導、乳児のケア、乳房ケアなどを行います。
助産師は主に病院や診療所で活躍し、正常分娩のときにのみ、医師の指示を仰がずに分娩介助を行うことができます。
保健師助産師看護師法では、助産師を以下のように定義しています。
定義では難しい用語を多く使っているため、用語を解説いたします。
- 助産:出産を助け、産婦・新生児の世話をすること
- じょく婦(褥婦):分娩終了後、母体が妊娠前の状態に回復するまでの期間(産後6~8週間)における女性
- 新生児:生後4週間までの赤ちゃん
- 保健指導:健康に過ごすための指導
法律で「女子」と記載がある通り、日本でいう助産師は女性のみが就ける職業となります。海外では男性の助産師が活躍している国もあるようです。
助産師の主な職場
助産師が活躍する場所は病院が多いイメージですが、他にはどういった就業場所があるのでしょうか。
厚生労働省が公開した「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、助産師の主な就業場所は下記の通りです。
- 病院:23,321人(61.5%)
- 診療所(クリニック):8,562人(22.6%)
病院が61.5%と最多、次いで診療所が22.6%となります。ふたつを合わせると84.1%になり、助産師の主な就業場所は病院・診療所ということがわかります。
病院には医師や看護師など多くのスタッフが勤務しているため、緊急時にも適切な処置を行うことができるのが病院の特徴です。また無痛分娩など、病院でしか行えない分娩もあります。
診療所の場合は、難しい症例の出産を扱うケースが少なく、正常分娩がメインとなり、異常が見られた場合は、近隣の大学病院や総合病院などに紹介することになります。
病院と比べてスタッフの数が少なく、妊婦さんとの距離が近いのが診療所の大きな特徴といえるでしょう。
アットホームな雰囲気の診療所・ホテルのような高級感のある診療所など、病院との差別化を図る診療所も増えてきています。
病院・診療所以外にも、助産所や保健所、市区町村の健康課・保健センターなどが助産師の就業場所として挙げられます。助産師は助産院(助産所)の開業が認められており、独立して活躍する方もいます。
助産師ができないこと
助産師は正常分娩のときにのみ、医師の指示を仰がずに分娩介助を行うことができますが、医療行為や正常分娩に該当しない出産の介助、母子に異常がある場合の処置や介助は行うことができません。
助産師ができないことをまとめました。
- 帝王切開
- 会陰切開
- 陣痛促進剤の使用
- 緊急帝王切開
- 吸引分娩
- 多胎妊娠(双子や三つ子など)
- 逆子妊娠
- 子宮筋腫や子宮癌など婦人科疾患がある妊娠
- 糖尿病などの合併症のある妊婦さん
助産師と間違われやすい職種に、「看護師」と「産婦人科医」があります。
看護師との違いは、「助産行為」ができるかどうか、産婦人科医との違いは、「異常がある妊産婦に対する医療処置や助産行為」ができるかどうかになります。助産師は女性しかなれないですが、看護師・産婦人科医は男性でもなることができます。
スカウトサービス登録はこちら2.助産師の仕事内容
助産師の具体的な仕事内容を「妊娠期」「分娩期」「産褥期」の3つに分けて解説していきます。
出産前の妊娠期
妊娠期の助産師の主な仕事内容は、下記の通りです。
- 生活・健康指導
- 産前教室 など
妊娠中は体調の変化が起こりやすくなります。助産師が食事の選び方や運動指導など、妊婦さんの生活指導や健康管理のサポートを行います。
妊娠中毒症や妊娠糖尿病は放置すると妊婦さんと赤ちゃんの命が危険にさらされる可能性があります。妊婦健診で妊婦さんの健康状態を把握し異常を発見したら医師と連携を図るのは助産師の重要な役割となります。
妊婦さんが安心して出産を迎えられるように、精神的なサポートを行うのも助産師の役目です。初産婦の場合、妊娠や出産に対する不安や疑問も多いので、妊娠中の過ごし方や出産に関する事前説明はより丁寧に行う必要があるでしょう。
産前教育として、「母親学級」「両親学級」の開催も助産師が行います。
母親学級では、
- 食事についての栄養指導
- お産の流れや心構え
- 母乳ケア
- 沐浴
- 育児指導
についての説明を行います。
両親学級は、主な対象が父親となっており、妊娠・出産・育児に関する具体的な知識や母親の身体や心の変化についてや、出産後、スムーズに育児参加を促すことができるように育児技術についての説明を行います。
助産師には、母親だけでなく、一緒に子育てを行う家族に対して出産の基礎知識や親になる心構えを伝えるという役割があるといえるでしょう。
出産時の分娩期
出産時の助産師の役割は、正常出産の介助を行うことです。妊婦さんに分娩の兆候が見られたら、すぐに出産の準備にとりかかります。出産に入った妊婦さんに対しては、心身の支えになるよう声掛けや体をさするなどの分娩介助を行います。
無事に赤ちゃんが生まれた際には、正常に呼吸を確立できるよう吸引機で新生児の粘液を取り除くのも助産師の仕事です。
また、分娩異常の早期発見も助産師の重要な役割といえるでしょう。胎児の心拍に異常が見られた場合や分娩進行がうまくいかない場合は、速やかに医師に報告しなければなりません。
出産後の産褥(さんじょく)期
産褥期とは、出産後の母体が回復するまでの6〜8週間のことです。この期間に助産師は、母子の健康状態の観察と育児指導(授乳・おむつ交換・沐浴など)を行います。
中でも特に重要なのは「母乳ケア」で、赤ちゃんへの授乳方法や、母乳がうまく出せない時のマッサージ方法を教えます。
また、退院後の1ヶ月健診で母子に異常はないか、悩みや不安がないかの相談に対応するのも助産師の重要な仕事といえるでしょう。
母子との長期的な関わりが仕事のやりがい
日本看護協会「2023年病院看護実態調査」によると、母子を一体的に看ている病院は72.1%、母と子それぞれに別の担当者を置いている病院は26.2%という結果でした。
件数 | 割合 | |
母子を一体的に看ている | 474 | 72.1% |
母と子それぞれに別の担当者を置いている | 172 | 26.2% |
無回答・不明 | 11 | 1.7% |
計 | 657 | 100.0% |
多くの病院で、助産師は妊娠期・分娩期・産褥期の長い期間を通して母子ともに関わります。出産までの不安に寄り添い、出産の喜びを共有し、赤ちゃんの成長を一緒に見守ることにやりがいを感じる人が多いです。
スカウトサービス登録はこちら3.資格取得ルートとかかる費用
助産師になるためには、国家資格である「助産師」と「看護師」の両方の資格試験に合格する必要があります。
助産師になるための主なルートは下記の3つです。
- 4年制大学に通い看護師と助産師の国家試験をダブル受験するルート
- 大学・短大・専門学校に通い別々に国家試験を受けるルート
- 看護師として働きながら助産師を目指すルート
それぞれ詳しく見ていきましょう。
看護師・准看護師の資格はどうやって取得するの?
コラムを読まれているみなさんの中で「看護師になって多くの人の役に立ちたい」「これからますますニーズが高まりそう」「親が看護師だから」など、
詳細を見るダブル受験するルート
1つ目は、看護師課程・助産師課程を含む4年制大学に通い、ダブル受験し合格するルートです。この方法が助産師になるための最短ルートとなりますが、助産師と看護師の両方の国家試験に合格しなければならないため難易度は高いといえるでしょう。
助産師国家試験の合格実績に有効期限はありませんので、万が一看護師国家試験に不合格だった場合は、翌年看護師国家試験に合格すれば問題ありません。
大学によっては助産師課程の定員に上限を設けていることもあり、狭き門といえるでしょう。
別々に受験するルート
2つ目は、看護大学(4年制)、短大・専門学校(3年制)に通い、先に看護師国家試験に合格し、卒業後、助産師養成所(1年)、短大・専門学校(1年)、大学院(2年)に通い、助産師国家試験に合格するルートです。
この方法では、それぞれのカリキュラムにじっくり取り組めるというメリットがある一方、在学期間が長くなり、経済的負担が大きいといった側面もあります。
働きながら目指すルート
3つ目は、看護師として働きながら助産師を目指すルートです。看護師として勤務する中で、助産師という職業を間近で目にし、魅力を感じて目指すケースが多いです。
先に看護師国家試験に合格する場合とほぼ同じですが、働きながら短大・専門学校(1年)、大学院(2年)に通い、助産師国家試験に合格しなければなりません。
そのため、入試対策・通学・試験対策の負担も大きいです。
働きながらでも通いやすいカリキュラムを組む学校や、資格取得のサポートを行っている職場などがあるため、活用するとよいでしょう。
助産師になるためにかかる費用
助産師になるためには、どのくらいの費用がかかるのかを見ていきましょう。
助産師を目指すにあたって学校に通う必要がありますが、学費には次のような費用がかかります。
- 入学金(初年度)
- 授業料
- 教科書代
- 実習代
学費に関しては、進学する学校によって差も大きいです。
学校別 |
初年度の学費 |
国公立大学 |
70~120万円程度 |
私立大学 |
120~250万円程度 |
短期大学 |
120~170万円程度 |
専門学校 |
30~150万円程度 |
上記の金額に教科書代や実習代が上乗せされます。さらに、短大・専門には助産師養成課程がないため、卒業後に助産師養成所に通う必要があり、その場合年間で100〜200万円程度の費用が上乗せされるでしょう。
経済的に進学が難しい方には、「奨学金制度」の利用がおすすめです。一般的な奨学金以外にも、日本助産師会・病院・都道府県が設けている奨学金も利用できます。条件や金利、返済義務の有無は奨学金の種類によって異なるため、奨学金の利用を検討している方は事前に調べておくとよいでしょう。
スカウトサービス登録はこちら4.試験の概要と合格率
ここでは、助産師国家試験の概要と試験の合格率などを解説していきます。
助産師国家試験概要
下記は助産師国家試験の概要となります。一つずつ見ていきましょう。
- 試験実施日
- 試験場所
- 試験科目
- 受験資格
- 必要書類
- 受験手数料
毎年2月の上旬から中旬に試験が行われます。
令和5年度の試験は、2月9日(木曜日)の予定です。
願書受付期間は、11月上旬〜12月上旬なので忘れずに注意しましょう。
北海道、青森県、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県(全国12都道府県)
- 基礎助産学
- 助産診断・技術学
- 地域母子保健
- 助産管理
文部科学大臣が指定した学校あるいは、都道府県知事が指定した助産師養成所を卒業した者(卒業見込みの者も含む)など
- 受験願書
- 証明写真
- 返信用封筒
- 看護師国家試験の合格書の写し
- 看護師免許証の写し
- 看修業証明書など
- 看護師国家試験受験資格認定書の写し
- 修業判定証明書など
- 助産師国家試験受験資格認定書の写し
受験料は5,400円です。
受験書類を提出した後は、受験を取りやめたとしても受験手数料は返還されないので注意してください。
助産師国家試験の合格率
助産師国家試験は、毎年高い合格率になっています。過去にあった助産師国家試験の合格率を表にまとめました。
受験者数 |
合格者数 |
合格率 |
|
第103回(令和2年) |
2,105人 |
2,093人 |
99.4% |
第104回(令和3年) |
2,108人 |
2,100人 |
99.6% |
第105回(令和4年) |
2,089人 |
2,077人 |
99.4% |
合格発表は3月下旬に厚生労働省ホームページの資格・試験情報ページで発表されるので、チェックしておきましょう。
スカウトサービス登録はこちら5.助産師の仕事の魅力とは
助産師の仕事には多くの魅力があります。ここでは、その中でも下記の3つの魅力をご紹介します。
- 「生命の誕生」の瞬間に立ち会える
- 自分の手で赤ちゃんを取り上げることができる
- 給料が高めに設定されている
「生命の誕生」の瞬間に立ち会える
助産師の仕事をしていると、「生命の誕生」という感動的な瞬間に立ち会えることが魅力に感じる方も多いです。
女性の出産は、そのご家族にとって人生の一大イベントになります。その一大イベントに最も近くでサポートできるのが、助産師の仕事です。元気な赤ちゃんが生まれたときの喜びは、何度経験していても感動する瞬間になるでしょう。
自分の手で赤ちゃんを取り上げることができる
助産師は正常分別であれば、医師の指示がなくても助産行為を行うことができます。看護師もお産に立ち会うことは可能ですが、赤ちゃんの取り上げはできないため、助産師だから経験できることです。
また、無事に出産を終えたときの達成感は、大きなやりがいにも直結します。赤ちゃんを取り上げたり、へその緒を切ったり助産師が直接的に出産に関われるのは大きな魅力でしょう。
給料が高めに設定されている
助産師は一般的な職業と比較して、給料が高めに設定されていることも魅力の一つです。政府統計の令和3年賃金構造基本統計調査によると、助産師・看護師・保健師の年収は下表のようになります。
助産師 |
看護師 |
保健師 |
約550万円 |
約500万円 |
約480万円 |
助産師は、看護師にはできない助産行為を行うことができるため、看護師よりも給料が高めに設定されています。また、有効求人倍率が1.32倍なので、職業需要があることも魅力の一つといえるでしょう。
スカウトサービス登録はこちら6.助産師の大変なこと
助産師の仕事には多くのメリットがありますが、下記のように大変なことも少なからずあります。
- 流産や死産、中絶に立ち会うこともある
- 高いスキルと豊富な知識が求められる
- 生活リズムが崩れやすく体力的にきつい
一つずつ見ていきましょう。
流産や死産、中絶に立ち会うこともある
助産師は命と向き合う職業です。妊娠・出産など喜ばしい瞬間だけでなく、辛い状況にも立ち会わなければなりません。出産には大きな負担がかかるため、妊婦さんの急変も多く、経過が順調であっても緊急の対応を求められる場合もあります。
また、助産師として流産や死産、中絶手術に立ち会わなければならないこともあるでしょう。こうした場面に立ち会うことが辛いと感じる助産師は多いです。
しかし、すぐに気持ちを切り替えて妊婦さんやご家族のケアを行うことも、助産師の重要な役割といえます。
高いスキルと豊富な知識が求められる
命と向き合うという意味で、助産師は高いスキルと豊富な知識が求められます。そのため、妊婦さんや赤ちゃんの命が危ぶまれるような失敗は絶対に許されません。
新人のころは力不足を感じたり、先輩スタッフとのスキルや知識の差に苦しんだりすることもあるでしょう。そういった状況でもスキルと知識を身につけていき、克服していかなければなりません。
また、前章で助産師の年収は高めに設定されていると述べましたが、「仕事の負担に対して給与が低い」と感じる方もいるようです。
生活リズムが崩れやすく体力的にきつい
助産師の仕事は、生活リズムが崩れやすく体力的にきつい場面が多い職業です。出産のタイミングは完璧に予測することができないため、深夜でもお産が始まったら休む間もなく対応を求められます。就業場所によっては残業があるだけでなく、休日や夜間の呼び出しにも対応しなければならないでしょう。
また、分娩介助中は同じ姿勢で1時間以上過ごす場合もあるため、負担も大きく、生活リズムが崩れると体調も崩しやすいです。
助産師を長く続けるためには、休日にしっかり休息を取ることが重要といえるでしょう。
スカウトサービス登録はこちら7.助産師に向いているタイプ
ここでは、どのような人が助産師に向いているのか、特徴や求められることを解説していきます。
結論からお伝えすると、下記のようなタイプに当てはまる方は、助産師に向いているといえるでしょう。
- 人のお世話をすることが好き
- 精神的な強さがある
- 体力がある
人のお世話をすることが好き
助産師は、妊婦さんと赤ちゃんのサポートをする仕事です。そのため、人のお世話をすることが好きで苦痛に思わない方に向いている職業といえるでしょう。助産師の仕事は、出産したら役目を終えるわけではなく、出産後も育児指導などを行います。
また、産後はマッサージをしたり、腰をさすってあげたり直接身体に触れる機会も多いです。人と触れ合うことにストレス感じる人もいるためそうでない人が向いているといえるでしょう。
精神的な強さがある
助産師の仕事は喜びの場面ばかりではなく、流産や死産、中絶に立ち会う機会も少なくありません。悲しい、辛い気持ちをすぐに切り替えて、妊婦さんやそのご家族のサポートに回る役割が求められます。
気持ちをうまく切り替えることができ、ネガティブな感情を引きずらない精神的な強さが必要となります。
体力がある
前述したように、助産師は体力勝負の仕事といえます。勤務が不規則で生活リズムが崩れやすくなるだけでなく、お産が始まれば休む暇もないでしょう。就業場所や状況によっては、残業や休日出勤、緊急の呼び出しもあります。
体力的につらい状態でも、妊婦さんと赤ちゃんのことを第一に考えて、業務に取り組めるパワフルさも必要です。
8.まとめ
本記事では、助産師の仕事内容や資格、やりがいや向いているタイプなどを解説してきました。助産師になるためには、看護師と助産師の2つの国家試験に合格する必要があります。
経済状況やご自身の都合により、目指し方は人それぞれです。経済的に学費を工面できないという方向けに奨学金制度もあるので、積極的に利用するとよいでしょう。
また、助産師はそのご家族にとって大きなライフイベントを支えるために、重要な役割を担います。生命誕生の瞬間に立ち会える助産師は、魅力・やりがいも多い仕事なので、興味のある方は目指してみてはいかがでしょうか。
助産師という職業に興味のある方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
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