臨床検査技師の年収は低い？給料の上げ方や他職種と比較を解説

スカウトサービス登録はこちら

1.臨床検査技師の給料は？

ここでは、臨床検査技師の給料を年齢・性別で見た際の金額を紹介します。年齢が上がるにつれて給料は高くなっていきますが、男女の給料差も年齢に比例して開いていく傾向にあるようです。

年齢別・性別の平均給料

年齢	男性の平均年収	女性の平均年収
20～24歳	約329.8万円	約317.1万円
25～29歳	約439.1万円	約403.3万円
30～34歳	約501.3万円	約443.2万円
35～39歳	約589.3万円	約482.4万円
40～44歳	約546.4万円	約491.9万円
45～49歳	約654.6万円	約548.9万円
50～54歳	約923.59万円	約587.2万円
55～59歳	約807.7万円	約659.4万円
60～64歳	約552.3万円	約461.8万円

出典：厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」

一般的に、20代は給与の伸びが少ない傾向にあります。20代のうちに、さまざまな分野のスキル（エコーなど）を身に付けておくと、30歳以降に給与増が見込めるでしょう。

また後述しますが、施設ごとの給料差も大きく、病院では特に年功序列の傾向が強かったり、クリニックでは上がり幅が小さかったりと差があります。

臨床検査技師の平均給与

厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、臨床検査技師の平均年収は約508万円でした。平均月収は約34万円、ボーナスは92万円ほどとなっています。

男女別に見てみると、男性の方が約80万円程年収が高いという結果になりました。臨床検査技師に限らず、女性は結婚や妊娠などライフイベントがキャリアに大きく影響します。子育てが落ち着くまでは休職したり、時短勤務にしたりと男性に比べてキャリア形成が難しく年収が伸び悩む傾向にあります。

また、病院など24時間体制の医療機関では当直やオンコールがあります。その場合体力があり、家庭の都合に左右されにくい男性の方が多めに対応するといったケースも少なくありません。その分夜勤手当が上乗せされるので基本給が同じでも収入に差が出てしまうようです。

	平均年収	平均月収	ボーナス
全体	508.92万円	34.73万円	92.16万円
男	560.99万円	38.7万円	96.59万円
女	481.64万円	32.65万円	89.84万円

出典：厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」

臨床検査技師の平均時給は1,763円という結果でした。時給については男女差はほとんどありません。最近は、パートやアルバイトとして働く臨床検査技師の方も増えてきています。

ライフスタイルに合わせてさまざまな働き方ができることが魅力で、家庭の事情で退職したが復職したい人や副業として休みの日に働きたい方から人気があります。臨床検査技師はエコー検査のニーズが高く、経験者の場合3,000円を超える求人もあるようです。

	時給
全体	1,763円
男	1,721円
女	1,772円

出典：厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」

スカウトサービス登録はこちら

2.他の医療・介護職との比較

ここでは、他の医療・介護職の給料を紹介します。臨床検査技師の給料が、他の職と比べてどのような状況にあるのか把握する際の参考にしてください。

コメディカル関連職の平均年収ランキング

臨床検査技師は医療に携わる医療専門職種、いわゆるコメディカル職の一つです。薬剤師や夜勤の影響も大きい看護師など、平均的な給与が高い職種も多い中でも、比較的高い位置にあります。

薬剤師	583.4万円
診療放射線技師	543.7万円
臨床検査技師	508.9万円
看護師	508.1万円
PT・OT・ST	430.7万円
介護職員（医療・福祉施設等）	362.9万円

出典：厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」

上記の平均年収を見ると、臨床検査技師の給料は決して低くないということがわかります。また、臨床検査技師は夜勤や当直が少ない職種であるため、そのあたりを考慮すると勤務時間帯に対しての年収は高いです。

他職種と比較したメリット・デメリット

臨床検査技師に関しての概要を踏まえて、さらにメリット、デメリットについても理解しておきましょう。人によっては大きく影響する部分は違うので、自分の環境に則して考慮しましょう。

医療関係の職種の中でも低くない

薬剤師や診療放射線技師の年収と比べると、臨床検査技師の年収は低いです。しかし、看護師のように夜勤・当直が当たり前の職種と比べると、そこまで開きはありません。

身体的負担を考えると、給料は決して低くないことがわかります。

年功序列で上がる給料の幅が大きい傾向にある

年功序列で上がるのはどの職種でも同様です。ただし、看護師や介護士のように上がり幅が少ない職種と比べて、30代半ばからの上がり幅が大きいため、長期勤務していくモチベーションを保ちやすいでしょう。

30代中盤まではあまり年収が高くない

若い年代での給料は少なく、能力差による給料にも大きな差はありません。PT・OT・STの平均年齢が30代前半で計算されているのに対し、臨床検査技師は40代という差があり、それに対しての平均年収は少ないと見ることもできます。

また、知識やスキルの蓄積がないと給料の上昇が頭打ちになるケースもあるので、若いうちに将来に備えてスキルアップを図るのが重要です。

給料の男女差が大きい

年齢を重ねるごとに給料差が広がり、年収で見ると、その差は200万円以上になるケースもあります。ただし、産婦人科など同性で行うメリットは多いため、需要は少なくありません。

スカウトサービス登録はこちら

3.給料を上げるにはどうしたら良い？

臨床検査技師が給料をアップさせるには時間がかかります。大きな効果が出るのは、専門スキルや資格の取得です。また、別の方法として役職につくか、もしくは転職することで給料がアップする可能性が高まります。

資格や専門スキルを身につける

検査業務は様々なものがあります。特に生理機能検査においては、特殊な器具を用いることが大半です。それら器具を用いることで様々な領域に携われるのも臨床検査技師の魅力の一つです。

資格に関しても検査方法ごと、さらにその中でも領域別に分類されているものもあります。

体表臓器・循環器・消化器・泌尿器・産婦人科・健診・血管の7領域別に認定される資格です。各領域ごとに、超音波検査を用いて専門的な所見を示すことができるスキルが求められます。

細胞検査に関する深い知識と、高度な技術を持ち合わせていることが証明できる資格です。顕微鏡を使用し、がんなどの異常がある細胞を見つけて、病気を細胞レベルで検査できるスキルが求められます。

臨床検査技師の上級資格にあたる資格です。微生物学・病理学・臨床化学・血液学・免疫血清学・循環生理学・神経生理学・呼吸生理学の8分野に分かれており、二級臨床検査士は、各分野の理論や日常の検査に必要な知識と技術が必要。一級臨床検査士は、二級臨床検査士のスキルに加えて、新しい検査法を取り入れる能力や日常業務の管理・指導などの責任能力が求められます。

これらの資格は、各領域における深い知識があることを証明できるため、専門機関での活躍も可能になります。今後のキャリアの選択肢を広げる意味でも取得する機会があればチャレンジすることをオススメします。

そのなかでも代表的なものが超音波を用いたエコー検査です。心電図を取ることにも使うため、エコー検査の経験は積極的に積むといいでしょう。

技師長などの役職につく

給料についてと同様で、年功序列の職場ではすぐに役職に就くということは難しいです。同じ職場に勤務し続けることが前提にはなりますが、役職がつくと平均給与を大幅に上回ることが多いです。

堅実に長く働き続けたいという人にはスキルや経験を磨き、職場での信頼を得ることによって実現できる可能性があります。

条件の違う職場に転職する

転職は給料を上げたい場合、もっともハードルが低い方法です。ただし、基本的なスキルや知識はもちろん必須です。

また、エコー検査の経験の有無など専門分野で、ある程度戦力になれる人材が求められる傾向にあります。その他にも、夜勤や当直がある職場に転職することで、手当を増やして給料増を目指す方法もあります。

スカウトサービス登録はこちら

4.臨床検査技師の主な勤務先と施設の傾向

ここでは、臨床検査技師の代表的な勤務先を紹介します。業務や給料の傾向、また夜勤や当直の有無に関してを把握し、自分の希望と照らし合わせてみてください。

病院

規模や配属で担当する業務は変わりますが、さまざまな患者と関わるため、業務の幅は広いです。基本的に血液・尿・痰などを調べる一般的な検体検査と心電図、エコー、脳波などの生理機能検査の2つに分類されます。

病院によっては夜勤や当直業務も発生するため、手当で給与増を狙いたい人におすすめです。

クリニック

病院ほどの規模はないものの、準ずる施設として生理機能検査の対応などを行うことが多いです。一般検体検査は外部委託していることがほとんどです。また、病院よりも人員は少ないため、一人で対応する範囲も大きく、さまざまな経験を積みたいという人に適しています。

勤務時間は基本的に日勤帯のみの施設が多いので、一定の生活リズムで働きたいという人にもいいでしょう。

検査センター

検査センターでは、検査を専門に請け負います。民間企業が運営していることが多く、検査設備がない小さい病院やクリニックの検体を預かり、検査するかたちです。

業務は基本的に検体検査のみで、患者と対面することは少ないですが高い専門性を身につける必要があります。検査スキルを活かして、集中して業務を行いたい人に向いているでしょう。

一般企業・外部委託請負企業

製薬メーカーや治験関連企業、その他医療機器メーカーなど選択肢は幅広いです。病院やクリニックからの委託であれば、医療現場に勤務するケースもあります。

雇用形態は企業によってさまざまですが、資格を生かして一般社員として働くのもひとつの手段です。ただし、臨床検査技師としてだけでなく、社会人としてのスキルも求められます。純粋な臨床検査技師というよりは、資格を活かした働き方のひとつとして考えましょう。

スカウトサービス登録はこちら

5.臨床検査技師は長く続けることが大事！

臨床検査技師は、スキルや経験が給料アップにつながりやすいです。20代の間はなかなか給料が上がりませんが、その間にスキルや経験を積めば、30代以降に給料の大幅増が見込めます。

臨床検査技師は看護師やセラピストの影に隠れがちです。しかし、努力次第で待遇は良くなります。忍耐強く、長く続けるのが給料アップの第一歩です。

より早い段階で高収入を狙うなら夜勤や当直のある職場や、管理職待遇の職場への転職もひとつの手なので検討してみるといいでしょう。