急性期看護とは?仕事内容や役割、向いている人の特徴を解説!
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回復期や慢性期病院で勤務されている看護師で、「急性期病院で看護師としてスキルアップしたい」と、お考えの方も多いのではないでしょうか。
しかし、急性期病院がどんな職場かわからないと不安ですよね。同じ看護師の仕事でも急性期と慢性期では仕事内容や役割は異なります。
ここでは、急性期の特徴やメリット・デメリット、どんな人に向いている職場なのかを解説していきます。急性期に興味はあるものの、転職してやっていけるか不安な方は参考にしてみてください。
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目次
2.急性期病院での仕事内容
3.急性期病院で働く看護師の給与事情
4.急性期で働くメリット・やりがい
5.急性期で働くデメリット・大変なこと
6.急性期はこんな人におすすめ
7.転職に年齢制限はある?
8.まとめ
1.急性期とは?回復期・慢性期との違いを解説!
まず初めにそもそも急性期とはどのような状態を指すのか、回復期・慢性期と比較しながら解説していきます。
急性期とは病気になり始めた時期のことです。患者さんの容態は不安定で急変のリスクが高いのが特徴となります。
急性期 | 病気になり始めた時期 |
回復期 | 急性期から脱し身体機能の回復、社会復帰を目指す期間 |
慢性期 | 容体が比較的安定しており、治療継続やさらなる回復を目指す期間 |
急性期の患者さんを受け入れるのが「急性期病院」で、急性期病院では24時間体制で治療を行います。
急性期病院とは?
急性期病院では、救急指定病院として救急患者の受け入れを行っています。救急指定病院の定義は消防法の「救急病院等を定める省令」によって定められており、具体的な医療機関は都道府県が告示します。
この告示のなかで、都道府県が救急業務を症状と緊急性から3段階に分けて医療体制を整えており、この3段階が一次救急・二次救急・三次救急です。
一次救急
一次救急では、軽症かつ緊急性の低く入院治療の必要がない帰宅可能な患者さんの治療を行います。休日夜間患者センターや救急指定を受けている地域の開業医や病院が一次救急に該当し、患者さんのほとんどが、自力もしくは家族などの付き添いのもと来院します。一次救急から必要に応じて、二次救急以上の医療機関へ案内を行うこともあります。
二次救急
二次救急では、手術や入院が必要な重症患者の受け入れを24時間、365日体制で行っています。次のように共同利用型病院方式や病院群輪番制などの方法で対応するのが特徴です。
共同利用型病院方式
地域の拠点病院などが開放した一部の施設に、医師が出向き診療を行う方法
病院群輪番制
二次救急の指定を受けている複数の病院が、輪番制で救急患者の受け入れと診療を行う方法
いずれの病院も、救急医療の知識・経験のある医師や入院治療を提供できる設備と専用病床が整備されています。
三次救急
三次救急では、二次救急で対応できない重症患者の受け入れを行っています。二次救急同様、24時間365日体制で受け入れを行い、救命救急センターや高度救命救急センターが設けられていることが多く、医療機関の中で最も水準の高い救急医療を提供しています。
三次救急病院は、救急医療の教育機関としての役割もあり、医師や看護師など医療従事者が救急救命を学んでいます。
急性期と回復期・慢性期との違い①人員配置基準の違い
急性期の病棟では、回復期・慢性期の病棟に比べて看護師の人員配置がより密に設定されています。重症の患者が対象となる急性期では、看護師1人あたりの受け持ち患者を少なくすることで適切・迅速なケアを提供する必要があるためです。
以下は病棟ごとの看護師の配置基準を示した図です。
病棟 | 配置基準(患者数:看護師数) |
一般病棟(回復期・慢性期) | 7:1 |
高度集中治療室(HCU) | 4:1 |
集中治療室(ICU) | 2:1 |
冠動脈集中治療室(CCU) | 2:1 |
急性期と回復期・慢性期との違い②入院期間の違い
高度急性期、急性期、回復期、慢性期と病棟機能が移り変わっていくにつれて、入院期間も長くなります。
グラフからもわかる通り、緊急の対応が求められる急性期病棟は入院期間が極端に短く、患者の入れ替わりも激しいのが特徴です。
病棟機能ごとの病床数
2022年現在、病棟機能ごとの病床数は以下の通り。高度急性期、急性期病棟が50%以上を占めています。
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2.急性期病院での仕事内容
救急病院には一次救急から三次救急まであり、それぞれの役割が異なることがわかりました。ここでは、急性期で働く看護師の仕事内容と慢性期病院との基本的な違いについて解説していきます。
急性期病院での仕事内容
急性期では治療の優先度が高く、すぐに治療しなければ生命維持に関わるような重症疾患の方や、手術が必要な患者が多いです。そのため看護師は、患者の状態把握からアセスメントまでスピード感もって取り組まなければなりません。
普段の仕事としては、重症患者の全身管理や、人工呼吸器や点滴・ドレーン類などの管理、検査や処置など診療の補助に入ることが挙げられます。 また、急性期では術前術後の管理も含まれるので、周手術期に関する仕事も多いのが特徴です。 診療の補助が中心で、急性期では療養上の世話の割合は少なくなります。
急性期では、状態が安定しない患者さんが多いため、患者の状態把握には注意を払わなければなりません。また、急変時にはすぐ処置ができるよう、医師との連携が重要となります。また、急性期の場合手術や病気に対して不安を感じる患者さんやご家族が非常に多いです。患者さんやご家族の精神的なケアも必要なので、看護師の細かい配慮が必要な職場と言えます。
慢性期病院との違い
慢性期は、比較的症状が安定している時期です。 ここでは、再発の予防や体力の向上を目標に長期治療を行うことが中心となります。
高齢の患者さんが多く、急性期のような忙しさはないので、患者さん一人ひとりとじっくり向き合うことができるのが特徴です。 中~小規模の病院のほとんどが慢性期病院にあたります。
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3.急性期病院で働く看護師の給与事情
急性期は症状が安定しない患者さんが多いため、看護師にも素早い判断や迅速な対応が求められます。そんな急性期で働く看護師の給料はどれくらいなのでしょうか?
ここでは急性期病院で働く看護師の給与事情について解説していきます。
急性期病院で働く看護師の給与事情
「令和4年賃金構造基本統計調査」によると看護師の平均年収は508万1,300円でした。病院によって給与に差がありますが、急性期病院の看護師の給与は平均よりも数十万円〜100万円程度高いと言われています。
急性期病院で給与が高くなるのはなぜ?
看護師の基本給は、診療科や病院によって大きく差が出ることはありません。基本給以外の手当によって手取りや年収が変わってきます。基本給以外の手当には以下のようなものがあります。
・時間外手当
・通勤手当
・皆勤手当
・住宅手当
・家族手当
・資格手当
・夜勤手当
・役職手当
・危険手当
・特殊勤務手当
・オンコール手当
・助産師手当
急性期病院はベッドの回転が早いため入退院準備が多く、患者さんの急変や救急搬送などとにかく忙しいです。そのため、残業手当や夜勤手当が他の病院より多くつき給与が高くなります。
病院によっては、緊急の呼び出しに備えて自宅で待機する場合に支給されるオンコール手当や集中力や体力を必要とされる特定の病棟で勤務する際に支給される特殊勤務手当が支給されることもあります。
急性期病院の看護師の給料が高いのは、忙しさや負担の大きさの代償と言えるでしょう。
2つ目の理由には、急性期病院は基本的に病床数が多いということが挙げられます。
病床数と看護師の給与は比例する傾向にあるためです。
「日本看護協会の「2022年 病院看護・助産実態調査報告書」」では、勤続10年・31~32歳・非管理職の看護師の病院規模別の平均給料が紹介されています。
病床数 |
平均税込給与総額 |
99床以下 |
311,133円 |
100~199床 |
319,479円 |
200~299床 |
322,252円 |
300~399床 |
336,987円 |
400~499床 |
341,150円 |
500床以上 |
354,173円 |
病床数が多いほど、給与額も高くなっていることが分かります。
また、規模の大きい病院は福利厚生が手厚いことが多いです。ボーナスの支給実績が良かったり、各種手当が充実しているといったメリットもあります。
「令和4年賃金構造基本統計調査」では、企業規模ごとの看護師のボーナス額が比較されているので確認してみましょう。
企業規模(従業員数) |
年間賞与 |
10人~99人 |
64.7万円 |
100人~999人 |
79.4万円 |
1,000人以上 |
103.1万円 |
従業員数とボーナスの額が比例していることが分かります。
このように規模の大きい急性期病院で働く看護師は、規模の小さい病院で働くよりも多く給与がもらえると言えます。
看護師の給料は?平均年収や年収の上げ方・おすすめの職場を紹介
世間一般では「看護師は高給」というイメージが強いですが、本当でしょうか。実際の内訳を見ながら、具体的な数字と共に、その詳細に迫ります。
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4.急性期で働くメリット・やりがい
ここでは、急性期病院で働くメリットややりがいを説明していきます。急性期では、生命の危険性にさらされている患者や重症疾患・手術患者が多く、緊張を強いられる場面が多い反面、メリットややりがいを感じることも多いです。順番に見ていきましょう。
看護師として成長できる
急性期では、さまざまな疾患や症例に対応するので、看護のアセスメント力や知識・技術力がアップします。病院の特性上、最新の医療技術や医療機器に触れることが多く、知識が身につくことは大きなメリットと言えるでしょう。急性期で働くことは看護師としてスキルアップにつながりますし、成長を実感する機会もたくさんあります。
また、急性期病院には周りに認定看護師や専門看護師が多く活躍しています。高いプロ意識や技術に触れることで、キャリアアップに向けた刺激になるのも魅力のひとつです。
達成感や充実感を得られる
急性期では、患者さんの回復していく姿に達成感ややりがいを感じる事が多いです。緊急で運ばれてきた患者さんが手術を受け病気が治る様子や、昏睡状態から回復する様子を見ると達成感や充実感が得られます。改善状況をすぐ目の前で確認できるのは大きなモチベーションアップにつながるでしょう。
教育体制が整っている
急性病院には新卒採用を行っているところが多く、教育体制が整っている病院が多いです。また、新卒採用を行っていても看護師は人手不足が深刻なので、中途採用も積極的に行っている病院がほとんどです。中途採用向けのプログラムが用意されているケースも少なくありません。
採用後も、最新の医療機器や技術に触れることができますし、研修や勉強会など学びの機会も多いので、看護師としてスキルアップできる環境が整っています。
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5.急性期で働くデメリット・大変なこと
急性期病院で働くことには、メリットばかりではありません。命に関わる職場で緊張を感じる職場では、急性期特有のデメリットや大変なこともあります。良い面だけでなく大変なことについてもあらかじめ理解しておくことが大切です。
残業や休日の勉強会が多い
急性期病院は、慢性期病院と比べると残業が多い職場です。常に新しい知識を吸収する必要があるため、休日に勉強会が入ることも多いですし、自宅での学習も欠かせません。そのため、自分の時間がほぼなくなることを辛いと感じている方が多いようです。 プライベートを大事にしたい方には不向きな職場かもしれません。
患者さんとの時間が少ない
急性期は、症状が重い患者さんが多い一方、回復すると転院するため入院日数が短く、患者一人ひとりとじっくり向き合うことは難しくなります。患者さんとゆっくり関わりたい方は、入院期間が長い慢性期がおすすめです。
命に関わる場面が多い
急性期は、慢性期に比べ重症・重篤な患者さんが多いため、命に関わる場面が多く心理的な負担を感じる人も少なくありません。全ての患者さんが回復し、転院していくわけではありません。上手く気持ちを切り替えて辛い気持ちや悲しい気持ちを引きずりすぎないことが大切です。気持ちの切り替えが苦手な人には不向きな環境といえるでしょう。
また、小さなミスが大きな事故に繋がってしまうので常に緊張感があります。その独特な雰囲気にプレッシャーを感じてしまう人も少なくないようです。
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6.急性期はこんな人におすすめ
これまで急性期のメリットとデメリットを見てきたように、急性期がおすすめな人は次のような方です。
- 看護師としての向上心がある方
- 最先端の医療に興味がある方
- 体力や精神力がある方
- テキパキと仕事をこなせる方
- 気持ちの切り替えが上手な方
急性期は、看護師としてスキルアップしたい方におすすめの職場です。急性期でしか経験できない症例がたくさんあるので、貴重な経験を積むことができます。
急性期は流れが早く、多忙で残業も多い職場なので、体力があり仕事をテキパキとこなせる人に向いている職場と言えます。また、なかには治療中に亡くなる方や後遺症のある方もいるので、気持ちの切り替えを上手くしていく必要もあります。
同じ急性期病院でも、一刻も早い処置が必要な重症患者が搬送される三次救急は精神的・体力的な負担が大きく、現場の看護師には並々ならぬ責任感と緊張感が求められます。現在慢性期病院に勤務しているのであれば、まずは三次救急ではなく二次救急がおすすめです。
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7.転職に年齢制限はある?
急性期は多忙で残業が多い職場なので、新卒や比較的若い看護師の多い環境のイメージがあります。「30代以上から挑戦するのは難しいの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。
実際は、年齢制限を設けている病院は少なく、急性期病院への転職に年齢制限はありません。30代以上であれば看護師としての臨床経験も豊富なので、即戦力として歓迎されるケースも多いです。ただし、募集上の年齢制限がなくても、実際に仕事を行う際に年齢の影響がある職場はあります。
三次救急は、24時間体制で救急患者の受け入れを行っており、搬送されてくる患者の重症度も高いため精神的にも肉体的にも厳しい職場と言えます。過去に三次救急の経験があり、専門的な知識や技術を有していれば30代半ばでも採用される可能性はありますが、そうでなければ30代での転職は難しいでしょう。
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8.まとめ
急性期は看護師として成長できる職場です。年齢制限は基本的にないので、やる気や向上心があれば採用される可能性が高いでしょう。救急患者が運ばれてくるため、体力的・精神的な大変さがあります。しかし、最新の医療技術や医療機器に触れることが多く、看護師としてスキルアップできるメリットもあるのが特徴です。
急性期への転職を希望する前に、自分がどんな看護をしたいのかを考えることが重要になります。自分が今後行いたい方向性に合致し、やりがいを感じてスキルアップにつなげたい場合は、急性期への転職を検討するのも良いでしょう。
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よくある質問
普段の仕事としては、重症患者の全身管理や、人工呼吸器や点滴・ドレーン類などの管理、検査や処置など診療の補助に入ることが挙げられます。 また、急性期では術前術後の管理も含まれるので、周手術期に関する仕事も多いのが特徴です。 診療の補助が中心で、急性期では療養上の世話の割合は少なくなります。
急性期では、状態が安定しない患者さんが多いため、患者の状態把握には注意を払わなければなりません。また、急変時にはすぐ処置ができるよう、医師との連携が重要となります。また、急性期の場合手術や病気に対して不安を感じる患者さんやご家族が非常に多いです。患者さんやご家族の精神的なケアも必要なので、看護師の細かい配慮が必要な職場と言えます。
急性期では、さまざまな疾患や症例に対応するので、看護のアセスメント力や知識・技術力がアップします。病院の特性上、最新の医療技術や医療機器に触れることが多く、知識が身につくことは大きなメリットと言えるでしょう。急性期で働くことは看護師としてスキルアップにつながりますし、成長を実感する機会もたくさんあります。
また、急性期病院には周りに認定看護師や専門看護師が多く活躍しています。高いプロ意識や技術に触れることで、キャリアアップに向けた刺激になるのも魅力のひとつです。
②達成感や充実感を得られる
急性期では、患者さんの回復していく姿に達成感ややりがいを感じる事が多いです。緊急で運ばれてきた患者さんが手術を受け病気が治る様子や、昏睡状態から回復する様子を見ると達成感や充実感が得られます。改善状況をすぐ目の前で確認できるのは大きなモチベーションアップにつながるでしょう。
③教育体制が整っている
急性病院には新卒採用を行っているところが多く、教育体制が整っている病院が多いです。また、新卒採用を行っていても看護師は人手不足が深刻なので、中途採用も積極的に行っている病院がほとんどです。中途採用向けのプログラムが用意されているケースも少なくありません。
採用後も、最新の医療機器や技術に触れることができますし、研修や勉強会など学びの機会も多いので、看護師としてスキルアップできる環境が整っています。
小口 紗穂|看護師
セカンドラボ株式会社
東京大学を卒業後、大学病院の病棟看護師として勤務。アレルギー・リウマチ内科、腎臓内分泌内科、心療内科等幅広い領域を担う病棟で従事。
2023年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療介護向け求人メディア「コメディカルドットコム」の営業・採用課題のサポートを行う。また、看護師の経験を生かし、看護師に関連するコンテンツ作成にも従事。