病棟看護師とは?仕事内容や働き方、病棟の種類について詳しく解説
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病棟で勤務する看護師のことを「病棟看護師」と言い、看護師や准看護師の働く場所として最も一般的な職場です。病棟看護師は、「どのような仕事をするのか」「自分に務まるのか」など不安に思う方も多いのではないでしょうか。
今回は、病棟看護師の仕事内容や1日のスケジュールなどについて、詳しく解説していきます。病棟の種類やその特徴についても紹介しているので、病棟での勤務に興味のある方は参考にしてみてください。
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目次
1.病棟看護師の仕事内容と1日のスケジュール
病棟看護師の仕事にどのようなイメージをお持ちでしょうか。「忙しそう」「やりがいがありそう」などさまざまかと思います。
ここでは、病棟勤務のイメージを掴んでもらうために、仕事内容や1日のスケジュールをご紹介します。
病棟看護師の仕事内容
病棟看護師の仕事は、複数の患者さんを受け持ち、状態に合わせたケアを行います。
具体的な仕事内容は、以下の通りです。
・バイタルサイン測定
・点滴・注射・採血などの医療処置
・患者さんの身の回りのお世話
・食事・排泄・入浴などの介助
・体位交換
・夜間の巡回
・ナースコール対応
・カンファレンス
■診察補助
入院患者さんの状態に応じて1日3回程度、血圧・体温・脈拍の測定をします。このような患者さんのコンディションを確認することを「バイタルサイン測定」と言います。特に術後や急性期の患者さんは、状態が変化しやすいのでこまめな測定が必要となります。
医師からの指示があった場合には、点滴や注射、採血などの医療行為も病棟看護師が行います。点滴の際は誤投与を防ぐために投与前チェックが必須です。点滴投与中も、滴下速度、ルート管理、点滴刺入部など、しっかりと観察していく必要があります。
処置を行うだけでなく、行ったケアや処置の内容はカルテに記入していきます。様々な職種のスタッフもカルテを確認するので、内容は分かりやすく簡潔に記載することが重要です。
■入院患者さんのお世話
食事・排せつ・入浴などの身体介助は、病院によっては看護助手が行うケースもありますが看護師が行うことも少なくありません。誤嚥や、入浴時のバイタルの変化などは患者さんの命に直結するため注意が必要です。
自力での体動が困難な患者さんには、褥瘡の発生を防ぐために2~3時間ごとの体位変換を行います。体位変換は介助者の負担が大きいので無理せず複数人で行うようにしましょう。
■夜勤帯の仕事内容
ナースコール対応やバイタルサイン測定、体位交換などは日勤帯と同じです。ただ、夜勤帯の場合、看護師の人数が少なくなるので1人当たりの業務量が多くなります。
夜勤帯ならではの業務としては、「夜間巡回があります」2~3時間ごとに病室を回り、患者さんがきちんと眠れているか、容態に変化がないかなどを確認します。急変や徘徊、点滴の自己抜去などは夜勤に起こりやすいトラブルです。早期の発見と状況に応じた的確な判断が求められます。
勤務する病棟によっても仕事内容は異なりますが、最も近い位置から患者さんの生活をサポートします。さまざまな業務をこなしながら他職種との連携が必要な点はどの病棟も共通です。
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詳細を見る病棟看護師の役割とは?
病棟は、患者さんの治療を行う場所であり、生活する場所でもあります。病棟看護師は、入院患者さんに最も身近な存在となり、日常生活のサポートや患者さんの状態に合わせたケアを提供します。
そのため、患者さんの情報を他職種間に共有し、連携しながら働くことが求められます。<>患者さんやそのご家族の不安を取り除き、安心安全に生活してもらうのも病棟看護師の重要な役割です。
患者さんの異変にいち早く気付くということは、普段から患者さんの状態を把握しておく必要があります。そのためには、日頃から患者さんとコミュニケーションを取り、患者さんの状態を観察することが必須です。
看護師には「ICN 看護師の倫理綱領」によると4つの基本的責務があります。
- 健康の増進
- 疾患の予防
- 健康の回復
- 苦痛の緩和
どの責務も看護師にとっては重要な役割です。
出典:ICN 看護師の倫理綱領
病棟看護師の1日
病棟は24時間365日稼働しているため、夜勤がシフトに組まれます。
下記では、「日勤」「夜勤」の2交替制としてのスケジュール例をご紹介しています。
【日勤】
08:00 | 【出勤・情報収集】受け持ちの患者さんの情報収集を行います |
09:00 | 【ラウンド】受け持ちの患者さんの巡回 |
10:00 | 【患者さんのケア】バイタルサインチェックや清拭、洗髪を行います |
11:30 | 【昼食の配膳、配薬】 |
12:30 | 【休憩】交替で休憩を取ります |
13:30 | 【カンファレンス】他職種と患者さんの情報を共有します |
14:00 | 【ラウンド】 |
16:00 | 【カルテ記入】 |
16:30 | 【申し送り】夜勤看護師へ情報の共有を行います |
17:00 | 【退勤】 |
【夜勤】
16:00 | 【出勤・申し送り】日勤看護師からの申し送りを受けます |
17:00 | 【ラウンド・バイタルサインチェック】 |
18:00 | 【夕食の配膳、配薬】 |
19:00 | 【患者さんのケア】与薬やトイレ介助など就寝の準備をします |
21:00 | 【消灯】 |
23:00 | 【ラウンド】定期的に病室を巡回します |
06:00 | 【採血・バイタルサインチェック】 |
07:00 | 【朝食の配膳、配薬】 |
08:30 | 【申し送り】日勤看護師に業務を引継ぎます |
09:00 | 【退勤】 |
勤務する病棟によっても1日の流れは異なります。
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2.病棟看護師の働き方
基本的に病棟看護師は、2交替制か3交替制のどちらかが採用されています。
それぞれの特徴や勤務時間を見ていきましょう。
2交替制
2交替制とは、1日の勤務を「日勤」と「夜勤」に分けた勤務形態のことです。例としては、次のようなシフト編成をしています。
日勤 |
夜勤 |
08:30〜17:30 |
17:00〜09:00 |
夜勤は月に4〜5回入ることが多いようです。夜勤が1勤務16時間程度あるため、夜勤が終わった当日を「明け」と呼び、翌日は休みになります。
1回の夜勤で2日分の勤務をする必要があり、身体への負担が大きいことがデメリットに挙げられるでしょう。しかし、夜勤後は休みが確定しているので、次の日を有給休暇にすれば、まとまった休みを取れるメリットもあります。
3交替制
3交替制は、1日の勤務を「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の3つに分けた勤務形態のことです。例としては、次のようなシフト編成をしています。
日勤 |
準夜勤 |
深夜勤 |
08:00~16:30 |
16:00~24:30 |
00:00~08:30 |
2交替制の夜勤は16時間でしたが、3交替制になると8時間勤務になります。夜勤の勤務時間が短い分、2交替制と比較して精神的な負担は少なくなるでしょう。
しかし、2交替制よりも勤務が不規則になってしまうので、肉体的負担が大きいと感じる声もあります。近年では2交替制を採用する病棟が増えているようです。
夜勤専従
夜勤専従は、日勤を担当しない夜勤シフト専門の看護師のことです。 1勤務2交替制の16時間程度で、月に10回程度あります。
正社員としての募集は少なく、非常勤の募集がほとんどですが、少ない勤務日数で高収入が得られるため人気の働き方です。他にも、日中の自由に使える時間が増えるので、プライベートを充実させたい方にも選ばれています。
一方で、「生活リズムが崩れやすい」「急変対応など責任が重い」などのデメリットもあります。
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3.病棟看護師の給与事情
一般的に看護師の給与は高いと言われていますが、病棟看護師はどうでしょうか。激務の割に給与が少ないと感じる看護師も少なくないようです。
ここでは、病棟看護師の平均年収や収入アップを狙う方法を解説します。
病棟看護師の平均年収
厚生労働省が出している「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は498.6万円です。病棟看護師の年収に限定した公的機関からの発表はありませんが、病棟看護師の平均年収は約380万円〜550万円といわれています。
夜勤がある分、外来などと比べると病棟看護師の給与は高くなります。1回当たりの夜勤手当は11,000円前後なので、夜勤手当だけでも年50万円~70万円程の差があります。
また、病棟によっては危険手当や特殊業務手当などの手当が付くこともあります。そのため、全体的に見ても病棟看護師の給与は高めといえるでしょう。
病棟看護師が収入アップを狙う方法
病棟看護師が収入アップを狙う方法としては、「上位資格を取得する」「役職に就く」などがあります。
看護師の上位資格には、認定看護師や専門看護師などの資格が分野ごとに存在します。資格を取得することは、基本給の底上げにつながるだけでなく、看護師としての活躍の場が広がるので看護師としてスキルアップしたい方におすすめです。
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看護師のスキルアップはモチベーションの維持や自己実現においてとても重要です。医療分野にはさまざまな資格や検定、研
詳細を見る役職に就いて収入アップを狙う場合、師長や主任といった管理職を目指すのが一般的です。経験は必要になりますが、管理職になると役職手当が付くようになります。看護師は、主任→看護師長→看護部長の順に昇進していきます。看護師としてキャリアアップを目指してみるのも収入アップの方法のひとつです。
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詳細を見る高収入が期待できる職場の特徴
勤務する職場によっても高収入を狙うことができます。高収入が期待できる職場の特徴は、以下の通りです。
- 都市部にある病院
- 規模の大きい病院
- 経営状態が安定している病院
- 高度な医療技術が求められる病棟
都市部にある病院や規模の大きい病院の場合、患者さんが多い分給与が高めに設定されている傾向にあります。>また、母体がしっかりしていて経営が安定している病院は、賞与が多く福利厚生が充実していることが多いです。
ERやICUなどの高度な医療が必要な環境になると、「危険手当」や「特殊業務手当」などがつくこともあります。勤務する職場によって給与が大きく変わる場合もあるので、求人票で確認しておくと良いでしょう。
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4.病棟の種類とその特徴
ここまで、「病棟」を一括りで解説してきましたが、病棟には下記のようにさまざまな種類があります。
- 急性期病棟
- 地域包括ケア病棟
- 回復期リハビリテーション病棟
- 慢性期病棟・療養病棟
看護師の仕事内容や働き方も異なるので、見ていきましょう。
急性期病棟
急性期病棟には、命の危険がある方や手術が必要な方などが入院しています。そのため、重症度の高い患者さんが多く、患者さんの入れ替わりも激しいです。
看護師の仕事は、検査や処置の補助や人工呼吸器の管理など、医師の診療の補助がメインの業務になります。一刻も早い対応が求められるので、看護師にはスピード感のある状況の把握と判断力が求められます。テキパキと動ける方や精神的・体力的にタフな方、気持ちの切り替えが早い方に向いている職場です。
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回復期や慢性期病院で勤務されている看護師で、「急性期病院で看護師としてスキルアップしたい」と、お考えの方も多いの
詳細を見る地域包括ケア病棟
地域包括ケア病棟には、急性期での治療を終えた比較的症状が安定している患者さんが入院しています。在宅・施設への復帰に不安を感じる患者さんが安心できるように、必要なケアを提供する病棟です。そのため、急性期ほどの忙しさはありません。
入院受け入れ・退院支援・他職種との連携が看護師の主な仕事内容になります。他にも、食事・入浴・排泄などの介護業務を行うこともあります。さまざまな患者さんと関わるので、コミュニケーション能力のある方や急性期での勤務経験者に向いています。
回復期リハビリテーション病棟
地域包括ケア病棟と同様、急性期での治療を終えた患者さんが在宅復帰を目指し入院しています。地域包括ケア病棟と異なる点は、リハビリを中心としたケアを行なっており、脳血管疾患や骨折などの患者さんが多いことです。
看護師は基本的な業務をこなしつつ、退院後の生活を目指した機能回復訓練の補助を行います。そのため、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの他職種との連携が重要です。患者さんとしっかり向き合いたい方、チームワークを大事にできる方に向いているでしょう。
慢性期病棟・療養病棟
比較的状態の安定した患者さんが、病気の再発予防や体力の維持を目的として入院しています。中には、寝たきりの方や意識がはっきりしない患者さんも少なくないので、介護士と連携しながら介護業務を行うことも多いです。また、患者さんだけでなく、不安に過ごすご家族の心のケアも看護師の重要な役割になります。
長期入院になる方が多いため、患者さんやご家族とじっくり関わりながら仕事をしたい方に向いています。
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5.病棟看護師のやりがいと大変なこと
病棟看護師としてのやりがいや大変なことをまとめました。自身が病棟勤務で働くことができるのか、判断材料の一つにしてください。
看護師としてのスキル・技術を磨ける
病棟で勤務することは、看護師としてのスキルを身につけるにはぴったりな環境です。さまざまな種類がある病棟では、それぞれの専門知識や技術を学ぶために、定期的な研修や勉強会を実施しています。
急性期や回復期リハビリテーションなど複数の病棟で経験を積んでいけば、幅広い知識や技術を磨くことができるでしょう。看護師としてスキルアップできる環境が整えられているので、成長したい方にはおすすめです。
患者さんが元気になっていく姿を見届ける
最も近い位置で患者さんをサポートする看護師は、患者さんが健康になっていく姿を目の当たりにするときにやりがいを感じられるでしょう。また、治療が終わり退院する際に、患者さんやご家族から感謝の言葉をかけてもらうことも少なくありません。
このような経験から、「看護師として働いてよかった」とやりがいを感じる方が多いようです。
看護師の仕事のやりがいは?やりがいを感じられなくなってしまった時の対処法を解説
しかし、看護師が皆同じやりがいを持って働いているわけではないでしょう。今回このコラムでは看護師の仕事のどういった
詳細を見る夜勤の負担が大きい
病棟勤務の場合夜勤は避けて通れません。夜勤の負担が大きいと感じる方も少なくないようです。日勤と夜勤を繰り返して働くので生活リズムが崩れやすく、体調不良につながることもあります。
また、夜勤は少ない人数で患者さんに対応しなければならないため、一人ひとりの業務量が増えますし、緊急時の対応では、業務への責任感も大きくなります。どうしても夜勤が合わない方は、夜勤がない職場で働くのがおすすめです。
ミスが許されないプレッシャー
病棟によっては、比較的落ち着いた症状の患者さんや重症度の高い患者さんなどさまざまな方が入院しています。小さなミスが患者さんの事故につながることもあり、気が抜けない大変な仕事です。
特に急性期病棟や緩和ケア病棟の場合、死と向き合う機会が多くプレッシャーも感じやすいでしょう。中には過度なプレッシャーに耐えきれず、退職してしまう方も少なくないようです。
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6.まとめ
病棟では看護師に必要な知識や技術など幅広く学べる環境が整っており、看護師としてスキルアップができます。看護師は患者さん、ご家族、他職種と関わる機会が多いので、コミュニケーション能力が求められるでしょう。
また、病棟で働く場合には夜勤があり、2交替制もしくは3交替制で働き方が異なります。病棟によっても仕事内容や看護師の役割が異なるので、求人票や面接で事前に確認しておくと良いでしょう。
病棟看護師の求人数は圧倒的に多いです。複数の求人を見ながら、自分に合った職場を見つけてみてはいかがでしょうか。
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小口 紗穂|看護師
セカンドラボ株式会社
東京大学を卒業後、大学病院の病棟看護師として勤務。アレルギー・リウマチ内科、腎臓内分泌内科、心療内科等幅広い領域を担う病棟で従事。
2023年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療介護向け求人メディア「コメディカルドットコム」の営業・採用課題のサポートを行う。また、看護師の経験を生かし、看護師に関連するコンテンツ作成にも従事。