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看護小規模多機能型居宅介護の仕事内容は?制度設立の背景や給料・メリットを解説

  • 更新日
投稿者:小松 和貴

看護小規模多機能型居宅介護(看多機)とは、「訪問」「通い」「泊まり」に加え、訪問看護サービスまで提供できる事業所です。高齢者の医療依存度が高まる中、「介護」と「医療」のサービスを複合的に提供できる事業所として注目されています。

今回は、看多機での介護職の仕事内容や給料、メリット・デメリットについて紹介します。本記事を読むと、看多機が自分の転職先としてふさわしい職場かわかるようになっているので、ぜひ参考にしてください。

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目次



1.看多機とは?

看多機とは、「訪問介護」「通所介護」「短期入所」の介護サービスに加え、「訪問看護」の4つのサービスを一体的に提供する事業所のことです。


従来の介護サービスではそれぞれのサービスを受けるために、利用者は別々の事業所にわざわざ依頼する手間がありました。しかし現在では、看多機に登録するだけで、一つの事業所でさまざまなサービスを受けることができます。


設立の背景

看多機の基本にあるのは「訪問介護」「通所介護」「短期入所」のサービスを提供している小規模多機能型居宅介護(小多機)です。小多機は2006年にスタートした、高齢者が在宅で暮らし続けるための地域密着型サービスを目指す制度です。


これまでは、「訪問」「通い」「泊まり」でそれぞれサービスを依頼する必要がありましたが、小多機の設立によってこれらのサービスをひとつの事業所で提供することができるようになりました。


医療や介護が必要な状態になっても、「可能な限り、住み慣れた地域や自宅で、最後まで暮らせるように」と在宅医療が推進されるなか、「病状の変化時や家族のレスパイトに対応してほしい」「退院して在宅へ戻るための受け皿が欲しい」「在宅療養上の不安や疑問を相談したい」といった小多機では対応しきれない、在宅医療を難しくしている要因がありました。


そこで、従来の通いや訪問のサービスに、在宅療養の継続に必要なサービスを加えた、在宅療養者と家族を支えるサービスとして、医療依存度の高い人の在宅生活を支えるため2012年に「看多機」が新設されました。


創立当初は、訪問看護と小規模多機能型居宅介護を結合させた「複合型サービス」という名称でしたが、提供するサービスの内容がイメージしにくいという理由から、2015年に「看護小規模多機能型居宅介護(看多機)」という名称に変更されました。


看多機は、地域包括ケアシステム(※)の中心的な役割として期待されています。

(※)地域包括ケアシステムとは、自宅など高齢者自身が住み慣れた地域で、自分らしい生活を最期まで続けられるように、介護や医療など必要なサービスを一体的に提供する体制のこと。

出典:看護小規模多機能型居宅介護の創設の経緯


看多機の人員配置

看多機の人員配置は、基本的に小多機の基準に沿っており、看護師の配置がさらに手厚くなっているのが特徴です。具体的な人員配置としては、以下のようになっています。


日中

通い:利用者3人に対し、常勤職員1人以上(1人以上は保健師、看護師もしくは准看護師)

訪問:常勤職員2人以上(1人以上は保健師、看護師もしくは准看護師)


夜間

泊まり・訪問:時間帯を通して夜勤の職員を2人以上(うち1人は宿直勤務可)

ただし、利用者の宿泊がいない場合は、夜間の配置が不要

また、看護師は夜間の配置基準は設けていないため、オンコールなど連絡体制の確保は必要


看護職員

施設全体として配置すべき看護職員は、常勤換算で2.5人以上(そのうち1人は常勤の看護師又は保健師であることが必要)

訪問看護ステーションと一体的に運営している場合は、看護職員の兼務が可能


ケアマネジャー

1人以上(他の役職と兼務、非常勤可)


管理者

常勤かつ専従であって、特別養護老人ホームなどで3年以上の介護経験があり、認知症対応型サービス事業管理者研修の修了者または保健師もしくは看護師


看多機の特徴

看多機には、以下の4つの特徴があります。


  • サービス内容の自由度が高い
  • 少人数定員
  • 終末期ケア・緩和ケアの対応が可能
  • サービスが一体で同じスタッフが対応するので安心

サービス内容の自由度が高い

看多機の最大の特徴は、「通い」「泊まり」「訪問介護・看護」をニーズに応じてサービス提供できることです。例えば、通いで利用している方がご家族などの急用で泊まりサービスをしたり、ご家族の都合に合わせて訪問をお願いしたりすることもできます。利用者、ご家族のニーズに応じたサービスを提供できる自由度の高さは、看多機の大きな特徴です。


少人数定員

看多機の登録定員は最大29名と少人数のため、一人ひとりの利用者と密にコミュニケーションを取ることができ、人間関係の構築がしやすい特徴があります。じっくりと利用者と向き合いながら介護ができるため、自分のペースで無理なく働きたい方にとっては、魅力的な特徴といえるでしょう。


終末期ケア・緩和ケアの対応が可能

看多機は、終末期ケアや緩和ケアの対応が可能です。最期は施設や病院で過ごすのではなく、自宅で過ごしたい方にとって、自宅での看取りという選択肢ができるのは大きな特徴です。看護職員が配置されているため、主治医と連携しながら医療が必要な利用者の対応ができます。


サービスが一体で同じスタッフが対応するので安心

通常の利用方法では、サービスを変えるごとに施設も変わるので、スタッフの入れ替わりも多くなり、利用者にストレスを与えることがありました。看多機はサービスが一体型なので、同じスタッフが対応し、利用者は安心してサービスを受けることができます。


2.看多機の仕事内容

ここでは、看多機の中でも介護職に注目して、「訪問介護」「通所介護」「短期入所」の仕事内容について解説します。介護職の方は看多機での仕事内容を把握し、実際に働くイメージを明確にしてみてください。


訪問介護

訪問介護の主な仕事内容は以下の通りです。


  • 食事、入浴、排泄などの身体介助
  • 掃除・洗濯・食事の調理などの生活支援
  • 服薬介助
  • 通院・外出の付き添い
  • 安否確認

通常の訪問介護と比べてサービスの種類や回数に制限がなく、必要に応じて柔軟にサービスを提供することができます。そのため、安否確認やコミュニケーションだけのサービス内容で訪問することもあります。


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通所介護

次に、通所介護の仕事内容を見ていきましょう。


  • 食事、入浴、排泄などの身体介助
  • レクリエーション
  • 機能訓練
  • 送迎

仕事内容は、従来のデイサービスと大きく変わらず、レクリエーションや機能訓練がメインになります。また、利用者のスケジュールに合わせてサービス提供をするので、決められた時間ではなく柔軟に対応することが可能です。例えば、「機能訓練だけのために午前中のみ利用して、次回は終日利用する」など、利用者に合わせて対応します。


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短期入所

最後に、短期入所での仕事内容を見ていきます。


  • 食事、入浴、排泄などの身体介助
  • レクリエーション
  • 機能訓練
  • 送迎
  • 夜間の見守り

上記のように仕事内容は、従来のショートステイと同じです。夜間は2人以上の配置が義務付けられているので、1人夜勤が不安な方は安心できる点もあります。


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3.看多機の給料はどれぐらい?

転職する上で、転職先の決め手の一つとなるのが給料です。「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」を参考に、看多機の給料を他の施設形態と比較しながら見ていきます。ここでは、看多機のベースになっている、「小規模多機能型居宅介護」の給料を参考に紹介します。


常勤
施設形態 平均給与額
全体 315,850円
小規模多機能型居宅介護事業所287,980円
介護老人福祉施設(特養) 350,430円
介護老人保健施設 338,920円
訪問介護事業所 306,760円
通所介護事業所 280,600円
認知症対応型共同生活介護事業所 287,770円

※平均給与額は、基本給(月額)+手当+一時金(10~3月支給金額の1/6)

出典:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」


パート
施設形態 平均時給額
全体 1,110円
小規模多機能型居宅介護事業所960円
介護老人福祉施設(特養) 1,020円
介護老人保健施設 1,030円
訪問介護事業所 1,270円
通所介護事業所 1,000円
認知症対応型共同生活介護事業所 1,010円

出典:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」


上記のことからもわかるように、施設全体の給料平均が315,850円に対して、小多機の給料は287,980円と低めの給与体系です。看多機もそうであるように、小規模の施設なので、大規模の運営形態である特養や老健のような施設と比較すると、高い給料は期待できません。


しかし、看多機は新しい施設形態の事業所で、需要も増えてきており、今後給料が伸びてくる可能性も十分あるので、注視しておきたいところです。


4.看多機で働くメリット・デメリット

看多機で働くメリットとデメリットについて解説します。メリットだけでなくデメリットも同時に知ることで、転職先として看多機が自分に合っているかを判断する材料になるでしょう。転職先の候補として看多機を考えている方は、ぜひ参考にしてください。


メリット

看護・介護の知識を幅広に習得できる

看多機は、「通い」「訪問介護」「泊まり」「訪問看護」を施設が一体としてサービス提供しているため、介護の知識やスキルの向上だけでなく、医療の知識を身につけられます。上記の4つのサービスが一体となっているので、総合的な介護の知識やスキル、経験を積むには最高の環境といってもいいでしょう。


利用者に合わせて柔軟にサービス提供できる

看多機では、定額制で提供サービスに制約が少ないので、利用者に合わせてサービス提供できる点もメリットの一つです。利用者からのさまざまな要望に応えるため、柔軟に対応する能力、判断力、コミュニケーション力などを身につけることができます。


これらのスキルは、今後キャリアアップしていく際にも必要になってくるので、自身のスキルアップをしたい方に看多機はおすすめです。


少人数なので、利用者一人ひとりに手厚くサービス提供できる

最大登録29名の少人数制を設けているので、利用者一人ひとりに手厚くサービス提供することができます。大規模施設では、利用者とコミュニケーションをしっかり取れないことも多いです。看多機のように、じっくりと向き合ったケアを提供できることはメリットといえます。


デメリット

業務範囲が広い

先述したように看多機は「通い」「泊まり」「訪問介護」「訪問看護」を一体となってサービス提供しているため、その分だけ業務範囲も広いです。従来のサービス提供をしている施設で働いている方によっては、慣れるまで時間がかかるデメリットがあります。


不規則な働き方になりがち

看多機は柔軟な働き方が必要になるため、夜勤や宿直にも対応しなければいけません。そのため、夜勤の働き方に慣れていない方にとっては、不規則な生活になり、大変に感じることがあります。夜勤や宿直を避けたい場合は、求人票で日勤帯のみの募集をしている施設を探す、もしくは問い合わせて確認してみるといいでしょう。



5.看多機で働きたいならまずは求人をチェック

看多機は、「通い」「泊まり」「訪問介護」「訪問看護」の複合施設で、誕生してから約10年と新しい施設形態です。利用者やご家族からのニーズもあることから、事業所数は伸びてきています。


対応する業務が多いので、幅広いスキルを身に付けたい介護士にとってはピッタリの職場といえます。看多機を転職先の候補としてお考えの方は、今後求人数も増えてくるので、まずは求人をチェックすることから始めてみてはいかがでしょうか。


よくある質問

看護小規模多機能型居宅介護って何ですか?
看多機とは、「訪問介護」「通所介護」「短期入所」の介護サービスに加え、「訪問看護」の4つのサービスを一体的に提供する事業所のことです。従来の介護サービスではそれぞれのサービスを受けるために、利用者は別々の事業所にわざわざ依頼する手間がありました。しかし現在では、看多機に登録するだけで、一つの事業所でさまざまなサービスを受けることができます。
看多機の介護士の仕事内容はどんなものがありますか?
【訪問介護】
・食事、入浴、排泄などの身体介助
・掃除・洗濯・食事の調理などの生活支援
・服薬介助
・通院・外出の付き添い
・安否確認

【通所介護】
・食事、入浴、排泄などの身体介助
・レクリエーション
・機能訓練
・送迎

【短期入所】
・食事、入浴、排泄などの身体介助
・レクリエーション
・機能訓練
・送迎
・夜間の見守り


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URL:https://note.com/2ndlabo/n/n6565a29f667f

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