介護福祉士実務者研修とは?取得方法やメリット、初任者研修との違い
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「実務者研修」とは、どんな資格なのでしょうか?「実務者研修」は、国家資格である「介護福祉士」を目指すうえでも必須の要件となります。
また、訪問介護事業所には必須となる「サービス提供責任者」としての選択肢や痰吸引・経管栄養などの知識を学ぶことができるなどのメリットがあります。
今回は、「初任者研修」との違いや気になる費用・取得までの期間などについて解説。取得までのスケジュールを理解することで、今後のキャリアパスの設計ができるようになります。
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目次
2.実務者研修について
2-1.受験資格
2-2.取得までの期間と費用
2-3.実務者研修のカリキュラム
2-4.実務者研修の難易度
2-5.実務者研修の合格率
3.働きながら取得を目指す
4.初任者研修との違い
5.実務者研修か初任者研修どちらを先に取るべきか
6.取得のメリット
6-1.介護福祉士を目指せる
6-2.サービス提供責任者になれる
6-3.痰吸引・経管栄養の知識を学べる
6-4.給与がアップする
7.まとめ~介護のプロへの道が開けます~
1.実務者研修とは
正式名称を「介護福祉士実務者研修」といい、介護士の入門資格である「介護職員初任者研修」の上位資格にあたります。介護士として必要な介護過程や認知症などについてより専門的な知識やスキルを身に付けることができる研修となっています。
実務者研修は、2013年4月の介護保険法施行規則改正により、介護職員の質の向上といままで不透明であった介護士のキャリアパスの明確化を目的に新たに新設された資格です。これにより「介護職員基礎研修」「訪問介護員養成研修」が一本化されました。
また修了することにより、国家資格である介護福祉士の受験資格を得ると同時に、サービス提供責任者になれるなど、介護士としてのキャリアアップに様々なメリットを得られます。介護士として今後も活躍することを目指すのであれば、必須の資格と言えるでしょう。
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2.実務者研修の内容
2-1.受験資格
実務者研修には、資格や実務の経験は必要ありません。決められたカリキュラムを修了することで取得することができる資格です。そのため初任者研修と違い、試験実施の義務もありません。
2-2.取得までの期間と費用
実務者研修の取得までにかかる期間と費用は保有している資格によって違います。目安は以下の通りです。
保有資格 |
費用 |
期間 |
無資格 |
約15万円~20万円 |
約6ヶ月 |
初任者研修・ホームヘルパー2級 |
約10万円~15万円 |
約3ヶ月 |
ホームヘルパー1級 |
約7万円~10万円 |
約2ヶ月 |
介護職員基礎研修 |
約3万円~5万円 |
約1ヶ月 |
取得までの期間は、一般的に6ヶ月程度とされています。すでに資格を取得している場合は、一部免除される科目があるため、取得までの期間は短くなります。持っている資格と目安となる期間を参考にして、取得までのスケジュールを立てましょう。
また取得までの費用や期間は、お住いの地域やスクールによっても異なります。上の表はあくまでも相場になりますので、いくつかスクールの候補を見つけて比較検討してみることをオススメします。
2-3.実務者研修のカリキュラム
実務者研修を取得するには、以下の計450時間に及ぶカリキュラムを修了する必要があります。
前項でも触れた通り、初任者研修を取得している場合は、130時間分が免除されます。その他旧ホームヘルパー資格などを修了している場合も免除の科目がありますので、事前に確認しておきましょう。
出典:厚生労働省 実務者研修における「他研修等の修了認定」の留意点について
基本的には座学がメインとなりますが、医療的ケアに関しては、演習も実施します。
2-4.実務者研修の難易度
実務者研修の取得のためにはカリキュラムの受講が必要になりますが、取得自体の難易度は決して高くないと言われています。とはいえ介護現場の経験者であれば理解も早い一方、未経験からの取得であれば当然難易度が上がるでしょう。
丁寧に復習すればきちんと理解できる内容です。働きながら取得を目指す方であれば、必ず出席が必要なスクーリングと、自習のための時間をきちんと確保できるかが大切だと言えます。
2-5.実務者研修の合格率
実務者研修の修了試験合格率はスクールによって異なります。そもそも、実務者研修取得に必要な条件はカリキュラムを全て修了することです。試験の実施は義務ではないため、修了試験の有無や難易度はスクール毎に違ってきます。
ただし、実務者研修の合格率は100%に近いとも言われます。なぜなら各スクールでは、追試などの救済措置が用意されているためです。注意していただきたい点は、救済措置があるとはいえ必要な受講や課題提出が不足すれば、当然不合格になるということ。将来の自分のためにしっかり準備して臨みましょう。
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3.働きながら取得を目指す
働きながら実務者研修の取得を目指すこともできます。その場合は、仕事終わりや休日に通えるスクールを見つける必要性が出てきます。平日だけでなく土日に開講しているスクールもありますので、自身の都合や取得までのスケジュールに合わせてスクールを探してみましょう。
キャンペーンを実施しているケースもあり、費用を抑えることもできますので、複数のスクールを候補にあげておくことをオススメします。
実務者研修は、初任者研修に比べ、カリキュラムの数が多く、取得までに時間を要します。
仕事をしながらスクールに通う場合は、イレギュラーな事態を想定して、受講の振替があるか、そして無料で振替を行うことができるかをチェックしておくと良いでしょう。チェックポイント!
・キャンペーンを実施しているか
・土日や夜間に受講できるか
・無料で振替講座を受講できるか
・資格取得支援制度があるか
また、いま働いている職場に「資格取得支援制度」があるか確認してみましょう。費用の負担も軽減される場合があります。もし制度がある場合は、積極的に利用しましょう。
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4.初任者研修との違い
同じ介護系の資格として初任者研修もありますが、初任者研修と実務者研修ではそれぞれ違いがあります。主な違いとして挙げられるのは、受講科目数や受講時間数、介護福祉士国家試験の受験資格になるかどうかという点になります。
初任者研修の場合は9科目130時間、実務者研修は20科目450時間とカリキュラムの内容に大きな違いがあります。これは初任者研修が、介護の基礎知識や技術について学ぶことを目的としているのに対し、実務者研修の場合は、初任者研修の内容を前提としてより専門的で深い介護知識を学ぶことが目的となっているためです。
また前述の通り、研修修了後の試験が義務ではない点も違いと言えるでしょう。スクールによっては実施するケースもあるようですので、事前にチェックしておくことをオススメします。
介護福祉士国家試験の受験には実務者研修修了が必須となっています。一方で初任者研修は、受験要件に含まれていません。福祉系の学校を卒業せずに介護福祉士試験を受験する場合は、実務者研修の修了が必須となっています。
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5.実務者研修か初任者研修どちらを先に取るべきか
無資格の場合やこれから介護士を目指す方は、まずは初任者研修の取得をオススメします。
実務者研修は、無資格でも取得することができます。しかし、初任者研修の上位資格であることから、基本的な介護知識やスキルが身についていることを前提としています。
また、初任者研修と実務者研修では、取得までの期間や費用に大きく異なります。450時間必要な実務者研修に対して、初任者研修は、研修カリキュラムも130時間と実務者研修に比べて少なく、費用も約4万円~12万円で取得することができます。
資格 |
費用 |
時間数 |
期間 |
初任者研修 |
約4万~12万 |
130時間 |
約3ヶ月 |
実務者研修 |
約15万~20万 |
450時間 |
約6ヶ月 |
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6.取得のメリット
実務者研修と初任者研修で異なる4つのポイントを解説していきます。実務者研修と初任者研修は、ともに受験資格には差はありません。無資格者や実務経験がない方でも、取得をすることができます。実務者研修と初任者研修の違いのひとつにカリキュラムの時間数があるということは、先ほどわかっていただけたかと思います。
しかし、その他にも実務者研修を取得していると初任者研修では得られないメリットがあります。
6-1.介護福祉士を目指せる
実務者研修を取得していると、国家資格である介護福祉士の受験資格を得ることができます。以前は3年以上の実務経験があれば、初任者研修のみでも受験が可能でしたが、介護士の資質の向上と高いサービスの提供の観点から、2016年以降の試験では、制度の改正により「実務経験3年+実務者研修」が必須となりました。
介護士としてキャリアアップをしたいと考えているのであれば、実務者研修は、ぜひとも取得しておきたい資格になります。
介護福祉士の受験資格
Ⅰ.3年以上の実務経験+実務者研修
Ⅱ.3年以上の実務経験+介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修
※実務経験ルートの場合
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詳細を見る6-2.サービス提供責任者になれる
実務者研修を取得していると、訪問介護事業所では必須のサービス提供責任者として活躍することができます。
訪問介護事業所ではサービス提供責任者の配置が義務付けられていますサービス提供責任者になるためには、介護福祉士、介護福祉士実務者研修、旧ホームヘルパー1級のいずれかの資格を有している必要があります。以前は、介護職員初任者研修修了者かつ3年以上の介護業務の実績がある者も含まれていましたが、2018年の制度改正により要件から除外されました。
サービス提供責任者は、役職手当など給与アップや転職の際の選択肢が広がるだけでなく、マネジメント業務にも携わることができる重要なポジションに就くことができるようになる点もその後のキャリアアップにも繋がることでしょう。
サービス提供責任者とは
サービス提供責任者とは、文字通り訪問介護事業所におけるリーダー的なポジションです。主な仕事内容としては、ケアマネジャーと連携した訪問介護計画の作成・ヘルパーの指導や管理などを行い、事業所によってはヘルパー業務を兼務する場合もあります。将来管理職を目指している方には、ピッタリの職種です。
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「サービス提供責任者(サ責)」は、訪問介護サービスにおいて、利用者へ適切なケアが提供されるよう「ヘルパー」と「ケアマネジャー」の調整をする役割があります。
詳細を見る6-3.喀痰吸引・経管栄養の知識を学べる
平成12年4月の社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正により、実務者研修修了後は、一定の条件を満たすと喀痰吸引・経管栄養などの医療行為を行うことができるようになります。介護のスキルだけではなく、医療的ケアについても知識を蓄えることができるので、スキルアップという面でもメリットは大きいでしょう。
高齢化社会の加速に伴い、介護施設においても喀痰吸引・経管栄養といった医療行為の実施ニーズが高くなってきていますので、実務者研修取得によって、知識を学んでいると転職の際に有利になることは言えるでしょう。
一定の条件について
研修修了後に喀痰吸引等研修を修了し、「認定特定行為業務従事者」として交付を受けることができます。
「登録特定行為事業者」として都道府県に登録されている事業所では、医師の指示や看護師との連携が可能な安全な環境下で痰吸引・経管栄養を行うことができます。
6-4.給与がアップする
無資格の方と比較すると実務者研修修了者の月収は約3万円ほど高いことが分かります。
介護業界では「資格手当」のほかにも「夜勤手当」や「職務手当」など各種手当が給与アップに直接繋がることが多くありますので、スキルアップ以外に現在の給与に満足していない場合は、上位の資格を取得するメリットは大いにあるのではないでしょうか。
資格 |
平均月収 |
平均年収 |
介護福祉士 |
331,080円 |
3,972,960円 |
実務者研修 |
302,430円 |
3,629,160円 |
初任者研修 |
300,240円 |
3,602,880円 |
保有なし |
268,680円 |
3,224,160円 |
※平均給与額は、基本給(月額)+手当+一時金(1~12月支給金額の1/12)
出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所)
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7.まとめ~介護のプロへの道が開けます~
この先介護業界で長く活躍したいと少しでも考えているのであれば、なるべくはやめに実務者研修の取得を目指すことをオススメします。実務者研修を取得していると、国家資格である「介護福祉士」を目指すことができます。
また、給与のアップやよりスキルの専門性を高めることができるだけでなく、将来、介護業界でキャリアアップを目指すうえでも大きなメリットがあります。この機会に、実務者研修取得を検討してみてはいかがでしょうか。
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小松 和貴
セカンドラボ株式会社
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n6565a29f667f
2022年4月よりセカンドラボ株式会社に入社。主に病院を中心に医療介護向け求人メディア「コメディカルドットコム」の営業・採用課題のサポートを行う。