介護職員初任者研修のメリット6選|取得方法やキャリアパスも解説
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「初任者研修」というワードはみなさん一度は耳にしたことがあると思います。「介護職員初任者研修」は、介護士としてキャリアを築いていく上で避けては通れない「介護士の入門資格」と言うことができる資格です。
今回は「介護職員初任者研修」はどんな資格なのか、資格を取得して得られるメリット・取得方法・将来のキャリアプランについてご紹介していきます。これから介護士を目指している方や無資格で働きながらも将来的には資格の取得を検討している方はぜひ参考にしてください。
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目次
2.初任者研修を取得するとできること
3.初任者研修のとり方と合格率
4.資格を持っていると得られるメリットを解説
5.働きながら資格取得を目指すことはできるの?
6.初任者研修の取得はこんな人にオススメ!
7.介護職のキャリアパス
8.まとめ
1.初任者研修はキャリアアップの第一歩!
介護職員初任者研修とは
介護職員初任者研修は、介護に携わるものが、業務を遂行する上で最低限の知識・技術とそれを実践する際の考え方のプロセスを身に付け、基本的な介護業務を行うことができるようにすることを目的として行われるものである。
厚生労働省が定める通り、「介護職員初任者研修」は、介護士として働く上での基本的な知識・技術を身に付ける為の入門資格。介護士としてのキャリアを築くにあたり、まず最初に取得をめざす人が多い資格です。
従来は「ホームヘルパー2級」と呼ばれていましたが、2013年4月の介護保険法施行規則改正で名称が変更されました。したがって既にホームヘルパー2級を所持している方は、改めて初任者研修を取得する必要はありません。
「介護職員初任者研修」の位置づけ
「7. 介護職のキャリアパス」でも詳しくご紹介しますが、2023年現在、介護士のキャリアパスは図のようになっています。無資格・未経験の場合はまず初任者研修で介護の「いろは」を学び、経験を積んだ上で実務者研修、そして介護福祉士へとステップアップしていくのが一般的な流れです。
介護全般の資格としては国家資格である介護福祉士がひとまずのゴールとなり、そこから本人の意欲、志向に応じてケアマネジャーや認定介護福祉士などの上位資格を取得していくことになります。
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2.初任者研修を取得するとできること
そもそも介護の仕事内容とは
介護士の仕事内容は大きく分けると利用者さんの身体に直接触れて食事・入浴・排泄などのサポートを行う「身体介助」と掃除・洗濯・調理・買い物など身の回りのお世話を行う「生活援助」の2つに分類することができます。
初任者研修でできること
無資格者と初任者研修修了者の一番の違いは、初任者研修修了者は上述の「身体介護」をひとりで行えるということです。(無資格者であっても、介護福祉士の監督のもとであれば身体介護を行うことができます。)
無資格でも応募ができることが多い介護業界ですが、利用者の居宅やサービス付き高齢者向け住宅などの施設を訪問してひとりで介護を行う「訪問介護」においては、初任者研修の修了を必須としているところがほとんどです。
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3.初任者研修のとり方と合格率
「介護職員初任者研修」には受験資格は必要なく、在宅・施設問わず介護業務に従事しようとしている人であれば誰でも取得を目指すことができます。計130時間のカリキュラムと修了試験を受講することで取得することができます。
一般的に取得には「通学」と「通信」の2種類があり、資格の取得にはスクールのスケジュールにもよりますが、平均して約3ヶ月程度の期間を要するとされています。
「介護職員初任者研修」カリキュラム
1.職務の理解 |
6時間 |
2.介護における尊厳の保持・自立支援 |
9時間 |
3.介護の基本 |
6時間 |
4.介護・福祉サービスの理解と医療との連携 |
9時間 | 5.介護におけるコミュニケーション技術 |
6時間 |
6.老化の理解 |
6時間 | 7.認知症の理解 |
6時間 |
8.障害の理解 |
3時間 |
9.こころとからだのしくみと生活支援技術 |
75時間 | 10.振り返り |
4時間 |
合計 |
130時間 |
上記130時間のカリキュラムを修了すると、修了試験があります。試験は選択式でカリキュラムの内容から出題されるため、しっかりと受講していれば、難易度は高くありません。この試験に合格することで「介護職員初任者研修」の修了となります。
合格率はどれくらい?
試験は各スクール独自で作成されるため合格率もスクールごとに異なります。合格率はどのスクールも公開していませんが、授業を真面目に受け、テキストをこなしていればほとんどの方が合格できると言われています。
公式なデータは残念ながらないものの、初任者研修の合格率は100%に近く、これから介護を始める方でも挑戦しやすい資格です。
そもそも、初任者研修の資格の目的は受験者をふるい落とすことではありません。受講してきた内容が身についているかを確かめることを目的としています。
試験の合格ラインは100点満点中70点以上です。万が一、合格ラインに届かなくても再試験や追試制度のあるスクールがほとんどです。無料なのか別途費用がかかるのかはスクールごとに異なりますので事前に確認しておくと良いでしょう。
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4.資格を持っていると得られるメリットを解説
「介護職員初任者研修」資格を取得していると、給与面だけでなく様々な点でメリットがあります。
無資格からでもできることが多い介護業界ですが、なかには「初任者研修修了以上」を応募の要件として設定している事業所もあります。人手が足りない介護施設であっても、やはり一定の知識や経験を持っており、即戦力として活躍することが見込まれる人の方が好まれる傾向にあると言えるでしょう。
「初任者研修」を取得していると履歴書に記載があることで、仕事内容への理解や前向きさという点をアピールできるだけでなく、選べる求人の幅も確実に広がるので、ミスマッチのない満足いく転職活動ができるでしょう。
介護職の給与は、基本給に加えて取得している資格に応じた「資格手当」が付くことがほとんどです。これはパートで働く場合であっても同様に時給に資格手当として加算されます。
下の表は初任者研修修了者と無資格者の平均給与額を示しています。1年間で見てみると、約38万円の差があることがわかります。このように無資格で働く場合に比べて、給与面でメリットがあると言えます。
資格 |
平均月収 |
平均年収 |
初任者研修 |
300,240円 |
3,602,880円 |
保有なし |
268,680円 |
3,224,160円 |
※平均給与額は、基本給(月額)+手当+一時金(1~12月支給金額の1/12)
出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所)
「初任者研修」は、介護士として活躍していくための入門資格と言えます。先ほど触れた2013年の改正により介護士としてのキャリアパスは明確化されました。
将来更なるキャリアアップの道として上級資格である「介護福祉士実務者研修」「介護福祉士」「認定介護福祉士」などの取得を目指している人は、「初任者研修」資格を取得しておくと、スムーズにキャリアアップしてくことできると言えます。
「初任者研修」を取得していると、ご利用者の自宅に訪問して掃除や調理などの「生活援助」や食事・入浴などの「身体介護」を行う訪問介護サービスを行うことができます。入所や通所の施設では機会のなかった異なった知識や経験を積むことができるとともに、転職活動の際の選択肢を増やすことができます。
訪問介護以外の施設形態の事業所であっても、無資格の方との業務内容に差を設けている事業所もあり、「身体介護」から「生活援助」その他レクリエーションの企画など幅広い業務を経験することできます。
これらの経験は、前述の上級資格を目指すうえでも貴重な財産になります。
現在、2025年には約35万人の介護従事者が不足すると推測されています。慢性的な「人手不足」の傾向がしばらく続くことが予想され、今後も介護士のニーズは高まっていくことでしょう。
なかには別の業界で働いているが、30代・40代のうちに「初任者研修」をまずは取得しておき、将来に活かそうとしている人もいらっしゃいます。待遇改善などの取り組みも進んでおり、取得しておくと将来役に立つ資格となります。
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5.働きながら資格取得を目指すことはできるの?
「初任者研修」の取得方法としては、「通学」・「通信」という2種類があります。どちらが自分に適しているか、負担が少ないかを見極めて選ぶことが大切になります。
通学講座
通学講座は、スクールや学校に通い授業を受ける形式になります。平日のみや夜間のみなど自身のスケジュールに合わせて受けることができます。時間に余裕がある人は、平日の日中を使って受講を進めていくと、最短1ヶ月程度での取得も可能になります。
全国に展開している大手から、1教室のみのものまで多数ある選択肢から自分で選ぶことができます。ライフスタイルはもちろんのこと、予算や通学のしやすさなど様々な観点から選択できます。
通信講座
通信講座は、教材を使って自宅で学習する形式です。近くに通学できるスクールがない場合や家庭と両立しながら取得を目指す方は、こちらの方法がよいでしょう。
ただし、自宅のみでは取得ができない点には注意が必要です。130時間のカリキュラムのうち、自宅での学習時間は40.5時間以内と定められており、それ以外の時間は通学で学習しなければなりません。
通学の必要性も踏まえると、約3ヶ月~4ヶ月程度取得までの期間を設定しておくことが現実的です。
1.通学するスクールの場所
2.スクールにかかる費用
3.どのくらいの期間で取得したいか
1.通学するスクールの場所
定期的に通学することになるので、なるべく家から近い場所で探すことをお勧めします。通学が面倒になって行かなくなってしまっては本末転倒ですので、無理なく通える範囲かつ行き慣れている場所でスクールを探すのがよいでしょう。
2.スクールにかかる費用
取得にかかる費用は、地域やスクールによって異なりますが、約4万円~12万円程度です。キャンペーンを実施しているスクールもありますので、いくつか候補を見つけて比較検討してみるのがよいでしょう。
3.どのくらいの期間で取得したいか
自分のスケジュール感やどのくらいの期間であればモチベーションを保てるかなども重要です。無理なく通えるスケジュールでうまくモチベーションを保ちながら通学できる期間はどの程度なのか、一度考えておくといいかもしれません。
もちろん前述のように、働きながら資格の取得を目指すこともできますが、仕事との両立や家庭などの時間的な余裕や費用面での経済的な余裕がない場合もあるでしょう。そういった方は、いま働いている事業所で「資格取得支援制度」があるか確認してみましょう。
職員の教育に力を入れており「資格取得支援制度」がある場合は、資格取得にかかる費用の一部または全額を補助を受けることができます。費用面だけでなくいまの職場を離れることなくキャリアアップを目指すことができるので、積極的に活用するとするべきです。
もしいまの職場にそのような制度がない場合は、新たに教育制度が整っている事業所を探してみるというのも一つの手ではないでしょうか。
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6.初任者研修の取得はこんな方にオススメ
基礎的な介護技術を身につけたい方
まだ経験が浅い、資格がないなどの状態で、基礎から介護を学んでいきたいという方にはやはり初任者研修の取得がオススメです。
現場に飛び込んでしまうことで自己流でスキルをたたき上げていく道もありますが、初任者研修は130時間で、まとまった形で漏れなく知識と技術を身につけることができます。ある意味、介護の基礎をマスターするための最短ルートであるともいえます。
介護業界で長く働きキャリアアップを目指したい方
ご紹介したとおり、初任者研修は介護職としてキャリアアップしていくための第一歩でもあります。
初任者研修を取得していることで次のステップである実務者研修も受講しやすくなりますし、また最初に研修という形でしっかり基礎を固めておくことは、介護士としてキャリアを築いていく上で必ずプラスになります。
介護業界で長く働く自信がない方
矛盾するようですが、介護業界で長く働く自信がない、介護の仕事が自分に合っているかわからないという方にも初任者研修はオススメです。
無資格から実務者研修を取得しようとすると、実に450時間が必要になります。まずは取得しやすい初任者研修を受講してみて、ひと通り介護の基礎を学んでから長く働くか検討してみるというのも有効な手段なのです。
給料を上げたいと考えている方
初任者研修を取得すると、資格手当として給料がアップする施設は多くあります。またひとりで居宅や施設を訪問する「訪問介護」の形態でも働けるようになりますが、訪問介護は施設などでの介護に比べると給料が高い傾向にあります。
施設などでも初任者研修を正職員の要件としているところがあるので、福利厚生を充実させられる点でも初任者研修の取得は有効です。
上記のような方には、初任者研修を取得することをオススメします。資格を取得することで得られるメリットも多いため、介護業界での勤務を考えている方はぜひ前向きに検討してもらえればと思います。
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7.介護職のキャリアパス
2013年の制度改正により、「初任者研修」修了後のキャリアパスは、「初任者研修」⇒「実務者研修」⇒「介護福祉士」と明確化されました。その他にも、2015年に新しく新設された介護福祉士の上位にあたる民間資格「認定介護福祉士」や「ケアマネジャー」もキャリアパスの候補として挙げられます。
介護福祉士実務者研修
実務者研修は、初任者研修の上位資格としてより詳しい知識やスキルを身に付け能力を高めることを目的としています。国家資格である「介護福祉士」の受験要件にもなっているため、介護福祉士を目指すのであれば必須の資格になります。
取得には450時間のカリキュラムを要しますが、初任者研修修了者であれば、130時間分が免除されます。一般的に初任者研修修了者の場合、資格の取得期間は約2ヶ月程度と言われています。
介護福祉士実務者研修とは?取得方法やメリット、初任者研修との違い
「実務者研修」とは、どんな資格なのでしょうか?「実務者研修」は、国家資格である「介護福祉士」を目指すうえでも必須の要件となります。
詳細を見る介護福祉士
介護福祉士は、社会的地位を証明することができる国家資格のひとつです。介護士として働きながら資格の取得を目指す場合、「3年以上の実務経験と実務者研修修了」が受験資格として必要になります。
また人員配置などの観点からも高い知識とスキルを有している介護福祉士は、施設・事業所側も現場で一番に確保したい人材のひとつであると考えているケースがほとんどです。
【介護福祉士の基礎知識】資格取得方法やメリット、おすすめの職場とは?
介護福祉分野唯一の国家資格である「介護福祉士」。介護需要が高まっている現在、介護のスペシャリストとして現場のニーズが高まっています。
詳細を見る認定介護福祉士
認定介護福祉士は、2015年に介護福祉士の上位資格として新設された民間資格です。介護福祉士の更なる知識やスキルの向上を目的としており、現在介護士のキャリアパスにおいては最上位の資格になります。取得には、「介護福祉士として5年以上の実務経験と計600時間の講義を受講」する必要があります。
歴史が浅く、取得者数もまだ多くはありませんが、実践的な介護スキルのみならず現場のマネジメントや地域包括ケア、各関係機関との連携など介護現場の中心的な立場として、より複合的なスキルを養うことができます。
認定介護福祉士とは?介護福祉士との違いや取得方法・メリットを解説!
介護福祉士の上位資格とされている認定介護福祉士。まだ新しい資格なので、資格は耳にしたことがあっても、どんな資格なのかわからない
詳細を見るケアマネジャー(介護支援専門員)
ケアプランの作成や関係機関との調整などを行うケアマネジャーも認定介護福祉士と並んで介護系の最上位の資格として位置付けられています。取得には「5年以上かつ900日以上の従事」と年1回の試験をパスする必要があり、決して簡単に取得できるものではありません。
高難易度のため、基本給や資格手当の面で優遇を受けやすく、また日勤のみの働き方となるケースがほとんどですので、年齢を重ねても長く働くことができるという特徴があります。
上記以外にも、介護士としての経験を活かして、看護師やセラピストへと転職をする方もいたりします。その他にも「生活相談員」や「施設管理者」など「初任者研修」取得後のキャリアの選択肢は様々です。
いままでの経験を活かして専門職として腕を磨くのか、ご利用者だけでなく施設の運営にかかわるマネジメント業務に携わりたいのか、自身の希望に沿ったキャリアパスを選択することができるでしょう。
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8.まとめ
「初任者研修」を取得していると給与面だけでなく、将来のキャリアパスの選択肢も大きく広がります。
資格取得支援のある事業所で働きながらの両立を目指したり、時間を見つけてスクールに通うなど取得の方法は様々ですので、ご自身にあった選択肢を選ぶことをオススメします。
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